『ボブ・ディラン30周年記念コンサート』 [Blu-ray & DVDコレクション]
きょうは3月にリリースされた、ディラン『30周年記念コンサート』のBlu-rayをご紹介しよう。
ボブ・ディランのレコーディング30周年を記念したコンサート(通称ボブ・フェスト byニール・ヤング)は、1992年10月16日にNYCのマディソン・スクウェア・ガーデンで行われた。
集まった観客は18,000人、観衆だけじゃなく出演者をも熱狂の渦に巻き込んだこのコンサートは、なんと4時間にも及んだ。
このようすは全米にTV中継されたようだが、ぼくは93年にSony Recordsからリリースされたレーザーディスク(LD)を、何度もなんども繰り返し(それこそテープだったら擦り切れるほど…でもLDだから変化なし…笑)見たものだった。
LDは2枚組194分という大作だった
やがてLDプレイヤーが壊れてからは、DVDがリリースされないまま見たい気持ちが募るばかりだったが、なんと22年の月日を経て待望の再発となった。
24ページのカラー・ブックレットつき
なんとジョニー・キャッシュをはじめ14人のアーティストが故人になっているのだった
このリリースと前後してNHK BSプレミアムでこのコンサートの様子が放映されたのをご覧になった方も多いと思うが、見逃した方は6月3日に第1部、6月10日に第2部が再放送されるので、お楽しみに。
LDにはBSプレミアムでナヴィゲーターを務めたみうらじゅんのイラストによるルポもついていた
(ちなみにここに書いてあることとおんなじことを22年後のみうら氏はしゃべってました…笑)
ぼくはなぜNHKが?と疑問に思ったのだが、じつは当時開発間もないNHKのハイヴィジョン・カメラで、このコンサートは収録されたのだった。
おかげで22年前とは思えないほど鮮明な画像で楽しむことができる。
LDにもちゃんとSpecial ThanksとしてNHK エンタープライズの名前がクレジットされている
ちなみにぼくは3月の放送もエアチェックしたけれど、当然ながら絵も音もBlu-rayのほうが断然スゴイ。
こだわる方はぜひBlu-rayで。
BSプレミアムを見ておけば字幕もいらないので、輸入盤でOKです!(笑
それではあまり鮮明ではありませんが、スクリーン・ショットで紹介していきましょう。
(あまり長いので一部省略しています、あしからず)
まずイントロとして、マーティン・スコセッシの『ノー・ディレクション・ホーム』でも引用されていた若き日のディランをとらえたフィルムが流れ、コンサートのリハーサルへとつながっていく。
ディランのリハをちゃっかりヴィデオに収めるジョージ。
参加アーティストだけに許される特権ですね。
その後、出演者のインタビューや機材の搬入のようす、当日のMSGで入場を待ちわびるファンの姿、続々とバックステージに到着する出演者の姿などが映し出された後、いよいよコンサートが始まる。
と、いきなりオープニングでジョン・メレンキャンプが「ライク・ア・ローリング・ストーン」をかましてくれます。
スペシャル・ゲストとしてオルガンにアル・クーパー。
くーっ、最初からこんなに飛ばしていいんでしょうか?って感じ。
つづいて、このコンサートのハウス・バンドを務めるBooker T. & The M.G.'sとともにスティーヴィー・ワンダーが登場、「風に吹かれて」を演奏する。
個人的には次に登場するルー・リードが最初のハイライト。
演奏するのは、1983年のアルバム『インフィデルズ』のセッションでお蔵入りとなり、91年の『ブートレグシリーズⅠ~Ⅲ』に収められた「Foot of Pride」だ。
これがじつにシブい。
若い世代を代表して、パール・ジャムのエディ・ヴェダーがマイク・マクレディのアコ―スティック・ギターをバックに「戦争の親玉」を歌う。
マイクのギターはギブソンのダブだ。
