おやおや『ビート・サウンド』 [雑誌・書籍・コミック]
別冊ステレオ・サウンド『BEAT SOUND』 6号(ステレオ・サウンド社)を買った。
前回購入したのは2004年3月発行の3号。
このときは特集1が「ぼくらの好きなスピーカー・ブランド研究」と題したJBL、ATC、PMCの特集だったり、巻頭の「MEET THE SOUND BEAT」という特集などもなかなかおもしろかったのだが、ぼくの第一のお目当ては後ろのほうに組まれた「不滅のビートルズ アナログ盤」という特集だった。
今回も巻頭特集は「紙ジャケ天国」と題してストーンズ、パープル、サンタナの紙ジャケの特集、第1特集は「快音リマスター盤全100」という記事で、それぞれにおもしろいのだが、やはり第一のお目当ては同じく巻末近くに組まれた「ビートルズ・サウンド研究 SIDE A 現行CDをぶっ飛ばせ! ビートルズ日本盤LPの底力を引き出す SIDE B エンジニア吉野金次の全曲解説 プリーズ・プリーズ・ミー ヘルプ!」という特集だった。
とくに気になったのは「 ビートルズ日本盤LPの底力を引き出す」という評論家の細谷信二と編集部Wの記事のほうだ。
64年の『フォー・セール』から「ミスター・ムーンライト」、65年の『ヘルプ!』からタイトル曲、同『ラバー・ソウル』から「イン・マイ・ライフ」、70年の『レット・イット・ビー』から「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」という4曲を選んで、東芝EMIからリリースされている現行CDと旗帯の『フォー・セール』と『ラバー・ソウル』、アップル帯のUS編集盤『ヘルプ!』、帯なしの『レット・イット・ビー』(東芝音工 AP-80189)を聞き比べるというもので、結論からいうと「CDより優れている部分が多くて、その上オリジナルにも劣らぬ実力を秘めている」(同誌142ページ)というのだ。
どうです、みなさん。
気になるでしょう?
しかし記事を読んでみると、とくに「底力を引き出す」工夫やコツがあるわけではなく、状態のいい日本盤を探して、MM型とMC型のカートリッジを適宜使い分けるというだけのものだ。
それではということで、ぼくもさっそく『フォー・セール』の「ミスター・ムーンライト」を聞き比べてみた。
ただし旗帯は持っていないので、Apple矢印帯(音工 AP-8442)で比較してみる。
たしかに現行のCD 『フォー・セール』盤「ミスター・ムーンライト」は、ノイズ感はないものの、高域が強調されて、その分低域の骨太な感じが薄らいだ、あまり魅力のない音だ。
しかし、日本盤LPがそんなにいい音だろうか。
CDよりもマイルドな感じはあるが、やはり高域強調型で、低域のどっしりした感じはあまりしない。
なによりもギターやオルガンなどに瑞々しさが感じられず、どうしても古めかしい音に聞こえてしまうのだ。
現行CDと比較するのならなぜ『キャピトル・ボックス 1』の『ビートルズ'65』に収められた「ミスター・ムーンライト」と比べないのだろう。
今回、アナログと同じステレオ・ミックスを聴いてみたが、なによりジョンの声が目の前で歌っているようにリアルで、とても42年前の録音とは思えないほどだ。
いくら日本盤LPの音がいいにしても、このCapitol盤CDとは比較にならないと思うのはぼくだけだろうか。
巻頭の紙ジャケ特集にしても、ペーパー・スリーヴを制作している金羊社の方々の苦労話はとてもおもしろかったが、ストーンズの紙ジャケをさして「神は細部に宿る!」とか「隅々まで神経の行き届いたパッケージ」(同誌15ページ)とかいうのは明らかに持ち上げすぎだろう。
やれやれ…。
遼さん、こんにちは。
BEAT SOUNDの新しいのが出たのですね。前回、買ってますのでちょっと本屋で立ち読みしてみたいと思います。
日本盤は米からのマスターから作られていた(時にはアナログ起こし!)みたいなので、音質的にはやっぱり今ひとつと思います。
by pink island (2006-04-30 08:24)
遼さん
この雑誌、廃刊になったかと思いました(笑)
ロック好きのオーディオオタク向けの雑誌の購読者なんて、知っているだけで、2人しかいません(爆)
まぁ、ステサンの別冊ですから、結局はオーディオ。ってとこに行き着くのは読む前から分かりきっているんですが、ついつい読んでしまいます…
ま、ATCユーザーの僕としては、この前の特集は単純に嬉しかったですが♪
そんなことより、今度のビーボックスってそんなに音が良いんですかぁ!
