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『五線譜のラヴレター』 [ぼくのシネマノート]

今日は『レイ』とほぼ同じころに制作され公開されたのだが、『レイ』の陰に隠れてしまってほとんど話題にもならないうちに劇場公開が終わってしまった感がある『五線譜のラヴレター』をご紹介しよう。

公開前に新聞で読んだレヴューでは、コール・ポーターの大ファンであるケヴィン・クラインが彼の生涯を演じるためにピアノや歌を猛練習して、完成度の高い作品に仕上がったという評価がされていた。
監督は『ロッキー』シリーズや『レイジング・ブル』をプロデュースし、『真実の瞬間』や『海辺の家』の監督でもあるアーウィン・ウインクラー。
レイ・チャールズよりコール・ポーターの生涯のほうにずっと興味があったぼくは、DVDになるのを待っていたのだ。

  

(以下ネタバレになりそうな部分は文字を読みにくい色にしてあります。ドラッグすると読みやすくなります)

まずコール・ポーターがバイ・セクシャルであったという事実を知らなかったので、物語の展開に唖然とすることになった。
ぼくはゲイに対する偏見はない、と自分では思っている。
よくブログなんかで、ゲイの人たちのことをホモとかオカマとかいって、バカにしたり気持ち悪がったり嘲笑したりする人がいるが、人が人を好きになるのに理屈なんかないのであって、異性を好きになる人もいれば同性を好きになる人もいるのだ。
しかしこの映画を見て、バイ・セクシャルというのは
やっぱり相手をひどく傷つけるものなんじゃないかと思って考え込んでしまった。

映画は晩年のポーターが、自分の半生を描いたミュージカルを見るという形で進行する。
生涯の伴侶となったリンダをアシュレイ・ジャドが演じていて、『コレクター』とか『ハイ・クライムズ』といったサイコ・スリラーものでしか見たことがなかったぼくは、彼女のことをすごく見直してしまった。
そしてケヴィン・クラインのピアノはもちろんのこと、その渋い歌にもとても感心した。
けっしてうまくはないのだが、枯れたとても味のある歌い方だ。

挿入歌は「Night and Day」、「What Is This Thing Called Love」、「So in Love」、「I Love You」、「It's Alright with Me」など、当然のことながらポーターの名曲のてんこ盛り。
そしてエルヴィス・コステロの歌う「Let's Misbehave」をはじめとして、シェリル・クロウの「Begin the Beguine」、ナタリー・コールの「Ev'ry Time We Say Goodbye」、アラニス・モリセットの「Let's Do It (Let's Fall in Love)」、ダイアナ・クラールの「Just One of Those Things」など、有名どころが独自の解釈でポーターの名曲にチャレンジしているのもおもしろかった。

でも、コステロ先生もシェリルちゃんもいつのまにか歳取っちゃいましたね~(←人のこたァ言えないっつうの…^^;)

  
  (コステロ先生、さすがの存在感です)
  
  
  (声を聴いてもしばらくシェリルちゃんとはわからなかった…)

  
  (見るからに性格の悪そうなダイアナ・クラール。ほんとはどうなんだろう^^;)

2004年 MGM 125分
DVD シネマスコープ・サイズ(スクィーズ)
画質=★★★★☆(最高は★5つ、☆はおまけ)
字幕の大きさ=小


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コメント 11

3-savile-row

おはようございます。

結局僕は『レイ』も『五線譜のラヴレター』も見過ごしてしまいました。
未だに両作品とも観てないんですが、『レイ』はいろんな所で評価されてましたので、遅ればせながらその内観ようと思っていたんですが、『五線譜のラヴレター』も遼さん評価ではかなりの出来ですね。出演者にも惹かれますし。こちらも是非観ようと思います。

思い出したんですが、コール・ポーターと言えば僕の中では「○曜映画劇場」(何曜日かよく覚えてませんが)のエンドテーマの「ソー・イン・ラブ」です。今は別の曲に替わってるみたいですが、ストリングス主体(いわゆるイージーリスニングなんですがね)の物悲しいメロディ&アレンジと夜が深まってきた感覚と映画の影響で結構僕の心に刷込まれています。

しかし、映画と音楽切っても切り離せませんね。当然ですが。
いい映画にはいい音楽が、いいシーンにはいい音楽が必ずペアになっている様な気がします。
『イージー・ライダー』の冒頭の「ワイルドで行こう」は何度観てもドキッとしますし、『真夜中のカウボーイ』の「うわさの男」、『ティファニーで朝食を』の「ムーン・リバー」、『マッシュ』、『ディア・ハンター』、『慕情』、それから『避暑地の出来事』の「夏の日の恋」はどんな時でも僕を幸せな気分にさせてくれます。
音楽ドキュメンタリー物では『ラスト・ワルツ』『ブルータートルの夢』がいいですね。
by 3-savile-row (2005-12-11 11:02) 

bassclef

遼さん、marthamydearさん、こんにちわ。遼さんは音楽だけでなく映画のチェックもしっかりとされてますね。時間がいくらあっても足りませんね(笑)
コールポーター~すごく昔のやつで「Words & Music」という・・・たしかあれもコール・ポーター関わりのミュージカル映画ありました。ポーターがだんだんと・・・とにかく暗い映画でした。
marthaさんコメントの「ソー・イン・ラブ」~あのTV番組が終わるときに流れるこの曲を聴いて・・・僕も全く同じような気持ちになりましたよ。「ああ、夜も更けた・・・休みももう終わりだ、明日は学校かあ・・・」みたいな(笑) だから・・・あれはたしか「日曜映画~」でしたね。どうでもいいようなことですが(笑) 
by bassclef (2005-12-11 11:40) 

