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バッド・カンパニーのアルバム [ブリティッシュ・ロック]

もともと「その後の物語」というものにあまり興味をもてない性格なのかもしれない。

ビートルズでいうと、たしかにジョンやポール、そしてジョージやリンゴのソロはそれぞれに魅力的だった。
ビートルとしての資質は、否がおうでもぼくの胸に迫るものがあった。

でもやっぱり、ラジオから聴きなれない曲が流れて来たと思ったらいきなり魂を鷲摑みにされて、そのまま遙かな空の高みまで連れて行かれ、見たこともないような素晴らしい景色が足元にパノラマのように広がっているのをうっとりしながら見とれているうちに2分何秒かが過ぎていた、なんていう経験をビートルズの新曲が出るたびに味わっていたのだから、そんなかれらが解散したあとの空虚はほんとうに大きなものだったし、そんなマジックがその後そう頻繁に訪れるはずもなかった。

   

フリーというバンドは大好きだったけれど、ポール・コゾフ、ポール・ロジャース、アンディー・フレイザー、サイモン・カークという4人が有機的に結合したバンドとしてのフリーが好きだったわけで、ポール・ロジャースがミック・ラルフスと新しいバンドを結成したと聞いてもあまり触手は動かなかった。
ちょうどロックから急速に興味を失っていった時期でもあったので、バドカンの音楽はレンタル屋で借りた古いベスト盤でしか聴いたことがなかった。

さてそこへ今回の紙ジャケである。
今はもうモット・ザ・フープルも知っているし、なにしろ50過ぎだ(笑。
なるべくいろんな音楽、とくに70年代のブリティッシュ・ロックは可能なかぎり聴いてやろうと思っているので、とりあえず最初の2枚を買ってみた。

   

さすがに「キャント・ゲット・イナフ」はよく知っているので、とりあえず1st に収録された「Ready for Love」に興味が向かう。

うん、これはミック自身が歌うモット・ヴァージョンとは雲泥の差ですね。
ポールのヴォーカルはやっぱりうまいなあ。
当時まだ20代半ばだっただろうに、すでに渋みさえ感じられる。
モット版「Ready for Love」はなんとなくグランド・ファンクみたいなアメリカン・ロックっぽいイメージがあったのだが、じつに深みのあるブリティッシュ・ロックになっている。

全体的にミックのギターは、コゾフの「魂のチョーキング・ヴィブラート」に象徴される凄み、重厚さのようなものはないが、キャッチーなリフと歯切れのよいカッティング、そして厚いトーンでバンドのカラーを塗り分けていく。

   

1st はコーティングのないE式のゲイトフォールド・スリーヴ。
内側は4人の華やかなステージ写真だ。
プレーンなホワイトのインナーが復刻されている。
レーベルはUK盤のアイランド・レコードではなくスワン・レーベルになっている。

   

2nd 『ストレート・シューター』はやはりコーティングのないE式のスリーヴでこちらはシングル・ジャケ。

   

カジノで正装した4人(でも裏は思いっきりカジュアル)のユーモラスな写真のインナーがついている。

   

ちょっと気になるのはマスタリングが94年と古いこと(なにしろ13年前だ)と価格だ。
イーグルスのときは特別定価2100円、パープルのときは特別定価2200円、今回は定価2300円。
このままでいくと10年後には3300円だぞ…。
ヲイヲイ。


