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荒井由実 『ひこうき雲』のアナログ盤 [ユーミン]

『レコード・コレクターズ』誌で4月号から始まった連載がある。
田山三樹氏の「アルファの宴~YMOを世に出したレコード会社の興亡」という記事だ。

『レココレ』誌をそんなに熱心に読んでいるわけではないぼくは、途切れ途切れにしかその記事を見ていないが、7月号に掲載された帯の写真を見て驚いた。
ユーミンのデビュー・アルバム『ひこうき雲』のキャッチ・コピーは「魔女か! スーパー・レディか! 新感覚派・荒井由実 登場!!」というものだったのだ。

アルファ・レコードによって制作された1st アルバムが東芝EMIのエクスプレス・レーベルからリリースされたのは1973年の11月だったから、彼女は当時19歳。
そんなうら若い新進のシンガー・ソングライターを売り出すのに「魔女か!」はないだろう…(笑)。

まぼろしのデビュー・シングルといわれる「返事はいらない」こそ記憶に残っていないが、セカンド・シングル「きっと言える」をラジオで聴いたときからぼくは彼女の歌に惹かれた。 でもアルバムを買ったのは75年の『COBALT HOUR』が最初で、『ひこうき雲』と『MISSLIM』は80年ごろの再発(アルファ・レコード)盤しかもっていない。

その再発盤も、もう帯はどこかへ行ってしまって見ることはできないが、milk-teaさんのブログに刺激されてアナログ盤『ALBUM』を手に入れたときに、エクスプレス盤の帯つきもいっしょにGETしてみた。
幸いほとんどミント状態のものを手に入れることができたのできょうはそれをご紹介しよう。

   

ただし、ぼくが手に入れたのは価格が2,000円から2,300円になり、レコード番号もEAP-72051となった2nd プレスだ。
1st プレスはカタログ・ナンバーETP-9083で、厳密にいえば、最初期のものは「HIKO-KI GUMO」というタイトルの上に大きく「ALFA」と書かれていたそうだから、ぼくが持っているのは3rd プレスといったほうがいいかもしれない。)

これがその帯だ。
この帯自体も1st プレスのものはもっとシンプルだったようだが、コピーは変わっていない。
う~ん、ユーミン、複雑な心境だっただろうなあ(笑)。

   

さて、ぼくが持っている再発アルファ盤と比較してみよう。
左が東芝エクスプレス盤だ。

   

フロント・カヴァーの右上にあったエクスプレスのロゴ・マークとカタログ・ナンバーが再発盤ではなくなっている。
それ以外は紙質もインクの色もほとんど違いがわからないほどよく似ている。
ピアニストであるユーミンらしい、楽譜を模したテクスチャー仕様のスリーヴはシンプルながら豪華な感じがする。

   

バック・カヴァー。
再発盤はエクスプレスのロゴの代わりにアルファのマークがある。
そのほかカタログ・ナンバー(ALR-4006)、1980 by ALFA RECORDINGS.INC.,TOKYO JAPAN といった表記がある。

スパイン(背表紙)の表記はオリジナルが日本語だったのが、英語表記に改められている。

   

「誕生日」と題された詩や彼女のイラスト、そして歌詞などが印刷された12ページにもわたるインサートがついている。
新人としては破格の扱いではないだろうか。
アルファ・ミュージックがいかに大きな期待をユーミンにかけていたかがわかる。

   
   (左がオリジナルで右が再発盤のもの)

イラストとバイオグラフィの部分。

   

画像ではわかりにくいと思うけれど、オリジナル版はブラックの薄い紙にシルヴァーのインクで印刷してあった。
再発版は紙質こそ厚めになったが、グレーのインクに変わり、それだけ平凡な感じになった。

   

レーベル。
やはり東芝エクスプレスの青いレーベルこそ初期のユーミンにはふさわしい気がするなあ。

   
   (このレーベルの写真だけ再発が左になってしまった^^;)

セカンド・シングル「きっといえる」は大ヒットこそしなかったが、1st アルバムはキャラメル・ママをバックに従えて話題性十分だったし、2nd アルバムの『MISSLIM』からは「やさしさに包まれたなら」や「12月の雨」、「海を見ていた午後」、「魔法の鏡」などのヒットも出て、ユーミンは瞬く間にメジャーになっていった……

