22年前、人々はビートルズのCD をどう聴いたか―― part 1 [BEATLES]
さあ、ビートルズのリマスター盤CD のリリースまであと3か月となった。
今までのCD は出荷停止となって、現行CD じゃなくて旧盤になっちまった(笑。
ところで、今から22年前…。
ソニーとオランダ・フィリップスの共同開発によるコンパクト・ディスクという新しいメディアが登場してから5年後の1987年、満を持したようにビートルズのCD がリリースされた。
(当時の雑誌に載せられた第1回発売分の広告―『ミュージック・マガジン』)
それ以前に東芝EMI(当時)がフライングぎみに『アビイ・ロード』のCD をリリースして回収させられた…なんてこともあったけど(笑。
最新の光ディスクというメディアに収録されたビートルズの楽曲を当時の人々はどんなふうに聴いたのだろうか。
リスナーの代表として評論家やミュージシャンがビートルズのCD をどう受けとめたか、『ミュージック・マガジン』の1987年4月号から12月号まで、5回に分けて連載された記事を拾い読みしながら振り返ってみよう(なお、表記はすべて原文のママ)。
まず今回は4月号に掲載された『プリーズ・プリーズ・ミー』から『ビートルズ・フォー・セール』まで。
当時の『ミュージック・マガジン』には、最後のページから始まる「CD MAGAZINE」というページがあった。
従来のレコード(アナログ盤)を紹介する「アルバム・ピックアップ」や「輸入盤紹介」のページに対して始まった企画なんだろう。
4月号からの連載は「CD MAGAZINE 増刊号 徹底連載 ビートルズをCDで聞く」と題されている。
まず最初に全体の序文的な感じで小倉エージが書いている。
ビートルズを聞いて、音楽、それもロックに目覚め、そしてまた彼らと共に成長してきた僕にとって、彼らのオリジナル作のCD化ほど楽しみにしていたものはない。もっともCDそのものに対する接し方がしごくあたり前なものではなく、いまだ新しい音の発見に余念のない画期的な媒体として受け止めることが多いだけに、たとえば彼らがスタジオ・ワークの粋を集めた『ラバー・ソウル』以後のものはさておき、モノラルによる初期のものについて、特に最初の2枚『プリーズ・プリーズ・ミー』『ウィズ・ザ・ビートルズ』がイギリス制作のまま発売されたのには、対処のし方が正直いってわからなかった。
あまり長く引用すると著作権を侵害しそうなのでこの辺りでやめておくが、ぼくには小倉エージがなにを言いたいのか、よくわからない。
ビートルズの作品については、CD 化されるまで「世界統一規格」というような概念が乏しく、それぞれの国でそれぞれの文化や経済の事情に合わせたリリースがされてきたわけだから、CD についても各国独自のリリースの仕方があってもよい、と考えていたのだろう。
だから『PPM』と『ウィズ』はステレオでリリースしてほしかったと言ってるのだろうか。
その理由が、CD を「新しい音の発見に余念のない(僕にとっては)画期的な媒体」と受け止めることが多いから…?
あまりにも個人的だなあ(笑。
それにしても「対処のし方が…わからなかった」というのは大げさじゃない?
