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ニール・ヤング 『ライヴ・アット・ザ・フィルモア』 ファースト・インプレッション [CSNY]

10月14日の記事で取り上げたニール・ヤングの1970年3月のフィルモア・イーストにおけるライヴ盤(国内盤)が11月22日にリリースされた。
タワレコではUSレギュラー盤が1,890円、国内盤との差は690円と、かなり大きい。。
ちょっと悩んだが大鷹俊一の解説が読みたかったのと、ニールのばあいは歌詞がやはり大きなポイントなので歌詞・対訳付の国内盤にしてしまった。

   

アルバムは縦の長さがやや短いがゲイトフォールドの紙ジャケだ。
おそらくデジパックと同じ規格のUS製紙ジャケと同等のものだと思うが、どうせ紙で作るのなら135ミリ×135ミリの国内盤紙ジャケ規格で出してほしかったなあ。
それだけは残念だが、なかみは期待にたがわない素晴らしいもので、今後リリースされるであろうアーカイヴ・シリーズが楽しみだ。

前回の記事でもふれたが、ダニー・ウィットンが率いていたバンドROCKETSをクレイジー・ホースと改名してレコーディングしたソロとしては2nd にあたる『EVERYBODY KNOWS THIS IS NOWHERE(邦題 ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース)』をリリースしておよそ半年後のライヴである。

ライナーを読むとセットリストの後半、エレクトリック・セットにあたる部分を、ほぼそのまま収録したものらしい。
唯一外されたのが「シナモン・ガール」というのもすごく残念だが、前半のアコースティック・セットでは「On the Way Home」、「Broken Arrow」、「I Am a Child」、「The Loner」、「Nowadays Clancy Can't Even Sing」(!)などが演奏されたとあるから、ぜひともコンプリートな形でリリースしてほしかったと思うのは、ぼくだけではないだろう。

インサートを見ると、ミックスダウンが行われたのが1996年の5月12日、ただし「Cowgirl in the Sand」だけは1970年8月3日、と記されているから、もともとはLPとして企画されたものだったのだろう。

簡単にファースト・インプレッションを記しておきたい。
M-1はその2nd のタイトル曲「Everybody Knows This Is Nowhere」。
カントリー・タッチののんびりしたスタジオ録音と同じアレンジで、ダニー(g, vo)とラルフ(ds)のコーラスも快調で、しごくリラックスした雰囲気でアルバムはスタートする。

M-2は76年のベスト盤『DECADE』に入っていた(当時は未発表だった)「Winterlong」。
間奏ではイントロと同様のニールとダニーのギターの絡みから、ニールが短いソロにもっていくところが興味深い。

M-3は前述の2nd でもハイライトのひとつだった「Down by the River」で、イントロが流れると客席からは拍手が起こる。
オリジナルでも10分06秒あったものがここではさらに12分24秒に延びていて、ニールの呪術のようなソロが堪能できる。
ぼくは2ndの国内盤を1973年の5月に買っているが、夏の暑い昼下がりにこの曲の延々とつづくギター・ソロを聴きながら、妖しい胸騒ぎのようなものがこころのなかで渦巻くのを、半ば楽しんでいたのを想い出す。

M-4は「Wonderin'」という曲で、スタジオ録音は83年の『エヴリバディズ・ロッキン』に収録されているらしい。
ちょっとメランコリックな味わいもある軽い感じの曲だ。

この曲のあとメンバー紹介が行われるが、ダニー以外は「ミシガン出身のビリー・タルボット、イリノイから来たラルフ・モリーナ、ニューメキシコのジャック・ニッチェ」と出身地つきでアナウンスされるのがおもしろい。

M-5はダニーとニールの共作で、ダニーの追悼盤『今宵その夜』にも収録された「Come on Baby Let's Go Downtown」だ。
リード・ヴォーカルもダニーで、カントリー・ロック調の軽快な曲。

ここまでM-3の「Down by the River」以外はどれも3分台のコンパクトな曲だったが、アルバム・ラストはその「Down~」と並ぶ名曲「Cowgirl in the Sand」だ。
イントロのアレンジが違うので初めは何の曲かわからないが、ニールのギターがマイナーで翳のあるフレーズを弾き始めると、しだいに聴衆の期待も高まっていき、「Hello,」というヴォーカルの始まりで一気に興奮の坩堝、という構成だ。
TOCのタイムは16分09秒、前回の記事でMr.Soulさんが「僕の持っているテープは……15分強しかありません」とコメントされていたが、演奏後の拍手が延々と収録されているので、実質は15分弱の演奏である。
それにしてもニールの唯一無二という感じのギターはほんとうに最高だ。
好きじゃない人にとっては「うまくもないし速くもないし、どこがいいの?」というギターなのかもしれないが、クセになります(笑。

ラスト、拍手が鳴り止むとジェイムズ・テイラーの「スイート・ベイビー・ジェイムズ」が流れるのも、なぜか感動してしまった^^

  

バック・スリーヴには当時の写真が掲載されている。
トレードマークとなったブラック・フィニッシュにビグズビー・トレモロ、ミニ・ハムバッカー×2というカスタム仕様のレスポール・スタンダードを抱えてうつむき加減にギターを弾くニール。
かっこいい!