というのがぼくの記憶なのだが、「アルファの宴」を読むと事実はそうではなかったようだ。
「やさしさに包まれたなら」はTV・CFに使われてそこそこ話題にはなったものの、75年の「ルージュの伝言」がシングル・ヒットするまではなかなか売れず、「あの日に帰りたい」がTBSドラマの主題歌になってやっとブレイクした、というのだ。

いや~、人間の記憶って曖昧なものですね。

ちなみに昔からのファンの人はよくご存知だと思うが、『MISSLIM』に入っている「魔法の鏡」のアルバム・ヴァージョンはシングル盤とは歌詞の一部が違っている。
シングル・ヴァージョンは『ユーミン・ブランド』に収録されているので、要チェックである。


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路傍の石

アルファのレーベル・デザイン懐かしいです。YMOがこのレーベルだったからよく覚えているのですが、ユーミンの80年代再発もこれだったんですねぇ。なんか違和感ありますね(笑)。

ジャケの体裁ですが、数年前にリマスターで再発になったとき通常のプラケでしたが、ジャケ(ブックレットの表紙)の紙質はオリジナルと同じテクスチャー仕様、さらに別添でオリジナル通りのブックレットも付いていてインクもシルバーの特色で刷られています。レーベル・マークはEXPRESSに戻っているのですが、残念ながらブルーの地色で再現されませんでした。

> 75年の「ルージュの伝言」がシングル・ヒットするまではなかなか売れず、「あの日に帰りたい」がTBSドラマの主題歌になってやっとブレイクした、というのだ。

拙が初めてユーミンを知ったのがその「あの日に帰りたい」。今記憶を辿っていたら、75年の晩秋から冬にかけての季節だったことを思い出しました。当時拙は中学2年でした。気だるくて変わった声だなと、そのことばかりが印象に残りましたね。そして、翌年に初のベスト盤『ユーミン・ブランド』がリリースされて、クラスメートなど周囲に急にファンが増えましたね。
by 路傍の石 (2006-10-30 20:04) 

parlophone

路傍さん、どうもです。

>YMOがこのレーベルだったからよく覚えているのですが

なるほど~、そういう由緒あるレーベルだったんですね~。

数年前のリマスターCDが、テクスチャージャケ、シルヴァーの特色ブックレット、エクスプレス・レーベルとは驚きました。
リリースはアルファ・ミュージックですよね?
そういうオリジナルに近づけたかたちで紙ジャケが出ませんかね?
いや、出たら出たで困るけど…(爆。

>今記憶を辿っていたら、75年の晩秋から冬にかけての季節だったことを思い出しました

おお、中2ですか!
今度機会があったら路傍さんのブログで、ぜひそのあたりのお話を伺いたいですね~。
by parlophone (2006-10-31 00:14) 

MASA

私がリアルタイムで初めて買ったユーミンは「ミスリム」ですが、「ひこうき雲」はそのあとまもなくして中古で入手しました。ジャケに大きいALFAの文字はありませんが、「魔女か!スーパー・レディか!〜」のコピーが書かれた銀色の帯も付いているETP-9083です。ちなみにこのレコード番号のものまでジャケはゲイト・フォールドになってます。紙ジャケでも持ってますよ(^ω^)。

あ、遼さん、milkさんのために私が「ALBUM」のCD-R焼いてもあげていいですかね?どーしょーかなー、と思っていたもので、ご面倒なら私にお任せください^^。
by MASA (2006-10-31 00:26) 

parlophone

>私がリアルタイムで初めて買ったユーミンは「ミスリム」ですが

おお、ぼくより先輩じゃないですか~。

>銀色の帯も付いているETP-9083です
>ちなみにこのレコード番号のものまでジャケはゲイト・フォールドになってます

なんですって!?
ゲイトフォールド!!?
知らなかった~~!!
そうだったんですか。
せっかく苦労してオークションで競り落としたのに…(←ウソ^^;)
今度MASAさんのブログで紹介してください。

>「ALBUM」のCD-R

けっして面倒というわけではないのですが、ノートじたいが年代ものなので、CD-Rがうまく焼けそうにないんですよ…。
今度の日曜日にもう一度試してみますので、それでダメだったらお願いします。
すみませんm(_ _)m
by parlophone (2006-10-31 00:58) 

MASA

そう、ゲイト・フォールドなんですよね。じゃあ近日中に私のブログに載せてみますので、ご覧下さい^^。

>けっして面倒というわけではないのですが、ノートじたいが年代ものなので、CD-Rがうまく焼けそうにないんですよ…。
今度の日曜日にもう一度試してみますので、それでダメだったらお願いします。