ミュージカル・ディレクターを務めるG.E.スミスのフラット・マンドリンもいい味を出している。
まだデビューからそれほど間がないけれど当時人気だったトレイシー・チャップマンは「時代は変わる」をやはりアコギ1本で。
ギターは裏板が3ピースになったマーティンのD-35だ。
ジョニー・キャッシュと当時の奥方ジューン・カーター・キャッシュは「悲しきベイブ」をデュエット。
ベースを弾くドナルド・"ダック"・ダンも併せて3人とも故人なんて、人の世の無常を感じさせるショットだ。
個人的に好きなのが、次に登場するウィリー・ネルソン。
89年のアルバム『オー・マーシー』に収録されている「ホワット・ウォズ・イット・ユー・ウォンテッド」を歌う。
ネイティヴ・アメリカンとしての彼の人生は知らないけれど、きっとすばらしい人なんだろうな、と思わせる深い皺が印象的だ。
彼のギターも彼と同じように、多くのサインに彩られながらトップには大きな穴が開いている。
ウィリーとベースのドン・ウォズがそのままステージに残り、ここまで司会を務めてきたクリス・クリストファスンが登場、歌うのは「アイル・ビー・ユア・ベイビー・トゥナイト」だ。
クリスのD-18もたくさんのサインが入れられ、傷だらけで歴戦のつわものといった趣だが、50年代の特徴である赤みの強いピックガード、65年以降の仕様であるショート・サドルとローズ・ウッドのブリッジ、80年代以降のシャラー・ペグと、さまざまな改造がなされているようだ。
つづいて登場するジョニー・ウィンターが個人的にはこの日2番目のハイライト。
トレードマークのファイヤーバードを手に、火の吹くようなスライド・ギターとヴォーカルを聴かせてくれる。
おっと、テールピースのうしろにビグズビー・アームを取り付けていたらしきネジ穴を発見!
こういうのもHDじゃないとわかりませんね(笑。
ガールフレンド?を連れてステージ入りしたロン・ウッドは、ローリング・サンダー・レヴューで歌われたもののレコーディングされなかった「セヴン・デイズ」を披露。
20数年前、LDで見たとき一番びっくりしたのが、ロンのギター。
トップの木目と色合いからして、54年製のアッシュ・ボディーのストラトキャスターだ。
それにしてもこんなミントな54年製って、いったいいくらなんだろう(笑。
つづいてのステージは60年代初期をディランとともにグリニッジ・ヴィレッジで過ごしたリッチー・ヘヴンスだ。
彼のステージを見るのは70年に『ウッドストック』を映画館で見て以来だったが、相変わらずの声とギターで、聴衆を魅了していた。
抱えていたのはこれもトレードマークのギルドのアコースティック・ギターだ。
シネイド・オコナーは、聴衆のブーイングによってこの日ディランの作品を歌えなかった。
数週間前に出演した『サタデイ・ナイト・ライヴ』でローマ法王の写真を破り捨ててしまい、全米で彼女の行為を非難する声があがっていたからだ。
彼女はアカペラでボブ・マーリーの「ウォー」を歌い、そのままステージを降りてしまった。
多くの人が、この日もっともすぐれたステージだったと称賛するのがニール・ヤングだ。
かれは相棒である黒のレスポール・スタンダードとともに、「親指トムのブルーズ」と「見張り塔からずっと」の2曲を演奏し圧倒的なパフォーマンスを見せた。
プリテンダーズのクリッシー・ハインドはザ・バンドのヴァージョンで有名な「アイ・シャル・ビー・リリースト」を歌った。
バックのスティーヴ・クロッパーもなんだかうれしそうだ。
手にしているピンクのテレキャス・タイプ、メイカーはぼくにはわからなかった。
ぼくも大好きな76年のアルバム『ノー・リーズン・トゥ・クライ』でディランとのデュエットも聴かせてくれたエリック・クラプトンは「ラヴ・マイナス・ゼロ/ノー・リミット」と「くよくよするなよ」の2曲を披露。
手にするのはこのころ愛用していたピックアップにレースセンサーを採用したストラトキャスターの黒のクラプトン・モデルだ。
