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ビートルズ・リマスターCDを聴く Part5 『ホワイト・アルバム』編 [BEATLES]

あたらしいCDプレイヤーをとりあえず毎日聴いている。
当然ビートルズのリマスター盤をトレイに載せることも多い。
まだまだ真価を発揮しているとは思えないけれども、DP-78で聴いていると以前のユニヴァーサル・プレイヤーでは気づかなかったところもいろいろ出てくる。
たとえば9月16日の記事で「Lucy in the Sky with Diamonds」について、

新旧CDではっきり差がつくのはイントロ左チャンネルのオルガンのような部分だろう。
リマスター盤は澄んだ音色で中域の輝かしさが増している。


と書いたけれど、DP-78で聴いてみるともっとちがうのはベースの音である。
ちょっと大袈裟にいうと、旧盤ではボンボンと弾むようだったベースが、リマスター盤ではもっとガツンガツンとして残響が抑えられ弾むような感じも少なくなった。
いまでは常識になっているベースのライン録りの効果がリマスター盤でははっきりと出ているわけで、ポールとジョージ・マーティンが意図した音がやっとCDでも聞けるようになったということなんだろう。

以前にも書いたように今回の14タイトルで(まだ聴いてないものあるけれど)とくに感心したのは『ホワイト・アルバム』と『アビイ・ロード』だった。
ということで、きょうは『ホワイト・アルバム』を新旧で聴き比べてみよう。

92.jpg

使用した音源は旧規格CDが30周年記念紙ジャケ盤のTOCP-65200-01(ディスク自体はEU盤)、リマスター盤は国内ステレオ盤TOCP-71010-11、国内盤モノ・ボックスのTOCP-71050-51だ。

ぼくはいつもいってるように『ホワイト・アルバム』大好き人間で、アナログでいうとB面とC面をよく聴く。
とくにリンゴのつんのめるようなドラムソロで幕を開ける「Birthday」で始まり、ジョージの静謐で厳かなワルツ「Long, Long, Long」で幕を下ろすC面が大好きだ。
世界で最初のヘヴィー・メタルといわれる、ポールの「Helter Skelter」もすごいが、ジョンのテンション切れまくりの「Me and My Monkey」も劣らずすごい。
地の底を這いずり回るようにダウナーな「Yer Blues」とハンド・ベルがたえず喧騒を撒き散らす「Me and My Monkey」を聴いていると、このころのジョンは典型的な躁鬱症のようで、そう思って聴くと「Yer Blues」のウネウネとつづくギター・ソロなどはほんとうに神経症的なフレーズだ。
こういうのキライじゃないです(笑。

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(左が旧盤、右が新盤のレーベル)

さてM-1の「Birthday」、旧盤はイントロにつづいて左右に広がるヴォーカルが高域の強調された刺激的な音だったが、リマスター盤ではベースとバスドラがブンブン唸る低域強調型になった。
とくに「♪Yes We're going to a party party」のコーラスなんかバックの音にかき消されるようでほとんど聞こえないくらいだが、これはUKオリジナル盤の感じに非常に近い。
高価なオリジナル盤にわざわざ針を落とさなくてもほとんど同じような音で聴けるのだからこれはほんとうに◎だ。
M-2「Yer Blues」は、ポールの芯があってゴリゴリしたベースの音がよく再現されている。
上述の神経症的なリード・ギターも少し狂気が増したように聞こえる(笑。
M-3「Mother Nature's Son」はティンパニの音が低くなりポールの声もリアル感が増している。
M-4「Me and My Monkey」は旧盤に比べるとハンド・ベルの音がやや大人しくなり、喧騒さは少し抑えられているが、全体的な迫力は圧倒的にリマスター盤だ。
M-6「Helter Skelter」も、旧盤は左チャンネルのシンバルが金属的で耳についたが、リマスター盤ではやわらかくなっている。
サビの「Helter Skelter」を3回繰り返すところ、2番と3番で最初はエコーがかかっていて、2度目と3度目ではエコーがかかってないが、そういうところが新盤でははっきり聞こえるようになった。
M-7「Long, Long, Long」は静かなワルツなのにリンゴが思いっきりドラムを叩きまくっているのが痛快だ。
リマスター盤はそのバスドラがじつにいい音になった。
ジョージの弾くギブソンのJ-200が思った以上にくすんだような渋い音だったのにもあらためて気づかされた。

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(スリップ・ケースはエンボス加工されていて高級感を出している)

モノラル盤はやはりアナログにきわめて近い音作りだ。
「Birthday」なんかさらに演奏がラウドでコーラスもかき消されてしまう(笑。
ただ、少~し高域が持ち上げられてハイ・ファイっぽいかな。
オリジナル・アナログはもう少しロー・ファイな感じがします。

