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『クラッシュ』 [ぼくのシネマノート]

2006年第78回アカデミー賞作品賞、脚本賞など3部門を受賞した『クラッシュ』をDVDで見た。

これは見事な群像劇だ。
登場人物はみんなそれぞれ心に何かを抱えている。
苛立ち、怒り、憎しみ、痛み、孤独、鬱屈、野心…。
(そしてそれはぼくたちも同様なのだが)

   

そんな登場人物たち、黒人の刑事とその母親、ヒスパニックの女性刑事、白人の検事とその妻、かっぱらいや窃盗を繰り返している黒人の2人組、差別主義者の白人警官とその若い相棒、黒人のTV演出家とその妻、中東出身の商店主親娘、黒人の鍵屋とその娘、中国人の夫婦…、かれらはいくつかの交通事故(クラッシュ)や人としての衝突(クラッシュ)で線として繋がっていく。

   

すべての点がひとつに繋がる訳ではないし、いくつかの点は最後まで無関係だ。
そしてかれらはその出会いと衝突を通じて心にあるものを溶かしていくのだけれど、すべての人物が救われるわけではない。

けれども見終わったあとには、確かにいい映画を観たという実感が残る。

   

マット・ディロン、久しぶりに観たけれどいい俳優になりましたね。

2005年 ライオンズ・ゲイト・フィルムズほか 112分
DVD シネマスコープ・サイズ(スクィーズ)
画質=★★★★(最高は★5つ)
字幕の大きさ=小


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MORE

アカデミー作品賞の映画って文芸大作!みたいなのが取った時は見ませんが、クラッシュみたいなちょっと王道から外れた作品は見たくなりますね。
私もちょっと以前にDVDで見ました。
まず驚いたのはサンドラ・バロックが別人のような演技だったことですね。出番は少なかったですが役に成りきっていましたね。
次にこの映画のキーになるヒスパニックの女の子。澄んだ瞳のメッチャ可愛い娘ですよね。最初はこの可愛さでキャスティングしたのか?と勘ぐりましたが、その後の重要な展開に及んで、「なるほどこの役にはこの子のような容姿が必要」と納得しました。
映画の流れとしてはアルトマンのプレイヤーズに似ていますが、こじつけっぽくなく「偶然」が重なっていくストーリー展開と演出・編集は見事でした。
ただ、異人種問題があまりに色濃く、LAとかNYみたいな人種のルツボ的な街に住んでいる人以外にはピンとこないかなあという部分はありましたけど、「アメリカはそれでもこんなにちゃあんとやっているぞ」というような予定調和っぽいメッセージ色は薄かったので4ツ星あげてもいいかなー。
by MORE (2006-11-01 09:51) 

parlophone

>サンドラ・バロックが別人のような演技だったこと

たしかに彼女にしては珍しい役でしたね。

>この映画のキーになるヒスパニックの女の子
>澄んだ瞳のメッチャ可愛い娘ですよね

脚本賞はこのシーンではないか、というぐらいの重要なシーンですよね。
伏線の張り方も、どんでん返しの手法もお見事! でした^^

>映画の流れとしてはアルトマンのプレイヤーズに似ていますが

お、その映画観てないような気がします…。
今度チェックしてみますね!
by parlophone (2006-11-01 22:20) 

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