タグ:フリー
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deacon_blue

☆ 層ですね。これ(価格)が,不満でまだ買っていません。ポール・ロジャースとブライアン・メイが同じバンドに居る今日この頃が,微妙な感じです(苦笑)。
by deacon_blue (2007-03-11 00:43) 

lonehawk

遼さん、こんばんは!
コメント&TBありがとうございました。
こちらからもTBさせて頂きますので、宜しくお願い致します。

バドカン好きとしては、紙ジャケ化をキッカケにして多くの人が聴く機会が出来て嬉しいです。
何しろ、しばらくCDではファースト以外は廃盤で、国内盤では2枚組アンソロジー以外でリマスター音源でのリリースがなかったですから・・・。
そういえばワーナーの紙ジャケ価格はジワジワと上がってきていますが、5月のリトル・フィートの1枚モノの価格は何故か2,200円みたいなので、ダブルジャケや特殊ジャケがラインナップに多いと価格に反映されるのかな?なんて考えちゃいます。
by lonehawk (2007-03-11 01:58) 

parlophone

deacon_blueさん、初めまして。
いつもnice!をありがとうございます。

ぼくみたいに紙ジャケになるとついフラフラと買ってしまうんではなく、きっぱりとした態度がいいですね^^

ぼくもフリー~バドカン~ファームとブルーズ・ロック、ハード・ロックの王道を歩いてきたポールがQUEENというのは違和感がありました(笑。
by parlophone (2007-03-11 10:24) 

parlophone

lonehawkさん、コメント&トラバありがとうございました。

>CDではファースト以外は廃盤で、国内盤では2枚組アンソロジー以外で
>リマスター音源でのリリースがなかった

バドカンみたいな超有名グループ(来日公演も大人気だったんでしょ?)がそんな扱いだったんですか!
今は紙ジャケにさえすればそこそこ売れるようですからいい時代になりましたね~(笑。

ぼくもリトル・フィートはすごく楽しみです^^
そうですか2200円。
どうしてそんな風に価格が上下するんでしょうねえ。
by parlophone (2007-03-11 10:33) 

nowatts

私のポール・ロジャース、リアル体験はここからですのでとても思い入れがある二枚です。UK、日本盤ともレーベルはアイランドのカスタムレーベルですね。Ready for Loveは(たぶん)ポールの弾く「ヘタウマ(ヘタヘタ?)ピアノソロが何かいいんですよねー。これが聴きたくてときたまレコード引っ張り出したりします。この頃のポールとミックのタッグは強力ですが、さりげにサイモン・カークの書く曲がいいバラードだったりして役者ぞろいですね、やっぱり。
by nowatts (2007-03-12 00:35) 

parlophone

nowattsさん、こんばんは~。

>レーベルはアイランドのカスタムレーベル

そうでしたか。
ありがとうございます。

>ポールの弾く「ヘタウマ(ヘタヘタ?)ピアノソロが何かいいんですよねー。
>これが聴きたくてときたまレコード引っ張り出したりします

うんうん、わかるような気がします^^

>さりげにサイモン・カークの書く曲がいいバラードだったりして

お、気がつきませんでした。
また楽しみが一つ増えました。
ありがとうおざいます^^
by parlophone (2007-03-12 01:37) 

nowatts

>サイモン・カークの書く曲
「Shooting…」なら「Anna」ですかね。「コソフ・カーク・テツ・ラビット」の再演ですがこっちのほうが全然いい。
バドカンの魅力って簡単に言うと「わかりやすさ」だと思うんですよね。「アメリカナイズされたブリティッシュロック」というスタイルを確立したバンドという点で大いにその後に(特にアメリカのバンドに)影響を与えたような気がします。ボストンもフォーリナーもキッスもボンジョビもジャーニーも「このパターン」を上手く踏襲して売れたわけで。でもやはりあまたのポップロックバンドにないのはポール・ロジャースのボーカルの非凡さですが・・・。あと、4人の中で一番「変」なのは故ボズ・バレルですが、最近カークはインタビューで音楽的な知識は豊富だが彼自身にベーシストとしての確立されたものがなかった(彼のベーシストとしてのキャリアはクリムゾン参加後なので一年半足らずしかない)のが、かえってマッチした、という趣旨のことを言っていました。あまり目立ちませんがあのバンドでフレットレス・ベースですからね。意外なバドカンらしさの「核」かもしれません。合掌。
by nowatts (2007-03-12 18:29) 

