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『Shall we Dance?』 [ぼくのシネマノート]

ハリウッド版『Shall we Dance?』を見た。
周防正行版『Shall we ダンス?』の完全なリメイクである。

はじめのうちはオリジナルとの違いが気になったのだが、そのせいで映画の世界に入れないのも困るので、途中からは気持ちを切り替えてまったく新しい映画を見るつもりになったら、それなりに楽しむことができた。

  
  (ダンスの先生よりトゥーム・レイダー(墓荒らし)かなんかの方が似合いそうなジェニ・ロペ^^;)


そうやって楽しんだ上で、オリジナルとの違いにちょっとだけ触れておくと、まずハリウッド映画らしく設定はかなりゴージャスになっている。
主人公のジョンの仕事は弁護士だし、郊外の屋敷も豪華なものだ。
オリジナルの役所広司のようなちょっとうらぶれた感じはない。
妻のビヴァリー(スーザン・サランドン)も原日出子が演じたようなパートに出ている主婦ではなく、責任ある仕事を任されているキャリア・ウーマンだ。

そのままではジョンがダンス教室へ通い始める動機や、それをビヴァリーに言えなかった理由に説得力がなくなるので、そのあたりはきちんと説明されている。
日本的な情緒の世界がアメリカ的合理主義によって説明されるわけで、明快にはなったがちょっと雰囲気としては後退した感じがする。

ヒロインのポリーナがコンペの世界から逃げ出してダンス・スクールに引っ込んでしまった理由も修正が加えられて、すっきりしたものになった。

ただ、脇役がきちんと描かれていることがその映画の奥行きをもたらす、というのがぼくの映画に対する持論なので、そういう意味ではオリジナル版のさりげない演出にはかなわないと思う。

それにしても、いくつになってもリチャード・ギアはかっこいいね。
クライマックスの黒いタキシードのシーンは、『愛と青春の旅立ち』の真っ白な軍服姿のパロディーだと思うのだがどうだろう?

  

ジェニ・ロペも最後のシーンではさすがにキュートでしかも美しく描かれている。

  

オリジナル版のラストに流れるター坊(大貫妙子)の歌は透明感があって素敵だった。
リメイクではどうなるだろうと思ったが、にぎやかにお開き(笑)。
それでもやっぱりホロリとしてしまうのは歳のせいかなあ…^^;

2004年 MIRAMAX 106分
DVD ヴィスタ・サイズ(スクィーズ)
画質=★★★★☆(最高は★5つ、☆はおまけ)
字幕の大きさ=小


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コメント 14

kenta-ok

ストーリーのdetail まで、似せていてそれに驚きました。一番は、ラスト間際の洗車のシーン。
by kenta-ok (2005-11-22 08:09) 

はじめまして。なんで同じ映画作るのかなあと疑問。それなら日本語版に英語字幕つければいいじゃん。もちろん十分観れる映画ですけど。
by (2005-11-22 18:45) 

parlophone

kenta-okさん、初めまして。

>ラスト間際の洗車のシーン。

オリジナルは軽自動車で、リメイクはボルボかなんかの四駆という落差もすごかったですね^^
あと、たま子先生の「おばあちゃんでがっかりした?」なんてセリフまでいっしょなのは驚きましたね~。
by parlophone (2005-11-22 23:01) 

parlophone

katoyasuさん、初めまして。
『Shall we ダンス?』は全米でも公開されましたが、やっぱりオズやクロサワやなどのビッグ・ネームに比べると観客動員が見込めないんでしょうね。
もっとわかりやすくしてスターを使って興行収入を稼げるようにしちゃえ!ということなんでしょうか?
by parlophone (2005-11-22 23:10) 

MASA

映画マニアを除けば、一般的アメリカ人はあまり英語字幕が入った外国映画を観ないそうです。どうやらハリウッドを抱える映画大国であるプライドと横柄さがそこに現れているみたいですね(笑)。
外国映画でも、最近の中国映画のようにセリフが英語で字幕を読む必要がない作品は内容がアメリカ人ウケすればヒットしますけどね。

