SSブログ

ザ・ミレニウム 『ビギン』 [紙ジャケ]

それほど期待して買ったわけでもなかったブルーズ・ジョンストンの『歌の贈りもの』があまりにすばらしかったので、Sony Musicのソフト・ロック・シリーズからもう1枚買ってみた。

『歌の贈りもの』のヴォーカル・アレンジを担当したカート・ベッチャーが在籍したグループ、ザ・ミレニウムの唯一のアルバム『ビギン』だ。

   

ソニー・ミュージックのサイト「HIGH-HOPES」によると、1968年にリリースされたこのアルバムは、いち早く16トラックのレコーダを採用してレコーディングされたが、内容が前衛的すぎるという理由であまり注目も集まらなかったらしい。

さて、聴いてみた印象は…。

もう「すばらしい!!」のひとこと。

ぼくはコーラス・ワークを重視したロック・グループが好きで、ビートルズももちろんこの範疇だが、バーズやバッファロー・スプリングフィールド、クロスビー・スティルズ・ナッシュ(&ヤング)、S&G、イーグルスあたりが大のお気に入りなので、「コーラスが美しい」という惹句にはとても弱い。

でも聴いてみて「すばらしい!!」と思うグループはそんなにはいない。
ほとんどはグルーヴという点で「ロック」を感じないのである。
「コーラスの美しいROCK」が好きなんだな(←わがまま^^)

しかしこのアルバムはすごく気に入った。
全編をとおして見事なコーラスとパーカッシヴなグルーヴがとても魅力的だ。

Prelude」という1曲目はその名のとおり「前奏曲」的なインストゥルメンタルだが、左チャンネルから流れてくるチェンバロ風のアルペジオにすぐコンガのリズムが載り、右チャンネルからはスネアやバスドラがガンガン響き渡るドラムスが聞こえてきたかと思うと、オルガンがオペラのジングル風のニュアンスを表し、そのままのリズムで2曲目の「To Claudia on Thursday」に繋がっていく。
ちょっと聞くとミス・マッチにも思えるクィーカが爽やかなラヴ・ソングに天国的な彩を添えている。
ぼくも木曜日のクラウディアとやわらかな草の上に寝ころんで風の音を聴いていたい……。

3曲目の「I Just Want to Be Your Friend」はちょっと胸がキュンとなるよなメロディーが美しい曲で、いかにも60年代末らしいエレキのフレーズやちょっとサイケなアレンジが楽しい。

フォーク・ロックっぽい「5 A.M.」はキャッチーなメロディや美しいコーラスも素敵だが、それよりもコンガやドラムスが目立つというおもしろいアレンジ。

イントロのリフから美しい「It's You」もコーラス・アレンジと並んでパーカッションのアクセントが効いている。

11曲目の「The Know It All」なんかも響き渡るとティンパニとトランペットがヴォーカルに絡んでじつにパンキッシュな名曲だ!

解説の長門芳郎さんの「カリフォルニア・プログレッシヴ・ソフト・ロック」という分類にはちょっと笑ったが、たしかにコンセプチュアルな味付けもあり、プログレっぽくもある(笑。

紙ジャケは個人的にはそれほど面白いとも思えないデザインだが、コーティングのない厚紙のA式スリーヴで、インサートと白いプレーンなインナーが付属している。
レーベルは2 Eyes

いやあ、こんな名盤がまだまだあるんですね。
おそれいりました。

これはサジタリアスも必聴かぁ?


nice!(0)  コメント(16)  トラックバック(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 16

Shaolin

> これはサジタリアスも必聴かぁ?

