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『ウィズ・ザ・ビートルズ』 Beatles Mono LPを聴く―その2 [BEATLES]

まずジャケットについて少し見ておきたいと思う。

2009年の紙ジャケ仕様のモノラルCDのときにちょっと話題になったフロント・カヴァーのハーフ・シャドウだが、アーリー・プレスは黒がつぶれ気味。
ジョンの目はかろうじて見えるけれど、ジョージやポールのシャドウ側の目はまったく見えない。

01.jpg

比較的レイト・プレスだと思われる"7N"のジャケットになっても、ジョージの目はほとんど見えないままだ。

02.jpg

リマスター盤のジャケットはジョンの目だけではなく、ジョージの目もかなり見えるようになっている。
ジャケットとしては美しいのだろうけれど、オリジナルへの忠実度という意味ではロー・ファイだ。

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写真そのものはよくできていて、リマスター盤Stereo LPのときよりはずいぶん改善された。

05.jpg
(オリジナル)

06.jpg
(リマスター Mono)

アーリー・プレスではErnest J. Day社のスリーヴも使用されたのだが、画像でもおわかりのようにフリップバックがやや薄いのが弱点で、枚数としては少ない。
リマスター盤は『PPM』とおなじようにGarrod & Lofthousu社を復刻した形になっている。

04.jpg

曲名表示を見ると、「Please Mister Postman」や「Money」がStereo LPのものとは異なっている。
おそらくStereo盤は現在の著作権にもとづいた表記になっているのだろう。
今回のMono盤ではオリジナルの表記にもどされている。

07.jpg
(Stereo盤)

08.jpg
(Monaural盤)

それでは音のインプレッションを。
アナログ・マスターのMono LPがリリースされるというニュースを読んで記事を書いたとき、『ウィズ』についてはつぎのようなことを書いた。

うちにある2枚の"1N/1N"(俗にいう"ラウドカット")は、どうもパッとしない。
確かに音はでかいんだけど低域が薄いんだよね。
『PPM』とおなじカッティング・エンジニアだと思うのだが、その差はどこからくるのだろう。
そういう意味でもリイシューに期待。

今回あらためてオリジナルの『ウィズ』を聴き直してみても、『PPM』のパンキッシュな破壊力は鳴りを潜め、鮮度はそれなりに高いものの、やはり迫力には欠けると言わざるを得ない。
原因はやはり低域の不足だろう。
A-1ではそれほどではないにしても、A-2「All I've Got to Do」やA-3「All My Loving」ではベースがオフ気味で音程もはっきりしない。
逆に高域は伸びているので、ジョンの声もリアルでセクシーに響くし、エレクトリック・ギターも悪くはないのだが、シンバルはやや耳につく。

さて、リイシューのモノラル盤はどうかというと、基本的にオリジナル盤の傾向はそのままに、カッティング・レベルを下げて耳あたりをやわらかくした、という感じだろうか。
オリジナルのマスター・テープと当時のカッティングをできるかぎり忠実に再現する、というのが今回のポリシーだから、このあたりはどうしようもなかったのだろう。
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コメント 6

やまちゃん

まだ2009リマスターがなかった頃にMONOのみでCD化されたセカンドWTBのLPをステレオで買うはずが間違ってモノのLPを買ったことがありました(笑)
今では貴重品で針も入れず飾りのコレクターに成り下がってます(笑)
私にとってはWTBはもっとも印象が薄く、一番聞かないアルバムになってます。米国盤「Meet The Beatles!」の影響もありますが、なんかPPMの二番煎じの印象が強いせいもあります。
2009リマスターのステレオはどうも希薄さが強く、このセカンドだけはMONOだけで良かったかもなあと
ちと厳しい評価になっちゃいました。すいません。
やっぱ時代でしょうか。それともビートルズ愛が足りないのか
by やまちゃん (2014-09-21 08:43) 