MASA

さすが遼さん、シブイところを突いて来ますねー(笑)。
私もこの映画と「RAY」は結局未見ですが、遼さんのこの記事でちょっと調味が湧きました。
ちなみにコール・ポーターが○○なのは私は知ってました(笑)。
by MASA (2005-12-11 11:58) 

3-savile-row

bassclefさん、ありがとうございます。
日曜日だったんですね。
でもそうなんですよね、明日から・・・と切ない気持ちになったものでした。
本当にどうでもいい事でお手を煩わせてしまってすみませんでした。
by 3-savile-row (2005-12-11 12:49) 

parlophone

marthaさん、どうもです。

>『五線譜のラヴレター』も遼さん評価ではかなりの出来ですね。

う~ん、どうでしょう(笑。
ケヴィン・クラインの演技もアシュレイ・ジャドの美しさも、共演者のパフォーマンスも見事なんですが、映画としては…。
みなさんのご判断にお任せします^^;

>『イージー・ライダー』の冒頭の「ワイルドで行こう」…
>『真夜中のカウボーイ』の「うわさの男」、
>『ティファニーで朝食を』の「ムーン・リバー」、
>『マッシュ』、『ディア・ハンター』、『慕情』、
>それから『避暑地の出来事』の「夏の日の恋」…

く~っ、タイトル見ただけでゾクゾクっときますね。
とくに『MASH』の「もしも天国へいけたら」(でしたっけ?)は名曲ですね!!
久しぶりに見てみようかなあ(笑。

>『ブルータートルの夢』
未見です。
今後チャンスがあったら見てみますね。
ありがとうございました!
by parlophone (2005-12-11 15:32) 

parlophone

bassclefさん、どうもです。

>すごく昔のやつで「Words & Music」という・・・
>たしかあれもコール・ポーター関わりのミュージカル映画ありました。

映画のなかで夫婦で自分たちの伝記映画を見る場面が出てくるんですよ。
ケーリー・グラントだかジェイムズ・シュチュアートだかが主人公でした。
ちょっと調べてもわからなかったんですが、それかな?
貴重な情報ありがとうございます。

そうですか、日曜洋画劇場のエンディングが「So in Love」だったんですね。
ぜんぜん知りませんでした…(恥ず!。
by parlophone (2005-12-11 15:37) 

parlophone

MASAさん、どうもです。
ぼくも『RAY』はまだ未見です。
いま980円?で再発されてますね。

ぼくはMASAさんオススメの『B・ジョーンズの日記2』や『ボーン・スプレマシー』といっしょに783円で買いましたが12/24ごろに配送の予定です。
クリスマス~年末はこれらの映画を見て過ごします^^
by parlophone (2005-12-11 15:41) 

bassclef

再びすみません・・・。遼さんコメントの「ケーリー・グラント」を見て・・・ああっ、という事で・・・。コール・ポーター関わりの古い映画は、「ナイト&デイ」でしたね。
「words~」はR.ロジャーズ関わりだったようです。年のせいか・・・記憶が(笑)
by bassclef (2005-12-11 17:00) 

parlophone

>コール・ポーター関わりの古い映画は、「ナイト&デイ」でしたね

おお、そうですか。
こちらもチャンスがあったら見てみたいものです。
by parlophone (2005-12-11 19:23) 

Gintonic

ボール・マッカートニーがビートルズ時代、好きな作曲家は誰ですか? とのインタビューにコール・ポーターと答えていたのを覚えています。
また、印象的なのはジョン・レノンが反戦・平和活動をしていた頃のインタビューなのですが、リンゴ・スターはいまどうしているのですか? との質問に『彼は平和に暮らしている』と答えていましたネ。
『ビヨンド・ザ・シー』『ウォーク・ザ・ライン』の伝記物は御覧になりましたか?『8人の女たち』も好きだと書いておられましたので『輝ける女たち』もお薦めです。

by Gintonic (2008-11-30 05:26) 

parlophone

>ボール・マッカートニーがビートルズ時代、好きな作曲家は誰ですか?
> とのインタビューにコール・ポーターと答えていた

おお、その話は知りませんが、いかにもポールらしい答えですね。
そしてジョンもいかにもジョンらしい皮肉の効いた答えですね。

『ウォーク・ザ・ライン』はDVD を買ったものの未見です。
あとの2作品は知らないので、暇ができたら探して見てみたいです^^
by parlophone (2008-11-30 22:56) 

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