さて、いよいよザ・バンドの登場だ。
オリジナル・メンバー、リヴォン・ヘルム、ガース・ハドスン、リック・ダンコを中心に「マスターピース」を楽しそうに歌っている。
リヴォンとリック・ダンコも帰らぬ人となってしまいましたね。
つづいて、リハをちゃっかりヴィデオに収めていたジョージの出番です。
ビートルズ解散直後のソロ・アルバム『オール・シングス・マスト・パス』のなかの「アイド・ハヴ・ユー・エニイタイム」でデュエットを披露し、「バングラデシュのコンサート」にもディランを引っ張り出したジョージは、この日はパープルのジャケット、カスタム・メイドの(おそらく)OM-28と思われるギターを手に「アブソリュートリー・スウィート・マリー」を歌って会場を熱狂させた。
そのジョージとともにトラヴェリング・ウィルベリーズに参加したトム・ペティが、自身のバンド、ハートブレイカーズを率いて登場すると、「ライセンス・トゥ・キル」(『インフィデルズ』)と「雨の日の女」を熱唱、会場の興奮も一段とヒートアップした。
さあ、出てきましたよ、ロジャー・マッギン。
ディランのカヴァー「ミスター・タンブリンマン」によってフォーク・ロックというジャンルを切り拓き、やがてそこにディラン自身も参加することによって、ロックそのものが新しいステージに入っていくわけだが、おなじみのリッケンバッカーを弾きながら歌う「ミスター・タンブリンマン」は、この夜もけっして古びてはいなかった。
そしていよいよ御大ディランの登場だ。
真新しいD-28をかき鳴らしながら彼が「イッツ・オールライト・マ」を歌い始めると、会場はあっという間にディランの色に染まってしまう。
初期のころのぶっきらぼうな歌い方に加えて、わざと高域を効かせるようなふにゃふにゃしたヴォーカル。
うーん、只者でない(笑。
ステージにクラプトン、ニール、ジョージ、ロジャー、トムも加わって「マイ・バック・ペイジズ」、「天国のドア」、最後はディランがソロで「北国の少女」を歌って、この日のコンサートの幕が下りたのだった。
なお、ボーナス・トラックのなかでは、TV中継が始まるまえのプレ・ショウで演奏されたBooker T. & The M.G.'sの「ガッタ・サーヴ・サムバディ」(この曲が収められた『スロー・トレイン・カミング』は最近の愛聴盤のひとつ)が印象的だった。
ボブ・ディランのレコーディング30周年を記念したコンサート(通称ボブ・フェスト byニール・ヤング)は、1992年10月16日にNYCのマディソン・スクウェア・ガーデンで行われた。
集まった観客は18,000人、観衆だけじゃなく出演者をも熱狂の渦に巻き込んだこのコンサートは、なんと4時間にも及んだ。
このようすは全米にTV中継されたようだが、ぼくは93年にSony Recordsからリリースされたレーザーディスク(LD)を、何度もなんども繰り返し(それこそテープだったら擦り切れるほど…でもLDだから変化なし…笑)見たものだった。
LDは2枚組194分という大作だった
やがてLDプレイヤーが壊れてからは、DVDがリリースされないまま見たい気持ちが募るばかりだったが、なんと22年の月日を経て待望の再発となった。
24ページのカラー・ブックレットつき
なんとジョニー・キャッシュをはじめ14人のアーティストが故人になっているのだった
このリリースと前後してNHK BSプレミアムでこのコンサートの様子が放映されたのをご覧になった方も多いと思うが、見逃した方は6月3日に第1部、6月10日に第2部が再放送されるので、お楽しみに。
LDにはBSプレミアムでナヴィゲーターを務めたみうらじゅんのイラストによるルポもついていた
(ちなみにここに書いてあることとおんなじことを22年後のみうら氏はしゃべってました…笑)
ぼくはなぜNHKが?と疑問に思ったのだが、じつは当時開発間もないNHKのハイヴィジョン・カメラで、このコンサートは収録されたのだった。
