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『イントロデューシング…カール・パーキンス』 [JAZZの愛聴盤]

カール・パーキンス(p、「ブルー・スエード・シューズ」で有名なロカビリーの名歌手とは別人)の名前を最初に聞いたのはどこでだっただろう。
おそらくクリフォード・ブラウン(tp)とマックス・ローチ(ds)が1954年の4月にL.A.で吹き込んだライヴ盤(『BROWN & ROACH IN CONCERT』のB面に収録)が最初だったのだろう。
このアルバムはその翌年から56年にかけて、同じL.A.に本拠地を置く「DOOTONE」というマイナー・レーベルに吹き込まれたパーキンス唯一のリーダー・アルバムで、彼もまた58年3月にはブラウニーの後を追うように、自動車事故のため29歳という若い命を散らせてしまったのだった。

   


パーキンスのピアノには強烈なスイング感があり、その圧倒的な迫力は一度聴いたら忘れられないほどだが、その奏法はたいへんに独特のものだ。
かれは子どものころの事故がもとで左腕のひじから先が曲がっていて、その直角に曲がった左腕を全部、鍵盤の上に載せるようにしてリズムを弾くのである。
その故かどうかはわからないが、そうして響き出される粘りつくようなフィーリングに溢れるピアノは、まさにワン・アンド・オンリーのもので、その本質はこのアルバムにも色濃く表れている。

とくに自作のブルーズ曲3曲はどれもブルーでソウルフルな魅力に溢れていて、心を捉えて離さない。
It Could Happen to You」や「Lilacs in the Rain」といったようなバラードになると、一転アート・テイタム~テディ・ウィルソンの流れを汲むような流麗なピアノでまったく新しい側面を見せてくれるのだが、ラテン・リズムに載せたガレスピーの有名な「Woodin You」や、自作のスインギーな「Way Cross Town」などとあわせて、パーキンスのさまざまな魅力を味わうことができる。

ベースはウエスト・コーストの第1人者ルロイ・ヴィネガー、ドラムはローレンス・マーブルという布陣で、これで録音がよければ申し分ないところなのだが、どこかで高音質のリマスタリングを施した紙ジャケで出してもらえないだろうか。

introducing... CARL PERKINS
DOOTOON LP 211


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コメント 17

bassclef

カール・パーキンス、僕も好きなピアニストです。この紹介盤は、もちろん(笑)freshsoundの再発で聴いてます。タッチが重い、なにかこう・・・沈んだような気持ちのこもった、すごくいいピアノですよね。このレコードが気に入ったので、他にもピアノトリオは?と探したら、modeに3~4人のピアニストから3~4曲づつ集めたLPがありましたよ。(タイトル失念:しかも出てこない:笑) その中の何曲かもなかなかよかったです。たしかVSOPから再発が出てました。
by bassclef (2006-07-06 09:29) 

nowatts

大変ご無沙汰しております。去年なんどかお邪魔させていただいたものです。
カール・パーキンス私も大好きです。FRESH SOUNDSで「CARL PERKINS MEMORIAL」というレア音源集もありますがほんとに録音が少ないのが残念ですね。。。お持ちの「INTRODUCING」ひょっとしてオリジナルですか?
by nowatts (2006-07-07 17:48) 

幻燈遮断機

遼さんのmilk_teaさんのブログに対するコメント、とても興味深くかつ、楽しんで読みました。
僕は本当に、遼さんと知り合えて良かった。
貴方はどうして僕の漠然と感じていることを、的確な言葉に出来るのだろう。
シンフォニー、コンチェルト、の魅力。感動しました。
本当、遼さんのいう通りだと思います。

皆が遼さんのブログに集まる理由。
少しだけ分かった気になった七夕の夜でした。

カール・パーキンスの記事なのに関係無くてスイマセン。
by 幻燈遮断機 (2006-07-07 22:37) 

Refugee

遼さん

私は、この人、Brown-Roachのin Concertでしか知りませんが、う~ん、こんなアルバムがあったんですねぇ。
このアルバムも、実に良さそうですね。それにジャケットがいいなぁ。
でも、録音が良くないんですか?それは残念です・・・・
by Refugee (2006-07-08 01:16) 

parlophone

bassclefさん、いつもありがとうございます。

やはりほぼ同じ時期にJAZZを聴き始めただけあって、bassclefさんとはほとんど好みが似通っているような気がします。
違いは、ぼくがオリジナル盤を集めるほどのマニアではないってところかな^^;

>modeに3~4人のピアニストから3~4曲づつ集めたLPがありましたよ。

う~ん、modeもマイナー・レーベルですが、キングかどこかから国内盤が一時期出てましたよね。
聴いてみたいなあ~。
by parlophone (2006-07-08 22:58) 

parlophone

nowattsさん、こんばんは~!
お久しぶりです。
ひょっとしたら帰国されてからは初めてではありませんか?
お元気でしたか?

>FRESH SOUNDSで「CARL PERKINS MEMORIAL」というレア音源集もあります

おお、それは聴いてみたいですね~。

>ひょっとしてオリジナルですか?

とんでもないです。
国内盤です^^
by parlophone (2006-07-08 23:02) 

parlophone

幻燈さん、どうもです!
ぼくもmilkさんじゃありませんが、急な出張が入って、書きかけていたコメントだけ書いて家を出てしまいました。
自分のブログのほうが後回し(←ひどい管理人だ~^^;)

>シンフォニー、コンチェルト、の魅力。感動しました。
>本当、遼さんのいう通りだと思います。

ありがとうございます!
クラシック好きの幻燈さんからそう言っていただいて、ちょっと気恥ずかしいです(*^ ^*)
by parlophone (2006-07-08 23:06) 

parlophone

Refugeeさん、どうもです!

