高田渡の紙ジャケ [日本のロック・フォーク]
きょうは5月25日にリリースされたキング~ベルウッド・レーベルの紙ジャケをご紹介したい。
1950年代生まれのぼくは、フォーク・ブームの真っ只中に青春期を送った。
高石友也、岡林信康、中川五郎、五つの赤い風船、フォーク・クルセダーズ、遠藤賢司、高田渡、加川良、泉谷しげる、吉田拓郎、友部正人、井上陽水、かぐや姫…。
リアル・タイムで彼らの音楽を聴いてきた。
以前も書いたが、彼らのうちの何人かはライヴも見ている。
ところがなぜか彼らのアルバムをほとんど買ったことがない。
大学時代には軽音楽部(懐かしい響き…笑)に入って、何回かはステージで彼らの曲をカヴァーしたこともあったのに、である。
そのなかで唯一、アルバムを買ったことがあるのが高田渡である。
はっぴいえんどがバックをやっていたということもあるかもしれない。
でもいちばん大きいのは彼の唄の歌詞である。
添田唖蝉坊、山之口獏、吉野弘、木島始、ラングストン・ヒューズ、etc…。
なかでも山之口獏の詩は、高田渡の唄をとおして知った。
高田渡はアメリカン・トラディショナルのメロディに、こういった文学としての詩を載せて、飄々と唄った。
今回は高田渡がベルウッドに移籍してからのファースト・アルバム『ごあいさつ』と『武蔵野タンポポ団の伝説』の2枚を買った。
『ごあいさつ』のほうは日本の誇るバナナ・ジャケである(笑。
「生活の柄」や「自転車にのって」といった、彼の代表曲として長く歌いつづけられることになる作品や、「鮪に鰯」、「アイスクリーム」、「値上げ」、「しらみの旅」などの傑作がずらりと並ぶ。
タンポポ団のほうは高田渡のほかにシバや若林純夫あたりが中心になって作られたジャグバンドで、中津川で行われた「全日本フォーク・ジャンボリー」のためのバンドである。
これはそのライヴ録音で、「サンフランシスコ湾ブルーズ」、「ミッドナイト・スペシャル」、「長屋の路地」、「しらみの旅」、「もしも」、「淋しい気持ちで」など、こちらも当時のたんぽぽ周辺のシンガーたちの代表曲が収められている。
紙ジャケは両タイトルとも厚紙のA式ゲイト・フォールド・ジャケット。
『タンポポ団』のほうは歌詞を印刷したインサートが復刻されている。
(レーベルは『ごあいさつ』のほうがキング・レコード、『タンポポ団』はベルウッドだ)
音も最新リマスターで瑞々しくよみがえった。
いや。いや。いやぁ~~。
ポールの新作レビューが来ると思ったら
高田渡で意表を突いてきましたかー(笑)。
『ごあいさつ』は名曲・怪曲・奇曲満載の名盤ですよねぇ。
「自転車にのって」「値上げ」は言わずもがな、
やはり極めつけは「人生の柄」ですよねっ!
ひょっとして死が近づいてるんじゃないかと
かすかな予感のなかで観た
2年前のなぎら健壱と共演した東京での最後のライブ(多分)の様子が
今も瞼に浮かびます。
合掌。
by 路傍の石 (2007-06-09 00:35)
いやー、なんか遼さんのイメージと渡さん、うまくかみ合ってません。
私は吉祥寺に住んで34年ですから実際に渡さんがうろうろしていたところをおんなじようにうろうろしてきてます。またよくいたんですよ、街に。ちっちゃいけどよく目立ったし(笑)。
3年前、彼のホームグラウンドだった「のろ」というライブハウスのイベントで私が数曲たいこ叩いてた時に「のそっ」とのぞきに来たのをお見かけしたのが最期(残念ながら直接お話しする機会はありませんでした)です。
正直言うとわたしは日本のフォークはけっこうだめです。たぶんノリ、というかリズムが合わないんでしょう。そんな中、渡さんは数少ない「ついていける」人でした。
by nowatts (2007-06-09 02:18)
↑ところで、柄本明さんが撮った「タカダワタル的」、ご覧になりましたか?
by nowatts (2007-06-09 02:29)
路傍さん、どうもです。
>ポールの新作レビューが来ると思ったら
買ってないんですよね~。
いつもながらソロにはあんまり興味がもてなくて…^^;
とりあえずトラヴェリング・ウィルベリーズは買おうと思ってますが…。
>やはり極めつけは「人生の柄」ですよねっ!
大好きですね~。
あと晩年の作で言えば「ブラザー軒」。
こういう唄を歌える人はほんとうに渡ちゃんぐらいしかいませんでした。
あらためて彼の死によって失ったものの大きさを感じますね。
by parlophone (2007-06-09 21:52)
いや~、nowattsさんと渡ちゃんもあんまり似合わない感じだなあ。
>私は吉祥寺に住んで34年ですから
お~、そうだったんですか!
