『78』 [雑誌・書籍・コミック]
本のタイトルは『 ナナ 78 ハチ 』
帯の惹句にはこうある。
「その昔、世界は78回転で回っていた。」
そう、タイトルはSPレコードを表してるんですね。
著者は吉田篤弘 Atsuhiro Yoshida
巻末の略歴を読むと1962年生まれのグラフィック・デザイナーらしい。
じつはこの本、SPレコードにまつわる小説を集めた連作短編集なのである。
一話ごとに語り手が変わってゆく。
母が切り盛りしてきたコーヒー屋を手伝っている娘カナ。
となりで「78」というSPレコード専門店を開いている杉村さん。
そこの常連である、バンシャク、ハイザラと呼ばれている二人の青年。
<ローリング・シェイキング&ジングル>という名のバンドのベーシスト、ディー。
62年生まれの著者らしいエピソードも出てくる。たとえば…、
幼いころ両親を失くして叔父叔母に引き取られたハイザラは、二段ベッドの上に寝ている従兄弟が寝返りするたびにベッドの天井がリアルに形を変えるのに耐えかねて、原っぱで拾ってきたジョージ・ハリスンのポスターをそこに貼り付ける。
それを見た叔母 「あれはだれなの? キリスト?」
叔父 「キリストの写真があるわけないだろ」
ハイザラは10歳の夏休みのある日、同じクラスのバンシャクと二人で廃線の駅舎に忍び込み、そこの駅長室で古いSPレコードを見つける…。
…そしてときには1枚のレコードも物語の語り手となる。
帯の惹句のつづき。
「あらゆる場所で、あらゆることが
でたらめに美しく響きあう」
「まったく新しい物語長編」
一話ごとの扉には、タイトルとそのなかに出てくる曲名と、おそらくは本物のSPレコードのレーベルを模したと思われる丸い絵がついている。
じつはまだ最後まで読み終えてはいないのだけれど、
少しずつゆっくりと読んでいきたいような気持ちになっている。
こんばんは〜。
これですね!廃止線レールを歩くシーンがある小説って。
読んでみたくなりました。
廃止線探索と廃盤探索、なんとなく似ているような(笑)
廃止線は地図には載っていないから、ほんと不思議な探検です。
by 大介(東京都) (2006-10-09 22:19)
わあ、大介さん、こんな古い記事にコメントありがとうございます。
>廃止線は地図には載っていないから、ほんと不思議な探検です
えー!
地図に載ってないんですか?
そうかあ、でもロマンがありますよね。
『スタンド・バイ・ミー』もいい映画でしたしね^^
by parlophone (2006-10-09 23:03)