了解です!
by MASA (2006-10-31 01:16) 

parlophone

MASAさん、ありがとうございます。
ゲイトフォールドの『ひこうき雲』楽しみにしてますね。
ちょっとヤフオクをチェックしてみたら、銀帯の『ひこうき~』はサイン付35,000円というのしか出品されてませんでした。
さすがにユーミンのレコードに35,000円は出せないなあ~^^;
by parlophone (2006-10-31 21:47) 

MASA

¥35,000のサイン付き「ひこうき雲」見てみました。う〜ん、値段高杉ですね(笑)。
見本盤白レーベルの「ALBUM」が¥88スタートで出てましたね。入札しちゃおうかなあ^^。
「ひこうき雲」はたぶん明日UP出来そうなので、お楽しみに〜。
by MASA (2006-10-31 22:16) 

parlophone

見本盤白レーベル見てきました。
ジャケットは「SAMPLE」ですが、実際は「見本 非売品」だったんですね^^
音はどうでしょうか。
気になりますね~(笑。

UP楽しみにしてますが、無理はなさらないでくださいね。
そろそろ次の出張ですよね?
by parlophone (2006-10-31 23:24) 

V.J.

遼さん
こんばんは。
こんな僕でも、たった一度だけ、ユーミンのひこうき雲を記事にした事があります(笑)
遼さんの記事を読んでいると、ヴァイナル・ジャンキーとはこういう人のことを言うんだなぁ~。と、つくづく思います。
勉強(&堪能)させてもらいました。
by V.J. (2006-11-01 02:10) 

ノイ

遼さん こんにちは。お邪魔します。
ひこうき雲に思わず反応してしまいました(笑)
私もリアルタイムにミスリムの世代ですが、
初回盤を買ったはつい4~5年前でした。
遼さんと同じで最初はその帯のやつで聴いてたんですが
(でもl見開きでしたけどね。だからそれは4thになるんじゃないかと)
なんか音が違う気がして いろいろ調べるとでかいALFAロゴ
のが初回だけど、ほとんど出回ってないらしくて断念しました。
じゃ銀帯のを買ってみようと これは少しマシな感じがしました。
まぁALFAロゴは高くて買えそうにないですから これで我慢です。
当時の記憶だとファーストとミスリムはほとんど同時期に出たような
感じでした。ミュージック・ライフの広告にタケカワのファーストソロと
ミスリムが同じ号に載っていた記憶があります。

んで、ミスリムはもっと悲惨で、帯つきの(この帯は遼さんの雲と
同じデザインが初回のようです)きれいなのを聴いてたのですが、
ある日ハードオフで50円でボロボロのがあったのでなぜか買ってみました。
これが聴いてびっくり めちゃくちゃ音がよかったんです。差がありすぎです。
ヴォーカルの艶、楽器の唸り どれを取ってもjobeteと6Nくらい違います(笑)
外見は全く同じなんですが、マトリクスのサブコードに差がありました。
東芝が全部がそうとは言えませんが、これだけ違いがあると参ったな~と
それ以来ズタボロのミスリムが愛聴盤になっています。
東芝のサブコードについては少し深入りしなきゃいかんな~と思ってます。
by ノイ (2006-11-01 17:22) 

parlophone

V.J.さん、どーもです^^

>こんな僕でも、たった一度だけ、ユーミンのひこうき雲を記事にした事があります(笑)

思い出しました~。
カビだらけの100円のレコードが見事に復活するヤツですね。
あれが『ひこうき雲』でしたか…。
金をかければいいってもんじゃない!
というお手本のような記事でしたね。

>ヴァイナル・ジャンキーとはこういう人のことを言うんだなぁ~

え??
え???
ええ???????

いやいや、やはりV.J.さんこそヴィニール・ジャンキーでしょう(笑。
ぼくの記事のどこが勉強なのか、まじ1ミクロンもわかりません^^;
by parlophone (2006-11-01 21:05) 

parlophone

ノイさん、こんばんは。
こちらでは「初めまして」ではないでしょうか^^

>最初はその帯のやつで聴いてたんですが(でも見開きでしたけどね
>だからそれは4thになるんじゃないかと)

うげげ、4thですか。
がっくりくるなあ~(笑。

>まぁALFAロゴは高くて買えそうにないですから 

な~るほど、ユーミンのレコードでもやはりプレミア付はあるんですね…。

>50円でボロボロのがあったのでなぜか買ってみました。
>これが聴いてびっくり めちゃくちゃ音がよかったんです。差がありすぎです
>ヴォーカルの艶、楽器の唸り どれを取ってもjobeteと6Nくらい違います

