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Music Matters のBLUE NOTE 33シリーズ - Days of Analogue Music 8 [手に入れたレコード]

ほんとうはジミー・ペイジが魂を傾けてリマスタリングしたという、ゼップのアナログ盤をご紹介する予定だったが、なぜか入荷が遅れている。
したがって前回につづいて、BLUE NOTEの高音質リイシュー・アナログ盤をお届けしよう。

きょうはMusic Matters社の33回転シリーズ。
Music Matters(以下MM)というと、BLUE NOTEレーベルだけに絞ってアナログ盤をリイシューするという、まあとんでもないディストリビューターなわけだが、と同時に、それでもちゃんと商売になってしまうところに、BLUE NOTEというレーベルの空恐ろしさもあるわけだ。
本来の45回転シリーズは、次回以降にふれるとして、きょうご紹介するのは今年の2月からリリースが始まった33回転シリーズ(正確にいうと33 1/3回転なわけだが、MM社のHPを見ても、「SHOP 45 RPM」「SHOP 33 RPM」となっているので、このブログでも33でいかせてもらいたいと思う)

クリックすると飛びます。
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国内オンラインショップの紹介文には

このほど発表となった本スペシャル企画は、1939年ブルーノート創設から数えて75周年となる2014年にあわせ、ブルーノートカタログから選び抜かれた最上級の12タイトルが通年でリリースされるというもの。

リマスタリングには現在のトップエンジニアのひとり、"ケヴィン・グレイ"を起用。規格は”33回転 180g LP (Disc1枚)” を採用しています。

またジャケットは、奇跡的に独占使用許可を取得することができたフランシス・ウルフ撮影のオリジナルネガによる秘蔵セッション写真の数々を、見開きに高解像度でたっぷりとあしらった豪華なダブル・ジャケットを採用。カバーイメージも含め圧巻の美麗さを誇るジャケットを楽しめるのは”MUSIC MATTERS”シリーズだけです。前企画同様音だけでなく、パッケージ全体を芸術作品のように細部まで妥協なく作りこむクラフトマンシップは今シリーズでも健在です。


とある。

さて、みなさん「ブルーノートカタログから選び抜かれた最上級の12タイトル」って、みなさんだったら何を選びますか?

ちなみに昨年日本で企画されたブルーノート総選挙の上位12枚を見ると、
(どうでもいいけど、なんで「総選挙」なの?
 時代に媚びるなよ。
 アルフレッド・ライオンがレーベルをつくったとき時代に媚びたか?
 いやんなるよなぁ…)

1 ブルー・トレイン / ジョン・コルトレーン
2 サムシン・エルス / キャノンボール・アダレイ
3 クール・ストラッティン / ソニー・クラーク
4 処女航海 / ハービー・ハンコック
5 モーニン / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
6 バードランドの夜 Vol.1 / アート・ブレイキー
7 ヴィレッジ・ヴァンガードの夜 / ソニー・ロリンズ
8 マイルス・デイヴィス・オールスターズ Vol.1
9 キャンディ / リー・モーガン
10 チュニジアの夜 / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
11 ザ・サイドワインダー / リー・モーガン
12 ミッドナイト・ブルー / ケニー・バレル

とまあ、おなじみの顔ぶれになる。
ただしここにはアート・ブレイキーが3枚、リー・モーガンも2枚入っているから、『モーニン』と『サイドワインダー』に代表させると、次の3作品は

13 アウト・トゥ・ランチ / エリック・ドルフィー
14 ソウル・ステーション / ハンク・モブレー
16 ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.1

となる。
これに対してMM社の12枚は

Cannonball Adderley - Somethin' Else
Art Blakey - Moanin'
Tina Brooks - True Blue
Kenny Burrell - Midnight Blue
Sonny Clark - Cool Struttin'
John Coltrane - Blue Train
Kenny Drew - Undercurrent
Dexter Gordon - Go!
Grant Green - Idle Moments
Joe Henderson - Page One
Hank Mobley - Soul Station
Lee Morgan - The Sidewinder

となっている。
ほぼ半数の7枚が重なっているわけだが、意外だったのはグラント・グリーンとティナ・ブルックス。
日本ではどちらもやっと50位で、最上級の12枚に選ばれる感じではない。
しかもグリーンのタイトル曲は思いっきり昭和歌謡的なマイナー・ソング、ティナのオリジナルもこれまたほとんどがマイナーな曲調で、これってアメリカ人の琴線を震わすのだろうか…(笑。

あと、『クール・ストラッティン』も。
我々の世代でいうと、ソニー・クラークが人気があるのは日本だけで、くだんのアルバムも『ダウン・ビート』誌の採点では2つ星半だった(点数だけはちょっとうろ覚えw)、などという話をそれこそ耳タコになるぐらい聞かされたものだ。
MM社の45回転シリーズには、クラークのリーダー・アルバムがすべて入っているし、なーんだアメリカでもけっこう人気あるじゃん。
それとも日本での評価がアメリカに伝わった?