ゲイトフォールドのなかはステージの写真と新聞のコンサート・レヴューのようなものが載っている。
ダニーのギターはグレッチだ。

   

それにしても!!
と思う。

いつかはこのときのコンプリート版をリリースしてほしいものだ。


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コメント 6

lonehawk

遼さん、こんばんは!
ワタシは今回DVD付きの輸入盤を購入したのですが、これも紙ジャケよりもやや小さめのゲイトフォールド仕様のペーパースリーブでした。
ニールのアーカイヴ音源に関しては随分と前から噂だけが先行していましたが、ようやく第一歩を踏み出してくれたので、今後のリリースにも期待したいです。
このアルバムももちろんですが、当時のフィルモアでの数あるライヴアルバムを聴いていると、どれもスゴイ熱気が伝わってきますね。

当ブログの記事をTBさせて頂きましたので、宜しくお願い致します。
by lonehawk (2006-12-04 00:57) 

parlophone

lonehawkさん、おはようございます。

>ワタシは今回DVD付きの輸入盤を購入したのですが、これも紙ジャケよりも
>やや小さめのゲイトフォールド仕様のペーパースリーブでした

ニール・ヤングは海外のアーティストとしては唯一といっていいぐらいペーパースリーヴに関心を持ってるようで、それはうれしいんですが、国内盤は国内規格にしてほしかったというのが偽らざる心境です^^

>ようやく第一歩を踏み出してくれた

ですよね!
これからが楽しみです。

>当時のフィルモアでの数あるライヴアルバムを聴いていると

lonehawkさんはきっとスゴイ数のアルバムを聴いてらっしゃるんでしょうね。
ぼくは最近といえばオールマンとサンタナぐらいですが、いずれもさすがというべき熱演で、当時のフィルモアの果たした役割を改めて認識させられますね。

ぼくからもトラバさせていただきます。
よろしくお願いします^^
by parlophone (2006-12-04 09:19) 

MORE

私もこのアルバム、涙ぐんで聴いています。(笑)
Everybody Knows...は初めて買ったニールのソロLPでした。
当時輸入盤で出たばかりで、どんな内容なのかワクワクして
聴きました。

>夏の暑い昼下がりにこの曲の延々とつづくギター・ソロを聴きながら、
>妖しい胸騒ぎのようなものがこころのなかで渦巻くのを、半ば楽しんでいた

この感覚、判ります。私もこのアルバムを聴く時は床に大の字になって寝転んで目を閉じてギターの音色の洪水に身を任せるように聴き入っていましたから…
そうやっていつも聴いていたのは他ではQuicksilverのHappy Trailsでした。

本当にどうしてコンプリート版で出さなかったんでしょうか?
テープに問題でもあった?それとも出し惜しみ?
この頃のニール&クレージー・ホースのライヴはもっと聴きたいですよね。
できればLive In Japanも…ブート持ってるんですが音が悪いので…
by MORE (2006-12-04 12:10) 

parlophone

>私もこのアルバム、涙ぐんで聴いています。(笑)

わかるなあ、その感じ(笑。

>床に大の字になって寝転んで目を閉じてギターの音色の洪水に
>身を任せるように聴き入っていましたから…

おんなじですね~。
ぼくのばあい、もう1枚はアルバート・アイラーの『スピリチュアル・ユニティー』でした…。
これもアイラーのテナーが呪術のようにぼくの周りを漂って、夏の暑さのなかでナチュラル・トリップしたものでした(爆。

>できればLive In Japanも…

おお!
それは聴いてみたいっーーーーー!!!
by parlophone (2006-12-04 13:06) 

DEBDYLAN

parlophoneさん、初めまして。DEB DYLANと申します。調子外れなコメントで申し訳ないです。実は貴方のHPは以前より読み逃げさせて頂いておりました(スミマセン)。私も一応、紙ジャケ・コレクターであります(月に1.2枚しか購入できませんが・・・)。「紙ジャケCDの誘惑」のコーナーは何回も読み、購入の参考とさせて頂きました。記事を読んで『呪われた夜』を購入しました(かなり前の話ですが)。
このNEIL YOUNGは先日近くの街のタワレコで見かけたのですが、情報に疎い私は「何じゃこれ?新譜?」という感じで購入しませんでした。後悔・・・。今度見かけたら購入してみようと思います。地元のCDショップにあるかな?メガヒットしか置いてないからな・・・
最近、私もBLOGを始めました。自分の好きな音楽の事を書こうかと思い始めたのですが、parlophoneさんや、コメントされている皆様の文章をみるにつけ、自分の記事の未熟さを感じます。
もし、暇な時間がありましたら覗いて笑い飛ばしてやって下さい。私ももっともっと精進せねば・・・
初投稿で、どうでもいい文章を長々と失礼致しました。これからも楽しく読ませて頂きます。
それでは

DEB DYLAN
by DEBDYLAN (2006-12-06 00:39) 

parlophone

DEB DYLANさん、こんばんは~。
初めまして、管理人の遼と申します。
よろしくお願いいたします。

>実は貴方のHPは以前より読み逃げさせて頂いておりました(スミマセン)

とんでもないです。
ぼくもあまたのブログを読み逃げ?しまくっています^^
ぼくとしては読んでくださるだけで有難いので、謝っていただくなんてとんでもないことです。

>紙ジャケCDの誘惑」のコーナーは何回も読み、購入の参考とさせて頂きました

ありがとうございます。
最近はあまり更新できませんが、ブログのほうで紙ジャケはできるかぎり取り上げていきたいと思っております。

明日にでもぜひ伺わせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
by parlophone (2006-12-06 00:59) 

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