フラッシュのアルバム [紙ジャケ]
初期イエスのギタリストとして知られるピーター・バンクスが、イエスを脱退(とゆーか、有り体にいえばクビ?)後に同じくイエスのトニー・ケイ(org,p,synth)とともに活動したフラッシュのアルバムがアルカンジェロから紙ジャケでリリースされている。
きょうはそのなかからセクシーなジャケットでも有名な2枚のアルバムをご紹介しよう。
フラッシュはバンクスが結成したバンドというように今までは認識されていて、じっさいファーストにつけられた松井巧の解説でもそういう書き方になっているのだが、セカンド・アルバムの片山伸の解説を読むと、ベーシストのレイ・ベネットがコリン・カーター(vo)、マイク・ハウ(ds,perc)と結成したバンドで、バンクスはスカウトされたというのが事実らしい。
しかし1971年という当時から見れば、イエスを飛び出したピーターがもと同僚のトニーと組んだバンドと見られ"第2のイエス"的に期待されても仕方がなかっただろう。
じっさい、コリンの癖のないストレートなヴォーカルはジョン・アンダースンに似ていないこともなく、レイのゴリゴリとしたテクニカルなベースとマイクの正確でエキサイティングなドラムスと相俟って、翌72年にリリースされたファースト・アルバム『フラッシュ』はかなりクオリティの高い作品になっている。
セールス的にも全米33位を記録するなど、かなり好意的に迎えられたようだ。
ヒプノシスがデザインしたアルバム・カヴァーは、「flash」に「ちらっと見える」という意味があることからのダブル・ミーニングになっていて、当時高校生だったぼくは音楽雑誌に載ったジャケットにドキドキしたものだ。
アルバムの評価も高いものだったと記憶しているが、当時はとうとう音源を耳にすることはできなかった。
今回アルバムを聴いてみて、ある意味イエスよりも素直に楽しむことができた。
オープニングを飾る「スモール・ビギニングス」は9分を超える大作で、ストップ・タイムを挟みながら16ビートから8ビートへ、4ビートを経てまた16ビート、さらに8ビートから16ビートへと自在に変化するリズムを軸に、キャッチーなメロディ、ギターとキーボードのソロとコラボ、伸びやかなヴォーカルと美しいコーラスが絡みあう、といった充実した作品に仕上がっていて、全米ではシングル・カットされて最高29位を記録している。
バンクスとカーターの共作が3曲、ベネットの作品が2曲で、ドラマティックなテーマをもち曲調が幾重にも変化するM-4「Dreams of Heaven」は約13分、9分台の曲も2曲と大作志向だが、いずれも組曲仕立てで変化に富んでいるので飽きさせない。
ゆいいつベースのレイ・ベネットがヴォーカルを取るM-2「Mornig Haze」もピーターのスパニッシュ・ギターが美しい佳曲だ。
紙ジャケはヴィニール・コーティングの美しいE 式のゲイトフォールド・スリーヴ。
内側はコーティングがなく、モノクロでメンバーのスナップ・ショットになっている。
(コーティングの折り返しもきちんと再現されている)
2nd アルバム『イン・ザ・キャン』はキーボードのトニー・ケイが抜けた4人編成で、1972年11月にリリースされた。
カーターの作品が1曲、ハウの作品が1曲、ベネット作が3曲でうち1曲はバンクスとの共作になっている。
キーボードがいなくなって編成がシンプルになり、ファーストよりは構成に変化が少ないが、よりギタリスト=バンクスがめざしたサウンドに近づいているともいえるだろう。
たとえばオープニングのカーター作「Lifetime」は4部構成といえる作品で、16ビートでヴォーカルの入るミディアム・ファーストの第1部、4ビートのバラードの第2部、インストゥルメンタル・パートでリズムがドラマティックな見せ場を作って16ビートへ回帰する第3部を経て第1部の再現となる第4部という構成になっている。
ピーターのギターはワウを使ったりジャズ・ギター的メソッドを展開したりと聴きどころも多い。
こちらも5曲中3曲は10分を超える大作になっている。
紙ジャケはニス塗りのような光沢のあるE 式のゲイトフォールド・スリーヴ。
