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ボブ・ディランのアルバム―― part 1 [紙ジャケ]

ディランの紙ジャケ・シリーズ(第何弾になるんだろう、第4弾?)が5月27日にリリースされた。
かなりの数の紙ジャケが出てるわけだが、このブログではあまりきちんと取り上げてこなかったので、ここらでぼくがもっている12枚をざっとまとめて紹介しておきたい。

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01 『ボブ・ディラン』(1962)

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1962年2月にUS コロンビアよりリリースされた記念すべきファースト・アルバム。
エルヴィスのレコード・デビューより8年遅く、ビートルズより8か月早い。
グリニッジ・ヴィレッジのコーヒー・ショップあたりで歌っていたディランをスタジオに連れてきたのはカーネギー・ホールのジャズ・コンサートで有名なジョン・ハモンドだ。
ディランはまだ20歳になったばかりだった。
収録された13曲のうち、ディランのオリジナルはわずかに2曲で、ほかはブルーズやトラディショナル・ソングのカヴァー。
有名なところではブラインド・ウィリー・ジョンソンの「死にかけて」(のちにゼッペリンがカヴァー)やアニマルズのカヴァーで大ヒットする「朝日の当たる家」などが含まれている。
基本的には初期の友部正人あたりがコピーしていたトーキング・ブルーズ・スタイルのものが多く、全曲にわたってディランのアコースティック・ギターとハーモニカだけをバックに歌われるが、かなりハードなシャウトも聞かれるところが面白い。
オリジナルでは「ウディに捧げる歌」が要チェックだろう。

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紙ジャケは2005年9月のリリースで、05年デジタル・リマスター。
コーティングのない厚紙A 式のシングル・スリーヴで、レーベルは6アイズ・タイプをイメージしたものになっている。
カンパニー・スリーヴをミニチュアで復刻したものがついている。

02 『フリーホィーリン』(1963)

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およそ20世紀のポピュラー・ミュージックに興味・関心のある人なら、知らぬものない「風に吹かれて」を含む偉大なるセカンド・アルバム。
収録された13曲のうち11曲がディランのオリジナルで、現在もなお代表作とされる「戦争の親玉」「はげしい雨が降る」「くよくよするなよ」などを含んでいる。
ぼくが最初に聴いた「風に吹かれて」は、ラジオでよく流れていたピーター・ポール&マリーのカヴァー・ヴァージョンだったので、初めてディランのオリジナルを聴いたときには、そのしゃがれた声とぶっきらぼうな歌い方にびっくりしたものだ。
けれども今聴くと、ずいぶん丁寧に歌っているのがわかる(笑。
キューバ危機のなかで書かれたという「はげしい雨が降る」や、公民権運動とのかかわりの深い「オックスフォード・タウン」、けっして声高に語られることのない「戦争の親玉」、「第3次世界大戦を語るブルーズ」など、鳥肌が立つような傑作がつまったアルバムだ。
やはりバッキングはディランのアコースティック・ギターとハーモニカだけだが、1曲だけ、「コリーナ、コリーナ」にはギター、ベース、ドラムスのバックがついている。
全米アルバム・チャート22位。

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紙ジャケは2004年8月のリリースで、03年のデジタル・リマスターを使用している。
コーティングのない厚紙A 式のシングル・スリーヴで、レーベルは2アイズのオレンジ・レーベルをイメージしたものになっている。

03 『時代は変わる』(1964)

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「あちこちに散らばっている人たち、ペンで予言する作家や批評家、国会議員のみなさん、そして国中のお父さん、お母さん、時代は変わっているんですよ…」
あまりにも有名な「時代は変わる」を含むサード・アルバム。
このアルバムからプロデューサーがトム・ウィルスンに交代しているが、基本的な印象は前作と変わらない。
プロテスト・ソングを歌うディランの最後のアルバムで、個人的には「しがない歩兵」や「ハッティ・キャロルの寂しい死」などの黒人が殺害された事件テーマにした曲に惹かれるが、「スペイン革のブーツ」(この曲の歌詞は松本隆の「木綿のハンカチーフ」の元ネタだ)や「船が入ってくるとき」などのメロディアスな曲も、もちろんいい。
全10曲がディランのオリジナル(ただし既存曲のメロディーを借りたものもある)で、やはりディランのギターとハーモニカだけをバックに歌われている。
なお、バック・スリーヴには「11 OUTLINED EPITAPHS(11のあらましな墓碑銘)」と題された長編の詩が載せられており、そのつづきがインサートに印刷されている。
全米アルバム・チャート20位。

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紙ジャケは2005年9月のリリースで、05年デジタル・リマスター。
コーティングのない厚紙A 式のシングル・スリーヴで、表だけざらりとした手触りのテクスチャー・カヴァーになっている。
レーベルは2アイズのオレンジ・タイプで、インサートがミニチュアで復刻されている。

04 『アナザー・サイド・オヴ・ボブ・ディラン』(1964)

