『テン・イヤーズ・アフター』 [ブリティッシュ・ロック]
ユニヴァーサル・ミュージックの紙ジャケは、しつこいぐらいに再発されるものもあって、クラプトンなんてもういいよ!って感じだが(笑)、4月25日にリリースされたもののなかで有難かったのがテン・イヤーズ・アフターの紙ジャケだ。
考えてみれば60年代末から70年代初頭のテン・イヤーズ・アフター(ってゆーよりアルヴィン・リー)の人気はすごかった。
日本のギタリストのなかにも、クラプトンやジェフ・ベックと並んでアルヴィンの名前を挙げる人が多く、当時としてはピカイチの速弾きと、ジャジーなフレーズが多くのファンを生んだのだった。
当時のセンセーショナルなステージは、映画『ウッドストック』でも代表曲「アイム・ゴーイング・ホーム(ウィズ・ヘリコプター)」の熱演で見ることができる。
残念ながらアルヴィンには、思ったほどアドリブの抽斗がなかったので、意外に早く飽きられてしまって、テン・イヤーズ・アフターの名も急速に消えていくのだが、ブルーズに根ざしたシンプルなロックンロールやちょっとジャズ・フレイヴァーの漂う曲などにはなかなか捨てがたい魅力がある。
今回リリースされたのはDERAM時代の1stから3rdアルバム、1967年から69年に発表されたものだ。
この紙ジャケが最初に出たのは2002年の7月、初回限定5,000枚で、あっという間に店頭から消えてしまい、悔しい思いをしたのだった。
ほんとは3枚とも買いたかったのだが、ぐっと我慢して、今回はファーストのみ。
画像では分かりにくいが、フロント・カヴァーはヴィニール・コーティングされたラミネート・スリーヴ、バック・カヴァーはノン・コーティングのE式で、UKオリジナル盤を忠実に再現している。
インナーバッグこそついていないが、リマスターされたときのものと思われる12ページの英文カラー・ブックレットと、日本語解説書がついている。
(アルヴィンなんてクリーム時代のジンジャー・ベイカーみたいだ^^)
ライヴの定番だった「泣きたい心 I Can't Keep from Crying, Sometimes」(アル・クーパーの作品)や「スプーンフル」(もちろんウィリー・ディクスンの名曲)など11曲に加えて、初期のシングルやスタジオ・アウトテイクなど6曲のボーナス・トラックが入っている。
エンジニアは『スペース・オディティ』で有名になるガス・ダッジョンで、レーベルもデラムをわりに忠実に再現している。
ちなみにこちらはChrysalisレーベルに移籍してからの作品で、2004年に東芝EMIから出たもの。
(『Ssssh.』といえば、レコード屋の店頭でたっぷり1時間迷ったあげく買わなかった
思い出がある…笑)
こちらもUK盤を忠実に再現したE式の紙ジャケで、英文のカラー・ブックレットや初盤についていたと思われるポスターなどを復刻していた。
>『Ssssh.』のほうは、レコード屋の店頭でたっぷり1時間
>迷ったあげく買わなかった思い出がある…笑
ん?なんで?TYAでもっとも人気の高いアルバムだったのに(当時の自分の周囲限定)
逆にボロクソに言われていたのが「WATT」でしたが自分は結構これ好きでした。当時所有してたLPは、Ssssh~スペース・イン・タイムの4枚のみ(ワイト島をいれると5枚)かな。現在までCD買い直しは全くなし。
初期の1~3は友人に借りて聴いたが退屈だった思い出しかありません。今聴き直すと感じ方が違うかも。
話が横道に逸れるけど、TYAのLP盤って極端に分厚くて重たい感じがしませんでした?これってデラムークリサリスの特徴なのかな?A&Mやロンドンとかは普通だったので配給元のキングのせいじゃなかったと思うんですけど。
by tsukikumo (2007-05-23 00:48)
♪ (遼)さん、こんにちは。久し振りの書き込みです。
5/07にインターネットが開通してから訪問はしていたんだけど。(笑)
>ライヴの定番だった「泣きたい心 I Can't Keep from Crying, Sometimes」(アル・クーパーの作品)
個人的にはBlues Project(紙ジャケにして欲しい)のヴァージョンが好きです。
>この紙ジャケが最初に出たのは2002年の7月、初回限定5,000枚で、あっという間に店頭から消えてしまい、悔しい思いをしたのだった。
そうなんですか。函館は田舎なので、数年前に取り寄せをして入手できました。(爆)ちょっと嬉しいような悲しいような・・・
個人的な感想ですが、この時期のDeramのレーベル面は白地に薄茶色だったような気がするので、再現度としてはどうかなあ?という感じ。
スリーヴも英盤からではなく、キング盤から起こしたような感じがするんですが。
あ、これは個人的な印象なので。(冷汗)
尚、現在は”Ssssh”以降のアルバムがChrysalisから発売されていますが、オリジナルはDeramですね。
Chrysalisに移籍したのは”Space In Time”からです。(アルバム・タイトルのロゴが2種類あり)
☆ tsukikumoさん
初めまして。(遼)さんと同年(多分)の白熊店長といいます。
>TYAのLP盤って極端に分厚くて重たい感じがしませんでした?
