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ぼくがアナログにこだわるわけ― Days of analogue music 2 [AUDIO & VIDEO]

『ゲッツ・ジルベルト』のレコーディング・エンジニアとして、またポール・サイモンやビリー・ジョエルのプロデューサーとしても名高いフィル・ラモーンは生前、
「デジタル・ミュージックに欠けているのは空気感(air)だ」
というような意味のことを言っていたそうだ。

恥を忍んで打ち明けると、残念ながらぼくにはそこまでの耳がないようで、CDとアナログ盤を聴き比べて「ああ、空気感が違うな」と感じたことはない。

ただ同じ音源をCDとアナログ盤で聴き比べてみると、どうしても気になってしまう部分がある。
それは概してCDのほうが音が平板に聴こえてしまうということなのだ(個人的な感想です…笑)。

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ご承知かもしれないが、ほんとうにCDの音はよくないのか、そのことを確かめたくてぼくは、一般的な感覚からいえばかなり高価なCDプレイヤーも買ってみた。
HDCDやXRCD、SHM-CDといったCDの音を向上させるための新しいテクノロジーや、リマスタリング技術の向上などによって、いい音だなあと感じるCDも増えてきた。
そもそも"いい音・わるい音"というのは好みの問題なので、アナログ盤(LP)の音よりもCDの音のほうが好きだ、という方も多いと思う。

ただ、自宅のオーディオ・システムで聴くかぎり、アナログ盤には感じられるのにCDでは感じられないものが厳然とある。(いや、あるような気がします…笑)
それはたとえばピアノのハンマーが弦を叩くときのアタックを伴ったリアルな響きであり、ヴァイオリンの倍音感を含んだ繊細な美しさであり、サックスのリードの震えが見えるようなブリリアントな咆哮であり、ウッドベース(コントラバス)の唸るような低域なのだ。

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        PD-441のシステムはほぼモノーラル専用になっている

もちろんぼくはデジタル・ミュージック全般を否定しているわけではない。
SACDやDVD-Audio、そして最近リリースが増えてきたBlu-ray Audioなどのなかには、すばらしい音を聴かせてくれるものもあるし、たとえばマルチ・チャンネルで聴くビートルズの『LOVE』の楽しさは、一度ハマってしまうとクセになりそうなほど魅力的だ。

けれど、もし目の前に同じ音源のCD、SACD、Blu-ray Audio、LPがあったら、迷わずぼくはLPをチョイスする。
そしてジャケットを眺めたり、裏のライナーを読んだりしながら、いろいろなカートリッジで聴いてみるだろう。
もちろんノイズだらけでがっかりすることも多いかもしれないけれど…。


ちなみに現在のうちのオーディオ・システムは以下のようなものだ(メイン・サイトで紹介しているMY ROOM FOR MUSIC & MOVIESのシステムと画像は、およそ10年ほど前のものなので、入れ替わったものがけっこうあります)

アナログ・プレイヤー LUXMAN PD-171 + Ortofon SPU-Spirit (stereo)
             LUXMAN PD-441 + MICRO MA-505S + DENON DL-102 (mono)
デジタル・プレイヤー Accuphase DP-78 for CD, SACD(2ch)
             YAMAHA DVD-S2700 for DVD-Audio, SACD(multi)
ブルーレイ・レコーダ SONY BDZ-AX1000
オーディオ・アンプ  Accuphase C-280 + P-370
AVアンプ       DENON AVC-3808A(Upgraded)
フロント・スピーカー JBL-S3500
リア・スピーカー   YAMAHA NS-1000M

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tetsupc2

遼さんこんにちは!
随分とシステム変わりましたね~
しかも全て高級機!!羨まし~い!!!
確かにアナログ盤とCD盤どちらが音がいい?
と聞かれたら私はそれはナンセンスな質問と思います。
音の良さは人それぞれですし私の友人なんかはアナログ盤聴かせても
プチノイズが出るし非常に不愉快な音だーなんてほざく野郎もいますし
ノイズレスだけで考えたら絶対CDに軍配は上がるに決まっている。

実は私もそう思います、、、SACDなんかで聴いたらこれはもう太刀打ちできないのでは・・・と思うのですがそれがそうとも言えないのがアナログ盤の世界でだからコレクターの方(日本盤帯コレクターなど一部違う方もいますが・・・)高価なお金出してまでもオリジナル盤を買い求めるのですよね~これが底なしの世界なのですが・・・

私のショボイオーディオでさえもオリジナル盤で聴いた時の音の出方、おなかの底から響く音、目の前で演奏しているかのような生ナマしい音などCDでは味わえない「何か」がアナログ盤にはあるのですね~
これはちゃんとしたオーディオで聴いて味わないと分かりませんね・・・
でも、普通の方はCDで十分に満足なのでしょうね、、、

by tetsupc2 (2014-01-13 17:36) 