コンセプトは前作を受け継いでいるようだが、フロント、バックともデザインはヒプノシスではない。
内側はギブソンのES-335 らしきギターを持ったピーターとヴォーカルのコリンのステージをとらえたモノクロ・ショットだ。
こちらは当然のことながら折り返しがない。
レーベルはオリジナルではなく、「Flash」のロゴを使ったシンプルなもの。
音源は2008年の最新リマスターでかなりいいと思う。
リマスタリング・エンジニア 中村宗一郎のクレジットが解説書に記載されている。
Amazon などでまだ買えるようだが、すでに2週間前にはメーカー在庫切れになっていたようなので気になる人は早めに買っておいたほうがいいと思う。
ひとつだけ苦情を。
ジャケットを入れるヴィニールのカヴァーだけれど、新品を買って開けようとしたらこんなになっちゃいました。
乞う一工夫。
きょうはそのなかからセクシーなジャケットでも有名な2枚のアルバムをご紹介しよう。
フラッシュはバンクスが結成したバンドというように今までは認識されていて、じっさいファーストにつけられた松井巧の解説でもそういう書き方になっているのだが、セカンド・アルバムの片山伸の解説を読むと、ベーシストのレイ・ベネットがコリン・カーター(vo)、マイク・ハウ(ds,perc)と結成したバンドで、バンクスはスカウトされたというのが事実らしい。
しかし1971年という当時から見れば、イエスを飛び出したピーターがもと同僚のトニーと組んだバンドと見られ"第2のイエス"的に期待されても仕方がなかっただろう。
じっさい、コリンの癖のないストレートなヴォーカルはジョン・アンダースンに似ていないこともなく、レイのゴリゴリとしたテクニカルなベースとマイクの正確でエキサイティングなドラムスと相俟って、翌72年にリリースされたファースト・アルバム『フラッシュ』はかなりクオリティの高い作品になっている。
セールス的にも全米33位を記録するなど、かなり好意的に迎えられたようだ。
ヒプノシスがデザインしたアルバム・カヴァーは、「flash」に「ちらっと見える」という意味があることからのダブル・ミーニングになっていて、当時高校生だったぼくは音楽雑誌に載ったジャケットにドキドキしたものだ。
アルバムの評価も高いものだったと記憶しているが、当時はとうとう音源を耳にすることはできなかった。
今回アルバムを聴いてみて、ある意味イエスよりも素直に楽しむことができた。
オープニングを飾る「スモール・ビギニングス」は9分を超える大作で、ストップ・タイムを挟みながら16ビートから8ビートへ、4ビートを経てまた16ビート、さらに8ビートから16ビートへと自在に変化するリズムを軸に、キャッチーなメロディ、ギターとキーボードのソロとコラボ、伸びやかなヴォーカルと美しいコーラスが絡みあう、といった充実した作品に仕上がっていて、全米ではシングル・カットされて最高29位を記録している。
バンクスとカーターの共作が3曲、ベネットの作品が2曲で、ドラマティックなテーマをもち曲調が幾重にも変化するM-4「Dreams of Heaven」は約13分、9分台の曲も2曲と大作志向だが、いずれも組曲仕立てで変化に富んでいるので飽きさせない。
ゆいいつベースのレイ・ベネットがヴォーカルを取るM-2「Mornig Haze」もピーターのスパニッシュ・ギターが美しい佳曲だ。
紙ジャケはヴィニール・コーティングの美しいE 式のゲイトフォールド・スリーヴ。
内側はコーティングがなく、モノクロでメンバーのスナップ・ショットになっている。
(コーティングの折り返しもきちんと再現されている)
2nd アルバム『イン・ザ・キャン』はキーボードのトニー・ケイが抜けた4人編成で、1972年11月にリリースされた。
カーターの作品が1曲、ハウの作品が1曲、ベネット作が3曲でうち1曲はバンクスとの共作になっている。
キーボードがいなくなって編成がシンプルになり、ファーストよりは構成に変化が少ないが、よりギタリスト=バンクスがめざしたサウンドに近づいているともいえるだろう。