面白いのにそのままじゃ客が見込めないなら国内でリメイクしちまおう、ということで、最近ではこの作品や「ザ・リング」、「呪怨」などの日本映画を含め、フランス映画の「タクシー」とか昔からいろいろとリメイク作品がありますよね。
要はゼニですよ、ゼニ(笑)。
by MASA (2005-11-23 14:32) 

sei71

こんばんは.はじめまして
私もこの映画見ましたw
最初はやっぱり日本版と比べちゃいますね.
私も途中から割り切りましたが(笑)
先生のラストのドレス姿がどうしても
浜崎あゆみに見えてしまったのは私だけでしょうか?
by sei71 (2005-11-23 19:09) 

parlophone

MASAさん、どうもです。

>一般的アメリカ人はあまり英語字幕が入った外国映画を観ないそうです。

ああ、そうでしたね。
外国映画を見るときは吹き替えで楽しむってのが一般的だっていいますね。
そういえば、『スリーメン&ベイビー』とか、『ニキータ』(でしたっけ?)とか、いろいろリメイクがありましたね。
それに最近のハリウッドの深刻な「売れる脚本」不足が重なって、ますますリメイクが増えていくんでしょうね…。
by parlophone (2005-11-23 19:19) 

parlophone

惺 さん、初めまして。

>先生のラストのドレス姿がどうしても
>浜崎あゆみに見えてしまったのは私だけでしょうか?

あー、言われてみればほんとうにそうですね^^
草刈民代は清楚な感じだけど、あそこまでこころからの笑顔というのはなかったような気がします。
そういう意味じゃ、ラスト・シーンはジェニ・ロペちゃんの笑顔にやられちゃったなあ。(すみません、コメントがずれちゃいました^^;)
by parlophone (2005-11-23 19:41) 

milk_tea

私があれを見てまず一番に思ったのは、R・ギアが通勤電車から外を
見上げて、窓際に立つ女性の表情が見て取れるほどに、線路にビルが隣接
して立っているという電車とビルの位置関係自体が、アメリカではほぼ
ありえないだろうな・・・ということでした。チマチマと小狭い島国ならではの
図ですからね。制作側も苦慮したかもしれません。
でも広いアメリカ大陸、1箇所くらいそんな場所もあるでしょうかね?

でもやっぱり、天下のハリウッドがあそこまで完璧に真似てリメイクを作った
というのは、日本としては大層誉れ高いことに違いないですね。
でも、リメイク版が日本でロードショーになった時に、挨拶で周防監督が
「この映画、まだ引っ張るのかって気分です」とかいってて、草刈民代も隣で
「さすがにもう飽きました~」なんて苦笑いしていて、可笑しかったです。
by milk_tea (2005-11-24 12:34) 

parlophone

>窓際に立つ女性の表情が見て取れるほどに、線路にビルが隣接
>して立っているという電車とビルの位置関係自体が、アメリカではほぼ
>ありえないだろうな・・・ということでした。

なるほど~、milkさんらしい着眼点ですね。
あれはいかにも東京の地下鉄?らしい風景ですね。

>「この映画、まだ引っ張るのかって気分です」

リメイクで周防監督が挨拶っていうのもおかしい(笑)ですが、考えてみたら『ファンシイダンス』『シコふんじゃった。』『Shall we ~』ときて、もう10年映画撮ってない訳ですから、周防ファンとしてはそろそろ新作に期待したいとこですね!
by parlophone (2005-11-24 23:22) 

