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60年代シングル盤コレクション―イントロ シングル盤の基礎知識 [60年代のシングル盤]

先日倉庫の整理をしていたら、ぼくが小学生から中学生のころに買ったシングル盤が30数枚出てきた。
これらは65年から69年ごろにかけて日本のヒット・チャートを賑わした、いわゆるヒット・シングルだ。

ちょうど『レココレ』誌の60年代のロック・アルバムの特集を紹介したところなので、ついでにこれらのシングル盤を数回に分けて紹介していきたいと思う。

その前にきょうは、シングル盤の種類とその用途?についてまとめておきたい。 
Shaolinさんのコメントに基づき、4/26一部追記しました。Shaolinさんありがとうございました

まず、(このブログを読んでくださっている方には釈迦に説法のようなものだが、)ときどきシングル盤とEP盤を混同している人がいるので、その違いを書いておく。
同じ7インチ(17センチ)のディスクだが、シングル盤は通常2曲(A面各1曲ずつ)収録されており、EP盤はふつう4曲収録されている(EPExtended Playの略)。
アメリカではあまり売れなかったようだが、EP盤には美しいピクチャー・スリーヴがついていたこともあって、イギリスではかなりの数がリリースされている。
日本では同じように7インチ4曲入りのレコードはコンパクト盤と呼ばれてそれなりに人気があった。
国内盤のシングルが1枚370円だったころ、コンパクト盤は500円だったので、ぼくなんかはよくコンパクト盤を買ったものだ。
ただし厳密にいうとEP盤がシングルと同じように45回転なのに対し、わが国のコンパクト盤は33 1/3回転で、音質的にはUK盤のほうが優位であった。

   
   (英EP盤の例 45回転の大きな表示がある。)

   
   (国内コンパクト盤 こちらも33の大きな表示がある。東芝音工の赤盤である)

さて、シングル盤だが、これはその形状からドーナツ盤と呼ばれることも多かった。

   

ドーナツ盤をプレイヤーに載せるときはアダプターを介してかける。

   

それとはべつにいわゆるプッシュ・アウト・センター式のシングル盤もあって、こちらはアダプターなしでもかけることができる。

   

では形状の違う2種類のシングル盤が存在した理由は何だろうか。
これは主に用途の違いによるものだったとぼくは理解している。

まずドーナツ盤は、どうしてあんなに大きな穴が必要だったのだろうか。
これは家庭用のプレイヤーでの演奏と同時にジュークボックスでの使用が考慮されたものだ。
ジュークボックスはご存知のように50~100枚ぐらいのシングル盤がタテに並べられていて、ボタンで曲を選ぶと、アームが伸びて指定されたシングル盤を取りに行く。
このアームがレコードをがっちりと掴むために、ドーナツ盤の大きな穴が必要だったのである。

ではプッシュ・アウト・センターはなぜ存在したのか。
これはアダプターなしでかけることができるという以外に、オート・チェンジャー(レコード・チェンジャー)での使用が考慮されたものだ。
オート・チェンジャーをご存じない方も多いかもしれないが、ターン・テーブルの中央に、通常のプレイヤーに比べるとかなり長いセンター・スピンドルがついており、その途中にフックがある。
ここにレコードを数枚から最大7~8枚程度まとめてセットしておくと、いちいちレコードを取り替える必要がない。
演奏が終わるごとにアームが戻り、上から新しいレコードが落ちると、針が曲の始まりの位置に下りて、次の演奏が始まるようになっている。

ぼくの家にはオート・チェンジャー式のステレオ・セットがあったので、ドーナツ盤には専用のアダプターをつけてセットしていた。

   

古いUS盤の2枚組アルバムなどで1枚がA面とD面、もう1枚がB面とC面になっているものをよく見かけるが、これはオート・チェンジャーでの使用を前提にしたものだ。

プッシュ・アウト・センターのシングル盤は、まん中を強く押すとその部分が外れてドーナツ盤になるので、ジュークボックスでも使えるようになっている。
UK盤のシングルの多くがプッシュ・アウト・センターになっているのはオート・チェンジャーの普及が背景にあったのだろう。


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MORE

おー、最後の写真は「口笛ジャック」ですねー。
あの頃はときどきこの曲みたいな「色物」が大ヒットしましたね。(笑)

私も小中学生の頃はシングル盤は割高だったので、コンパクト盤で
好きな曲が満載になるのを願って待っていましたねー。
コンパクト盤はステレオだったですしね。
ただ、シングル盤のにぎやかなデザインは捨て難かったですが・・・