最後に音以外で重箱の隅をつつくようなことをいくつか書いておきたい。
まずモノ・ボックスの紙ジャケだ。

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(左上:30周年紙ジャケ  右:モノラル紙ジャケ  左下:ステレオ盤)

上の写真ではわかりずらいかもしれないが、30周年の紙ジャケや今回のステレオ盤エコ・パックと比べると明らかに色がちがう。
真っ白ではないのだ。
以前からUKオリジナル盤には真っ白ではないジャケットがあったといわれていたけれど、今回の紙ジャケはそれを再現してるわけだ。
芸が細かいなあ~。
もちろん◎。

つぎはリンゴの「Dont Pass Me by」の出版社表記について。
歌詞付のポスターの右側の余白に謝辞(「Thanks to: Gorge Martin ~」で始まるクレジット)があるが、紙ジャケのおまけにはあたらしく出版社表記が加えられている。
「All tracks published by ~」という部分がそうで、「Disc 1 track 14」というのは「Dont Pass Me by」のことだが、これが30周年記念盤では「Eaton Music Ltd.」になっていた。
もちろんオリジナルはApple Recordsである。
さらに今回のリマスター盤では「Universal Music Publising, MGB Ltd」に変更になっている。

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(もちろん紙ジャケ:一番下 はオリジナルを復刻しているので新たな出版社表記はなし)

一時期ビートルズの出版権はソニー・ミュージックがもっていたと思ったけど。
「Dont Pass Me by」は売られ売られてるんですかね。

30周年記念紙ジャケのポスターもけっこう光沢があったが、今回のリマスター・ステレオ盤のポスターはさらにつやつやでまるでコート紙みたいだ。
どうしてなんだろう。

96.jpg
(上:30周年紙ジャケ  左:ステレオ盤  右:モノラル紙ジャケ)

最後の最後にほんとうにどうでもいいようなことをひとつ(笑。
ぼくは『ホワイト・アルバム』を22セットもっている。
そのうち17セットがアナログ盤で、残り5セットはCDだが、うち2セットは紙ジャケだ。
アナログでもモービル盤にはおまけがないので、それを除く18セットに4枚のポートレイトと歌詞の印刷されたポスターがついている。

それらはすべて(ただ一つの例外を除いて)、左側のポケットに4枚のポートレイト、右側のポケットに歌詞付のポスターが入っていた。
さらに今回のステレオ盤エコ・パックには4枚のポートレイトはついていないがポスターはついていて、それも右側のポケットに収められていた。
たった一つの例外、それが今回の紙ジャケである。
左にポスター、右にポートレイト…。
なんか変。

納得がいかん(笑。

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コメント 14

not a second time

22セット??凄いとしか言いようがありませんね。
検証とても面白いです。ありがとうございます。
僕のは中学の時のNo.70000台の奴、それから78年ごろのCapital のWhite 盤、英盤のMONO(番号なし)、フランス盤のWhite ,MOBILE盤、30周年記念盤2枚(若い番号を見つけた時、衝動買い)HMV BOX盤 です。これでも友人からはアホ呼ばわりですが「笑)
でもNoについては、色々検証が行われていて、000001は10数枚あるとかなんとか、全部連番ではないとか・・・大阪の中古屋やっている友人とよく話すのでが「キリ番 ゾロ目 見たこと無い」と言うのと「最後の番号は何番だ?」ってことです。
日本盤の最後は40万台と思うのですが・・・
by not a second time (2009-10-26 20:45) 

Cold Sun

遼さん、こんにちは
脱力度満点なD面が好みです。特に今回のリマスターで「レボリューション9~グッド・ナイト」が高音質で聴けたことに大満足でした。
しかし、22セットとは!もの凄いです。
ジャケットが99%白い(笑)音盤なら、「加橋かつみ(1969年)」、「I TEOREMI(伊 1972年)」、「GRACIOUS(英 1970年)」、「KEDAMA(瑞西 1976年)」など家に有ります。いつかはアナログで白いビートルズ(笑)も手に入れたいですね。
by Cold Sun (2009-10-27 15:44) 

えいの

お初です。
いつも貴重な紙ジャケ情報楽しく見せてもらってます!

