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ロイヤル・ホストのチャーリー・パーカー [にぎやかな夜、その他の夜]

ひゃ~、GWがあっという間に終わったと思ったら、仕事がヤマのように押し寄せてきてブログの更新どころではなかった。
ということで久しぶりのUPです。

ジャズ・ファンの方ならタイトルが間違っているとお思いになるかも知れない。
「ロイヤル・ホスト」じゃなくて「ロイヤル・ルースト」だろっ!…って(註)。

いえいえ、いいんです。
みなさんの町にもありますか、ロイヤル・ホスト?
福岡では有名なファミレスのチェーンで、3月13日の「農林石」で紹介した家電販売店「○スト電器」(笑)、もう今は破産してしまった「カメラのドイ」と併せて、この3つの企業の創業者は福岡流通業界の三羽烏と呼ばれていた。
福岡の小さな店から創めて全国展開(といっても西日本中心だが)にまで発展させた企業だったからである。

ぼくはロイヤル・ホストがけっこう好きでよく利用したりするのだが、この前おじいちゃん、おばあちゃんやちいちゃなガキンチョたちで賑わうウィーク・エンドのロイヤルでいきなりチャーリー・パーカーが流れてきたので、イスから滑り落ちそうになった。
喧騒のなかで聞こえてきたのはアウトロに有名なフレーズのついた「スクラップル・フロム・ジ・アップル Scrapple form the Apple」で、トランペットはマイルズ・デイヴィスだったから、バードが1947年11月4日にダイアル・レーベルに吹き込んだオリジナル・トラックということになる。
ふだんは毒にも薬にもならないようなイージー・リスニング・ミュージックしか流れていない店だから、突然マトリクスの世界かなんかに紛れ込んでしまったかのようなシュールな感覚を味わうことのできた稀有な瞬間だった(笑)。

   
   (記事には直接関係ないが、バードがVerveに遺したレコードにはチャーミングなジャケ
          ットのものがたくさんある)

ところで福岡の飲食店ではよくモダン・ジャズが流れている。
たとえばラーメン屋。
TVチャンピオン」で有名になった「一風堂」の大名店とか、とんこつラーメン発祥の地といわれている久留米で一二を争う人気の「大砲ラーメン」などはいついっても必ずモダン・ジャズが流れている。
若い女性などとラーメンを食べに行って、流れている曲を聴きながら「おっ、ポール・デズモンドだ!」なんていうと、「遼さんってスゴ~イ!ぱっと聴いただけで誰が演奏してるかわかるんだ~!」なーんて尊敬されるわけだが、ポール・デズモンドはジャズが好きな人なら誰でもわかるって(笑)。

さて、ゴールデン・ウィークに、ある和食系のファミレスに入ったらここもダンモ(死語だなあ~笑)がBGMだった。

メニューを眺めているときに耳に入ってきたのはリー・モーガンがベニー・ゴルスンと一緒に吹き込んだ「アイ・リメンバー・クリフォード」。
それからビル・エヴァンスのピアノ(曲名はわからなかった)、ナット・キング・コールの「ルート66」(ストーンズのほうが好み^^)、ケニー・ドーハムの「マイナーズ・ホリデイ」のスタジオ・ヴァージョン、チコ・ハミルトン・クインテットの有名な「ブルー・サンズ」(クール!!)、リー・モーガンとベニー・ゴルスン、ボビー・ティモンズが在籍した黄金時代のジャズ・メッセンジャーズから代表作「ブルーズ・マーチ」とつづいて、店を出るときはソニー・ロリンズの「セント・トーマス」が流れていた。
どれも東芝EMIとユニバーサル・ミュージックの楽曲ばかりだから、なにかのコンピレーションなのかも知れないが、店員さんに好きな人がいて、自分でシコシコ作っているんだったらいいなあ(笑)。

註)ロイヤル・ルースト…ブロードウェイの47丁目にあったジャズ・クラブで、パーカーのここでのライヴが頻繁にラジオで流されていた。


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コメント 21

Refugee

「ロイヤル・ホストのチャーリー・パーカー」って、うまいっ!(笑)
ポール・デズモンドって、たぶん私、ブルーベックのタイム・アウトの曲ぐらいしか聴いてもわからないと思います(^^;