私が最初に買ったロックのシングル盤は・・・

Hang On Sloopy b/w Fever The McCoys でした。
なぜかって?両面ヒットだったからです!(爆)
あまりラジオでもかからなかった、というのも大きな理由でした。(特にFeverは)
by MORE (2007-04-26 09:04) 

Shaolin

コンパクト盤は 33 1/3 回転、EP 盤とシングル盤は 45回転ですね。
海外でも少ないながらコンパクト盤が製造されていたようです。

もともと EP 盤は (SP アルバムのように) 組物アルバム用に作られたもので、
コロンビアが LP を販売し始めた頃に LP の対抗馬として RCA Victor が販売していました。
しかし LP の便利さにはかなわず、結局 RCA Victor も LP 採用に至りました。
とはいえ 1950年代前半までは、同一内容で SP アルバム、EP アルバム、LP が同時発売、なんてケースが少なくなかった様です。
EP は、シングル盤というフォーマットとして広く使われることになり....
という皆さんが御存じのストーリーでした (笑)

現在では一応、33 1/3rpm 7inch がコンパクト盤、45rpm 7inch 片面 1曲がシングル盤、
45rpm 7inch 片面2曲程度が EP、と分類されているというのが正しいですかね。
by Shaolin (2007-04-26 09:40) 

deacon_blue

☆ 今回はとても良い勉強になりました(^o^)。ビートルズの4曲入りEP盤を思い出しました。
by deacon_blue (2007-04-26 11:52) 

parlophone

>おー、最後の写真は「口笛ジャック」ですねー

す、するどいっ!!
こんなシングル盤がわかるなんて、MOREさんっていったい何者?
そして「はじレコ(初めて買ったレコード)」がThe McCoys…。 

なにからなにまで大人じゃーん…って感じですね。
またいろいろ当時の話を聞かせてくださいね^^
by parlophone (2007-04-26 16:22) 

parlophone

あー、Shaolinさん、ありがとうございます。
そっか、こういう記事書くんだったら、Shaolinさんのブログをもう一度きちんと読んで、ちゃんと整理してから書くべきでしたね~^^;
ありがとうございました!
あとで記事ちゃんと訂正しておきます。

それで質問なんですが(←図々しい^^)、
コンパクト盤というのはわが国特有のものなのでしょうか。
それとも英米にもあり?
もしそうだとしたら本国での名称はなんというのでしょうか。
よろしくお願いいたしますm(_ _)m
by parlophone (2007-04-26 16:26) 

parlophone

deacon_blueさん、いつもnice! ありがとうございます。

>今回はとても良い勉強になりました

とおっしゃっていただくほどの記事ではなく、上のコメントでわかるとおり穴だらけの記事でした^^;
あとで訂正しておきますので、これに懲りずにお付き合いくださいませ…。
by parlophone (2007-04-26 16:29) 

parlophone

何度もすみません、shaokinさん、慌ててコメント書いてしまいました^^;
「海外でも少ないながらコンパクト盤が製造されていたよう」だということですが、海外では何と呼ばれていたのでしょうか。
もしご存知ならよろしくお願いいたしますm(_ _)m
by parlophone (2007-04-26 17:38) 

Shaolin

> 海外では何と呼ばれていたのでしょうか

えーっと、残念ながら知りません (笑)

10枚程しかない手持ちの US コンパクト盤のうち 1枚をスキャンしてみました。
例によって例の如く、またあのレーベル関連ですみません (笑)
http://peugeot405.org/tmp/SR625C.jpg

やっぱりレーベルに「Compact」って書かれてますね。
ただ正式名称や通称はわかんないです。ごめんなさい。

ちなみに、このテのコンパクト盤も、ジュークボックス目的だったようです。
うちにあるもののうち数枚に、ジュークボックスの曲名ストリップやジャケのミニチュア印刷(?)が一緒についてきていました。
http://peugeot405.org/tmp/LS305C-Strip.jpg
by Shaolin (2007-04-26 21:35) 

Shaolin

あ、そういえば、Blue Note では「Little LP」と呼んでいたことを思い出しました。
これもジュークボックス用 33 1/3 rpm 7-inch です。

他のレーベルでも同じ名称だったのかは、わかんないですが、参考になれば。
by Shaolin (2007-04-26 21:39) 

parlophone

Shaolinさん、貴重な画像ありがとうございました。
相変わらず貴重なレコードと見事な画像ですね。
美しい!(笑

Compactって書いてありますね。
アメリカでは数十年前からCompact Discがあった?

>Blue Note では「Little LP」と呼んでいた

おお、そうですか~。
勉強になります。
ありがとうございました^^

ところで完全なソリッド・センターでどうやってジューク・ボックスで使用したんでしょうねえ?
by parlophone (2007-04-26 22:21) 

Shaolin

> ところで完全なソリッド・センターでどうやってジューク・ボックスで使用したんでしょうねえ?