Millenium にハマったのでしたら、Sagittarius も必聴ですね (笑)
ただ、Millenium と同じテイストを期待すると肩透かしをくらいます。
少し方向性は違いますが、Ballroom のデモテープを元に作られた
スウィートな音の万華鏡です。

私は 1980年代に Sagittarius の方に先にハマった (My World Fell Down のシングルバージョン) クチですので、
意外や意外、Millenium の完璧な構築美より Sagittarius の方が好きです。
ちょうど先日 (念願だった) Present Tense のオリジナル盤を入手して
(80年代のリイシューLPは持っていたのですが)、うちのサイトであれこれ
書こうと思っていたところでした (笑)
by Shaolin (2006-04-18 23:19) 

parlophone

そうですか!
Shaolinさんがお好きならば、ぼくもたぶんヤラレそうです(笑。

>ちょうど先日 (念願だった) Present Tense のオリジナル盤を入手して

うわあ、なんかこのあたりって怖ろしくレア度が高いような気がします^^;
きっとすごいお値段だったんでしょうね。(←品性が卑しいので
スグこんなことを考えてしまいます…トホホ)

記事期待してま~す!
by parlophone (2006-04-18 23:27) 

chitlin

遼さん、こんばんは!

コメントとトラックバックをありがとうございました。

当方にとってかけがえのない1枚です。
是非、Sagittariusもお試しください!

こちらからもトラックバックさせていただきます。
by chitlin (2006-04-18 23:35) 

parlophone

chitlinさん、こちらこそありがとうございました。

>当方にとってかけがえのない1枚です。

ほんとに素敵なアルバムですね~。
やっぱりSagittariusも外せないようですね。
覚悟を決めました(笑。
by parlophone (2006-04-19 00:07) 

幻燈遮断機

遼さんもコレ買ったんですね。
僕も愛聴してます。^^
Shaolinさん、chitlinさんと同じく
僕も「遼さんがSagittariusを買う」に一票!(←なんだこりゃ)
ボートラも良いですよ。^^
聴いたときの遼さんの驚きのために、どんな感じの曲かは書きませんが
個人的にはこのノリでもう一枚アルバムを創ってほしかったなぁ。
ふふ、さてボートラはどんな曲でしょうね。
by 幻燈遮断機 (2006-04-19 01:21) 

Shaolin

> このノリでもう一枚アルバムを創ってほしかったなぁ

問題の (?) The Blue Marble ですよね。
あれはあれで悪くはないんですが Present Tense と比べてしまうと....
by Shaolin (2006-04-19 06:42) 

parlophone

幻燈さん、どうもです。

>僕も愛聴してます。^^

おお、そうだったんですか。

>「遼さんがSagittariusを買う」に一票!

ええええ、もう「買う」に決定です^^;
ボートラも楽しみになってきました!
by parlophone (2006-04-19 17:21) 

parlophone

>問題の (?) The Blue Marble ですよね。

ふむふむ、ということはSagittariusはアルバムを2枚遺したんですね?
by parlophone (2006-04-19 17:23) 

幻燈遮断機

遼さん、こんばんは~。
約4名で盛り上がってます The Millennium 関連ですが。

>問題の (?) The Blue Marble ですよね。

Shaolinさん、どうもです。
The Astrology Album 共々調べてみます。
ってか、こういうのアルバム一枚で出てたんだ orz
時代とはいえ、よく出たなぁ・・・。
Present Tense と比べてしまうと分が悪くなるのは仕方ないですよ~。
そうです。コレはコレでアリかと。^^

遼さん、 SAGITTARIUS はホント、良いアルバムですよ!
個人的ベスト・トラックはカート・ベッチャー作の10曲目、
「Musty Dusty」。
シングルにもなってないし、「えー、幻燈なにいってんの」という声が聞こえてきそうですが。
好きなものは好きだからしょうがない。ってことで。

にしても、両アルバムとも好きだけど「ミレニウムより、サジタリアスのほうが好き」って人結構いるなぁ。
じつは僕もそうなんだよねぇ。
だってマスティ・ダスティがあるしね。
では~。
by 幻燈遮断機 (2006-04-19 23:40) 

parlophone

>約4名で盛り上がってます The Millennium 関連ですが。

というよりSagittariusで盛り上がってるような気もしますが
気のせい?^^

でもぼく以外の3人はみんな、ぼくの師に当たる人ですから
いろいろと教えてくださいね。

The Millenniumについてもいろいろと情報や好きなところなんかも
教えてくださるとうれしいなあ~。
by parlophone (2006-04-20 00:05) 

chitlin

遼さん、皆さん、こんばんは。

>ミレニウムより、サジタリアスのほうが好き」って人結構いるなぁ
そのようですね。個人的にはやはり逆なんですけれど。
「It's You」さえあれば飯何杯でもイケる、ってな感じです。