たとえばオープニングのカーター作「Lifetime」は4部構成といえる作品で、16ビートでヴォーカルの入るミディアム・ファーストの第1部、4ビートのバラードの第2部、インストゥルメンタル・パートでリズムがドラマティックな見せ場を作って16ビートへ回帰する第3部を経て第1部の再現となる第4部という構成になっている。
ピーターのギターはワウを使ったりジャズ・ギター的メソッドを展開したりと聴きどころも多い。
こちらも5曲中3曲は10分を超える大作になっている。
紙ジャケはニス塗りのような光沢のあるE 式のゲイトフォールド・スリーヴ。
コンセプトは前作を受け継いでいるようだが、フロント、バックともデザインはヒプノシスではない。
内側はギブソンのES-335 らしきギターを持ったピーターとヴォーカルのコリンのステージをとらえたモノクロ・ショットだ。
こちらは当然のことながら折り返しがない。
レーベルはオリジナルではなく、「Flash」のロゴを使ったシンプルなもの。
音源は2008年の最新リマスターでかなりいいと思う。
リマスタリング・エンジニア 中村宗一郎のクレジットが解説書に記載されている。
Amazon などでまだ買えるようだが、すでに2週間前にはメーカー在庫切れになっていたようなので気になる人は早めに買っておいたほうがいいと思う。
ひとつだけ苦情を。
ジャケットを入れるヴィニールのカヴァーだけれど、新品を買って開けようとしたらこんなになっちゃいました。
乞う一工夫。
遼さん、こんばんは。
私がフラッシュを初めて知ったのはミュージック・ライフ誌の広告だったと思いますが、当時中学生だった私はそのビミョーなセクシー加減というか、エロティックというほどでも無いくせに、このジャケット写真は強烈な印象を脳裏に焼きつけてくれました。
当時は東芝のディスコグラフィーには必ずといっていいほど、このジャケット写真が掲載されていたので余計に印象に残るものとなりました。
そういえば、このグループの演奏ってラジオでかかっていたという記憶がないので、当然一度も聴いたことがありませんが、イエス路線は私の好みから少し外れるのでジャケットだけの思い出として胸にしまっておきます(^^♪
>ひとつだけ苦情を。
取り出し口って、かつての3インチCDがほとんどこのタイプでイヤでしたね~。
たぶん、レコード店の人が勝手に開封しないように「新品未開封ですよ。」っていう意味あいでワザとこうしてあるんじゃないかって思っているんですが。
by てらだ (2008-07-22 20:49)
てらださん、こんばんは~。
コメントしづらい記事を見捨てずにありがとうございます(笑。
>このジャケット写真は強烈な印象を脳裏に焼きつけてくれました
ぼくは高校生でしたが、やっぱり強烈でしたね!
今でもその記事を読んだ記憶がぼんやり残ってるわけですからね~。
もしフラッシュのアルバムがこういうジャケじゃなかったら、おそらくもう忘れ去ってしまっていて、当然こうやって紙ジャケを買うこともなかったでしょうね。
そう考えるとピーター・バンクスやレイ・ベネットのねらいはばっちりだったわけですよね^^
>東芝のディスコグラフィーには必ずといっていいほど、このジャケット写真
へえ~。
東芝ではなんとかフラッシュで当てたかったんでしょうね~。
音楽的にはなかなか優れていると思うんですが…。
>取り出し口って、かつての3インチCDがほとんどこのタイプでイヤでしたね~
そうだったんですか。
考えてみたらぼくは3インチCDを買ったことがありませんね。
>「新品未開封ですよ。」っていう意味あいでワザとこうしてあるんじゃないかって
>思っているんですが
なるほど!
そういうことですか。
そうするとペリペリと嫌な音がしないように、すーっと開けられるように工夫されたSony Music の紙ジャケって、ますますスゴイですね。
by parlophone (2008-07-22 22:58)
こんばんは^^
PETER BANKS好きです^^v
「YES」「TIME AND WORD」が大好きでBBCセッションまで買ってしまったヤツなんです~(笑)
FLASHは知らなかったんですが
http://jp.youtube.com/watch?v=x2vwJBnJq7o
↑ You Tubeで発見 SMALL BIGININNGS
めっちゃかっこえ~です!