どうやらそういうジュークボックスマシンもあったみたいです。いわゆるドーナツ盤だけではなかったんですね。

あとでいろいろ調べてみたところ、その名もズバリ Little LP という会社がコネチカット州にあって、ジュークボックス用ソリッドセンターのコンパクト盤を専門にプレスしていたそうです。

たいていの US コンパクト盤は、通常の LP と同じデザインの 7インチジャケットに入ってリリースされていたようです。ただ、一般市場に流通していたのかどうかはよく分かりません。
by Shaolin (2007-04-26 23:10) 

Shaolin

ジャケはこんな感じだったようです。
確かに前者の Blue Note のは「Little LP」と書かれてますね。
後者の Capitol のは、「For Coin Operated Phonographs Only」とあります。ってことはやっぱり一般市場には流通してなかったってことでしょうかね。

http://www.recordcollectorsguild.org/modules/PNphpBB2/files10/grantgreenllp.jpg
http://www.recordcollectorsguild.org/modules/PNphpBB2/files10/jukebox-cannballcov.jpg

うちにある Mercury / Limelight / Columbia の各コンパクト盤には、こういう記載はありませんでした。
by Shaolin (2007-04-26 23:22) 

parlophone

>どうやらそういうジュークボックスマシンもあったみたいです

なるほど、日本で使われていた規格以外のジュークボックスも当然あったわけですね。

>その名もズバリ Little LP という会社がコネチカット州にあって、
>ジュークボックス用ソリッドセンターのコンパクト盤を専門にプレスしていた

なるほど~。
しかし、ジュークボックス用ならば33回転にする意味がよくわかりませんよね。
ジュークボックスでクラシック聴いてたとか(笑。

>ジャケはこんな感じだったようです

残念ながらリンク先は
Sorry, but you are forbidden to reach this page!
Please try again using the links to the left.
と表示されて、左側のリンクをたどってもうまくBlue NoteのLittle LPにはたどりつけませんでした…。

しかし一般には流通しなかったLittle LP、やっぱりちょっと欲しいですね(笑。
by parlophone (2007-04-27 00:03) 

Shaolin

> ジュークボックス用ならば33回転にする意味がよくわかりませんよね。

上で載せた Roland Kirk のコンパクト盤のレーベルには「Compact 6」と書かれてましたよね。
要するに「片面に最大で3曲 = 両面で6曲入る」というのが売りだったみたいで。


> 残念ながら

こちらからどうぞ:
http://www.recordcollectorsguild.org/index.php?name=PNphpBB2&file=viewtopic&t=23299&postdays=0&postorder=asc&sid=06f352c014f1e195d374f1dc3c0e251b
by Shaolin (2007-04-27 00:09) 

parlophone

わざわざありがとうございます。
いや~、これはやっぱり欲しい(笑。
『Cash Box』誌のランキングは確かジュークボックスの人気度を統計したものでしたよね。
こんな感じで「the sidewinder」や「song for my father」、「midnight special」なんかがランク・インしたんでしょうね。

>「片面に最大で3曲 = 両面で6曲入る」というのが売りだったみたいで

なるほど。
1コイン?で3曲ぐらい聴けたわけですね…?
by parlophone (2007-04-27 00:25) 

MORE

7インチ盤でソリッドセンターのEP(と表記されていました)はあまり持っていませんが、手持ちを調べたらトッド・ラングレンで一枚ありました。
Time Heals b/w Tiny Demons : Bearsville BHS3522-EP
どこで手に入れたか記憶にないのですが(苦笑)、ひょっとしたらアルバムHealingにおまけでついてたか?

手放してしまって後悔したのはディランの日コロから出たコンパクト盤。
「雨の日の女」が入っていたヤツです。

あ、私はフツーにロックが好きだった少年でした(爆)
ただ、小学生の時から、という変わり者でしたけど…
by MORE (2007-04-27 10:24) 

parlophone

>7インチ盤でソリッドセンターのEPは…
>手持ちを調べたらトッド・ラングレンで一枚ありました
>ひょっとしたらアルバムHealingにおまけでついてたか?

そういうことってありますよね、これどこで手に入れたんだろう?…って(笑。
いずれにしても貴重品のような…。

>手放してしまって後悔したのはディランの日コロから出たコンパクト盤
>「雨の日の女」が入っていたヤツです

ああ、これはもったいないですね~。
ぼくも欲しいです^^
小学生からの筋金入りのロック少年としては悔やんでも悔やみきれないでしょうね^^;
by parlophone (2007-04-27 19:07) 

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