The Blue Marbleについては、海賊盤を聴いたことがありまして。
その時の印象が悪かったんですよね。即刻、売り払ってしまいましたよ。
by chitlin (2006-04-20 00:11) 

chitlin

遼さん、こんばんは。

↑の当方のコメントは遼さんのコメントを読む前に送信したものです。
もう、全然逆でこちらの方こそ教わることばかりで、大変尊敬しておりますので滅多なことをおっしゃらないでくださ〜い。

The Millenniumについてはもう1曲、「It Won't Always Be The Same 」に胸を焦がされっ放しです。何故かドキドキするんですよ、これを聴いていますと。
by chitlin (2006-04-20 22:29) 

parlophone

chitlinさん、どうもです。
「It's You」はキャッチーなアコギのリフにパーカッションが絡んで、
そこに美しいメロディーの載る、ほんとうに魅力的な曲ですね~。

>「It Won't Always Be The Same 」に胸を焦がされっ放しです。
>何故かドキドキするんですよ

なんていうんでしょうかね、いかにも60年代っぽい
ノスタルジックなメロディーとアレンジで胸キュン(←ふる~)という感じでしょうか^^

>教わることばかりで、大変尊敬しております

あはは。
ただ年を取っているだけです^^
今後ともよろしくお願いいたしますね~。
by parlophone (2006-04-21 00:37) 

幻燈遮断機

>The Millenniumについてもいろいろと情報や好きなところなんかも
教えてくださるとうれしいなあ~。

そういえば THE MILLENNIUM 「Begin」の記事だったっけ(汗。

個人的にはなんといっても1曲目の Prelude から To Claudia On Thursdayに繋がってゆく流れ
There Is Nothing More to Say のポール・マッカトーニーやブライアン・ウィルソンばりのメロディ・ラインで曲を引っ張ってゆくベース、そのベースにからむコーラス~ Anthem へと繋がってゆく流れ
が好きですね。(あり、これじゃ初めと終わりじゃん?)
完成度の非常に高いアルバムなので、どの曲にも聴き所があるんですよね^^
だから「構成の流れ」という箇所で好きなところが出てくる。
くらべてサジタリアスのほうは幾分とっちらかっているので、ベスト・トラックなんかが出てくる。
そんな印象があります。個人的には。
あと、両アルバムとも究極の「現実逃避アルバム」だったり^^
そんな感じですね。では~。
by 幻燈遮断機 (2006-04-21 20:20) 

幻燈遮断機

>「It's You」、「It Won't Always Be The Same 」

うん、うん、良いよねぇ。
ってかこのアルバム捨て曲無いですよね。

>3人はみんな、ぼくの師に当たる人ですから

ChitlinさんやShaolinさんはともかく、僕は~アワアワノシ
遼さんから教わることが多すぎていつも感謝してます。
特にJAZZ関係はとても参考になってますし、楽しみにしています。
トミー・フラナガンは最近の大収穫でした。
では、では。
by 幻燈遮断機 (2006-04-21 20:33) 

parlophone

>There Is Nothing More to Say のポール・マッカトーニーや……
>Anthem へと繋がってゆく流れ

いやあ、改めて聴いてみると、ほんといいですね。
なんだか今までぼんやり聞き逃してたみたいな…
あわてて記事書いちゃいけませんね^^;

>だから「構成の流れ」という箇所で好きなところが出てくる。

ほんとうにそのとおりだと思います。
幻燈さん、サンクス!

>トミー・フラナガンは最近の大収穫でした。

おお、お気に召していただけましたか!
JAZZの記事はアクセスは少ないのですが(ビートルズの1/10ていど^^)
毎回必ずコメントを入れてくださる方々がいらっしゃるので、
ぼくも気合を入れて書いてます^^
これからもよろしく~~
by parlophone (2006-04-22 00:17) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。