nowatts

>「Shooting…」なら
「ストレート・シューター」なら の間違いでした
失礼しました。
by nowatts (2007-03-12 18:31) 

parlophone

>「アメリカナイズされたブリティッシュロック」というスタイルを確立したバンド

なるほど~。
言われてみればなるほどそうですね!
納得です^^

>あのバンドでフレットレス・ベース

え゛ーーっ、そうだったんですか。
それはすごい!
紙ジャケの大鷹俊一さんの解説を読むと、もともとギタリストだったボズに
「クリムゾンのヴォーカルはベーシストだから」って、フリップが無理やりベースを押し付けたらしいですね。
なんだか情景が目に浮かぶような逸話ですよね…^^;

「Anna」、コソフ・カーク・テツ・ラビットとバドカンで聴き比べてみます^^
楽しみだなあ。
by parlophone (2007-03-13 00:01) 

路傍の石

遼さん、ご無沙汰です。

バドカンというと個人的に真っ先に思い浮かべるのが、
76年、拙が中3のとき新作でリリースされた『RUN WITH THE PACK』です。
ジャケもギンギラ銀のエンボス加工で
デザイン的には歴代のアルバムではこれが1番目立ってました。

でもそれがリリースされた76年あたりをピークに
人気は下降線を辿っていくんですよねぇ。
次に出された『BURNIN' SKY』も楽曲自体は悪くないんですが、
アメリカン・ロックっぽい大味なノリになってしまってガッカリ。
ミック・ラルフスの資質からくる限界みたいなものも感じましたね。
こりゃフォリナーにおいしいところを持ってかれたなと、
しょせん洗練されたアレンジのセンスではフォリナーには敵いと。

当時のテレビ用にシューティングされた
ライヴ映像(活動後期の恐らく米国ツアー時のもの)を観たことあるんですが、
何やら着飾ったロジャースがピアノの弾き語りで
鷹揚に歌い上げるというようなムードで、
まるでラスベガスのステージみたいな雰囲気でした。
バドカンっていつからブルジョアのバンドになったんだ?みたいな(笑)。
そういえば『ROUGH DIAMONDS』なんて、
自らを揶揄すようなまんまラスベガスなジャケでございました。

結局は1stを超えるものは出せなかったんじゃないでしょうかねぇ。
そんな失意のどん底に叩き落とされた拙を驚かせたアルバムが、
83年のロジャース初ソロアルバム『CUT LOOSE』でした。
ラウドでルーズなハード・チューンから
フリー時代を彷彿とさせるロンサムなバラードまで、
ポール・コゾフの魂が乗り移ったかのような泣きのギターも満載。
ちなみに、すべての楽器をロジャース本人が演奏してます。
曲の出来にムラはあるものの、
ショウビズに捉われないロジャースの本音が出たサウンドで、
フリー時代からのロジャース・ファンにはぜひ聴いて欲しいアルバム。
これも一緒に紙ジャケ化してほしかったです。

ところで、1stの見開きジャケ内側のデザインが
USスワン・ソング盤は異なっていて、
メンバー4人をバストショットで捉えた集合写真でした。
オリジナル・ジャケはあくまでもUKアイランド盤のものだと思います。
なので、やはり違和感がありますでしょうか。
拙が購入したレコはUS盤のほうでした。
by 路傍の石 (2007-03-13 18:21) 

parlophone

路傍さん、どうもです。
バドカンの末路にはそういう物語があったのですね。
ラスベガス、ブルジョア…。
ポール・ロジャースには似合わない(似合ってほしくない)シチュエーションですよね。
そうかあ、「アメリカン・ロックっぽい大味なノリ」かあ。
なんだか哀しい感じですね。

それにひきかえソロ第1作『CUT LOOSE』、すごくよさそうですね!
ぜひ聴いてみたいです。
早く紙ジャケにならないかなあ(笑。
by parlophone (2007-03-14 00:03) 

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