「THE YES ALBUM」を意識した感はありますが。
メインのギターはES335にしたんでしょう。
第一期パープルのリッチーの音色に似てますね。
アンプはVOXじゃないかなと思います。
ソロでのオーヴァーダブはリッケンを弾いてるような気がしますが...
by 黒ちゃん (2008-07-23 20:27)
黒ちゃんさん、こんばんは~^^
>「YES」「TIME AND WORD」が大好きでBBCセッションまで買ってしまったヤツ
おや~、そうでしたか!
シブイですね!
ぼくはリアルタイムでは『こわれもの』からですね。
スティーヴ・ハウ、リック・ウェイクマンという黄金期ですから、ごくふつうのファンでした。
>めっちゃかっこえ~です!
でしょーー?笑
いま使ってるリヴィングのパソコンはYou Tubeが見づらい環境なので
あとで動画は見ますけど、ぜったいかっこいいですよ!
>メインのギターはES335
>アンプはVOXじゃないかな
>ソロでのオーヴァーダブはリッケンを弾いてるような気がします
すご~い!
さすがですね。
ぼくはきっとそこまではわからないと思います。
でも、ジャジーなフレイズが得意なのでES335はぴったりですよね~♪
by parlophone (2008-07-23 23:20)
こんばんは、ジャクソンブラウンとどっちにしようかなと迷ったけど、今回はこっちに。実は今すごく聴きたいCDの一枚(というか2枚)なんですよ。
というのも、先日読んだ記事の中にFlashのことが載っててレコードを探したのですが見つからず聴きたい度が上昇中だったんですが、買えるような余裕も無く、ツタヤにも置いてあろうはずもなく少々イライラしてたんです。
Flash、私はほとんど情報も持たぬまま買った、いわゆるジャケット買いの一枚。当然ピーターバンクスも知るはずも無く(イエスは「こわれもの」以降しか聴いたことなかったし)、多感な少年はあのジャケット(1枚目)と見開きの中の写真はどうなってるのとかと期待してゲット。内側の写真にはがっかりしたもの、けっこう音的には好みで、イエスと違って詰め切れてないB級っぽい感じが魅力でした。
2枚目も嫌いではないのですが、1枚目以上の展開が感じられなかったのとジャケットがいまいちの分減点。やっぱり2枚目も下着付きのほうが良かったと思うんですけどね。3枚目は未聴です。
ところで、レコード、発売当時日本盤は艶ありコーティングでしたが、私が持ってた米盤は1,2枚目ともコーティングなしでした。
P.S きっと遼さんの趣味とは違うとは思いますが、マックの70年代も楽しいですよ。アルバムごとにメンバーも変わってフロントマンも移って行くのに、やっぱりいつの時代もマックの音だし、めちゃくちゃいい感じなのになんかB級の感じが抜けきれないし、愛すべき70’Sの音ですよ。
by gahaku (2008-09-08 01:38)
gahakuさん、こんばんはー。
>先日読んだ記事の中にFlashのことが載ってて
>レコードを探したのですが見つからず
ときどきこういうことがありますよね。
あれー? たしかに持ってたはずなのにどこにいったんだろ?
って聴きたいときに限って見つからない。
思わずUFO の仕業かと思ってしまいますね(←by 33分探偵 笑)。
>多感な少年はあのジャケット(1枚目)と見開きの中の写真は
>どうなってるのかと期待して
な~るほど、そういう買いかたもありですね。
少年時代のいい?想い出ですね^^
>イエスと違って詰め切れてないB級っぽい感じが魅力でした
たしかにそうですね。
もうちょっとどうかすると大化けしたかも知れないのに、ほんのちょっとのところで2流とかB級で終わってしまったバンド…。
そんなバンドの代表格かもしれません^^;
でもたまに聴くといいですよ~。
ぜひ見つけ出してあげてください。
>私が持ってた米盤は1,2枚目ともコーティングなしでした
おお、そうでしたか。
でも72年の国内盤がコーティングというのは、当時としては珍しいですね。
>マックの70年代も楽しいですよ
やっぱ『噂』ぐらいは聴かなくちゃいかん、と常々思ってるんですが、なぜか機会がなくて…。
今度ぜひ聴いてみます^^
by parlophone (2008-09-08 23:00)