アン・ブリッグス 『森の妖精』 [ブリティッシュ・フォーク]
いやあ、どれだけこの日を待ちわびたことか。
ついに手に入れましたよ。
アン・ブリッグス、みなさんは彼女の名前をご存知だろうか。
ブリティッシュ・フォークがお好きな方ならおおむねご存知かもしれない。
だがロック・ファンはどうだろうか。
じつは彼女、ジミー・ペイジの師匠の師匠にあたる女性なのだ。
というと、ちょっとオーヴァーですね。
すんません、正確にいうと…
ペイジが1st アルバム『LED ZEPPELIN』に収録した「Black Mountain Side」は、バート・ヤンシュが演奏したブリティッシュ・トラッド「Blackwater Side」の焼き直しだが、その「Blackwater Side」をバートに教えたのがアン・ブリッグスなのだ。
さて、きょうリリースの彼女の2nd アルバム『森の妖精』はオリジナル・タイトルを『The Time Has Come』という。
それが「森の妖精」になるところにわが国における彼女の受容様式が窺われるわけだが、それは英国でも似たようなものだったのかもしれない。
ジャケットの画像をご覧いただきたい。
猟犬を従えた長い髪の女性が森のなかに立っている。
それはぱっと広がった視界のなかに今現れたばかりのようだ。
大きめの服をざっくりと着こなした彼女の周りには木々の隙間からやわらかな陽射しが降り注いでいる。
肩に抱えた楽器はブズーキだろうか。
少年のようにこちらを見つめるまなざしの強さとはうらはらに、閉じられた口元に引かれたわずかなルージュが彼女の美しさを引き立てている。
そしてシンプルなタイトル『時は来たりぬ』…。
付属のブックレットに記載されたコリン・ハーパーのライナーを読むと、20歳のときにリリースされた4曲入りのEP1枚とコンピレーション・アルバムに収められた数曲の楽曲、それにときおり立つフォーク・クラブなどのステージによって、ブリティッシュ・フォーク界のイコン的存在でありながら、英国とアイルランドを気ままに旅する生活をつづけて長いあいだ商業音楽の世界とは無縁だったようだ。
その彼女がTOPICというマイナー・レーベルからの1st につづけて、英CBSというメジャー・レーベルから2nd アルバムを出したのだから、まさしく彼女を追いかけていたファンからすると「The Time Has Come」だったわけだ。
ぼくが彼女の名前を知ったのは『レコード・コレクターズ』誌のブリティッシュ・フォーク特集だったのだが、この写真にやられてしまったのだった^^;
(画像はAmazon.jpからお借りしました。
ちなみに彼女が弾く「Blackwater Side」はこのベスト盤に収録されている)
うつくしい…。
13曲が収められたアルバムは、彼女のギターによる弾き語りと、ブズーキによるインストゥルメンタルから構成されている。
オリジナルが8曲(うち1曲はバートとの共作)、トラッドが1曲、残り4曲がカヴァーで、そのうち1曲はのちにウィングスのギタリストになるヘンリー・マッカロウの作品だ。
シンプルなギターの伴奏によって歌われる、静謐ななかにもダイナミズムを含んだ唄、あるいは微かな風と光をとらえた淡いスケッチのような儚げな唄…。
表題曲「The Time Has Come」はペンタングルの2nd アルバム『スウィート・チャイルド』に収められたカヴァーも有名だが、彼女の弾き語りで聴くとZEPの「That's the Way」によく似た曲想であることがわかる。
もちろん偶然である可能性も捨てきれないが…。
こうして1969年に2枚のアルバムを出したあと、またもや彼女は音楽シーンから姿を消してしまい多くのファンを悲しませたという…。
紙ジャケは光沢のないE式のシングル・スリーヴ。
グレイテスト・ヒッツのアルバムを特集したアド・インナーのミニチュアが付属している。
レーベルは英コロンビアのオレンジ・レーベルを復刻している(例によって目玉のまんなかに大きな穴が開くかたちになっている…笑)
20ページのカラー・ブックレットは英文はなく、日本語訳だけ。
彼女の何枚かのフォト・グラフやオリジナル盤の裏ジャケに載っていた自曲解説の日本語訳もついている。
付属のブックレットからもう1枚だけ彼女の写真を紹介しておこう。
なお、これまではアナログもCDもステレオと表記されていたようだが、実際には擬似ステレオだったようで、今回はオリジナル・モノラル・マスター・テープからのモノラル音源を使用しているそうだ。
(本来なら六角形のなかにはStereoの文字が入るところだろうが、上記の理由から空白になっている)
遼さん、こんばんは。
もう発売されているんですね!しかもモノラル、なんですね〜。知らないことばかりですし。
中身まで拝見することが出来まして・・・、綺麗な写真をありがとうございます。
通常盤で非常に恐縮なのですけれど、しかもそれ以上に非常に内容に乏しくて申し訳ないのですけれどトラックバック差し上げます。
by chitlin (2007-08-23 00:08)
chitlinさん、トラバ&コメントありがとうございました。
きょうが発売日だったので、きのうCDショップを廻って2軒目でGETしました^^;
音はモノラルですが1971年の作品なので、とても鮮明で輪郭のきちんとした清澄なサウンドを聞かせてくれます。
この機会にぜひ紙ジャケで1枚 (←悪魔のささやき^^
by parlophone (2007-08-23 00:48)
こんばんは。
確かに↑の写真、うつくしい・・・ です。
遼さん、ひょっとしてジャケ買いですか(笑)
”悪魔のささやき”、こっちにも聞こえちゃいました。
この機会にいっちゃいましょうか(笑)
by DEBDYLAN (2007-08-24 22:32)
うふふ、綺麗でしょう^^
>遼さん、ひょっとしてジャケ買いですか(笑)
はい、ほとんどそんなもんで(笑。
でも『レココレ』読んでもサイト見ても、とにかく評価が高いんですね。
バート・ヤンシュがやられちゃうくらいだから^^
ぜひ行っちゃってみてください(爆。
by parlophone (2007-08-25 00:08)