リビー・タイタスのアルバム [フィメイル・ヴォーカル、ガール・ポップ]
先日ご紹介したカーラ・ボノフ1st アルバムの紙ジャケの帯(…1977年当時のアナログ盤の帯を復刻したもの)の裏を見ると、そこに
77年にデビューした3人の美しい女。
という広告が載っている。
『ヴァレリー・カーター/愛はすぐそばに』
『リビー・タイタス』
『カーラ・ボノフ』
ヴァレリーもカーラも知ってるけど、リビーってだれ??
って思っていたら、大介(東京都)さんとlonehawkさんのブログで相次いでこのアルバムが紹介されたのだった。
お二人の記事によると93年にリリースされたCDは中古市場でプレミアがついているようで、知る人ぞ知る隠れた名盤といったところだろうか。
ぼくはヴァレリーのアルバムはちょっと嗜好の方向性が違っていたので持っていないのだが、リビーの紙ジャケは少し迷った挙句に購入してみた。
8月の初めごろだ。
最初に驚くのは、このアルバムに参加した人たちの豪華さだ。
プロデュースにフィル・ラモーン、ポール・サイモン、カーリー・サイモン、ロビー・ロバートスン。
楽曲をリビーと共作したのが、アル・クーパー、エリック・カズ、カーリー・サイモン、ハース・マルティネス。
バックを務めたのはキーボードにドン・グロルニック、ガース・ハドスン、クレイグ・ダーギ、ギターがヒュー・マクラッケン、ジョー・ベック、ロビー・ロバートスン、ベースにチャック・イスラエルズ!、ドラムスにグラディ・テイト、スティーヴ・ガッド…といった面々。
バック・コーラスにはポール・サイモン、カーリー・サイモン、ジェイムズ・テイラー、パティ・オースティンらが参加している。
小倉エージの解説を読むと、このアルバムが出るころにはエリック・カズとの「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」がボニー・レイットやリンダ・ロンシュタットによってカヴァーされ、ソングライターとしても注目を集めていたという。
紙ジャケはコーティングのないE式のシングル・ジャケで、歌詞や詳しいパーソネルの載ったインナーバッグが復刻されている。
レーベルはおなじみのオレンジ・レーベル。
小倉エージの解説は7ページにもわたる力の入ったもので、彼女のバイオグラフィーやこのアルバムの魅力について詳細に述べている。
それを読むと、これだけの人々がかかわり、CBSレコードも強力にプッシュしたのに、けっきょくこのアルバムはあまり注目を集めることもないまま、前述のような「隠れた名盤」的なものになってしまったようだ。
ぼくは楽曲は素晴らしいと思うのだが、リビーの声に人を惹きつけずにはおかないような強力な魅力がないのが惜しいと思う。
カーリー・サイモンやリンダ・ロンシュタットのようなワン・アンド・オンリーのディーヴァ的なオーラを感じないのだ。
アレンジもジャズっぽいものはそうでもないのだが、いかにもMOR然とした楽曲にはやや古めかしさを感じてしまった。
しかしこういったものは好みの問題だから、彼女の声質が好きな人にとっては、曲もいいし歌もいいし、(今回の紙ジャケは)音もいいし、いうことのない名盤ということになるのだろう。
彼女はリヴォン・ヘルムともドナルド・フェイゲンとも結婚しているし、カーリーは彼女にささげた「リビー」という楽曲も作っているし、アルバム制作となると上記のような人々が集まって彼女のために力を尽くすのだから、人間として、女性としてはじつに魅力的な人なのだろうけれど、シンガーとしては残念ながら大衆的な人気を獲得できないまま、最近ではあまり名前を聞くこともなくなったわけだ。
なお、1990年の映画『レナードの朝』に彼女が出ている、というので探してみた。
この映画はロバート・デニーロの名演に引き込まれて、何度見てもボロボロ泣いてしまうという(ぼくにとってはけっこう恥ずかしい)映画なのだが、リビーらしき女性が出ていた記憶はない。
ありました、このシーンですね。
まんなかの白いドレスの女性がリビーだ。
残念ながら顔もよく見えないし、声もあまり聞こえない。
エンド・クレジットにはばっちり載っているのだが、どうせならもう少し見せてほしかったなあ。
☆ そうそう。スティーリー・ダンの「人脈ツリー」を作る人には,絶対に外せない存在なんです,この女性(ひと)。
by deacon_blue (2007-08-28 22:19)
deacon_blueさん、nice!&comment ありがとうございます。
ザ・バンド~ウッド・ストックから、カーリー~ジェイムズ~ポール・サイモン、そしてスティーリー・ダン、と多くの人に慕われた女性だったんですね~。
by parlophone (2007-08-28 22:40)
実はこれ、こないだ出張先でWHOの紙ジャケを買った時に迷って結局買わなかったんですよね^^。
このアルバムは発売当時よく輸入盤屋で見かけ、ジャケが印象に残っていたので知ってますが、あとはドナルド・フェイゲンの奥さんであることとAORっぽい内容ということ以外はよく知りませんでした。
遼さんの感想を読むと、やっぱりあの時買わなくてよかったみたいですね(笑)。
そうかー、「レナードの朝」に出てたのかー。知りませんでした。
by MASA (2007-08-28 22:58)
遼さん、こんばんは!