ではリリース済みの6枚をご覧いただこう。
まず2月の2枚。

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(この『BLUE TRAIN』だけモノ)

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そして3月の2枚。

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それ以降は隔月で5月の2枚。

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価格は45回転2枚組シリーズが$49.95なのに対して、33回転シリーズは1枚ものということで$34.95と抑えられているが、高画質なオリジナル・プリントを使ったダブル・ジャケットと内側の未発表写真の美しさは相変わらずだ。

たとえば『TRUE BLUE』の内側。

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ティナとフレディ・ハバード、それにアート・テイラーだ。
A.テイラーが荒木経惟みたいに見えるのはご愛嬌だが、当時のジャズマンはみんなかっこいいねえ。

ステッカーは45回転シリーズとよく似ているが微妙に違う。

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こちらが45回転。
2行目の表記は「THE DEFINITIVE 45 RPM REISSUE SERIES」となっていて、マスタリングをしたAcous Tech MASTERING社のKevin GrayとSteve Hoffmanの名が明記されている。

それに対して33回転シリーズのほうは、

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2行目が「THE DEFINITIVE VINYL REISSUE SERIES」になり、マスタリング・エンジニアの名は明記されていない。
その代り、誇らしげに「RECORDINGS FROM THE ORIGINAL MASTER TAPES」の表記がある。

45回転と33回転、どちらも2500セット限定なので、BLUE NOTEマークの、本来ならSTEREOとあるところにLIMITED EDITION、レコード番号のところに2500とあるのがシャレている。

それでは音のインプレッションを。
この33回転シリーズ、いままで出た6タイトルはすべてが高音質でおススメである。
Disc Unionの『プレミアム復刻シリーズ』で出た『TRUE BLUE』がイマイチ感心しなかったので、33回転シリーズも買ってみたが、これが大正解。
いまスタジオにいて、目の前でティナやフレディがプレイしているように感じられるのだ。
まさに"you listen, you look, you're there"である。

ただ、ジャケの色味とかはどうなんだろう。

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こうやって比べてみるとずいぶん違うけれど、レーベルの復刻なんかもまったくこだわってないから、ジャケットの質感の再現という点ではやはりDUのほうがオリジナルに近いのかもしれない。

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ただ、『BLUE TRAIN』がAnalogue Productionの45回転2枚組を超える高音質というのが海外の評価らしいが、ぼくの耳にはそうは感じられなかった。

こちらがAP45回転盤。
ステッカーにはケヴィン・グレイとスティーヴ・ホフマンのサインがある。

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片方はモノラル、片方はステレオなので、公平を期すためにPD-171+SPU Spiritで聴き比べてみると、ソロ・パートは甲乙つけがたいが、アンサンプル・パートになると、45回転のほうが鮮度が高い感じがした。
こちらもAcous Tech社のKevin GrayとSteve Hoffmanのリマスタリングなので、よほどのことがない限り(たとえばテープ・レコーダーやカッティング・マシーンの改良など)、45回転を超えることはできないのではないかと思う。

いずれにしてもこのシリーズ、満足度は極めて高いので、AP社とMM社の45回転2枚組シリーズでもっている『PAGE ONE』と『COOL STRUTTIN』以外は買うつもりだ。

ちなみに購入は以前ご紹介したOld and New Shopがおススメ。

ぼくは最近ちょっと不義理をしている天神のショップがあって、罪滅ぼしのつもりで買っているが、だいたいどこで購入しても1枚5,400円ぐらいだと思う。
Old and New Shopなら4,980円だ。

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yasu

遼さんこんにちは。

文章から、アナログ再生への情熱が伝わってきました。

アナログは、今日はツェッペリンのⅡのRL盤を久しぶりに聞いてみました。(探検隊さんの検証に触発されました。)残念ながらPR盤ではなかったのですが楽しめる音でした。

私もBLUE NOTEでは、Blue Trainは好きな1枚です。1. Blue Trainが好きですが、5. Lazy Birdもモーガンのペットがいいし好きな曲です。

EAST!/PAT MARTINOのLazy Birdもなかなか良い演奏で気に入っています。

http://www.youtube.com/watch?v=t6OhgQRNnGk&feature=player_embedded
by yasu (2014-06-09 18:56) 

parlophone

yasuさん、こんにちはー。

>アナログは、今日はツェッペリンのⅡのRL盤を久しぶりに聞いてみました
>(探検隊さんの検証に触発されました。)

おお、いいですねー。
ぼくがゼップのオリジナルを集めようと思っていたころは、まだUK盤信仰が篤くて、US盤は人気がなかったのですが、なかなかUK盤のコンディションのいいものが見つからないうちに、紙探さんのUS盤検証を読んで、「へえ~」と思っていたら、今度はUS盤もどんどん値段が上がっていって、けっきょくオリジナルはあきらめてしまいました(笑。
けっきょく12、3年前に買ったUK盤のⅢと『聖なる館』をもってるだけですね…。

>5. Lazy Birdもモーガンのペットがいいし好きな曲です

(ジャズ喫茶に通っていたころの癖で、相変わらず片面しか聴かないので)ついついA面を聴いてしまいますが、『BLUE TRAIN』はB面も名曲・名演ですね。

PAT MARTINO、いままで素通りしてきたギタリストでしたが、なかなかいいですね。
ありがとうございました。

by parlophone (2014-06-10 16:56) 

やまちゃん

>さて、みなさん「ブルーノートカタログから選び抜かれた最上級の12タイトル」って、みなさんだったら何を選びますか?

私が現在持ってるのはBlue Train一枚ですが
気になるのはsomething elseとcool struttinとmoaninかな
正直いろいろ買いたいのがあって、ジャズから離れてるのでこれらから試聴してみようかなあ

zeppelinといえば1,2,3の2014リマスターが日本や英国でも売れてますなあ。私は金がないので控えます(笑)
by やまちゃん (2014-06-10 19:27) 

parlophone

やまちゃんさん、こんにちは~。

>気になるのはsomething elseとcool struttinとmoaninかな

どれも名盤として評価の高いものですから、買って損はないと思います。
『cool struttin』は45回転の音もすごくよかったから期待がもてますね。

>zeppelinといえば1,2,3の2014リマスターが日本や英国でも売れてますなあ

そうなんですよ。
とりあえず『Ⅰ』のアナログ盤がきのう届きました。
音は…スゴイです^^
by parlophone (2014-06-11 17:33) 

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