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プロテスト・ソングからラヴ・ソングへ転回を見せる64年リリースの問題作。
「オール・アイ・リアリー・ウォント」「マイ・バック・ペイジズ」「悲しきベイブ」などの代表作が含まれ、「スパニッシュ・ハーレム・インシデント」や「アイ・ドント・ビリーヴ・ユー」のように、アコギの弾き語りであってもあきらかにロックっぽい作品も聴くことができる。
美しいワルツ、「ラモーナに」も忘れがたい。
全11曲すべてがディランのオリジナルで、ディランのギターとハーモニカだけをバックに歌われるが、「黒いカラスのブルーズ」だけはピアノの弾き語りだ。
全米アルバム・チャート43位と、前の2枚に比べて振るわなかったのは、やはりプロテスト・ソングに背を向けてラヴ・ソングを歌うディランを受け入れることのできないファンが多かったのだろう。
バック・スリーヴには前作と同様「Some other kinds of songs(いくつかの別の歌)」と題された長い詩が印刷されている。

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紙ジャケは2004年8月のリリースで、03年のデジタル・リマスター。
コーティングのない厚紙A 式のシングル・スリーヴで、レーベルは2アイズのオレンジ・レーベル・タイプだ。
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tetsupc2

遼さんこんばんは!
おぉ12枚並べると壮観ですね~
実は私もディランのアナログ盤は数枚しか持っていませんが紙ジャケは揃えています・・・でも今回の3枚はまだ買っていないんですよね、、、サンディーの旧盤には無かった2枚もまだ買っていないし今月スモール・フェイセズの2枚も出るしカブトムシ貯金は一向に進まないしそしてこんな時に限り金欠だし・・・と最近紙ジャケから遠ざかっていますσ(*_*;
遼さん写真を拝見すると今回発売の3枚のうち2枚買われていますがどうですか?やっぱまだ店頭にある間に買っとこうかなぁ・・・(金欠だと弱気になります(┬_┬))
by tetsupc2 (2009-06-07 23:31) 

遮断機さん

今回のディランは『地下室』だけ買うつもりです~♪

それにしても親切な特集ですね!
ディラン初心者も遼さんのブログ見れば安心ですね。
by 遮断機さん (2009-06-08 00:25) 

MORE

紙ジャケ復刻したからと言ってファーストの裏焼き写真を元に戻したりはしていないようですね・・・(笑)
日本人でPPMより前にディランのオリジナルを聴いていた人って殆どいないでしょうね・・・
私でさえ最初に買ったのは「時代は変わる」(その当時のタイトルはBob Dylan Vol.4でしたが・・・)で、その頃のラジオから流れてくる洋楽とは全く異質な音楽だったので面食らいました。
必死になって歌詞カードを使い慣れない英和辞典片手にパズルを解くようにして歌に込められたメッセージを読み取ろうとしましたね。
英文法なんてまだ習っていなかったので(小学生・・・)、単語を並べて推測する、って稚拙な解釈ではありましたが・・・(苦笑)
というわけで、実はこの「時代は変わる」だけは紙ジャケを買ったのでした。
アナログは日本コロンビアのとUS盤モノを持っています。
これはやはりオリジナルのジャケットが迫力ある写真で好きです。
(日本盤は写真が全く違います。中味とはそぐわないデザイン・・・)

「セルフ・ポートレート」はリマスターしないつもりなんでしょうかね?

by MORE (2009-06-08 01:19) 

chitlin

ええ、ホントに初心者には参考になります!
1年前にデビュー盤をエントリしたきりで遠ざかっていましたし、今回は私も『地下室』くらいは買っておこうと思います。
Part 2、3と楽しみさせていただきますね。

by chitlin (2009-06-08 01:25) 

parlophone

tetsupc2さん、こんばんはー。

>サンディーの旧盤には無かった2枚

そっかー、サンディー・デニーも出たんでしたね~。
『Who Knows Where The Time Goes?』はほしいなあ。
あと、ルネッサンスも出たしなあ…^^;

>今回発売の3枚のうち2枚買われています

今回は4枚だったと思いますよ。
『偉大なる復活』は悩んでるんですけどね~。
Sony の紙ジャケは安いだけに悩ましいですね(笑。
by parlophone (2009-06-08 23:12) 

parlophone

遮断機さん、こんばんは!

ありがとうございます。
ディランってきちんと取り上げたことがなかったので、自分自身の整理のためにも記事にしてみました。
遮断機さんの好きなアルバムとかも今度教えてください^^
by parlophone (2009-06-08 23:16) 

parlophone

MOREさん、こんばんは!

>ファーストの裏焼き写真を元に戻したりはしていないようですね

そうだ、ファーストのジャケ写は裏焼きだったんですね。
どっかで読んだ記憶があります。
確かにギターの弦を見ると、逆になってますね(笑。

>PPMより前にディランのオリジナルを聴いていた人

ごく一部の、ほんとうに当時のアメリカン・フォークの熱心なファンと、あとは評論家ぐらいでしょうね。
それにしても小学生でディランのアルバムを買って、英和辞典を引いて歌詞の意味を知ろうとしていた人なんてMOREさんぐらいしかいないでしょ?
あとはみうらじゅん?(笑
ぼくが小学校の5~6年というと、鼓笛隊で「鉄腕アトム」や「大脱走のマーチ」を吹いてたころですね。

>「セルフ・ポートレート」はリマスターしないつもりなんでしょうかね?