路傍の石

音楽をオーディオで楽しむには今が一番恵まれていて楽しいと、そんな風に思います。デジタルのハイレゾの技術を安価に楽しめるようになったのが大きいのと、アナログでは中古盤で安いものから高いものまで何でも手に入れやすくなったことがあります。ただし、それは日ごろiTunesオンリーで圧縮音源だけを手軽に楽しむ向きには実感できないことかもしれません。供給側(メーカー)のお膳立てに頼らずに、能動的にいろいろと試すことが楽しいと思える人の特権かもしれません。

アナログの楽しみは、最高に素晴らしい音が出たときの喜びの大きさでしょうか。カートリッジの調整などデリケートな部分が音を大きく左右することと、レコードにも良し悪しの差が大きいので、そのふたつの要素がバッチリ合ったときは天に昇るような気持ちになります。音場の透明感と奥行きが拙の感じるアナログの魅力です。それと温度感といったらいいでしょうか、クールとホットの狭間を揺れるような微妙な質感はCDではなかなか味わえません。そんなところにもアナログの奥深さを感じます。

いい音が知ると音楽の感動が際限なく深まって行く。最近富にそんなことを思うようになりました。
by 路傍の石 (2014-01-13 20:42) 

parlophone

tetsupc2さん、どうもです。

>随分とシステム変わりましたね~

そうなんですよ。
アナログ関連はそうでもないんですが、
デジタルはやはりどんどん変わりますね。
デノンの3808Aも、すでに時代遅れで、USB端子はあっても
ハイレゾには対応していないんですよね。

>プチノイズが出るし非常に不愉快な音だーなんて

たしかにそうですよね。
あれが気になりだしたら音楽どころじゃありませんから、
そういう意味ではCDがいちばん。
メンテもほとんどいりませんしね。

>オリジナル盤で聴いた時の音の出方、おなかの底から響く音、
>目の前で演奏しているかのような生ナマしい音など

tetsuさんは貴重なオリジナル盤をたくさんお持ちですから、
そういう体験がたくさんおありでしょうね。

いずれにしてもアナログ、デジタルにこだわらずいい音を
求めていく、っていうのがこれからなのかなーと思います。

by parlophone (2014-01-14 00:36) 

parlophone

路傍さん、こんばんはー。

>音楽をオーディオで楽しむには今が一番恵まれていて楽しいと、そんな風に思います

たしかにそうですね。
ハイレゾはネットで簡単に手に入るし、アナログ盤も欧米を中心に
高音質のリイシューがさかんなので、
オリジナルにこだわらなければデジアナどちらも充実していると
思います。

>音場の透明感と奥行きが拙の感じるアナログの魅力です
>それと温度感といったらいいでしょうか、
>クールとホットの狭間を揺れるような微妙な質感

なるほど、路傍さんはフィル・ラモーンに劣らない聴覚の持ち主
でいらっしゃるのかもしれませんね。

ぼくはそこまではわかりませんが、とくにJAZZのゾクゾクするような
質感は、なかなかCDでは太刀打ちできないと思いますね。
by parlophone (2014-01-14 00:45) 

pink island

 遼さん、お久しぶりです。

素晴らしいオーディオですね、うらやましいです。私はハードよりソフトに目がいってしまうため、オーディオは昔のをずーっと使っています。そんな中、SACDやブルーレイディスクなど新しいソフトがぞくぞく出てきて、オーこれは凄いなあというものも出てきてますね。そっちも買いつつ、レコードが好きな私は、安いレコードも喜々として買っています。

どっちにしろ、音のいいCDやレコードを再生している時が大好きです。
by pink island (2014-01-15 02:46) 

Dr.T

 遼さん、こんばんは。今回も興味深い問題提起をしてくださいましたね。私はデジタル関連に関してはソフトもハードも一流のものを揃えていないものですから、偉そうにものを言えるとはさらさら思っていないのですが、とどのつまり、いい音であればなんでもいい訳ですよね。とは言ってもいい音の定義は人それぞれであり、また万人が究極のソフト&ハードを持てる訳でもないので問題はなかなか根深いと思います。結局、自身の音楽再生環境でいかに満足のいく音を出すかが肝心なのでしょう。個人的には完全にアナログ、特にレコード派でして、最近のソースはともかく、レコード中心の時代の音源はレコードで聴くべしと思っております。遼さんのサイトを見ている皆さんは、個々にこれぞと思うアナログソースをお持ちだと思いますが、私の場合、King CrimsonのEpitaphがその他のソースとの比較において最も重要な曲になっております。特に中盤の最も盛り上がるところ(Robertのギターアルペジオの直前、といったら分かりますよね)の空気感といったら!レコード(もちろんUK初期盤です、最初期盤は買えません)以上に感動を得られるソースは他に出会っておりません。聴く度に心がえぐり取られるような感動が全身を覆います。私は殆どロックミュージックを聴いておりますが、他のソースでアナログならではの感動を得られたものは、Boz Scaggsのrido shuffleという曲の後半のDavid Paichが奏でるキーボードの三連符フレーズで音がどんどん重なってくるところや、hard rockではwhitesnakeのslow & easyという曲の後半で手拍子のみのバッキングに合わせてDavidがサビのフレーズを熱唱するところなどで、いずれもCDでは得られなかった奥行きというか空気感を得られましたよ。Billy Joelで言えば、52nd streetのUK盤ではは全体的に立体感ある音像で、素直に音がいい!って思いましたね。と、勝手にダラダラと個人的な感想を書き連ねてしまいましたが、興味がありましたら是非上記のソースをレコードで聴いてみてくださいね。長文失礼しました。では。
by Dr.T (2014-01-15 23:12) 