久々のコメントとなります、当ブログを紹介文に入れて頂きありがとうございます。
彼女の声、確かに好み分かれると思いますね。曲は素晴らしいんですよー。フェイゲン・プロデュースで21世紀に新譜出してもらいたいな〜って思います。
ちなみにこのアルバム、アナログ、プラケCD、紙ジャケCDと三つも持っております、つまり三冠王だ!(笑)
by 大介(東京都) (2007-08-28 23:25)
遼さん、当ブログを文中リンクして頂きまして、誠に恐縮です。
ご指摘の通り、レコード会社もこれでもかと力を入れても売れなかったおかげで、長いこと隠れた名盤となってしまったのは惜しいです。
ワタシはたまたま最初にCD化された際に気になって購入して、時折棚から引っ張り出してはほくそ笑んで聴いてましたので、先日の紙ジャケ化の折も購入し、今でもひとり聴いてはニヤニヤしています(笑)。
『レナードの朝』はずいぶん前に一度観たきりですが、彼女が出ていたことには全く気付きませんでした。
(この件、何故か今回の解説では原題でタイトルを書いてるんですね)
たしかずっと前に録画しておいたビデオがあったので、今度探してみます。
また楽しみが増えましたよ(喜)。
by lonehawk (2007-08-29 00:34)
MASAさん、どうもです。
>やっぱりあの時買わなくてよかったみたいですね(笑)
わかりませんよ~(笑。
声質だけでいうと、ちょっとケイト・ブッシュ系です。
MASAさんにはドンズバかもしれません^^
どこかで試聴できればいいですね~。
WEBではAmazon、HMV、タワレコ、どこも試聴は×でした~。
by parlophone (2007-08-29 00:45)
大介さん、こちらこそご無沙汰してま~す。
>曲は素晴らしいんですよー
いや~、ほんと、曲は自作もカーリー作も、みんないいですね!
>フェイゲン・プロデュースで21世紀に新譜出してもらいたいな〜って思います
ですよね。
このまま引っ込んでしまうにはもったいない女性だと思います。
>アナログ、プラケCD、紙ジャケCDと三つも持っております、つまり三冠王だ!(笑)
おお、大介さんとlonehawkさんに紹介してもらわなければ、おそらく通り過ぎていたでしょうね~。
ありがとうございました!
by parlophone (2007-08-29 00:50)
ケイト・ブッシュ系ってマジですか?それはちょっと惹かれる(笑)。
一度聴いてみたいですねえ。
やっぱり今度見つけたら買ってみます^^。
by MASA (2007-08-29 00:52)
lonehawkさん、どうもです。
>時折棚から引っ張り出してはほくそ笑んで聴いてました
お気持ちはよ~くわかります^^
曲も歌もすばらしいですものね。
小倉エージさんが「バカなわたし」の魅力を力説してましたが、いったん彼女にハマってしまうと、一生もんの作品になるでしょうね~。
上のコメントにも書きましたが、lonehawkさんと大介さんに紹介してもらわなければ、通り過ぎていただろう作品にめぐりあえました。
ありがとうございました。
>何故か今回の解説では原題でタイトルを書いてるんですね
ですよね。
有名な作品だから邦題を書けばみんな、え~、あれに出てたのか~ってなるのに、なんでですかね?