肝心なCD の音についてはこう言っている。
最も印象深いのはヴォーカルのリアルさだ。わけてもジョンがR&Bのカヴァー曲を歌う時のナマナマしい迫力と、さらには色っぽさは、アナログ盤では味わえなかったものである。
「何を言ってんだ? こいつは!」
と思った方もいらっしゃるでしょう。
まあまあ抑えて抑えて(笑。
一般的に音楽評論家と呼ばれる人たちはあまり再生装置にお金をかけていないことが多い。
自分たちは音を聴くんじゃなくて音楽を聴いてるんだという矜持なのかもしれないけれど(笑。
小倉さんの言う「アナログ盤」というのも案外「旗帯」あたりを指しているのかもしれない。
ではここからが各論。
それぞれの評者がCD やアナログ盤の音質に言及している部分のみ取り上げる。
まずは『プリーズ・プリーズ・ミー』、評者は大鷹俊一だ。
③アンナ
ステレオ盤ではクロス・トークが気になる曲の一つだが、このディスクではそんなこともなくジョンの直線的で力強いヴォーカルが迫ってくる。
⑩ベイビー・イッツ・ユー
間奏のマーティンによるヴァイブは、ステレオ盤のようには明瞭に聞こえない。
と、各楽曲でのCD へのコメントは少なめだが、最後に
全体としてCDらしく細かい音が明瞭になっていて、まだまだ素朴だった当時の録音機材を考えるとナマナマしい音でディスク化されたのが印象的だった
と結んでいる。
つづいて『ウィズ・ザ・ビートルズ』、評者は松本常男。
この人は幻の名著『ビートルズ海賊盤辞典』の筆者として有名だが、CD の音質に関するコメントはほとんどない。
③オール・マイ・ラヴィング
(ポールのヴォーカル、ジョンのリズム・ギター、ジョージのギター・ソロについて述べた最後に)
CDではなおさら冴える。
⑨ホールド・ミー・タイト
ギターとベースのユニゾン、ドラムと手拍子の同調がとてもワイルド。でも、CDではチョッとモコモコしていて聞きづらい。おススメ盤はモービル・フィデリティ盤だ。
パッケージについては「CDになってジャケットがキタナイのが許せない」と述べている。
3枚めの『ア・ハード・デイズ・ナイト』。
評者は高橋直樹だが、CD という断り書きがあるのは
①ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!
CDのサウンドは中高音域の音を良くしており、ジョージの12弦ギターの音が歯切れよく刻まれ、ジョンとポールのヴォーカルも若干オン・ミックスになっている。
③恋におちたら
このCDではステレオ・ヴァージョンをモノラル・ミックスにしているため、コーラスと、ベースとドラムスの分離度が良くなっている。
の2か所だけである。
しかしこの書き方を見ると、まるでCD のために新たなミックスがなされたかのようにも読める。
(ちなみに③の「ステレオ・ヴァージョンをモノラル・ミックスに云々」については翌5月号の「お詫びと訂正」欄で「オリジナル・モノ・ヴァージョン使用です」と訂正がなされている。)
それ以外の曲でも、たとえば⑥「テル・ミー・ホワイ」で
サウンドの方は、中・高音域の音が良い。ヴォーカルとコーラスがオン・ミックスで収録されている。
とか、⑬「アイル・ビー・バック」で
ヴォーカルの分離度も良くなっている。ガット・ギターとアコースティック・ギターも双方を良く聞き分けることが出来る。
とか書いているのは、CD の音質について評しているようにも読める。
最後は『ビートルズ・フォー・セール』、筆者はホッピー神山だ。
①ノー・リプライ
CDの方が、生ギターの高音に伸びがあるようだし、ボーカルのリバーブ成分もはっきり聴きとれる。
③ベイビーズ・イン・ブラック
後半部分の低音部のギターのチョーキングがなかなかカッコよいが、CDの方が幾分か鮮明に聴こえる。
④ロック・アンド・ロール・ミュージック
ピアノはポールとジョージ・マーチンの連弾だが、CDの方がミュージシャンの立場から聞くとそれがハッキリわかる。
⑦メドレー=カンサス・シティ~ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ
こういう曲はLP盤の方が雰囲気があるね。
⑧エイド・デイズ・ア・ウィーク
CDの方が、生ギター、シンバルのハイの伸びがよく聞こえる。
⑪エヴリー・リトル・シング
生ギター、ピアノ、ティンパニーといった生楽器はCDの方がよりいっそう臨場感が楽しめる。
⑬ホワット・ユー・アー・ドゥーイング
歌が入ってリミッターがかかっても、後ろのドラムの表情がはっきり分かるのがCDの恐いとこだ。
⑭みんないい娘
この曲でもCDの方が生ギターのストロークやボーカルのエコーがクリアであります。
さて、みなさんどうでしたか?