当然、偽モノ収録の話題を遼さんとこで拝読してGetしましたが、封切ってません。20年寝かすつもりです(激爆)
でも、そんなに音が素晴らしいなら、本モノが収録されたヤツを買いなおします!
もう出ているのかなぁ~本モノ
by V.J. (2006-04-30 08:59)
pinkさん、どうもです。
>日本盤は米からのマスターから作られていた(時にはアナログ起こし!)みたい
たしか『AERA in FOLK』の吉野金次さんのインタビューかなんかに、そんなことが書いてありましたね。
ぼくは立ち読みしかしてませんが「アナログ起こし!」
そんなことまでしてたんですか!
ムチャクチャやなあ~^^;
by parlophone (2006-04-30 12:21)
>この雑誌、廃刊になったかと思いました(笑)
わはは、V.J.さんらしいピリ辛コメントですね!(笑
>ATCユーザーの僕としては、この前の特集は単純に嬉しかったですが♪
おお、そうでしたね!
も一回特集読み直してみよっと(笑。
>そんなことより、今度のビーボックスってそんなに音が良いんですかぁ!
あの、「'65」は『VOL.1』なんですけど…(笑。
でも『2』も音はいいですよ。
へたなアナログよりはずっときちんとした音だと思います。
本モノ、もう出てると思うんですがねえ。
仕事が忙しくて天神まで出れてません…
by parlophone (2006-04-30 12:27)
BEST SOUNDを立ち読みしました(笑)。「ビートルズ日本盤LPの底力を引き出す」の対談記事は、アンチ原盤信仰の意図で企画されたんですかねぇ?それにしては遼さんもおっしゃるとおり試聴環境そのものに説得力なさすぎですね。ことさらに国内アナログを持ち上げなきゃならない理由も意味不明。BEST SOUNDの記事全体に言えることなんですが、空々しいくらいのべた褒めの連続は読んでいて薄っぺらに感じることこの上ありません。所詮スポンサーのちょうちん記事の羅列に過ぎないのかな(笑)。
by 路傍の石 (2006-05-01 00:37)
路傍さん、どうもです。
>アンチ原盤信仰の意図で企画されたんですかねぇ?
でも、記事のなかで触れた3号の「不滅のビートルズ アナログ盤」という特集はやっぱりUKオリジナル盤がすばらしい!という趣旨だったんですよ…。
>所詮スポンサーのちょうちん記事の羅列に過ぎないのかな(笑)。
ぼくが個人的に「おおっ!」と思ったのは、「快音リマスター盤全100」という特集のなかで「現行の国内盤と欧州盤はCCCD。ここはぜひ米国盤で」という趣旨のことを編集者が書いていたとこなんです^^
単なるちょうちん記事でもなさそうですよ(笑。
by parlophone (2006-05-01 01:01)
みなさん、こんにちわ。いつもお世話になります。
読んでいないのでなんとも言えないのですが、
昔はこの手の中途半端な記事が多かったように思いますがいまどき珍しいですね!
個人的には国内盤のAP型番のリンゴの色が濃いレーベルは
特にSX68カッティング以前はそんなに悪くないと思っていますが、やはり
UK盤のようにどっしりとしたら低域やシンバルなどの高音の美しい解像度が高い音色はでにくいようです..
>ことさらに国内アナログを持ち上げなきゃならない理由も意味不明
たまたま手元にあったのが国内盤だったとか(笑)
そんなことないですよねー
僕も今日、本屋さんに行って見てみます。
by tamachi (2006-05-01 11:54)
たまちさん、どうもです。
ぼくもオデオン盤は意外と音がいいのでびっくりしたことがありました。
「AP型番のリンゴの色が濃いレーベル」も音のいいものはあるのでしょうね。
それにしてもこの特集は
「音質的に満足できるレベルのCDが発売されてない」
「中古盤屋にて格安で売られている日本盤LP」を「手ごろなシステム」で再生しても「現行CDにおよびもつかない情報量」を引き出すことができる…
という趣旨なので???と思ってしまします。
たまちさんのご意見をぜひ伺いたいものです^^
by parlophone (2006-05-01 23:48)