う~ん、なんとわかり易い喩えなんだ…^^。

>東芝のサブコードについては少し深入りしなきゃいかんな~と思ってます

そうなんですか…。
それにしても、初めがよすぎるんじゃなくて、後が悪すぎるんですよね。
まいったなあ…^^;
by parlophone (2006-11-01 22:12) 

ノイ

遼さんどうもです

> うげげ、4thですか。
シングルジャケで2000円のがあって、へたすりゃシール対応2300円
もあった日にゃ5thプレスまでいっちゃいますね(笑)
ただし、デカいALFAは自主制作みたいなもんで
関係者あたりにしか出てないらしいですから、
市販オリジナルとしては銀帯でいいんでしょうね。
(そうすっと4thにまで格上げ(笑))

> それにしても、初めがよすぎるんじゃなくて、後が悪すぎるんですよね。
たぶんそうなんでしょうね。バーニー・グラントマンリマスターのCD聴いても
鮮度はLPの方がはるかに上だと感じました。
それにしてもキャラメル・ママはたいしたもんじゃのう と聴くたびにシビれます。
by ノイ (2006-11-02 00:26) 

parlophone

>デカいALFAは自主制作みたいなもんで
>関係者あたりにしか出てないらしいですから

あ、そうなんですか。
そりゃあ、プレミアもつくわな~^^;

>バーニー・グラントマンリマスターのCD聴いても
>鮮度はLPの方がはるかに上だと感じました

ぼくはアナログしか持っていないんですが、それは残念ですね。
『COBULT HOUR』以降は発売日に買っているので1st プレスだろうと思うのですが、『ひこうき雲』はやはり欲しいですね~。

キャラメル・ママ、当時のバンドとしてはほんとすごいですね。
個人的にははっぴい・えんどのほうがすごいと思ってますけど^^
by parlophone (2006-11-02 01:21) 

ノイ

> 『ひこうき雲』はやはり欲しいですね~。
ETP-9083はヤフオクにもゴロゴロ出てますよ
状態さえ贅沢いわなきゃ安く買えると思います

> 個人的にははっぴい・えんどのほうがすごいと思ってますけど^^
もちろんそうなんですが。林立夫のドラムが捨てがたいんですよね
そういや天神の風街珈琲店ってまだあるんですか?(JUKEの1階)
焼けてしまった水鏡天満宮商店街にあったペリエという喫茶店も懐かしいな
(実は私福岡出身なんです)
by ノイ (2006-11-02 01:46) 

parlophone

>状態さえ贅沢いわなきゃ安く買えると思います

それがけっこう贅沢いうタイプなんですよ…^^;
だから困っちゃうんです(笑。

>林立夫のドラムが捨てがたいんですよね

ああ、ぼくも彼のドラム、好きですね~。

>天神の風街珈琲店ってまだあるんですか?(JUKEの1階)

そういえばJUKE RECORSDSもずいぶん長いあいだ行ってないなあ~。
風街珈琲店ってありましたっけ?
知らないです^^;

そういえばチューリップの財津さんの喫茶店もなくなっちゃったなあ…。

>実は私福岡出身なんです

そうだったんですか!
実は昔あそこにこんな店があって…的な話、お伺いしたいですね~^^
by parlophone (2006-11-02 21:11) 

fush

遼さん,はじめまして。
ひこうき雲は,十代のころに聴いたとても懐かしい曲です。
このあたりから,ユーミンの曲を聴き始め,高校時代は
ユーミン一色でしたー。
卒業のシーズンに聴いた「時のないホテル」のなかの
「水の影」が,大好きでした。
また伺わせてください。
by fush (2008-02-14 00:27) 

parlophone

fushさん、はじめまして。
ようこそいらっしゃいました。
管理人の遼(Parlophone)です。
よろしくお願いいたします。

>高校時代はユーミン一色でしたー

おお、そうですか~。
ぼくのまわりにもユーミンの好きな高校生が何人かいましたね。
fushさんも書いていらっしゃいましたが、ユーミンの「奥行きのある歌詞」にいちばん心揺さぶられるのは高校生ぐらいの、センシティヴな年代のひとたちでしょうね。

これからもよろしくお願いいたします。
by parlophone (2008-02-14 22:20) 

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