なんかCD、聴いてみたくなったでしょ^^
え? もうずいぶん前から聴きまくってる?
失礼いたしました(笑。
なお、この87年4月の『ミュージック・マガジン』、第2特集はKYONKYON のインタヴュー、さらにはとうようさんの「鄧麗君 淡淡幽情 前篇」という記事もある。
ぼくは昔も今も演歌にはまったく興味がないが、鄧麗君、つまりテレサ・テンの歌声には否応なく惹かれてしまうところがある。
この号、古本屋で見つけたら即ゲットですぞ!
今までのCD は出荷停止となって、現行CD じゃなくて旧盤になっちまった(笑。
ところで、今から22年前…。
ソニーとオランダ・フィリップスの共同開発によるコンパクト・ディスクという新しいメディアが登場してから5年後の1987年、満を持したようにビートルズのCD がリリースされた。
(当時の雑誌に載せられた第1回発売分の広告―『ミュージック・マガジン』)
それ以前に東芝EMI(当時)がフライングぎみに『アビイ・ロード』のCD をリリースして回収させられた…なんてこともあったけど(笑。
最新の光ディスクというメディアに収録されたビートルズの楽曲を当時の人々はどんなふうに聴いたのだろうか。
リスナーの代表として評論家やミュージシャンがビートルズのCD をどう受けとめたか、『ミュージック・マガジン』の1987年4月号から12月号まで、5回に分けて連載された記事を拾い読みしながら振り返ってみよう(なお、表記はすべて原文のママ)。
まず今回は4月号に掲載された『プリーズ・プリーズ・ミー』から『ビートルズ・フォー・セール』まで。
当時の『ミュージック・マガジン』には、最後のページから始まる「CD MAGAZINE」というページがあった。
従来のレコード(アナログ盤)を紹介する「アルバム・ピックアップ」や「輸入盤紹介」のページに対して始まった企画なんだろう。
4月号からの連載は「CD MAGAZINE 増刊号 徹底連載 ビートルズをCDで聞く」と題されている。
まず最初に全体の序文的な感じで小倉エージが書いている。
ビートルズを聞いて、音楽、それもロックに目覚め、そしてまた彼らと共に成長してきた僕にとって、彼らのオリジナル作のCD化ほど楽しみにしていたものはない。もっともCDそのものに対する接し方がしごくあたり前なものではなく、いまだ新しい音の発見に余念のない画期的な媒体として受け止めることが多いだけに、たとえば彼らがスタジオ・ワークの粋を集めた『ラバー・ソウル』以後のものはさておき、モノラルによる初期のものについて、特に最初の2枚『プリーズ・プリーズ・ミー』『ウィズ・ザ・ビートルズ』がイギリス制作のまま発売されたのには、対処のし方が正直いってわからなかった。
あまり長く引用すると著作権を侵害しそうなのでこの辺りでやめておくが、ぼくには小倉エージがなにを言いたいのか、よくわからない。
ビートルズの作品については、CD 化されるまで「世界統一規格」というような概念が乏しく、それぞれの国でそれぞれの文化や経済の事情に合わせたリリースがされてきたわけだから、CD についても各国独自のリリースの仕方があってもよい、と考えていたのだろう。
だから『PPM』と『ウィズ』はステレオでリリースしてほしかったと言ってるのだろうか。
その理由が、CD を「新しい音の発見に余念のない(僕にとっては)画期的な媒体」と受け止めることが多いから…?
あまりにも個人的だなあ(笑。
それにしても「対処のし方が…わからなかった」というのは大げさじゃない?