自分は国内ステレオ盤を予約して、あとから輸入盤モノを買いました。ゼップのボックスのときみたいに、ファンの量がすごいのでどうせ後から再プレスするだろうなと予測した次第で(笑)

やはり、まだまだUKオリジナル盤を買うにはキツイ学生の自分にとっては、このホワイトの紙ジャケはシリアルナンバー再現して欲しかったって言うのが本音ですね....
by えいの (2009-10-27 23:30) 

parlophone

not a second timeさん、こんばんはー。

>22セット??凄いとしか言いようがありませんね

まだまだほしいんですが、キリがありませんね。
ドイツ盤あたりも一度聴いてみたいものです。

>僕のは中学の時のNo.70000台の奴

ぼくが最初に買ったのも中学のときでしたが、それはどこかに行ってしまって、今見当たりません。
それを入れれば23セットか(笑。
今もっている国内盤のいちばん古いやつは3万台ですね。

>78年ごろのCapital のWhite 盤、英盤のMONO(番号なし)

Capital のWhite盤は78年8月、英盤のMONO(番号なし)は82年のリイシューですね。

>フランス盤のWhite

これはシリアル入りですか?
にしても、きちんと押さえるべきところはちゃんと押さえてありますね。
さすがです^^

シリアルの検証については中山康樹が『ビートルズ アメリカ盤のすべて』と『ビートルズの謎』で取り上げていますね。

>「キリ番 ゾロ目 見たこと無い」

たしかにそうですね。
ぼくのもってるUK盤には0087700というけっこうきれいな数字の並びのやつもありますが、0077777なんて見たことありませんね~。

>日本盤の最後は40万台と思うのですが・・・

そうかー、最後のほうも1枚ほしいなあ(爆。
by parlophone (2009-10-28 00:17) 

parlophone

Cold Sunさん、こんばんは。

>脱力度満点なD面が好みです

わあ、通好みですねー。

>「レボリューション9~グッド・ナイト」が高音質で聴けたことに大満足でした

さすが!
こんなコメントを書ける方はなかなかいらっしゃらないと思います。
ビートルズ大好きでも「レボリューション9」をほとんど最後まで聴いたことのないmilk_teaさんみたいな方が読んだら、すごく尊敬の念を集めると思いますよ(笑。

>「加橋かつみ(1969年)」
>「I TEOREMI(伊 1972年)」
>「GRACIOUS(英 1970年)」
>「KEDAMA(瑞西 1976年)」など

ひゃ~、1コも知りません。
タイガース・ファンだったぼくとしては加橋かつみぐらいは知ってないとおかしいんですけどねー。
いつかこういう音楽についても語れるようになりたいと思うんですが…。
(たぶんムリだと思います…爆)
by parlophone (2009-10-28 00:37) 

parlophone

えいのさん、こんばんは。
お初にお目にかかります。
管理人の遼(parlophone)と申します。
今後ともよろしくお願いいたします。

>いつも貴重な紙ジャケ情報楽しく見せてもらってます!

ありがとうございます。
最近(というか9月9日以来)まったく紙ジャケ情報がなくて申し訳ないんですが。

>ファンの量がすごいのでどうせ後から再プレスするだろうなと予測した次第で(笑)

きっちり国内モノボックスも再プレスになりましたね。
レコード会社も大変なのはわかりますが、消費者を大切に思ってるのかナメてるのか、よくわからないような対応ですね。

>紙ジャケはシリアルナンバー再現して欲しかった

これはもうおっしゃるとおりです。
もしもう一度紙ジャケになることがあれば、そのときはぜひ実現してほしいですよね。
あるいは年末に出ると噂のあるアナログ盤で!!
by parlophone (2009-10-28 00:43) 

Mow Henry

どうもです。
リマスター盤発売直後の「タモリ倶楽部」で旧盤とリマスター盤の聴き比べをやってましたが、せっかくマランツ リスニング・ルームで1本150万円以上するスピーカーで聴いているのに旧盤ではモノラルのみだったものとリマスター・ステレオ盤を比べるというイマイチ不明なことをやってました。
根本的に聞こえ方が違うはずですよね。(まあ、萩原健太氏も自身のブログで本格的なものではないのでと断っていましたが・・・。)
「ホワイト・アルバム」のグッド・ナイトがリマスターによって控えめだったヴォーカルが前に出てくるかと思ったら、さらにオーケストラの音に埋もれたということと、おぎやはぎが夜のドライブでレボリューション9は怖いという話は笑えました。
by Mow Henry (2009-10-28 10:05) 

parlophone

Mow Henryさん、こんばんはー。

ぼくはタモリ倶楽部の本放送は見れなかったのですが、ようつべでアップされていたのを見ました。
なかなか興味深い内容でしたが、おっしゃるようにモノとステレオを比較したり??なところもありましたね。
赤盤・青盤あたりから入門してざっとなら聞いたことある…くらいの人たちにはけっこう興味深い内容だったのではないかと思います。