なかなかいいですよ、このアルバム。
録音はけっして褒められませんが、国内盤のアナログはわりと中古で探しやすいと思います。
ぜひ一度聴いてみてください。
by parlophone (2006-07-08 23:08) 

nowatts

>ひょっとしたら帰国されてからは初めてではありませんか?
はい、わたしも子供が生まれたりでどたばたしてました(ワイト島仕込の日本製(笑))。それにしても遼さんのRock、Jazzの嗜好はとても自分に似ており驚きです。クラシックは全く及びませんが・・・「MEMORIAL」はTVショウのサイドメン参加を編集したものらしいので(ということは映像もあるんですかね)バックに徹している演奏が多いですが何曲かはパーキンスの印象的なソロも聴けます。ちなみに9曲のうち6曲はベースがLeroy Vinnegerでこれがまたいい。黄金期のウエストコーストジャズセッションが聴けるという意味では楽しいCDですね。音はそれほど悪くないです。
by nowatts (2006-07-09 13:09) 

Shaolin

この有名な Perkins のリーダー作、オリジナルは滅多にみかけませんね。
僕が懇意にしている中古レコード屋の壁に飾られていますが、
ちょっと手がでない値段でした。まあ国内盤で我慢我慢です。
今度行ったときにどれくらい音が違うのか聴かせてもらおうかな....
by Shaolin (2006-07-09 17:01) 

parlophone

>わたしも子供が生まれたり

お~、それはおめでとうございます!!^^
で、どっちですか。
男の子?女の子?

>「MEMORIAL」はTVショウのサイドメン参加を編集したものらしいので
>(ということは映像もあるんですかね)

うわあ、映像見てみたいなあ~。
CDも今度探してみますね!!
by parlophone (2006-07-09 20:52) 

parlophone

Shaolinさん、どうもです。

>オリジナルは滅多にみかけませんね。
>僕が懇意にしている中古レコード屋の壁に飾られていますが

それでもあるのがすごい!
ずいぶんなマイナー・レーベルでしょうに…。
ぼくなんかハナからオリジナル盤は考えてませんけど^^
ところで同じDOOTOONの
『DEXTER BLOWS HOT AND COOL』のオリジナル盤は
ご覧になったことありますか?
by parlophone (2006-07-09 20:56) 

Shaolin

> 『DEXTER BLOWS HOT AND COOL』のオリジナル盤は

一度だけあります。
けど当然、パンピーには手の届かない値段だったので
ジャケットを眺めるだけでしたが (笑)
by Shaolin (2006-07-11 21:12) 

parlophone

え゛~~、見たことあるんですか!!
すごいなあ~。
あるとこにはあるんですね!

(ま、正直言って買う気にはなりませんが…。
だってJAZZの希少盤って文字どおり一桁違いますからね^^)
by parlophone (2006-07-12 00:04) 

キューピー林

サンタナ話題でお邪魔しました、キューピー林と申します。私もJazzは大好きです。と言うか、下手の横好き『なんちゃってJazzギター』を幾らか弾くので、あちこちセッションに行ったり、時々ライブもしています。集客が悪くてお店の役に立っているかは疑問なのですが(^^;)。

ジム・ホールのファースト・アルバム、彼にしては明るい音色と軽やかなリズムが印象に残る名作と思うのですが、この盤、ピアノがカール・パーキンスで、出番もソロもタップリで、しかも演奏良し(^_^)。これを聴いて、私は彼が好きになりました。ベースのレッド・ミッチェルも御機嫌です。話題の『イントロデューシング』も良い盤ですね(^_^)。
by キューピー林 (2006-08-01 14:39) 

キューピー林

立て続けの書き込みで済みません。

小生、ピアノ、ギター、ベースと言うトリオが好きなようです(^_^)。ジム・ホールのファーストもそうですが、一連のオスカー・ピーターソンものとか。ケニー・ドリュー、ペデルセン、フィリップ・カテリーンというヨーロッパなトリオも物凄く素晴らしかった。タル・ファーロウのトリオも最高です。タル・ファーロウは勿論、エディ・コスタのピアノが唯一無二の強力なスタイルで屹立しています。
by キューピー林 (2006-08-01 14:54) 

parlophone

>『なんちゃってJazzギター』を幾らか弾くので、
>あちこちセッションに行ったり、時々ライブもしています

わお!すごいですね~。
ぼくもギターは弾きますが、ジャズ・ギターはまったく弾けません(笑。

>ジム・ホールのファースト・アルバム…
>ピアノがカール・パーキンスで、出番もソロもタップリ…
>ベースのレッド・ミッチェルも御機嫌です

おお~、ジム・ホールのファーストって、レーベルはどこでしたっけ?
わあ、なんか記憶が曖昧で思い出せない…^^;
コンテンポラリー??
でも、カール・パーキンスのピアノ、レッド・ミッチェルのベースって、もう黄金のトリオと呼んでもいいような組み合わせじゃないですか!
これはぜひ聴いてみないと!

>タル・ファーロウのトリオも最高です
>エディ・コスタのピアノが唯一無二の強力なスタイル

ぼくもタルとエディのトリオは好きですね~。

ちなみに本編のサイト「MUSIC&MOVIES」の「JAZZの愛聴盤」のコーナーにバディ・デフランコの『スウィート・アンド・ラヴリー』取り上げてますので、お暇なときに覗いてみてください。
こちらはタルのギターにソニー・クラークのピアノですが、こちらもなかなかスウィンギーでいい感じです^^
by parlophone (2006-08-01 23:22) 

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