おかげで22年前とは思えないほど鮮明な画像で楽しむことができる。
LDにもちゃんとSpecial ThanksとしてNHK エンタープライズの名前がクレジットされている
ちなみにぼくは3月の放送もエアチェックしたけれど、当然ながら絵も音もBlu-rayのほうが断然スゴイ。
こだわる方はぜひBlu-rayで。
BSプレミアムを見ておけば字幕もいらないので、輸入盤でOKです!(笑
それではあまり鮮明ではありませんが、スクリーン・ショットで紹介していきましょう。
(あまり長いので一部省略しています、あしからず)
まずイントロとして、マーティン・スコセッシの『ノー・ディレクション・ホーム』でも引用されていた若き日のディランをとらえたフィルムが流れ、コンサートのリハーサルへとつながっていく。
ディランのリハをちゃっかりヴィデオに収めるジョージ。
参加アーティストだけに許される特権ですね。
その後、出演者のインタビューや機材の搬入のようす、当日のMSGで入場を待ちわびるファンの姿、続々とバックステージに到着する出演者の姿などが映し出された後、いよいよコンサートが始まる。
と、いきなりオープニングでジョン・メレンキャンプが「ライク・ア・ローリング・ストーン」をかましてくれます。
スペシャル・ゲストとしてオルガンにアル・クーパー。
くーっ、最初からこんなに飛ばしていいんでしょうか?って感じ。
つづいて、このコンサートのハウス・バンドを務めるBooker T. & The M.G.'sとともにスティーヴィー・ワンダーが登場、「風に吹かれて」を演奏する。
個人的には次に登場するルー・リードが最初のハイライト。
演奏するのは、1983年のアルバム『インフィデルズ』のセッションでお蔵入りとなり、91年の『ブートレグシリーズⅠ~Ⅲ』に収められた「Foot of Pride」だ。
これがじつにシブい。
若い世代を代表して、パール・ジャムのエディ・ヴェダーがマイク・マクレディのアコ―スティック・ギターをバックに「戦争の親玉」を歌う。
マイクのギターはギブソンのダブだ。
ミュージカル・ディレクターを務めるG.E.スミスのフラット・マンドリンもいい味を出している。
まだデビューからそれほど間がないけれど当時人気だったトレイシー・チャップマンは「時代は変わる」をやはりアコギ1本で。
ギターは裏板が3ピースになったマーティンのD-35だ。
ジョニー・キャッシュと当時の奥方ジューン・カーター・キャッシュは「悲しきベイブ」をデュエット。
ベースを弾くドナルド・"ダック"・ダンも併せて3人とも故人なんて、人の世の無常を感じさせるショットだ。
個人的に好きなのが、次に登場するウィリー・ネルソン。
89年のアルバム『オー・マーシー』に収録されている「ホワット・ウォズ・イット・ユー・ウォンテッド」を歌う。
ネイティヴ・アメリカンとしての彼の人生は知らないけれど、きっとすばらしい人なんだろうな、と思わせる深い皺が印象的だ。
彼のギターも彼と同じように、多くのサインに彩られながらトップには大きな穴が開いている。
ウィリーとベースのドン・ウォズがそのままステージに残り、ここまで司会を務めてきたクリス・クリストファスンが登場、歌うのは「アイル・ビー・ユア・ベイビー・トゥナイト」だ。
クリスのD-18もたくさんのサインが入れられ、傷だらけで歴戦のつわものといった趣だが、50年代の特徴である赤みの強いピックガード、65年以降の仕様であるショート・サドルとローズ・ウッドのブリッジ、80年代以降のシャラー・ペグと、さまざまな改造がなされているようだ。
つづいて登場するジョニー・ウィンターが個人的にはこの日2番目のハイライト。
トレードマークのファイヤーバードを手に、火の吹くようなスライド・ギターとヴォーカルを聴かせてくれる。
おっと、テールピースのうしろにビグズビー・アームを取り付けていたらしきネジ穴を発見!