仰るようにキング盤は厚かったですね。一部ですが、マスターを使用せずに盤起こしをしていたり、スリーヴも米盤から複写していたり(Cricklewood Greenには米盤のカタログ番号DESを消した跡があり)、と
音質も良くなかった印象が強いです。
by 白熊店長 (2007-05-23 08:20)
TYAは大阪フェスティバル・ホールで初来日(だと思う)公演を見ています。
なんと!ダブルビルでプロコル・ハルムが先にステージをやりました。
個人的にはP.ハルムを見に行ったのでした・・・
ドラムキットがすっごくシンプルだったのに驚きましたが、テクはなかなかでした。(TYAのことです)
私もアルヴィン・リーって指の動きは速いけどいまひとつ「味」が薄いなあと感じていました。ステージ・パフォーマンスは一流ですけどね。(Woodstockで証明済み)
TYAはDeram時代が一番「らしく」って良いと思います。
多分彼等が忘れられてはいないものの、いまひとつ「伝説のバンド」になれないのはブルーズバンドなのかサイケなのか良く判らんところにあったのでは?ジャジーなこともできたけど何をやっても「そこそこ」程度だったのが原因だったと思います。
by MORE (2007-05-23 10:56)
拙もTYAは結構好きで、映画ウッドストックでの「I'm Going Home」にヤラれた口です。完全な後追いでしたが、高校時代(79年頃)に初めて買った『Ssssh...』は愛聴盤でしたよ(笑)。あと、2ndのライヴ盤『UNDEAD』とか、「WOODCHOPPER'S BALL」の激烈な超高速フィンガリングには目も眩むようで、思わず乗り物酔いしたような快感が得られたもんです(←ほとんど変態)。
ところで1stはなぜか未聴でした。どんな音なんでしょうか?ま。おおよその見当はつきますけど(笑)。再評価もあまりなくて、今後もアルヴィン・リーについて語られることも少ない感じでちょっと淋しい。ちなみに、80年代に再結成したときのマーキークラブでのライヴ映像は素晴らしかったです。バンド全体が一枚岩となった突進力は筆舌に尽くしがたいものがありましたね(最近、NHK BS2でも放映されたような記憶がありますが)。
by 路傍の石 (2007-05-23 11:44)
↑すんません。今調べたらまだこれからの放映でした。NHKサイトからコピペしておきます。ちなみに、ウィッシュボーン・アッシュも同時放映されるとのこと。
BSサタデーライブ 黄金の洋楽ライブ
BS2 6月30日(土)後11:45~前1:15
テンイヤーズ・アフター
ミュージックフェスティバルフィルムの金字塔“Woodstock”において驚愕のテクニックでその地位を不動のものとしたスーパーギターリスト、アルヴィン・リー率いるテンイヤーズ・アフター。1983年、ロンドンのライブハウスMarquee「マーキー」クラブの25周年GIGの映像。当時バンドは、解散していたが、このイベントの為、臨時に再結成され、オリジナルメンバーによって行われた貴重なパフォーマンス。選曲は、ベストな聴きごたえあるものばかりで、「アイム・ゴーイング・ホーム」他、全7曲を収録。アルビンのギタープレイを満喫できるラインナップ。バンド解散から、年数がたっているが、バンド絶頂期のプレイをそのまま再現している名ステージ。
【曲名】Love Like A Man、
I May Be Wrong, But I Won't Be Wrong Always
Good Morning Little School Girl、 Help Me、 Woodchopper's Ball ほか
ウィッシュボーン・アッシュ
UKロックの頂点に立つウィッシュボーン・アッシュはツイン・リードギターの卓越した演奏で有名。それまでにもギタリストを2人擁するバンドは存在していたが、2人のギタリストが同時にソロを弾いて1つのハーモニーを奏でるという手法は全くもって斬新であった。そんな彼らのキャリアの頂点に位置するのが『百眼の巨人アーガス(Argus)』(72年)。ドラマ性の高いプログレッシヴな楽曲とツイン・リードによる美しいハーモニーが、対照的な世界を形成するブリティッシュ・ロックの名盤。ここで確立したスタイルが、後のアイアン・メイデンやジューダス・プリーストといったヘヴィメタル勢に受け継がれていく。今回は、1983年ロンドンで収録したライブをお届けする。
