『アート・オヴ・ペッパー』 [JAZZの愛聴盤]
アート・ペッパーの代表作というと、ちょっと思いつくだけでも
『ミーツ・ザ・リズム・セクション』
『モダン・アート』
『リターン・オヴ・~』
『ウィズ・マーティ・ペイチ』
『サーフ・ライド』…
とたくさんあるけれど、『ミーツ・ザ・リズム・セクション』と並んでよく聴いていたのが、きょうご紹介する『アート・オヴ・ペッパー』だ。
当時(というのはぼくがジャズに夢中になっていた73、4年ごろ)このアルバムはテイチクのセヴンシーズ・レーベルからVol.1、Vol.2という2枚のLPで発売されていた。
ペッパーのアルバムはコンテンポラリーは別として、イントロ、ジャズ・ウェスト、タンパ、といったマイナー・レーベルのものが多く、この『アート・オヴ・ペッパー』もオメガという聞きなれぬレーベルが原盤だった。
しかも当時のジャケットは臙脂色のバックに奇妙なレタリングでアルファベットが並べられたチープなもので、アルバムとしてはB級品という印象がまぬかれなかった。
しかし内容は、ウエスト・コーストのピアニストのなかでも強靭なタッチと粘りのある独特の奏法で孤高の存在だったカール・パーキンスをはじめとしてベン・タッカー、チャック・フローレスという堅実なリズム・セクションをバックに、朗々とアルトを鳴らすペッパーの絶好調の演奏が聴けるすばらしいものだった。
さらに選ばれた曲が、タイトルもこころ弾む「ホリデイ・フライト Holiday Flight」に始まって、ラテンの名曲「そよ風と私 The Breeze and I」、コール・ポーターの「ビギンを始めよう Begin the Beguine」、ガーシュインの「魅惑のリズム Fasinatin' Rhythm」、「サマータイム Summertime」、バラードの名曲「身も心も Body and Soul」…といったぐあいで、こうしたスタンダードを材料にしたときのペッパーはほんとうに極上のクッキンを味わわせてくれる。
当時のレコードもそうだったが、CDになってもとくにピアノの音がひどくて、それだけが残念だ。
ぼくがもっているのはロン・マクマスターがリマスタリングして東芝EMIからリリースされた紙ジャケで、それを見るとカタログ・ナンバーは「omegatape ST-7020」となっている。
どうやらオリジナルはレコードではなくオープン・リールでリリースされたもののようだ。
ちなみにアート・ペッパーもほかのジャズ・ジャイアンツ同様、麻薬禍からなかなか抜け出すことができず、何度も療養のために第一線から退かざるを得なかった。
70年代後半に最後の復活を遂げたときは、コルトレーンやオーネットの影響を感じさせる音色とフレージングで往年のファンを驚かせた。
ぼくも福岡の小さなジャズ喫茶でかれの演奏を聴いたが、やはり50年代のペッパーを懐かしく思わずにはいられなかった。
『ミーツ・ザ・リズム・セクション』
『モダン・アート』
『リターン・オヴ・~』
『ウィズ・マーティ・ペイチ』
『サーフ・ライド』…
とたくさんあるけれど、『ミーツ・ザ・リズム・セクション』と並んでよく聴いていたのが、きょうご紹介する『アート・オヴ・ペッパー』だ。
当時(というのはぼくがジャズに夢中になっていた73、4年ごろ)このアルバムはテイチクのセヴンシーズ・レーベルからVol.1、Vol.2という2枚のLPで発売されていた。
ペッパーのアルバムはコンテンポラリーは別として、イントロ、ジャズ・ウェスト、タンパ、といったマイナー・レーベルのものが多く、この『アート・オヴ・ペッパー』もオメガという聞きなれぬレーベルが原盤だった。
しかも当時のジャケットは臙脂色のバックに奇妙なレタリングでアルファベットが並べられたチープなもので、アルバムとしてはB級品という印象がまぬかれなかった。
しかし内容は、ウエスト・コーストのピアニストのなかでも強靭なタッチと粘りのある独特の奏法で孤高の存在だったカール・パーキンスをはじめとしてベン・タッカー、チャック・フローレスという堅実なリズム・セクションをバックに、朗々とアルトを鳴らすペッパーの絶好調の演奏が聴けるすばらしいものだった。