may_r

こんにちわ。
確かにWBはハイ上がりでシンバルの音が耳に付きますね。但し、今回のMONO盤のシンバルは分解能力が上がっていて、オリジナルを麻布織とすると絹糸織くらいまで上がっていて、心地よい響きとなっているように思います。ご指摘されているベースラインも若干ですが改善されているように感じますが、バスドラとの分離が悪く低音は塊となっていいますので、この辺は改善して欲しかったですね。今回、小生は2012STEREO盤を聴きなおしていますが、WBはSTEREO盤の方が高音が抑えられ、低音が伸びてしっかりとした聴きごたえがあるマスターになっていると思います。
by may_r (2014-09-21 15:49) 

parlophone

やまちゃんさん、こんばんは~。

>WTBのLPをステレオで買うはずが間違ってモノのLPを買ったことがありました(笑)

80年代には珍しかったMONO LPが、英EMIによって統一音源になってからは珍しなくなりましたからね~。
今まで考えたことがありませんでしたが、間違って買ってしまったという方も多かったかもしれませんね。

>なんかPPMの二番煎じの印象が強いせいもあります

わあ、そうなんですか~。
今はそれほどでもありませんが、いち時期はほんとうに好きでしたね。
まずオープニングの「It Wont Be Long」、そしてポールの「オール・マイ・ラヴィング」やジョンの「プリーズ・ミスター・ポストマン」、あとジョージの「Devil in Her Heart」も好きでしたねー。
いちばんびっくりしたのは「Till There Was You」がカヴァーだと知ったとき。
てっきりポールのオリジナルだと思ってました(笑。
by parlophone (2014-09-21 22:05) 

parlophone

may_rさん、こんばんはー。

>確かにWBはハイ上がりでシンバルの音が耳に付きますね

そうなんですよね。
マイクをシンバルに近づけて録音したようですが、ちょっとウルサイ感じがしますね。

>バスドラとの分離が悪く低音は塊となっていいますので、この辺は改善して欲しかったですね

おっしゃるとおりですね。
さっきちょっと思い出して86年に来日20周年記念盤として出たモノラル盤を聴いてみたんですが、高域を少しだけ抑えめにして、低域をちょっと伸ばしたリマスターで、なかなかよかったです。
まあウルサイという印象は変わりませんが…(笑。

>今回のMONO盤のシンバルは分解能力が上がっていて

わあ、そこまでは気づきませんでした。
今度ちょっと聴いてみますね。

>WBはSTEREO盤の方が高音が抑えられ、低音が伸びてしっかりとした
>聴きごたえがあるマスターになっていると思います

ええ、ええ、それはぼくもそう思いますね。
オリジナルに忠実なリマスターということで、もとの粗い部分がそのままになってしまったのは残念ですね。

by parlophone (2014-09-21 22:05) 

やまちゃん

>いちばんびっくりしたのは「Till There Was You」がカヴァーだと知ったとき。
私がビートルズのカヴァーでお気に入りはけっこうありますが、
なんといってもPPMの「A Taste of Honey」と、この「Till There Was You」で、まだろくにビートルズのLPが揃ってなかったころにラジオでこの2曲を聞いて、マジこの2曲だけでもEPカップリングがあったらと思いました
やっぱり初期ものは大事にしたいですね
by やまちゃん (2014-09-23 22:38) 

parlophone

やまちゃんさん、こんばんは~。

>私がビートルズのカヴァーでお気に入りはけっこうありますが、
>なんといってもPPMの「A Taste of Honey」と、この「Till There Was You」

ぼくも「Twist and Shout」とか「Dizzy Miss Lizzy」とか黒っぽいロックン・ロールのカヴァー、そして「Devil in Her Heart」とか、「Please Mister Postman」とかのガールズ・グループのカヴァーは大好きですね。

>やっぱり初期ものは大事にしたいですね

いいですよね~。
by parlophone (2014-09-25 20:57) 

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