milk_tea

"Shall We~"が評判良すぎて、世界各国を上映して回らなければいけなか
ったり、そうかと思うとこんどはハリウッドでリメイク!ということで、これまた
色々お呼びもかかったりで次の映画を作るどころじゃなくて、監督も嬉しいん
だか悲しいんだかって感じでしょうね。
ところで・・
私はあの映画(オリジナルのほう)、たった一人だけキャスティングが気に
入らないんです。それは原日出子です。彼女自体は嫌いじゃないのですが
あの映画のトーンからすると彼女だけちょっと湿っぽい存在感があって、
映画というよりドラマ的な匂いがあり、全体のドライタッチな高品位感を
少し俗っぽくしているような感じがして、見るたびに気になってしまいます。
そういう意味ではスーザン・サランドンの乾き感のほうがなじみますね。
日本人だったらそうだなー、余貴美子とか・・・わかりませんが。

一方私があの映画でとても好きなのは、なんといっても草刈民代の、
数箇所のシーンで覗く不器用な笑顔ですね。普段の冷徹な表情と対比して
あのクシャッとした笑顔がたまらなく魅力的です。
(周防監督も、それにやられたんでしょうねー)

あと、ラストシーンで草刈民代が言う「Shall we dance?」のセリフの発音が
たまらないです。"ダンス"が"ドンス"に近い感じ。
実際に一流バレリーナという、稀有な才能で世界への道を切り開いてきた
実績をなにげに感じさせる重みのある声のトーンと発音です。
あの一言が最後に映画全体の気品をグーッと高めてますよね。
万が一同じように踊れたとしても、藤原紀香だの米倉涼子だのだったら
決してああいう奥深さのある「Shall we dance?」は言えなかったでしょう。

あ、このコーナーはリメイク版についてでしたね・・・ (^-^;
しかもたかがコメントなのに、ヘタすると本文より文章長くてすみません。笑
(実は私もこの映画好きなんです。じゃ~自分のとこで書けよって?)
by milk_tea (2005-11-25 18:33) 

parlophone

>原日出子……自体は嫌いじゃないのですが
>あの映画のトーンからすると彼女だけちょっと湿っぽい存在感があって

おお、それはよくわかりますね。
ぼくはハリウッド版を見てからオリジナル版を見直してちょっとびっくりしたんですが、オリジナルは必要以上にうらぶれた感じに作られてますね。
「掃き溜めに鶴」ではないけれど、草刈民代の凛とした美しさを際立たせるためなのか、杉山さんの周りの世界はみんな少しずつ色褪せている。
その、杉山さんにとっては「あれ?オレの人生ってこんなんで過ぎていくのか?」と自問したくなるような世界を一生懸命守ろうとしてるのが原日出子の役ですよね。

>実際に一流バレリーナという、稀有な才能で世界への道を切り開いてきた
>実績をなにげに感じさせる重みのある声のトーンと発音です。

う~ん、これぞmilkさんらしいコメント。
もう一度あのシーンを見たくなります^^

>藤原紀香だの米倉涼子だのだったら

ああ、そういう名前を出さないで^^;
あの映画は周防監督によって草刈民代が美しく輝くために撮られた映画のような気がしてきました。
断じてそうではないんですが…(笑。
by parlophone (2005-11-25 23:19) 

Gintonic

周防版『Shall we ダンス?』は1996年。
ライザ・ミネリ主演の『ステッビング・アウト』が封切られたのが、1991年? だったと思いますが、Shall we…が話題になったとき、絶対に『ステッビング・アウト』のパクリと信じてShall we…は観ていません。
この機会に観てから判断しようと、思うようになりました。
by Gintonic (2008-11-30 05:00) 

parlophone

Gintonicさん、こんばんはー。

>ライザ・ミネリ主演の『ステッビング・アウト』が封切られたのが、1991年?

う~ん、まったく見事に知りませんね^^;

>この機会に観てから判断しようと、思うようになりました

ありがとうございます。

周防版はすぐ上にも書いているように草刈民代の美しさが飛びぬけています。
ぜひ一度ご覧になってください。
ター坊(大貫妙子)の歌う主題歌も素敵です^^
by parlophone (2008-11-30 22:45) 

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