さらに選ばれた曲が、タイトルもこころ弾む「ホリデイ・フライト Holiday Flight」に始まって、ラテンの名曲「そよ風と私 The Breeze and I」、コール・ポーターの「ビギンを始めよう Begin the Beguine」、ガーシュインの「魅惑のリズム Fasinatin' Rhythm」、「サマータイム Summertime」、バラードの名曲「身も心も Body and Soul」…といったぐあいで、こうしたスタンダードを材料にしたときのペッパーはほんとうに極上のクッキンを味わわせてくれる。
当時のレコードもそうだったが、CDになってもとくにピアノの音がひどくて、それだけが残念だ。
ぼくがもっているのはロン・マクマスターがリマスタリングして東芝EMIからリリースされた紙ジャケで、それを見るとカタログ・ナンバーは「omegatape ST-7020」となっている。
どうやらオリジナルはレコードではなくオープン・リールでリリースされたもののようだ。
ちなみにアート・ペッパーもほかのジャズ・ジャイアンツ同様、麻薬禍からなかなか抜け出すことができず、何度も療養のために第一線から退かざるを得なかった。
70年代後半に最後の復活を遂げたときは、コルトレーンやオーネットの影響を感じさせる音色とフレージングで往年のファンを驚かせた。
ぼくも福岡の小さなジャズ喫茶でかれの演奏を聴いたが、やはり50年代のペッパーを懐かしく思わずにはいられなかった。
ART PEPPER "the art of pepper"
omegatape ST-7020
2010-02-07 17:42
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コメント(9)
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こんばんは
>アート・ペッパーの代表作
ジャズは30中場から聴き始めましたので未だ々初心者ですが、
アート・ペッパーは大好きでアルバムをCDですけど集めました。
彼の演奏は特にアドリブが凄いですね!次から次へと押し寄せる
フレーズの波は演奏に引き込まれます。
画像で紹介されている東芝のSB-JCシリーズは結構買い込みました。また当時はRVGシリーズやSAVOY(コロンビア)、Master Of Jazz(Victor)etcなど沢山の紙ジャケがリリースされて全部集めるのは
到底無理でした。中でもSB-JCシリーズはマスタリングエンジニアの方が
アルバムによって違うのでその辺も興味をそそるものがありました。
by may_r (2010-02-07 21:31)
may_rさん、こんばんはー。
>アート・ペッパーは大好きでアルバムをCDですけど集めました
記事にも書きましたが、ペッパーは麻薬禍によって何度も活動を中止し、とくに60年代をまるまる棒に振ったのが痛かったですね。
でも調子のいいときのペッパーは、ほんとうにウエスト・コーストの明るい陽射しのなかにちょっと翳りのあるような、朗々としてしかもちょっと淋しげなアルトを聴かせてくれて大好きです。
>当時は…沢山の紙ジャケがリリースされて全部集めるのは到底無理でした
ですよねー。
ぼくもたくさん買い逃してしまいました。
>中でもSB-JCシリーズはマスタリングエンジニアの方がアルバムによって違う
そうそう。
ロン・マクマスターとかRVG、テラ・スタジオ…といったぐあいで、違いはよくわかりませんでしたが(笑)おもしろかったですね。
by parlophone (2010-02-07 21:59)
遼さん、こんにちは。
ご無沙汰してました。遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
うちは、『ミーツ・ザ・リズム・セクション』しかもってないけど、いつも良く聞いてます。なんかって時にさらっと聴けるアルバムなんですよね。うちの父ちゃんは、アート・ペッパーは大好きで、いろいろ持ってますね。でも、今回日本に帰った時は、スタン・ゲッツ、しかも70年代後半から80年代のものを聞いてた。