syozo

はじめまして。とても頷くことの多い記事でした。オリジナル盤という言葉が現れたのはいつごろからでしょう。国内盤と輸入盤を聞き比べるなど昔は思いもしませんでした。ただ国内盤が出てないので輸入盤を買ったことはあります。そのときに輸入盤のほうが音がいいなと思ったことはあります。
by syozo (2014-01-16 21:19) 

parlophone

pink islandさん、こんばんは。

>私はハードよりソフトに目がいってしまうため

わかります!
pinkさんはいつもスゴイお宝をさりげなく発掘されますよね。
うらやましい限りです。
逆にいうと、ぼくのばあい、そういうオリジナル盤に巡り合うチャンスが
なかなかないから、ついついハードに走っちゃうのかも^^;

>どっちにしろ、音のいいCDやレコードを再生している時が大好きです

これにつきますよね!
by parlophone (2014-01-17 20:00) 

parlophone

Dr.Tさん、お久しぶりです。

>とどのつまり、いい音であればなんでもいい訳ですよね

そういうことですよね。
CDのほうがアナログよりいい音であれば、わざわざ大きくて重たくて場所をとって
ノイズが入り易くて静電気が起こり易くて反りやすいアナログなんてだれも聴かないですよね。

>レコード中心の時代の音源はレコードで聴くべしと思っております

わかります。すごく納得します^^

でも、ぼくは残念ながらクリムゾンもボズ・スキャッグスもホワイト・スネイクもビリー・ジョエルも
CDしかもっていないので、ここで熱く盛り上がれないのが残念です。
でもクリムゾンなんて、オリジナルを手に入れることを考えたことがないなあ(笑。
最初期盤でなくても、状態のいいやつはびっくりするほどの値段じゃないですか?

Dr.Tさんがおっしゃられている「中盤の最も盛り上がるところ(Robertのギターアルペジオの直前」
はCDでもけっこうドラマチックですが、近年はDVD-Audioが出ているので、もっぱらそれで
楽しんでいます。

『52nd』のUK盤なら、なんとか手に入れられるかもしれませんね。
今度ちょっと探してみます^^
by parlophone (2014-01-17 20:19) 

parlophone

syozoさん、はじめまして。
ようこそいらっしゃいました。
1年ぶりに再開したブログで、あまり頻繁には更新できないかもしれませんが
よろしくお願いします。

>オリジナル盤という言葉が現れたのはいつごろからでしょう

たしかにいつごろからなんでしょうね。
ぼくも「国内盤」と「輸入盤」という区別しか知りませんでしたね(笑。

ただ『キャンノンボール・アダレイ・イン・シカゴ』(Mercury)の国内盤が
すごく寝ぼけたような音で、そのあと出た直輸入盤(リイシュー盤)はそれにくらべると
はるかにいい音だったのに、ジャケットがオリジナルのイラストではなく、
大砲(キャノンボール)と列車(トレーン)だったのにガックリきた思い出はありますね(爆。
by parlophone (2014-01-17 20:32) 

SYOZO

キャンノンボール・アダレイ 名前は知っていましたが初めて聴きました、
凄い人だったんですね。ジャズはずっと疎遠のままでマイルスくらいは聴いておかないとと思いながら30年経ちました。ありがとうございました、
by SYOZO (2014-01-18 17:14) 

parlophone

SYOZOさん、こんばんは。

キャノンボール・アダレイは弟のナット・アダレイと組んだファンキーな演奏が人気がありますが、ぼくはマイルスのセクステットに在籍していたときがいちばん好きですね。

それより少し前になりますがやはりマイルスと組んだ『サムシン・エルス』は、ブルー・ノートの名盤のなかでも1、2を争う人気盤です。
by parlophone (2014-01-18 21:19) 

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