ジャニス・ジョプリン 『パール』 レガシー・エディション [アメリカン・ロック]
大ちゃんさんのブログ無駄遣いな日々でも紹介されているが、ジャニス・ジョプリンの遺作『PEARL』のレガシー・エディションが35周年記念盤としてソニー・ミュージックからリリースされている。
じつは一昨日あたりからdisc-2のライヴを聴き続けているのだが、あまりにも素晴らしくてほかのCDを聞こうという気がなかなか起きない。
サンディにもグレースにも悪いけれど、しばらくはこればっかり聴いてしまうんだろうなあ。
輸入盤がしばらく前からCDショップに入荷していてすごく気にはなっていたのだ。
でも国内盤の解説や対訳のこともあって、けっきょく迷いながらも7月20日まで待って約1,000円高い国内盤を買ってしまった。
さてその選択は……今回に限っていえば大正解!
まずライヴにはジャニスの意外に長いMCがカットもされずに収録されているのだが、この対訳がきちんと載せられている。
文字になったものならなんとか理解することもできるが、リスニングは丸出ダメ夫(わかる人いるかな~?)のぼくとしてはこれは大変ありがたい。
それともうひとつ、今回の高平哲郎さんの解説がすばらしい。
高平さんはジミ・ヘンドリクスの死との関連から、植草甚一さんが書いた「ジャニス・ジョプリンの最後のイメージ」というエッセイを紹介している。
この植草さんのエッセイと高平さんの解説を読んでいたら、ぼくはジミとジャニスが死んだ1970年の秋のことをまざまざと思い出してしまった。
当時ぼくは高校生で、だれも読者のいない文章を気まぐれにノートに書きつけていたが、ジミとジャニスの死はあまりにも衝撃的で、書いた文章を母や妹や当時のガール・フレンドに読ませた記憶がある(笑…それが今のこの趣味につながっているんだなあ)。
ぼくはただ単に「天才が天才であるがゆえに自分の才能の限界を見切ってしまい、その絶望や不安から逃れるためにオーヴァードーズに走りそしてついには身を滅ぼしてしまう」としか理解していなかったのだが、植草さんはそこに、マスコミの力が作用している視点を紹介している(A・アルヴァレスというイギリスの文芸評論家の理論だそうだ)。
なるほど、それは大いにありうることだ!
20世紀の芸術家はマスコミの力によって自分の想像をはるかに超える評価を手に入れることもできるが、同時にそのパワーによって破滅に追い込まれる危険性も持っている。
高平さんの文章は「植草さんもジャニスもジミヘンも、ぼくらのずっと下の世代の中で生き続けているのだ」ということばで終わっているが、この文章を読めたことはほんとによかった。
さて内容だが、disc-1のボーナス・トラックはジョン・レノンの誕生日を祝う「Happy Birthday, John」や、みずからアコースティック・ギターを弾きながら歌う「ミー・アンド・ボビー・マギー」のデモ・ヴァージョンなど既発のものもあるが、「Move Over(ジャニスの祈り)」のデモ・テイク(これがとても素晴らしい!)など貴重な音源もある。
disc-2 のライヴ編は5年前に「ジャニス・ジョプリン・コレクション」の一環として出た『パール』(以下通常盤)にもボートラとして収められていた「フェスティヴァル・エクスプレス 1970」というカナダを横断するロック・ツアーに参加したときのもので、死の約3か月前のステージだ。
通常盤には70年7月4日のカルガリーのショウから「Tell Mama」「Little Girl Blue」「Try (Just A Little Bit Harder)」「Cry Baby」の4曲が収められていたが、今回は6月28日のトロントのショウを中心に、7月1日のウィニペグ、そして7月4日のカルガリーのステージから編集された全13曲が収められている。
上記4曲は曲目は重なるものの「Little Girl Blue」以外はすべて別の日のテイクに差し替えられている。
さっそくその3曲を聴いて通常盤と比べてみよう。
「Tell Mama」は、間奏のギター・ソロでリズムがちょっと乱れてソロの構成も通常盤にくらべると劣っているが、ジャニスの歌は伸びやかで今回のほうができはいいと思う。
「Try (Just A Little Bit Harder)」は収録時間表示がずいぶん違うが、これは今回MCが入っているため。普段着のジャニスが感じられるおもしろいMCだ。歌はいずれ劣らぬ出来だが、コーラスとの掛け合いは通常盤のほうがややまとまっているか。
「Cry Baby」は最初の歌いだしをほんのちょっと失敗している(つーか、通常盤の歌いだしはまさに完璧)。あとは甲乙つけ難い出来で、ジャニスの声には張りがあるしバンドも活き活きとしている。
こうして聴き比べてみると、通常盤の3曲は楽曲のまとまりという点で今回のものよりできがいいようだ。
しかしジャニスの歌にしぼれば、概ね6月28日の方が1週間前ということもあるのか声にパワーがあって伸びやかに感じられる。
デジ・パックの内側にはフォト・セッションのアウト・テイクも載せられているし、カラー・ブックレットも素敵な出来だ。
復活したMASAです(笑)。
おおー、私の知らないうちにこのようなものが出ていたんですね(笑)。
これは買わなくては!「PEARL」は6年前にミレニアム・エディションとしてUKで発売された紙ジャケを持っていますが、このレガシー・エディションもファン必携の内容みたいですね。
私もジャニスのヴォーカルは女性ロッカーの中では一番好きです。
by MASA (2005-07-27 01:35)
MASAさん、お帰りなさ~い!