肝心なCD の音についてはこう言っている。
最も印象深いのはヴォーカルのリアルさだ。わけてもジョンがR&Bのカヴァー曲を歌う時のナマナマしい迫力と、さらには色っぽさは、アナログ盤では味わえなかったものである。
「何を言ってんだ? こいつは!」
と思った方もいらっしゃるでしょう。
まあまあ抑えて抑えて(笑。
一般的に音楽評論家と呼ばれる人たちはあまり再生装置にお金をかけていないことが多い。
自分たちは音を聴くんじゃなくて音楽を聴いてるんだという矜持なのかもしれないけれど(笑。
小倉さんの言う「アナログ盤」というのも案外「旗帯」あたりを指しているのかもしれない。
ではここからが各論。
それぞれの評者がCD やアナログ盤の音質に言及している部分のみ取り上げる。
まずは『プリーズ・プリーズ・ミー』、評者は大鷹俊一だ。
③アンナ
ステレオ盤ではクロス・トークが気になる曲の一つだが、このディスクではそんなこともなくジョンの直線的で力強いヴォーカルが迫ってくる。
⑩ベイビー・イッツ・ユー
間奏のマーティンによるヴァイブは、ステレオ盤のようには明瞭に聞こえない。
と、各楽曲でのCD へのコメントは少なめだが、最後に
全体としてCDらしく細かい音が明瞭になっていて、まだまだ素朴だった当時の録音機材を考えるとナマナマしい音でディスク化されたのが印象的だった
と結んでいる。
つづいて『ウィズ・ザ・ビートルズ』、評者は松本常男。
この人は幻の名著『ビートルズ海賊盤辞典』の筆者として有名だが、CD の音質に関するコメントはほとんどない。
③オール・マイ・ラヴィング
(ポールのヴォーカル、ジョンのリズム・ギター、ジョージのギター・ソロについて述べた最後に)
CDではなおさら冴える。
⑨ホールド・ミー・タイト
ギターとベースのユニゾン、ドラムと手拍子の同調がとてもワイルド。でも、CDではチョッとモコモコしていて聞きづらい。おススメ盤はモービル・フィデリティ盤だ。
パッケージについては「CDになってジャケットがキタナイのが許せない」と述べている。
3枚めの『ア・ハード・デイズ・ナイト』。
評者は高橋直樹だが、CD という断り書きがあるのは
①ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!
CDのサウンドは中高音域の音を良くしており、ジョージの12弦ギターの音が歯切れよく刻まれ、ジョンとポールのヴォーカルも若干オン・ミックスになっている。
③恋におちたら
このCDではステレオ・ヴァージョンをモノラル・ミックスにしているため、コーラスと、ベースとドラムスの分離度が良くなっている。
の2か所だけである。
しかしこの書き方を見ると、まるでCD のために新たなミックスがなされたかのようにも読める。
(ちなみに③の「ステレオ・ヴァージョンをモノラル・ミックスに云々」については翌5月号の「お詫びと訂正」欄で「オリジナル・モノ・ヴァージョン使用です」と訂正がなされている。)
それ以外の曲でも、たとえば⑥「テル・ミー・ホワイ」で
サウンドの方は、中・高音域の音が良い。ヴォーカルとコーラスがオン・ミックスで収録されている。
とか、⑬「アイル・ビー・バック」で
ヴォーカルの分離度も良くなっている。ガット・ギターとアコースティック・ギターも双方を良く聞き分けることが出来る。
とか書いているのは、CD の音質について評しているようにも読める。
最後は『ビートルズ・フォー・セール』、筆者はホッピー神山だ。
①ノー・リプライ
CDの方が、生ギターの高音に伸びがあるようだし、ボーカルのリバーブ成分もはっきり聴きとれる。
③ベイビーズ・イン・ブラック
後半部分の低音部のギターのチョーキングがなかなかカッコよいが、CDの方が幾分か鮮明に聴こえる。
④ロック・アンド・ロール・ミュージック
ピアノはポールとジョージ・マーチンの連弾だが、CDの方がミュージシャンの立場から聞くとそれがハッキリわかる。
⑦メドレー=カンサス・シティ~ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ
こういう曲はLP盤の方が雰囲気があるね。
⑧エイド・デイズ・ア・ウィーク
CDの方が、生ギター、シンバルのハイの伸びがよく聞こえる。
⑪エヴリー・リトル・シング
生ギター、ピアノ、ティンパニーといった生楽器はCDの方がよりいっそう臨場感が楽しめる。
⑬ホワット・ユー・アー・ドゥーイング
歌が入ってリミッターがかかっても、後ろのドラムの表情がはっきり分かるのがCDの恐いとこだ。
⑭みんないい娘
この曲でもCDの方が生ギターのストロークやボーカルのエコーがクリアであります。
さて、みなさんどうでしたか?