『セルフ・ポートレイト』は当時から賛否両論でしたね。
アメリカではけっこう売れたみたいですけど、日本じゃあまりいい評判は聞かなかったような気がします。
じつはぼくもラジオで紹介された数曲しか聴いたことがありません(爆。
by parlophone (2009-06-08 23:37) 

parlophone

chitlinさん、こんばんは~。

>Part 2、3と楽しみさせていただきますね

どうもありがとうございます。
『地下室』はバンドとのセッション・テープですが、ブツがブツだけにまとまりには欠けますよね~。
『偉大なる復活』、どうしようかなあ~(←しつこい!)
by parlophone (2009-06-08 23:44) 

MORE

>ぼくが小学校の5~6年というと、鼓笛隊で「鉄腕アトム」や
>「大脱走のマーチ」を吹いてたころですね。

なんと!私は小太鼓担当でした!
月曜日の朝礼とか運動会・入学式・卒業式・・・
さすがにディランの曲は演奏しませんでした。(笑)
by MORE (2009-06-09 08:15) 

遮断機さん

僕の好きなアルバムですかぁ~。
僕の専門は一応プログレなので、あまり詳しくはないですが、先ず『追憶のハイウェイ』はガチですね。
名盤どうこうというより、聴きやすかったのが印象深かったですね。
もちろん今も聴いてますよ♪

あとは後にバーズがカヴァーする「My Back Pages」(ディランのバースデーライブでやってましたね。ジョージ・ハリスンもいました。)、タートルズがカヴァーした名曲「It Ain't Me,Babe」収録の『Another Side Of Bob Dylan』。

『Bringing It All Back Home』は「Subterranean Homesick Blues」「Mr.Tambourine Man」「Maggie's Farm」「It's All Over Now,Baby Blue」など、僕の大好きな曲が沢山収録されているので、このアルバムも大好きです。

あとのアルバムは遼さんの特集に合わせてコメントさせてください。
by 遮断機さん (2009-06-09 19:12) 

parlophone

MOREさん、こんばんはー。

>なんと!私は小太鼓担当でした!

おお、これは奇遇ではないですか~^^
ぼくはみんながリコーダを吹いているなかで、二人だけ先生から命じられて横笛(フルートのようなタンポのない、ほんとにたて笛を横にしたようなやつなんだけど、直接笛を咥えないでフルートみたいに息を吹き込むので音色が違う)を吹いてるのが得意で(笑)、毎日みんなで音楽演奏しながら学校から帰ってましたよ^^;

もちろんディランなんて知りませんでした(笑。
by parlophone (2009-06-09 20:39) 

parlophone

遮断機さん、どうもです。

>あとのアルバムは遼さんの特集に合わせてコメントさせてください

あ、そうかあ。
どもども失礼しました~。

でも『HIGHWAY 61~』『ANOTHER SIDE~』『BRING IT~』、やっぱりいいですよね~。
コメントよろしくお願いします^^
by parlophone (2009-06-09 20:42) 

DEBDYLAN

こんにちは〜♪

ディランの紙ジャケは僕もだいたい揃えてます。
今回リリースのはまだ買ってないんですが。。。^^;

新譜は買いました。
なかなか良かったですよ〜!!
ただいまヘヴィロテ中です。

僕はどの時代のディランも好きなんで、
全作品紙ジャケCD化してほしいです。

弾き語り時代のディラン。
フラット・ピックでのストロークがカッコイイです。
あのリズム感は既に”ROCK”を感じさせてくれます。

by DEBDYLAN (2009-06-18 14:05) 

parlophone

DEBDYLANさん、こんばんは!
いつもnice!&comment ありがとうございます。

>ディランの紙ジャケは僕もだいたい揃えてます

ですよねー。
ぼくはSACDとのハイブリッドも何枚かもっているので、『追憶の~』や『ブロンド~』はCDが3セットずつあります(笑。
今回の紙ジャケはまだ店頭にもあるようですね。
最近のSonyの紙ジャケはあっという間に店頭から姿を消すもの(例:カンザス、AC/DC)といつまでも残っているやつ(例:クラッシュ)の差がけっこう激しいですね。

>新譜は買いました。
>なかなか良かったですよ〜!!

ぼくも聴きたいんですが、3種類も出てるのでどれを買うか、ちょっと迷ってしまってます。
ま、0909があるので、CD2枚組+DVDはちょっとムリですが(笑。

>フラット・ピックでのストロークがカッコイイです
>あのリズム感は既に”ROCK”を感じさせてくれます

なるほど~、そうですか!
さすがミュージシャンのDEBさんらしいご意見ですね。
ぼくは先入観で「フォーク」って思ってました。
また聴き直してみます(爆。
by parlophone (2009-06-18 23:19) 

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