こういうのもHDじゃないとわかりませんね(笑。
ガールフレンド?を連れてステージ入りしたロン・ウッドは、ローリング・サンダー・レヴューで歌われたもののレコーディングされなかった「セヴン・デイズ」を披露。
20数年前、LDで見たとき一番びっくりしたのが、ロンのギター。
トップの木目と色合いからして、54年製のアッシュ・ボディーのストラトキャスターだ。
それにしてもこんなミントな54年製って、いったいいくらなんだろう(笑。
つづいてのステージは60年代初期をディランとともにグリニッジ・ヴィレッジで過ごしたリッチー・ヘヴンスだ。
彼のステージを見るのは70年に『ウッドストック』を映画館で見て以来だったが、相変わらずの声とギターで、聴衆を魅了していた。
抱えていたのはこれもトレードマークのギルドのアコースティック・ギターだ。
シネイド・オコナーは、聴衆のブーイングによってこの日ディランの作品を歌えなかった。
数週間前に出演した『サタデイ・ナイト・ライヴ』でローマ法王の写真を破り捨ててしまい、全米で彼女の行為を非難する声があがっていたからだ。
彼女はアカペラでボブ・マーリーの「ウォー」を歌い、そのままステージを降りてしまった。
多くの人が、この日もっともすぐれたステージだったと称賛するのがニール・ヤングだ。
かれは相棒である黒のレスポール・スタンダードとともに、「親指トムのブルーズ」と「見張り塔からずっと」の2曲を演奏し圧倒的なパフォーマンスを見せた。
プリテンダーズのクリッシー・ハインドはザ・バンドのヴァージョンで有名な「アイ・シャル・ビー・リリースト」を歌った。
バックのスティーヴ・クロッパーもなんだかうれしそうだ。
手にしているピンクのテレキャス・タイプ、メイカーはぼくにはわからなかった。
ぼくも大好きな76年のアルバム『ノー・リーズン・トゥ・クライ』でディランとのデュエットも聴かせてくれたエリック・クラプトンは「ラヴ・マイナス・ゼロ/ノー・リミット」と「くよくよするなよ」の2曲を披露。
手にするのはこのころ愛用していたピックアップにレースセンサーを採用したストラトキャスターの黒のクラプトン・モデルだ。
さて、いよいよザ・バンドの登場だ。
オリジナル・メンバー、リヴォン・ヘルム、ガース・ハドスン、リック・ダンコを中心に「マスターピース」を楽しそうに歌っている。
リヴォンとリック・ダンコも帰らぬ人となってしまいましたね。
つづいて、リハをちゃっかりヴィデオに収めていたジョージの出番です。
ビートルズ解散直後のソロ・アルバム『オール・シングス・マスト・パス』のなかの「アイド・ハヴ・ユー・エニイタイム」でデュエットを披露し、「バングラデシュのコンサート」にもディランを引っ張り出したジョージは、この日はパープルのジャケット、カスタム・メイドの(おそらく)OM-28と思われるギターを手に「アブソリュートリー・スウィート・マリー」を歌って会場を熱狂させた。
そのジョージとともにトラヴェリング・ウィルベリーズに参加したトム・ペティが、自身のバンド、ハートブレイカーズを率いて登場すると、「ライセンス・トゥ・キル」(『インフィデルズ』)と「雨の日の女」を熱唱、会場の興奮も一段とヒートアップした。
さあ、出てきましたよ、ロジャー・マッギン。
ディランのカヴァー「ミスター・タンブリンマン」によってフォーク・ロックというジャンルを切り拓き、やがてそこにディラン自身も参加することによって、ロックそのものが新しいステージに入っていくわけだが、おなじみのリッケンバッカーを弾きながら歌う「ミスター・タンブリンマン」は、この夜もけっして古びてはいなかった。
そしていよいよ御大ディランの登場だ。
真新しいD-28をかき鳴らしながら彼が「イッツ・オールライト・マ」を歌い始めると、会場はあっという間にディランの色に染まってしまう。
初期のころのぶっきらぼうな歌い方に加えて、わざと高域を効かせるようなふにゃふにゃしたヴォーカル。
うーん、只者でない(笑。
ステージにクラプトン、ニール、ジョージ、ロジャー、トムも加わって「マイ・バック・ペイジズ」、「天国のドア」、最後はディランがソロで「北国の少女」を歌って、この日のコンサートの幕が下りたのだった。
なお、ボーナス・トラックのなかでは、TV中継が始まるまえのプレ・ショウで演奏されたBooker T. & The M.G.'sの「ガッタ・サーヴ・サムバディ」(この曲が収められた『スロー・トレイン・カミング』は最近の愛聴盤のひとつ)が印象的だった。
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