なんかCD、聴いてみたくなったでしょ^^
え? もうずいぶん前から聴きまくってる?
失礼いたしました(笑。
なお、この87年4月の『ミュージック・マガジン』、第2特集はKYONKYON のインタヴュー、さらにはとうようさんの「鄧麗君 淡淡幽情 前篇」という記事もある。
ぼくは昔も今も演歌にはまったく興味がないが、鄧麗君、つまりテレサ・テンの歌声には否応なく惹かれてしまうところがある。
この号、古本屋で見つけたら即ゲットですぞ!
遼さん、こんばんわ。懐かしく昔のミュージックマガジンを拝見しました^^
もう20年以上前になるのですね~
この時のビートルズのCDの論評は??だった記憶がありましたが
改めて確認できましたね(笑い)
僕はこの号は処分してしまいました。大失敗!
by tamachi (2009-06-09 23:42)
遼さん、どうもです。拙は当時ミュージック・マガジンは読んでなかったので、この記事を読むのは初めてです。
> 特に最初の2枚『プリーズ・プリーズ・ミー』『ウィズ・ザ・ビートルズ』がイギリス制作のまま発売されたのには、対処のし方が正直いってわからなかった。
小倉エージさんの記事ですが、この辺は小倉さんの世代特有の思い入れからくるものじゃないかと思います。日本盤の『MEET THE BEATLES』にさんざん慣れ親しんできた側からすると、世界統一規格という名目のもとに英国オリジナルを押し付けられたことに対して、憤懣やるかたないものがあったということじゃないですかね。裏を返せば、オリジナル盤の『PLEASE PLEASE ME』や『WITH THE BEATLES』には興味がないし、シングル曲の少ない地味なビートルズのアルバムはピンとこないってことじゃないですかね(笑)。
CDに対する音質評価は、当時は良くも悪くもデジタル臭いエッジが立ったシャキッとした音には誰もがカルチャー・ショックを受けていた時期だったこと、そこに音のなまった国内盤に耳が慣らされた人が多数派だったことと重なって、多くの人がビートルズのCDがとても素晴らしい音であると受け止めたんだと思います。しかもカートリッジだってよっぽどのオーディオファンでなければほとんどの人がナガオカのカートリッジで聴いていたそんな時代ですからね。そうそう、レコードは溝が減って勿体ないからと普段はカセットで聴いているそんな人も少なくなかったし、当時の音楽ファンの耳なんてそんな程度のものだったのかもしれません(笑)。
ひとつ言えることがあるとすれば、CDによってアナログ・レコード特有の針音がなくなったこと。そのことは大きかった。
> ボーカルのリバーブ成分もはっきり聴きとれる。
とか
> 生ギター、シンバルのハイの伸びがよく聞こえる。
といったあたりの感想は、それまで針音に邪魔されて聴こえにくかった部分がよく分かるようになったということだと思います。でも実は針音だけじゃなくて安物のアナログプレーヤーで、モーターの振動音を針が拾ってしまうというSN比の最悪なもので聴いていた人もいたでしょうから、そんなかつてのオーディオ環境の劣悪さから解放されるための第一歩こそビートルズの初CD化の一番の恩恵だったような気がしますね。
これぞビートルズをリリースしたEMIによって推進された名付けて「デジタルによる音楽優良聴取機会均等法」なわけです(爆)。
by 路傍の石 (2009-06-10 00:13)
おー、私もちょうどこの初CD化の頃はどんなだったか読み返してみようかな、と思っていたところでした。奇遇ですねえ。
この頃も今回みたいに「ついにビートルズがCD化!」とずいぶん盛り上がりましたっけね。
今聴くといろいろアラが見える(聴こえる)CDも、この頃はCD=高音質、デジタル>アナログという図式がみんなに刷り込まれていて、それを盲信する人も多かったと思います。