久しぶりの日本での正月は楽しかったですよ。たくさんCD(70年代の日本のポップに焦点を絞って。)や本も買ったし。でも、どれ買っていこうかほんと迷った。。。。
今年もちょくちょく書きますんでよろしくお願いします。
by きよ (2010-02-11 05:44)
きよさん、こんばんは。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
久しぶりの日本でのお正月、満喫されたみたいでよかったですねー。
>今回日本に帰った時は、スタン・ゲッツ、しかも70年代後半から80年代のものを聞いてた
へえー、そうなんですか。
ぼくはゲッツといえばやっぱり50年代が中心で、60年代も『ゲッツ・ジルベルト』と『オペラ・ハウスのゲッツとJ.J.』ぐらいしか聴いたことがありません。
70~80年代というと、チック・コリアとやったやつとかありましたね。
>たくさんCD(70年代の日本のポップに焦点を絞って)や本も買ったし
おお、どんなCDや本を買われたのか、興味津々です。
ぜひ次回、教えてくださいね(笑。
by parlophone (2010-02-11 22:55)
遼さん、
こんにちは、なんだか、あんまりゆっくりと書く時間が無くて、今の今になってしまいました。でも、いつも、ブログだけちゃんと読んでいますよ。トム・ウェイツのCDもリマスターで、出たんだ、良いな〜とか思ってたし。
ところで、こうやって、日本では、どんどんリマスターされて出るCDがあるのに、海の向こう、アメリカやイギリスで同じCDが出なかったりするのはどうしてなのか?なんで、勝手にリマスターできるのか?誰がしてるのか?って昔から(特にアメリカに住んでた時に)よく思ってましたね。例えば、ブルーノートなんか良い例ですよね。アメリカでのRVGのシリーズに比べると、日本の方が遥かにたくさん出てるし。
さて、日本で買ってきた本は、うち、グラフィックデザイナーなんで、デザイン関係の本や雑誌をたくさん買ってきた以外は、1冊、『はっぴいえんど コンプリート』っという本を買いました。楽しく読んでます。
by きよ (2010-03-22 07:04)
CDはとりあえず、下のようにリストですませました。そうじゃないとべらぼうに長くなりそうなんで。(笑)
赤い鳥:Golden Best
いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー
伊藤銀次:Deadly Drive
上田正樹と有山淳司:ぼちぼちいこか
大貫妙子:Library Anthology
佐藤奈々子:スウィート・スウィンギン
杉真理:Overlap、Stargazer
鈴木茂:バンド・ワゴン
須藤薫:Amazing Toys
ザ・ディランII: この世を悲しむ風来坊に捧ぐ、”ライブ”時は過ぎて
西岡恭蔵:街行き村行き
浜田金吾:Gentle Travelin'
Bread & Butter: Monday Morning
ポニー・テール:グリーティング・カード
Mamalaid Rag: Mamalaid Rag
丸山圭子:黄昏めもりぃ
南正人:ファーストアルバム
吉田美奈子:Light'n up
Rajie: Heart to Heart
特に気に入ってるのは、伊藤銀次、Rajie, Mamalaid Ragですね。毎日のように聞いてる。佐藤奈々子も良いけど、やっぱりファーストの方が好きかな。
強いて、外れを言えば、杉真理かな、あんまり声が好きじゃないな。でも、彼のプロデュースの須藤薫は良いと思う。いしだあゆみのももうちょっと期待してたんだけど。。。
そんな感じです。
by きよ (2010-03-22 07:05)
きよさん、こんばんはー。
なんだかんだと忙しくなかなか更新もできない状態がつづいてます。
申し訳ありません。
>なんで、勝手にリマスターできるのか? 誰がしてるのか?