お待ちしておりました(笑)。
>「PEARL」は6年前にミレニアム・エディションとしてUKで発売された紙ジャケを持っています
お~、『BLONDE ON BLONDE』などといっしょに買ったとおっしゃってたやつですね!
でも今回のレガシー・エディションも必携です。
ぜひぜひ買って感想を聞かせてくださいませ!
by parlophone (2005-07-27 01:47)
げげっ!
ジャニス・ジョップリンはなぜかこれまでレコードにもCDにも手を出せないできたのですが、
ここまで出揃ってくるといよいよ行くべきでしょうね~。
これだから洋楽と和モノの両立はツラいな~。
by 夜明けのティーンエイジャー (2005-07-27 01:49)
夜明けさん、どうもです。
行くべきです、行くべきです。
ってゆーかー、行ってらっしゃ~い(笑)。
とにかくジャニスは歌がうまくて可愛くて偉大なシンガーですねっ!
ライヴ聴いてると泣きそうになります。
『フェスティヴァル・エクスプレス 1970』のDVDも必見なんだろうなあ。
あ、スキマスイッチの「雨待ち風」、今日WOWOWで流れてたな~。
「夜明けさんの言ってたやつ、これかあ」ってしみじみ聴いちゃいました。
by parlophone (2005-07-27 02:00)
遼さん、おはようございます!大ちゃんこと大介(東京都)です。当ブログへのコメント及びTBありがとうございます。
遼さんの観点でのパールCD評は素晴らしい、僕も文章力つけたーい!
このDISC2のカナダでのライブ集はとにかく圧倒、僕も最近はこればっか聴いております。各音源がバラバラのようですが、このように一つにまとめてもらうと、ジャニスの息吹を感じることが出来ますね、ジャニスのライブもっと聴きたくなりましたよ!
これからも音楽交流どんどんしましょう!予告ですが今日か明日にはクラシックレコードからリリースされたフーの「MY GENERATION」(mono)アナログが届き、当ブログで紹介する予定でいます!
by 大介(東京都) (2005-07-27 08:45)
大介(東京都)さん、こんばんは!
つい昔の掲示板のつもりで大ちゃんさんと書いてしまいました。
失礼しました!
>遼さんの観点でのパールCD評は素晴らしい、僕も文章力つけたーい!
とんでもないですよ~。
ダラダラと長く書くのがよくないとわかってはいるんですが、ついつい思い入れのあるアルバムは長くなってしまいます^^;
大介さんのようにきちんとまとまったコンパクトな文章を心がけてたいと思ってるんですけどね…。
>これからも音楽交流どんどんしましょう!
ほんとですね!
『マイジェネ』のクラレコ盤レヴュー楽しみにしてま~す。
by parlophone (2005-07-27 20:11)
こんばんは~。
本日『パール』の記事をアップしたのでTBさせて頂きました。
ジャニスのライヴはやはりハズレナシですね。
ワタシも繰り返し聴いちゃいました。
もうすぐDVDで出る『フェスティヴァル・エクスプレス』も必見ですよ~。
by lonehawk (2005-07-28 01:51)
lonehawkさん、こんばんは。
>ジャニスのライヴはやはりハズレナシですね。
ですよね~。
『フェスティヴァル・エクスプレス』も俄然買う気です^^
こちらからもトラバさせていただきますね!
by parlophone (2005-07-28 19:26)