【曲名】Can't Fight Love、 Living Proof、 Open Road、
No More Lonely Nights Underground、King Will Come、
Phoenix、Engine Overheat
by 路傍の石 (2007-05-23 11:52)
>ん?なんで?TYAでもっとも人気の高いアルバムだったのに
何だったか忘れちゃったけど、要するに『Ssssh.』より魅力的なアルバムがあって、そっちを買っちゃたんですね。
当時のぼくの小遣いは1か月にLPを1枚買えるかどうかぐらいの金額でしたから(笑。
けっきょくリアルタイムでぼくが買ったのは2枚組のベストだけ。
ですから『Ssssh.』(国内盤は『夜明けのない朝』というタイトルでしたね)も『クリックルウッド・グリーン』も聴いたのはCDになってからです。
>今聴き直すと感じ方が違うかも。
その可能性は大いにあると思いますよ(笑。
>TYAのLP盤って極端に分厚くて重たい感じがしませんでした?
そうだったんですか。
ちなみにベストはごくふつうのレコード盤だったと思います。
by parlophone (2007-05-23 21:58)
店長さん、どうもです。
>個人的にはBlues Project(紙ジャケにして欲しい)のヴァージョンが好きです
おお、それは聴いてみたいです^^
>レーベル面は白地に薄茶色だったような気がする
あ、ぼくもそんな気がします(うろ覚えですが)。
ですから「わりに忠実に」^^;
>スリーヴも英盤からではなく、キング盤から起こしたような感じ
おお、そうなんですか!
そのあたりをちょっとマニアックに解説していただきたいですね^^
67年といえばまだ国内盤もE式コーティングありのいわゆるペラジャケだったんでしょうかね。
65年ロンドンの『ブルーズブレイカーズ・ウィズ・クラプトン』は初盤はコーティングありのペラジャケでしたね。
67年ロンドンの『サタニック・マジェスティーズ』はコーティングなしの厚紙A式(ただしこれはUS盤をもとにしている可能性大ですけれど)。
by parlophone (2007-05-23 22:08)
MOREさん、どうもです。
>なんと!ダブルビルでプロコル・ハルムが先にステージをやりました
ス、スゲエ!
当時いかに日本でテン・イヤーズ・アフターがビッグネームだったかがよくわかるエピソードですね。
>指の動きは速いけどいまひとつ「味」が薄いなあ
うんうん、それはありましたね。
もうひとつ言わせてもらえば、チック・チャーチルのキーボード/ピアノも、ちょっと面白みにかけるような気がします。
って、けなしてばっかりですが(笑)、でもちょっとサイケな雰囲気のブルーズ・ロックは、当時の「ニューロック」というカテゴライズにぴったしで、けっこう好きでしたねー。
by parlophone (2007-05-23 22:21)
路傍さん、どうもです。
>目も眩むようで、思わず乗り物酔いしたような快感
ああ、わかるわかる(笑。
ぼくもそんな音楽体験があります^^
>どんな音なんでしょうか?
これが意外とファーストから完成された感じです。
『Ssssh...』が売れに売れたのは『ウッドストック』効果でしょうが、ファーストもじゅうぶんにいけると思いますよ。
>バンド全体が一枚岩となった突進力は筆舌に尽くしがたいものがありました
ああ、これは見たいですね!
しかもカップリング(とは言わないな、多分^^;)がウィッシュボーン・アッシュというのもいいな。
ぼくは『百眼の巨人アーガス(Argus)』もけっこう好きなんですよね~。
詳しい情報、ありがとうございました!
by parlophone (2007-05-23 22:29)