やっぱりなかなかうるさいみたいですよね。
ユニバなんかよく発売中止になって紙ジャケファンからそっぽ向かれてますけど、リマスターもパッケージングも価格も、いろいろと注文をつけてくるところは多いみたいですね。
ちなみにアサイラムのトム・ウェイツには、たとえば
2008 Digitally Remasterd by Isao Kikuchi (Warner Music Mastering)
というクレジットがあります。
>うち、グラフィックデザイナーなんで
ワオ! みなさんの憧れの職業ですねー。
世界を股にかける…^^
>『はっぴいえんど コンプリート』っという本
ああ! ぼくもほしいんですよね、この本。
でも当分買えないなあ~^^;
CDはぼくもけっこう知っているものが多くてびっくりしました。
須藤薫:Amazing Toys なんて、たぶん倉庫に行けば当時友人からコピーさせてもらったカセットがまだあると思います(笑。
Mamalaid Ragだけは知りませんね~。
バンド名すら聞いたことがないなあ。
Rajieというのはラジのことでしょうか?
by parlophone (2010-03-24 00:03)
やっぱりリマスターに関しては、いろいろ問題があるんだ。だって、このIsao Kikuchiさんは、何を基準にしてリマスターしてるのか、レコーディングに携わってたわけじゃないだろうし、そこらへん、ちょっと腑に落ちないですね。例えば、"Closing Time" をプロデュースした Jerry Yesterと話をしたとかなら、納得いかないでもないけど、そういうのって、リマスターした人からのコメントとかって、ライナーノーツに書いてるんですか?
デザイナーは、もうあんまりあこがれの職業ってわけでもないですよ。腐るほどいますし。(笑)まあ、何デザインしてるかにもよりますけどね。
> Rajieというのはラジのことでしょうか?
そう、ラジのこと。うちは、全然知らなかったけど、良い感じでグルーブしてるな。。他のアルバムもそうなのかな。。。
> たぶん倉庫に行けば。。。
いったいどれくらい広い倉庫なんだろう〜。
> Mamalaid Ragだけは知りませんね~。
うちも今回まで知らなかったんですよ、なんかの本読んでたら、彼らの事が紹介されてて、しかも、2000年のはっぴいえんどみたいな感じで書かれてあったんで、とりあえず、ファーストを中古で買ってみたら、これが良いんですよね。彼ら九州出身ですよ。最初はバンドだったけど、今は、ソロユニットですって。
by きよ (2010-03-25 05:55)
きよさん、こんばんはー。
>何を基準にしてリマスターしてるのか、レコーディングに携わってたわけじゃない
>だろうし、そこらへん、ちょっと腑に落ちないですね
今月号のレココレの読者欄に、今回のビートルズのリマスターにかんして、「むかし聴いていたレコードに比べると、曲と曲との間が短くなっていて違和感を感じた」というような意見が載っていました。
ぼくは確認していないのですが、それがほんとうだとすると、それはもうリマスタリングの範疇を超えてると思うんですね。
基本的には、違った条件でレコーディングされた曲に統一感をもたせ、曲順を決め、曲間についても決めてしまって初めてマスター・テープの完成ですからね。
リマスタリングはヒス・ノイズを抑えたり、レベルを揃えたりする程度だと思うんですが…。
だからあれこれいじったりするのはNGで、そういう意味でしばりがけっこうあると思うんです。
>リマスターした人からのコメントとかって、ライナーノーツに書いてるんですか?
そういうのは読んだことないですねー。
ただ、『ストレンジ・デイズ』で葛巻というリマスタリング・エンジニアの方が書いてましたが、リマスタリングってだいたい1日でやってしまうものなんだそうです。
「ビートルズみたいに何年もかけられるなんてうらやましい」と(笑。
>いったいどれくらい広い倉庫なんだろう〜
シャッターを上げると自家用ジェットが置いてある…
なんてことは決してありません(爆。
>、2000年のはっぴいえんどみたいな感じで書かれてあったんで、とりあえず、
>ファーストを中古で買ってみたら、これが良いんですよね。彼ら九州出身ですよ
へえーー、そうなんですね。
今度ちょっと注意深く探してみたいと思います^^
by parlophone (2010-03-25 23:28)