by parlophone (2007-08-29 00:56)
>ケイト・ブッシュ系ってマジですか?それはちょっと惹かれる(笑)
ええ、あくまでも声質だけですが…。
とりあえず1曲めの「バカなわたし」は名曲・名唱・名演だと思いますよ
(←じゃあ、そう書けよ!)^^;
それだけどもちょっと聴いてもらいたいような気はします^^
by parlophone (2007-08-29 01:00)
僕の好きなフィルラモーンがプロデュース参加してるんですね。
この人自体を知りませんでした。
ポールサイモンも参加してドナルドフェイゲンと結婚(!)していたとは、
やはり魅力のある女性なんでしょうね。
でもこれだけのバックサポートがあって売れていないとは。
楽曲を聞くだけでも価値があるかもしれませんね。
by ouichi (2007-08-29 01:45)
ouichiさん、どうもです。
魅力ある女性なんでしょうね~。
異性からだけじゃなく同性からも慕われるって、なかなか難しいと思いますが…^^
>楽曲を聞くだけでも価値があるかもしれませんね
アル・クーパーと共作したM-1 「バカなわたし」、リンダもカヴァーしたM-5「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」、カーリーの曲でジェイムズ・テイラーもコーラスで参加したラスト・ナンバー「Darkness 'Til Dawn」、南国風味の可愛いM-4「Night You Took Me to Barbados in My Dreams 」あたりはおススメです。
by parlophone (2007-08-29 13:20)
このアルバムも多分20代で買ったと思います。
やっぱりきっかけは「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」です。
エリック・カズが在籍していて、以前ワタシのブログでも紹介した
アメリカン・フライヤーの1stアルバムに「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」は納められています。リンダやボニーへの提供が先だったため、あまり目立たない存在ですが、アメリカン・フライヤーの
「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」はリビーと並んで絶品です。
リンダのは大袈裟なアレンジと歌い上げる感覚が好きになれませんでした。アメリカン・フライヤーの「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」はエリック本人の歌唱ではなく、ピュア・プレイリー・リーグ、そして80年代後半フィートにも在籍したクレイグ・フラーが歌っています。男性ヴォーカルの「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」は後にも先にもコレだけではないでしょうか?男の哀感がたまんないです。また、リビーはとてもソフトに女性らしい気持ちで歌うのが好きでしたね。アルバムを通して聞いても、とてもよく出来たアルバムですが、CDが一時期あれだけ高騰したのは・・・
ちょっと信じられませんね。
「名盤」の位置付けを考えると、小倉エージの発言が大きく影響したのは70年代のニューミュージックマガジンでの名盤騒動、そしてソニーを中心とした日本独自の名盤復活、なんだか今のCDの国内のみ!ってのに時代が変わっても似ているなぁ〜って感じですね。
そうそうソニー(コロンビア)じゃないけど、同時期
あのグレンダ・グリフィスもデビューしています。
by hamakaze_ataru (2007-08-31 00:21)
大安さん、どうもです。
>このアルバムも多分20代で買ったと思います。
>やっぱりきっかけは「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」です
さすがですね~。
まったく知らず、「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」も今回がお初でした^^
>男の哀感がたまんないです。
>また、リビーはとてもソフトに女性らしい気持ちで歌うのが好きでした
なるほど~。
アメリカン・フライヤーも知りませんが(汗)、紙ジャケになったらぜひとも聴いてみなくちゃいけませんね!
>70年代のニューミュージックマガジンでの名盤騒動、
>そしてソニーを中心とした日本独自の名盤復活
ジャズの世界では70年代の初めごろ、『スイング・ジャーナル』誌が旗を振って「幻の名盤」ブームというのが沸き起こったんですが、ポップスの世界でも似たようなものがあったんですね。
知りませんでした^^
by parlophone (2007-08-31 01:19)