最新テクノロジーを駆使して作られた新しいメディアであるCDがアナログより音が悪いわけがない、と、かく言う私もそんなことを思ってました^^;
熱心なアナログ愛好家によってアンチCDが叫ばれてからCDの音質が疑問視されるようになり、それから次第に地味にアナログを支持する人も増えて、UKオリジナル・アナログ盤再発見という気運が高まり現在に至りますが、今ではこんな時代もあったなあ、という歴史の1ページですね^^。
キョンキョンの写真、覚えてるなあ。となりのダニエル・ダックス、大好きでした〜^^。
やっぱり今度この4冊、引っ張りだして読んでみます。
by MASA (2009-06-10 00:44)
おはようございます。
80年代後半はバブル期でもあり、車、家電など新発売される製品は
前作品を必ず凌駕していて、”最新はすべて良い”みたいな風潮が
あったと思います。しかし、レコード→CD化はその方程式には当て
はまらかったいい例です。音楽を聴くことを手軽にした功績は大きいで
すが、音質性に関しては未熟のまま発売されたのがもったいないです。
今回発売されるリマスターは期待が持てると思います、それはLOVEでは
素晴らしい音質で聴かせてくれたからです。9/9が楽しみです。
テレサ・テンの曲を聴くと切なくなるのはどうしてでしょうか?
失礼いたしました。
by may_r (2009-06-10 07:13)
tamachiさん、こんばんはー。
>もう20年以上になるのですね~
早いですよね~。
年取るわけだ(笑。
>この時のビートルズのCDの論評は??だった記憶がありました
そうだったんですね?
ぼくなんか何の疑問ももたずにCDを楽しんでました。
もっとも当時はビートルズを聞くのはもっぱらクルマのなかでしたけれど。
>僕はこの号は処分してしまいました。大失敗!
ああ、残念!
でもブック・オフあたりで探せば、たぶん見つかると思います^^
by parlophone (2009-06-10 22:18)
路傍さん、こんばんは!
長文のコメント、どうもありがとうございます^^
milkちゃんのブログみたいで、ちょっとうれしいです(笑。
>日本盤の『MEET THE BEATLES』にさんざん慣れ親しんできた側から
ぼくもちょっとそんなことも考えたんですよね。
ひょっとしたら『ステレオ! これがビートルズ 第1集』『ステレオ! これがビートルズ 第2集』という形で出してほしかったのかな?なんてね(笑。
>当時は良くも悪くもデジタル臭いエッジが立ったシャキッとした音には
>誰もがカルチャー・ショックを受けていた時期だった
>ひとつ言えることがあるとすれば、CDによってアナログ・レコード特有の針音が
>なくなったこと
たしかにそれはあったでしょうね。
ぼくらにとっていちばん衝撃だったのは、レコードのリード溝に針を落としたときのスクラッチ・ノイズがない、それこそ無音のなかからいきなり音楽が立ち上がる、ということだったわけですからね。
そこから「ノイズのない=いい音」という神話が生まれたのかもしれませんね。
そしてエッジの立った音に耳を奪われてしまったと。
>カートリッジだってよっぽどのオーディオファンでなければ…ナガオカ
う~ん、ぼくが社会人になったのは1977年で、CD化の10年前ですが、そのころぼくの周りの音楽ファンはみんなシュアーのV-15タイプⅢとかⅣ、あるいはオルトフォンのMC-20とか、ぼくの師匠に当たる人なんかはデッカのマークⅤとか使ってましたけどね…。
学生のころにすでに友だちなんかもトリオのアンプとかマイクロのターン・テーブルとか使ってましたから。
さすがにナガオカというのは、60年代のような気がするんですが…(笑。
>「デジタルによる音楽優良聴取機会均等法」
おもしろい!!