「サンフランシスコ湾ブルーズ」でも
「♪でも戻っておいで
機嫌を直し
そしていっしょに歩こよ吉祥寺の町を~」
って唄ってますよね。
従兄が世田谷に住んでるんで、下北とか三軒茶屋は歩いたりしてるんですが、中央線沿いは一度も行ったことがなくて…^^;
>「のろ」というライブハウスのイベントで私が数曲たいこ叩いてた時に
>「のそっ」とのぞきに来た
おお、それはそれは。
一度でいいからお話ができたらよかったですね。
>柄本明さんが撮った「タカダワタル的」、ご覧になりましたか?
見てないんですよ。
そのうち必ずDVD買います^^
by parlophone (2007-06-09 22:04)
いせやでよく見掛けた高田さん。
いつもひげがヤニですすけていて酔いどれだった高田さん。
デビュー当時から逝去される直前まで音楽的にはなにも変わらなかった高田さん。
「タカタワタル的」を映画館に観に行って、本当はその舞台挨拶で御本人がくるはずだったのに、突然の逝去でそれもかなわなくなった時のショックを、ほんの数年前のことだからか今でもはっきりと覚えています。
いせやが仮店舗に移った今も、ほぼ毎週の様に自転車に乗ってふらりと行っては市井の小さな幸せを楽しんでいる私です (笑)
by Shaolin (2007-06-11 18:08)
shaolinさん、トラバ&コメントありがとうございました。
そうか、shaolinさんは渡ちゃんの記事を書いていらっしゃったんですね。
以前読んだのに忘れてました^^;
>デビュー当時から逝去される直前まで音楽的にはなにも変わらなかった
ほんとうにそうですね。
亡くなってから、じつはぼくとそんなに年齢が違わなかった、と知ってびっくりしたんですが、20代のころから老成したイメージがありましたね。
加川良なんかが「渡が…」って呼び捨てにしてるのにすごく違和感を感じていたんですが、じっさいは加川のほうが年上だった。
そして20代のころからステージにウイスキーの入ったコップを置いて、ボソボソしゃべりながら、「系図」なんて唄を歌ってましたね。
>「タカタワタル的」を映画館に観に行って、本当はその舞台挨拶で御本人がくるはず
>だったのに、突然の逝去でそれもかなわなくなった
それはショッキングですね。
そのあとの映画も胸が塞がるような思いで、あまり満足にはご覧になれなかったのではないでしょうか。
>市井の小さな幸せを楽しんでいる私です (笑)
うらやましい話です。
ぼくもイノダっていう珈琲屋には学生時代行ったことがあるんですが(あまり美味しいコーヒーとは思わなかった…^^;)、吉祥寺あたりはぶらぶらしてみたいですねー。
by parlophone (2007-06-11 22:54)
こんにちは。
京都なもので、このあたりは他人事と思えないんです。フォークのことですけど。
「武蔵野たんぽぽ団」は発売当時に買いましたが、その後、友人と
「グッバイ・フライド・エッグ」と交換してしまって、そのLPが今もあります。
高校生のときです。
by Sken (2007-06-14 13:29)
Skenさんも武蔵野タンポポ団、お好きでしたか。
ぼくは高田渡、岩井宏、シバあたりが好きでしたから、タンポポ団はフェイヴァリットでしたね。
>「グッバイ・フライド・エッグ」
すみません、これ知りません。
どんなアルバムなんでしょうか…。
by parlophone (2007-06-14 23:07)
私も「3ばかトリオ」って言って、フォーク・ジャンボリーなどに
出てたころから好きです。あと加川良でしたね。
>「グッバイ・フライド・エッグ」
フライド・エッグってバンドなんです。
日本のロックの草分けってやつでしょうか。
70年ごろに活動していたギター・トリオです。
その最後のアルバムです。
私のところのブログで今年の4月に取り上げてますので
お時間有りましたら見てください。
by Sken (2007-06-16 19:54)
あ、3ばかトリオって高田渡、岩井宏、シバの3人でしたっけ?
すっかり忘れてました^^;
>日本のロックの草分けってやつでしょうか
へえ~、そうだったんですか!
あとでSkenさんおブログ、お伺いしますね!
by parlophone (2007-06-17 01:33)
3ばかトリオっていってたのは、
高田渡、岩井宏、加川良でしたね。
シバはもう少し後のデビューになるようです。
時期がちょっとずれてのデビューです。
by Sken (2007-06-17 18:12)
>3ばかトリオっていってたのは、
>高田渡、岩井宏、加川良でしたね
ああ、そうでしたね。
深夜放送でシバの「夜汽車のブルース」を聴いたときは
日本にもこんな人が出てきたのか!と
感動したものでした^^
今も元気に活動しているのでしょうか。
by parlophone (2007-06-17 22:48)