ジョー・スタッフォード 『Jo+Jazz』 [JAZZの愛聴盤]
ぼくは「Just Squeeze Me」という曲が大好きで、コルトレーンを擁したマイルズ・クインテットのアルバムのなかではもっとも地味な『MILES』もこの曲が入っているために愛聴しているくらいだが、最高の名演はやはりジョー・スタッフォードが歌ったこのアルバムのなかの1曲だろう。
『Jo+Jazz』というこのアルバムはジョーの1960年の作品で、このとき彼女は40歳。
コンテ・カンドリ(tp)、ジミー・ロウルズ(p)、ラス・フリーマン(celesta)、ジョー・モンドラゴン(b)といったウエスト・コーストのミュージシャンとレイ・ナンス(tp)、ローレンス・ブラウン(tb)、ジョニー・ホッジス(as)、ベン・ウェブスター(ts)、ハリー・カーネイ(bs)といったエリントン楽団のスターたちが参加して、ジョニー・マンデルがアレンジを担当している。
岩浪洋三のライナーによるとジョー自身が原盤を米コロンビアから引き上げてしまい長いあいだ廃盤の憂き目にあっていたのを、CBSソニーが直接本人と交渉して販売権を獲得、発売にこぎつけたものだという。
このアルバムの国内盤が発売された1979年当時に、FMで彼女の歌う「Just Squeeze Me」を聴いて、即座に買ったような記憶がある。
曲はジョニー・ホッジスのアルトに導かれて始まり、そこにジョーの優雅で気品のあるヴォーカルがかぶさってくる。
Treat me sweet and gentle When you say goodnight
Just squeeze me But please don't tease me.
I get sentimental When you hold me tight
Just squeeze me But please don't tease me
う~ん、なんて素敵な歌詞だろう。
2コーラス目におけるジョーのメロディの崩し方も見事なものだし、それを受けて出るホッジスのソロも、なめらかで艶やかなスウィングのお手本のようなソロだ。
ジョニー・マンデルのアレンジは3本のトランペットを中心に、トロンボーンやバリトンを巧みに配した絶妙なアレンジで、そこはかとなくエリントン・ムードが漂う。
ホッジスのアルトはB-5の「Day Dream」でも幻想的なソロを聞かせるし、ベンはA-4の「帰ってくれればうれしいわ」やB-6の「I've Got the World on a String」でスウィンギーながら優雅なソロを聞かせてくれる。
そして名手ジミー・ロウルズのピアノも、短いがどれもきらりと光るソロばかりで思わず唸ってしまう。
わが国では「帰ってくれればうれしいわ」というと、やはりなんといってもヘレン・メリルの名唱に人気があるが、ジョーの歌うこの曲もゆったりとしたテンポの中に気品溢れるもので、ヘレンとはまた違った魅力をもっている。
B-1の「What Can I Say After I Say I'm Sorry」など、もう少し軽さがあってもいいかな、と思う部分もあるが、B-2のバラード「Dream of You」なんかは、マイクにぐっと近づいて歌っているのだろうか、その声にすごいリアリティーがあって、大人の女性らしい気品のある色香に聴いているだけでぞくぞくしてしまう。
現在、このアルバムの版権がどうなっているのか知らないが、ぜひ紙ジャケでリリースしてほしいアルバムだ。
JO STAFFORD "Jo+Jazz"
COLUMBIA CS 8361
本編のサイトMUSIC & MOVIESの「JAZZの愛聴盤」のコーナーはこちらから。
ちょいヒサでした。遼さん、1979年頃といったら多分、まだ23~24歳の頃でしょう。そんな若い時に、ジョー・スタフォードに痺れてしまったのですね(笑)なかなか渋い青年だったのですね(笑) 僕はvocalというものを少しでも聴くようになったのは、ようやく27~28歳の頃、シナトラに「何か」を感じてからです。
スタフォードのこの盤・・・未聴なんです。アレンジがジョニー・マンデルで、しかもバックのメンツがいいですね。今なら僕にも楽しめるかもしれませんね。
by bassclef (2006-04-21 08:38)
遼さん
また、私の琴線に触れそうなものをご紹介いただきました(笑)
早速、探し物リストにいれたいと思います。
ジミー・ロウルズは、最近ほとんど毎日聴いているカーメンのライブにも参加してますね。(カーメンがMCでOur Leaderって紹介してます)
このライブのロウルズは、ソロこそ「あったっけ?」って感じですが、絶妙のサポート・プレイを聴かせてくれています。
ちなみに、私がJAZZヴォーカルを少しでも聴くようになったのは30過ぎです(笑)
by Refugee (2006-04-21 12:16)
bassclefさん、いつもありがとうございます。
>なかなか渋い青年だったのですね(笑)
ぼくは小学校の3、4年生のころに父親の持っていたシングル盤を、父の留守中にかけてこっぴどく叱られたことがあるんですが、それはハリー・ベラフォンテの「陽の当たる島」というレコードでした^^
「自分で勝手にかけちゃダメだ」
と言われてたんですが、どうしても聴きたくなってしまったんですね。
それぐらいハリー・ベラフォンテのその曲が好きだった(笑。
ですから二十歳のころにはシナトラの『スイング・イージー』を聴いて、やっぱりシナトラってうまいよなあ~と感動してました。
>スタフォードのこの盤・・・未聴なんです。
もうゼッタイにお薦めです。
Amazonで検索したらプラケCDだったら出てるみたいなので、機会があったらぜひ聴いてみてください。
損はさせません^^
by parlophone (2006-04-21 15:57)
Refugeeさん、いつもありがとうございます。
>早速、探し物リストにいれたいと思います。
もうゼッタイにお薦めです。
ぜひ聴いてみてください。
ブログ拝見しました。
いや~、ぼくは聞かず嫌いというか、カーメンだけは聴いたことないんですが、
なんかよさそうなアルバムですよね~。
(ってゆーか、Refugeeさんの文章がそういう気にさせる^^)
ジミー・ロウルズも絶妙ですよね。
名手っていう言葉はこの人のためにあるような感じです(笑。
by parlophone (2006-04-21 16:07)