さすが路傍さんです。
なるほどね~。
ビートルズのCDって新しい時代のオーディオ文化の推進役だったんですね^^
by parlophone (2009-06-10 22:38)
MASAさん、こんばんはー。
>私もちょうどこの初CD化の頃はどんなだったか読み返してみようかな、
>と思っていたところ
おお、それは奇遇でしたね!
>この頃も今回みたいに「ついにビートルズがCD化!」とずいぶん盛り上がりました
ぼくは当時そういう騒ぎの外にいて、初めて買ったのは翌年の1988年でしたね。
『アンソロジー』が出たときもVol.1からVol.3までをまとめたボックス・セットが出るらしいといううわさを信じて、しばらくは買いませんでしたし(笑。
>CD=高音質、デジタル>アナログという図式
最初はそうでしたね。
でもすぐに路傍さんもおっしゃっていた「デジタル臭さ」という課題が出てきましたよね。
ぼくも88年にビートルズのCDを2枚買ったんですが、それはあくまでも新婚旅行の記念として買ったんで、CDプレイヤーを買ったのは90年ぐらいだったと思います。
それもCLD-99SというパイオニアのLDとのコンパチ(笑。
なかなか単体のCDプレイヤーを買う気にはなれませんでしたね。
>UKオリジナル・アナログ盤再発見という気運が高まり現在に至ります
これは具体的にいうといつぐらいからなんでしょう?
ぼくはただ単に初期のアルバムのステレオ・ヴァージョンが聴きたくてレコードを集め始めたので、最初は全部国内盤でした^^;
UKオリジナル盤に目覚めたのはごく最近の話なんですよね~。
>となりのダニエル・ダックス、大好きでした〜^^
さすがMASAさん、よくご存知ですね!
ぼくはまったく知りません…(汗。
by parlophone (2009-06-10 22:50)
may_rさん、こんばんは~。
>80年代後半はバブル期でもあり…"最新はすべて良い"みたいな風潮があったと思います
ああ、それはたしかにあったような気がしますね~。
>音楽を聴くことを手軽にした功績は大きい
そうですね。
ソニーはウォークマンの成功によって、音楽を外に持ち出せるものにしたわけですが、CDはさらにその路線の先に次世代オーディオという形を実現して見せたんですから、やはり画期的な発明であったと思います。
>今回発売されるリマスターは期待が持てると思います
ぼくもそう思います。
アナログ盤には、ぼくらの想像をはるかに超えるポテンシャルがあったわけですが、CDも発明から四半世紀が経って、オーディオとしての成熟期に入ってきたような印象があります。
ぜひ期待したいですよね。
>テレサ・テンの曲を聴くと切なくなるのはどうしてでしょうか?