>おぎやはぎが夜のドライブでレボリューション9は怖いという話は笑えました

そんな話があったんですか!
ようつべではカットされていた?のか、その話は聞けませんでした。
残念(笑。
by parlophone (2009-10-28 23:24) 

paulbeat

遼さん、どうもです。
DP-78調子良さそうですね。
僕のCDプレーヤーは安価な物です・・・笑

昔、名古屋の小池レコードで色々な音楽を聴き
レコードも沢山購入しました。
まぁーでも最近、歳のせいかレコードを
聴くのが、めんどくさくCDでいいやーと
思っている次第です・・・ハァー。
もう、レコード全部売ろうかなぁーKTさんのように・・・苦笑

私的にはSGT(MONO)CDは、大変気に入っていますよ。
by paulbeat (2009-10-30 01:12) 

parlophone

paulbeatさん、こんばんはー。

>DP-78調子良さそうですね

いやー、なかなか思いどおりに鳴ってくれず、相変わらず試行錯誤の真っ最中です。
難しいですねー。

>最近、歳のせいかレコードを聴くのが、めんどくさくCDでいいやーと
>思っている次第です・・・ハァー

わかりますよ~(笑。
それに今回のリマスターはほんとによくできてるので、よっぽどのことがないかぎりはオリジナルのアナログ盤を聴かなくてもすむような気もします^^

>もう、レコード全部売ろうかなぁー

いや~、それはやっぱりもったいないんじゃないですか?(笑
by parlophone (2009-10-30 23:56) 

MORE

paulbeatさん、「小池レコード」の話題が出るとは!!!
覚えていますよ。凄い(色々な意味で)レコード屋さんでしたね。
あの当時、さすがに3500円も出してレコードは買えませんでした・・・
ショーウィンドウに飾ってあった、Chocolate Watch BandとかIncredible String BandのLP、欲しかったなあ・・・
by MORE (2009-11-09 08:12) 

parlophone

MOREさん、どうもです。

小池レコードってなんかすごいおもしろい?お店みたいですね。
福岡にはなかなかそんなユニークなお店がないので残念です。
小池レコードももうなくなっちゃんたんでしょうか?
by parlophone (2009-11-09 23:38) 

DEBDYLAN

遼さん、こんばんは。
毎度毎度の今頃かよっ!! って登場です^^;

22セットっすか!!
『PPM』の時に十分ビックリしたのに。。。(笑)

僕はコレ久しぶりに聴いたんです。
最初にCD化されたときの国内盤CD持ってたんだけど、
誰かに貸したままになってて。。。^^;

LP(高校のとき普通に買った国内盤)は今聴けないし。
行きつけの飲み屋に行ったときに、
リクエストして4面全部かけてもらって聴いてたw
ってのがココ数年の聴き方でした(苦笑)

MONOのCD。
1度しか聴いてないんで細かいコト書けないんですが。

「REVOLUTION No.9」を最後まで興味深く聴けたのが、
自分でもビックリしました(笑)

音のコラージュ聴いてると、
「この音はあの曲っぽい」 なんて、
他のFAB4の曲を思い出したりして^^。
そんな聴き方してたら曲が終わってました。

最後の曲「GOOD NIGHT」
リンゴのほのぼのとしたヴォーカルもいい感じだなぁって思ってて、
以前から好きな曲なんだけど。

今回、
なぜかガムを噛みながらこの曲歌ってるジョンを想像してしまい^^;
頭の中でジョンの声が勝手に響いてました(笑)

「GROW OLD WITH ME」
みたいに囁くように歌ってました♪

笑い飛ばしといてください^^;

by DEBDYLAN (2009-11-10 23:10) 

parlophone

DEBDYLANさん、こんばんはー。
ようこそいらっしゃいましたー^^
いつもいつもnice!とcommentありがとうございます。

>22セットっすか!!

やっぱりLPですねー。
UKモノラル盤、オリジナル・ステレオ盤、再発モノラル盤、再発ステレオ盤、国内盤、国内モノラル盤、USステレオ盤…。
いまでもLPは見たらほしくなるのでなるべく見ないようにしてます(爆。

>行きつけの飲み屋に行ったときに、
リクエストして4面全部かけてもらって聴いてたw

いいですねー。
ぼくもそんなにのんびりと音楽に浸れる飲み屋が欲しいなあ~。

>「REVOLUTION No.9」を最後まで興味深く聴けた

そうそう、あの曲、けっこうなんだかんだ言ってるうちに?終わっちゃうんですよね。
もしiPodに入れてたら(入れてないけど)スキップすると思うけど、部屋で聴いてたらスキップしないですね^^

>なぜかガムを噛みながらこの曲歌ってるジョンを想像してしまい^^;
>「GROW OLD WITH ME」みたいに囁くように歌ってました♪

いやー、よくわかります。
「Good Night」はほんとうにいい曲ですよね。
ぜひ囁くようなジョンの声で聴いてみたかったなあ…。
by parlophone (2009-11-12 23:50) 

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