SSブログ

『アート・ブレイキーズ・ジャズ・メッセンジャーズ・ウィズ・セロニアス・モンク』 [JAZZの愛聴盤]

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズはモダン・ジャズ界でも屈指の名コンボといわれたわけだが、結成された1955年から60年代初めごろまでのトランペッターの変遷を見てみると、初代ケニー・ドーハムから、ドナルド・バード~ビル・ハードマン~リー・モーガン~フレディ・ハバードと移り変わり、サックス奏者で見ると、ハンク・モブリー~ジャッキー・マクリーン~ジョニー・グリフィン~ベニー・ゴルソン~ウェイン・ショーターと交代していくわけで、いかに錚々たるメンバーだったかがよくわかる。

ところが56年から57年にかけて、メンバーでいうとトランペットにビル・ハードマン、ピアニストにサム・ドッケリーが在籍していたころのジャズ・メッセンジャーズには名盤といわれるものがほとんどない。
実際にぼくが聴いた何枚かのアルバムも、印象に残るものではなかった。
そのなかで唯一名演として知られているのが、ピアニストにセロニアス・モンクを招いてアトランティック・レーベルに吹き込まれた『ウィズ・セロニアス・モンク』だ。

     

もともとブレイキーとモンクはたいへんに相性のいい組み合わせとして知られていたようだが、ここでも相変わらずワン・アンド・オンリーの境地を示すモンクに、ブレイキーがじつに巧みなサポートをみせて飽きさせない。

曲は「Evidence」、「In Walked Bud」、「Blue Monk」、「Rhythm-a-ning」といったおなじみのモンクのオリジナルに、1曲ジョニー・グリフィン(ts)作のブルーズが含まれている。

のちにモンク・カルテットに参加するグリフィンの、例によって奔放で疾走するかのようなソロも素晴らしいが、ここではビル・ハードマンのトランペットやスパンキー・デブレストのベースもじつにいい。
ハードマンは個人的にはへなちょこ(失礼!)ペッターのイメージがあるのだが、たとえばオープニングの「Evidence」では中域を中心に組み立てたモノクロームのような渋くて緊張感溢れるソロで聴き手をぐっと掴んで離さない。

先日リリースされた紙ジャケは、音のほうも悪くなくお薦めだ。


nice!(1)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 6

Refugee

遼さん

こんな盤があったんですね。知りませんでした。(まあ、私の場合、まだまだ知らない盤のほうが多いんですが 笑)

これは是非聴いてみたいですねぇ。
Roach大好きの私も、ことMonkに関しては、断然Blakeyとやってるときが好きです。
by Refugee (2007-03-08 14:07) 

parlophone

Refugeeさん、どうもです。
そうなんですよ。
このハードマン~ドッケリー組はレーベルもRCAとかベツレヘム、サヴォイなどあちこちに散らばっているので(リヴァーサイドもこの時期だったかな?)うっかり見落としても気がつかない時期ですよね。

ぜひ聴いてみてください。

ぼくもスマートでクールなローチと豪快だが繊細な(笑)ブレイキー、どちらも好きですが、それぞれの相性があると思いますね。
by parlophone (2007-03-08 20:55) 

幻燈遮断機

このシリーズ、僕はオーネット・コールマンとMJQを買いました。
が、遼さんが取り上げるジャズ盤はなるべく聴きたいと思っているので、探して聴いてみます。
面白そう!
by 幻燈遮断機 (2007-03-10 17:22) 

parlophone

>オーネット・コールマンとMJQ

『JAZZ来るべきもの』と『フォンテッサ』でしょうか?
chitlinさんとこにも書きましたが、もし未聴でしたら『フリー・ジャズ』も聴いてみてください。
フリーのシュトルム・ウント・ドランクです^^
by parlophone (2007-03-10 23:38) 

幻燈遮断機

オーネットは「世紀の転換」、「ジャズ、来るべきもの」、「フリージャズ」です。
MJQは「たそがれのヴェニス」一枚です。

遼さんが薦めてくれたマイルスの「カインド・オブ・ブルー」は、紙ジャケはもう品切れらしいので、プラケで聴くことにしようと思ってます。

今、チャーリー・パーカーのサヴォイとダイヤルの音源を聴きまくってます。
とりあえず、パーカーを耳に刷り込もうと楽しんでいます。
ダイヤルでは、若きマイルスも登場するんですね。

僕は遼さんのブログを見ていなければ、ジャズという素晴しい音楽にあまり興味を持たずに終わっていたかもしれません。

今後ともよろしく!ありがとう!
by 幻燈遮断機 (2007-03-11 20:29) 

parlophone

『世紀の転換』ってContemporaryでしたっけ?
聴いたことないなあ~^^;

>チャーリー・パーカーのサヴォイとダイヤル

いいですね。
パーカーを聴くと、モダン・ジャズが生まれる現場に居合わせているかのような興奮を覚えます。
そしてキラ星のような名曲の数々。
「Scrapple from the Apple」、「Lover Man」、「Confirmation」、「Embraceable You」…
若き日のディジー、マイルズ、ドーハム、デューク・ジョーダン、アル・ヘイグ、マックス・ローチ…etc.

ちょっと猫背になって没頭してる幻ちゃんの姿が目に浮かびます…(笑。
by parlophone (2007-03-12 00:00) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。