おお!may_rさんもそうでしたか。
いつかテレサ・テン特集とかやってみたいですね(笑。
by parlophone (2009-06-10 23:07)
> 学生のころにすでに友だちなんかもトリオのアンプとかマイクロのターン・テーブルとか使ってましたから。
全部の音楽ファンでそれが当然のことだったらすごいことですよ(笑)。
拙は元々音響関係の勉強のためにその手の学校に入学しましたから
拙も含めて無論ナガオカなんか使っている人はいなかったし、
ティアック、アカイあたりのオープンリールを持っていて当たり前でした。
でもそれ以外の普通の音楽ファンのほとんどは
ラジカセに毛の生えた程度のもので聴いてましたよ。
1980年頃のことでしたが、そんな格差が当たり前の時代だったんじゃんないかな~(笑)。
by 路傍の石 (2009-06-10 23:12)
>全部の音楽ファンでそれが当然のことだったらすごいことですよ(笑)
ああ、そっかー。
そういわれて思い当たりましたが、ぼくの周りってジャズ・ファンかクラシック・ファンのどちらか(あるいは両方のファン)ですね。
ぼくの周りで当時ビートルズを聴いていた友人は一人しかいませんでしたが、かれがどんな再生装置だったか、まったく思い出せません。
なんとなくパイオニアのコンポーネント・ステレオだったような気がしますが、だとしたらナガオカの可能性はじゅうぶんありますよね…。
どうも失礼いたしました…m(_ _)m
by parlophone (2009-06-11 00:34)
UKオリジナル盤が注目されだしたのは90年代に入ってから盛んになったように思いますね。
「レココレ」なんかがビートルズに限らずいろんなオリジナル盤を引き合いに出した記事を載せたりしたのかきっかけかなあ?
その頃から中古盤屋さんもオリジナル盤指向を押し出すようになり、90年代の後半に「RUBBER SOUL」と「REVOLVER」のマト1が発見されてからピークを迎えたように思います。
その後現在に至るUKオリジナル盤至上主義(笑)みたいなことになるワケですね。
by MASA (2009-06-11 00:45)
こんばんは
>いつかテレサ・テン特集とかやってみたいですね(笑。
いいですね!
彼女の音楽人生は結構長いので、parlophoneさんがどの部分を
エグルのか楽しみにしています。
by may_r (2009-06-11 19:48)
遼さん、こんにちは。
ビートルズのCDを聴くのミュージックマガジンは、この前ブックオフで(105円)立ち読みしました。ああ、当時はこんな事言ってたんだなあと。
最初に買ったCDプレーヤーは、ソニーのウォークマンタイプ(D50だったかな?)でした。とにかくCDの音が聞きたくて買ったと思います。
CDは針音がしないのが衝撃的でしたね。それでジョージマーティンも「スタジオで聞いたそのままの音だ」みたいな事を言っていたので、これがそうなのかとありがたく聞いてました。ヘルプとラバーソウルはADDで、この2枚だけ音がいいなあと思ってました。
とりあえず両ボックスは、HMVで予約しました。
by pinkisland (2009-06-12 06:07)
MASAさん、どうもです。
>UKオリジナル盤が注目されだしたのは90年代に入ってから
おお、わりと最近のことだったんですね。
>その頃から中古盤屋さんもオリジナル盤指向を押し出すようになり
そのころの中古盤屋さんって高かったですよね~。
今ではとても買えないような値段がついていました。
そういう意味ではネット・オークションさまさまですよね^^
by parlophone (2009-06-14 01:05)
may_rさん、こんばんは~。
>彼女の音楽人生は結構長いので、parlophoneさんがどの部分をエグルのか楽しみ
いやいや、ぼくは彼女のアルバムとか聴いたことがないんですよ。
でもTVとかで彼女の歌が流れると、とたんに釘付けになっちゃうんです。
そのうち聴いてみたいなあ、と思っているところです^^;
そのまえにmay_rさんとこで特集やってください♪
by parlophone (2009-06-14 01:08)
pinkislandさん、こんばんは!
>この前ブックオフで(105円)立ち読みしました
おお、それはリーズナブルな値段じゃないですか。
>CDは針音がしないのが衝撃的でしたね
やっぱそうですよね。
いきなり始まるので心臓に悪かった(笑。
>ヘルプとラバーソウルはADDで、この2枚だけ音がいいなあと思ってました
『ヘルプ!』はUKオリジナル盤を聴いてもあんまり音のいいイメージがありませんね。
>とりあえず両ボックスは、HMVで予約しました
両ボックスですか!
いいなあ~。
ぼくはやっぱりモノ・ボックスだけになりそうです…。
by parlophone (2009-06-14 01:12)