『サラブレッド』―キャロル・キングのアルバム その4 [シンガー・ソングライター]
ジェイムズ・テイラーとキャロル・キングの来日公演が近づいてきた。
昨年の暮だったか、同僚のタケシくんから「いっしょに武道館行きませんか?」と誘われたのだが、日程的にもそして経済的にもちょっとムリ^^;
しょうがないので?きょうは2007年の来日時にリリースされたキャロルの紙ジャケのなかから、1976年に発表された『サラブレッド』をご紹介しよう。
キャロルとジェイムズの共演は70年のジェイムズのアルバム『スウィート・ベイビー・ジェイムズ』が最初だと思うが、ジェイムズがソロ・デビューするまえに活動していた"フライング・マシン"のギタリスト、ダニー・クーチ(コーチマー)が、キャロルのソロ・デビューまえのバンド"ザ・シティ"のギタリストだったわけだから、おそらくそのあたりに二人の最初の接点はあったのだろう。
ぼく自身はキャロルの音楽性とジェイムズの音楽性にそれほど共通するものは見つけることができないのだが、たとえばキャロルのアルバム『ミュージック』('71)とジェイムズのアルバム『ワンマン・ドッグ』('72)を並べてみると、
James Taylor(g,vo)
Carol King(vo)
Daniel kortchmar(elg)
Russ Kunkel(ds)
Miss Bobbye Hall(perc)
Abigale Haness(chor)
というように6人のミュージシャンが共通している。
(アルバムでバッキング・ヴォーカルと表記されているものは、ここではchor=コーラスと表記)
ベースこそキャロルのほうは夫君のチャールズ・ラーキー、ジェイムズのほうはザ・セクションのリー・スクラーとちがっているが、やはり二人は非常に親しいところにいてお互いに影響を与え合っていたのだろう。
さて76年の『サラブレッド』に参加したミュージシャンを見てみると、
Robert "Waddy" Wachtel(g)
Daniel kortchmar(elg)
Leland Sklar(b)
Russ Kunkel(ds)
Ralph McDonald(perc)
Tom Scott(sax)
David Crosby(chor)
Graham Nash(chor)
James Taylor(g,vo,chor)
John David Souther(vo)
というもので、アルバム・リリース後に正式に離婚するチャールズ・ラーキーの代わりにリー・スクラーがベースを弾き、バッキング・ヴォーカルにデイヴィッド・クロスビーとグレアム・ナッシュ、アディショナル・ヴォーカルにJ.D.サウザーが参加しているあたり興味が惹かれるところだ。
ジェイムズは2曲でバッキング・ヴォーカル、1曲でアディショナル・ヴォーカル、さらに1曲ではアコースティック・ギターとしてクレジットされている。
楽曲では元パートナーのジェリー・ゴフィンと4曲を共作しているのも興味深いところだ。
アルバムはピアノの弾き語りで歌われる厳かな「So Many Ways」に始まり、軽やかなリズムとゴフィンの美しい詞が印象的な「Daughter of Light」、クロスビー、ナッシュ&テイラーのコーラスが美しい「High Out of Time」、「イッツ・トゥ・レイト」を思わせるマイナーのロッカ・バラード「Only Love Is Real」というように展開する。
個人的なお気に入りは、そのA-4「Only Love Is Real」と、サビの切ないメロディがこころに残るB-1「I'd Like to Know You Better」(この曲もコーラスはクロスビー、ナッシュ&テイラー)、ジェイムズのギターが活躍するB-4「Still Here Thinking of You」あたり。
キャロルの魅力的な曲にハンマリング・オンやプリング・オフを多用したジェイムズの特徴的なギターが絡むとついワクワクしてしまうのはぼくだけではないだろう。
ややヴォーカルに不安定な部分もときおり感じられたりするのだが、楽曲が粒ぞろいで、リーの伸びやかなベースやラスの要所を締めるドラムスなど、バッキングも申し分ない。
プロデュースはルー・アドラー。
紙ジャケは2007年のデジタル・リマスターで、裏側に歌詞の印刷されたカスタム・スリーヴとカスタム・レーベルが再現されているほか、A-1「So Many Ways」の別テイクがボーナス・トラックとして収録されている。
キャロル・キングは80年代初頭だったでしょうか、LAのグリーク・シアター(屋外)で見ました。
その頃は、「そういえばキャロル・キングなんてまだやってるんだー」というような空気でしたが、とても感動しました。
ジョニ・ミッチェルとは違って、経年変化が少ないというか(笑)、いくつになっても「黄金のヒットパレード」をたった一人で出来ちゃうんですよね。
私もこのアルバムの頃はご無沙汰していましたが、Only Love Is Realだけはなぜか良く知っています。好きですよ。
by MORE (2010-03-05 13:49)
遼さん、こんにちは。
オード・レーベルでの最後のアルバムはキャリアの集大成というよりも達観したものが窺えるような印象を受けました。冒頭の「So Many Ways」において、「あなたと私から音楽が生まれるの。そしてそれを二人ともよく分かっている」と歌われる歌詞からレーベルを去る決意とこれからも力強く活動しようという意気込みが感じられます。新しい門出を迎えるにあたって、清算というよりも感謝という意味が込められていたのかもしれません。
昨今のチケットの高額化にはとても付いていけません。JTを伴った今回のキャロル・キングの来日公演は関東だけなので却って諦めがつきました。2008年の秋、彼女を観ようと大阪厚生年金会館の公演へと足を運んだのですが、高額チケットが災いしたのか土曜日にもかかわらず空席が目立つ状況でした。今回の来日公演のチケットの売れ行きは知り由もありませんが、果たして武道館を満席に出来ているのか不安を覚えます。
by Backstreets (2010-03-06 16:49)
MOREさん、こんばんはー。
レスがめちゃめちゃ遅くなってしまい申し訳ありません。
>キャロル・キングは80年代初頭だったでしょうか、LAのグリーク・シアター(屋外)
>で見ました
いいですねー。
うらやましいです。
MOREさんはいったいどんなお仕事をなさっているのかな?と思ってしまいます^^;
>ジョニ・ミッチェルとは違って、経年変化が少ないというか
たしかにジョニはちょっと老けちゃいましたね、最近は特に。
それにくらべるとキャロルは、もともとがどちらかというと太い声だったせいもあるかもしれませんが、あまり変わったという印象がありませんね。
>Only Love Is Realだけはなぜか良く知っています。好きですよ
いいですよねー^^
by parlophone (2010-03-09 23:04)
Backstreetsさん、こんばんはー。
レスが遅くなってしまい申し訳ないですTT
>オード・レーベルでの最後のアルバムはキャリアの集大成というよりも達観したものが
>窺えるような印象を受けました
>新しい門出を迎えるにあたって、清算というよりも感謝という意味が込められていた
>のかもしれません
なるほど、楽曲やアレンジというような細部ではなく総体として評価するとそうなるわけですね。
すごく勉強になります。
>昨今のチケットの高額化にはとても付いていけません
遠くアメリカから多くのスタッフを伴ってやってくるのですから、少々高くなるのはわかりますが、最近の値段は庶民が気軽に行けるものではありませんね…。
>果たして武道館を満席に出来ているのか不安を覚えます
おそらくJTとキャロルですから、満席に近くなるとは思いますが、昔を懐かしむだけの後ろ向きの人たちでいっぱい…なんてことにならないように願っています。
by parlophone (2010-03-09 23:13)