うちの近所には、モダン・ジャズがずっと流れているマック(マクドナルド)があります。壁には、ど~んとでっかい白黒のマイルスのポスターが額にいれて飾ってあり、不思議な雰囲気をかもし出しておりますが、客層は、中高生か家族ずれメインで、けっこう落差が激しいです(笑)
by Refugee (2006-05-11 00:47) 

parlophone

Refugeeさん、さっそくありがとうございます。

>「ロイヤル・ホストのチャーリー・パーカー」って、うまいっ!(笑)

ありがとうございます^^
わかる人にしかわからないタイトルなんで、どうでしょう…(笑

>うちの近所には、モダン・ジャズがずっと流れているマック(マクドナルド)があります

うわあ~、思いっきり店長さんの趣味なんでしょうかねえ。
行ってみたい気がしますが、店員さんからは
「なに気取って訳のわかんねージャズとかかけてんだよ。
商売だったら倖田來未かけろよ!」
な~んて陰口叩かれたりして…^^;
by parlophone (2006-05-11 01:13) 

bassclef

遼さん、refugeeさん、みなさん、こんにちわ。ロイヤル・ホストでのパーカー・・・たしかに・・・シュールですね(笑) そんな時、遼さん以外にもひとりくらい、「おッ」という顔付きしてた方がいたりすると・・・しかもそれが雰囲気のある女性だったしたら・・・ちょっといいストーリーができそうですね(笑)
ふだんありそうもないところに配置されることでの・・・ある種の効果ってありますよね。TVのCMからパーカーが流れた時は「新鮮」でした。(あれは4~5年前かな・・・I’ll Remember April だったか)大昔(1972年くらい)国か県だかの「ゴミ撲滅運動」みたいなCMで、トラックがゴミを満載して、そのゴミをこぼしながら進んでくる場面があって、そこで流れたのが純ジャズ、それもバリバリのバップ!・・・「チュニジアの夜」だったのです(笑) あれには・・・草葉のパーカーとガレスピーも 「げへへへっ」だったでしょうね(笑)
by bassclef (2006-05-11 09:24) 

幻燈遮断機

正解は「ベスト電器」です。(←挨拶)
おお、ストーン・マーチンですね。
「ウィズ・ストリングス」は良く聴く一枚(いや、二枚かー)です。^^
チャーリー・パーカーはハルも好きなのでオオッピラに聴けるってだけですが。

>ビル・エヴァンスのピアノ(曲名はわからなかった)
すごい。遼さんは曲名が分からなくてもタッチで誰か分かるんですね!
ピアノ曲というと「アローン」か、「アローン2」からの曲かもしれません。
エヴァンスのピアノ・オンリーはこの二枚だけだったはず。
(↑違うかもしんない。でもそのハズ。いや、しかし)
では。
by 幻燈遮断機 (2006-05-11 20:58) 

Refugee

bassclefさん

> そんな時、遼さん以外にもひとりくらい、「おッ」という顔付きしてた方がいたりすると・・・しかもそれが雰囲気のある女性だったしたら・・・ちょっといいストーリーができそうですね(笑)

私的には・・・・・

ロイヤル・ホストで、パーカーに耳を傾けているレディ・・・顔はよく見えないが、後姿になんともひきつけられる雰囲気が・・・
好奇心に耐えられなくなった遼さんは、そのレディの顔をそっとのぞき見て見ると・・・・
「のっ農林娘~~~~」
って展開が好きです(笑)
by Refugee (2006-05-11 22:43) 

bassclef

ああ、refugeeさん!こちらでも、どうもです(笑)
「農林娘~~~」のくだり・・・思わず「わっはっは!」と声を上げましたよ(笑)
遼さん・・・勝手に盛り上がってしまい・・・大変・・・失礼しました(笑)
それにしても・・・「農林娘」という響き・・・これは遼さんの「傑作コトバ」ですね(笑)
by bassclef (2006-05-11 23:15) 

parlophone

bassclefさん、Refugeeさん、こんばんは~。
ぼくも
「のっ農林娘~~~~」
で爆笑してしまいました!!

いやあ、Refugeeさんのユーモアのセンスに脱帽です。

それにしても、ぼくのよく知ったファミレスが一気にシュールな「笑い」の場に転換してしまうさまは、またチャーリー・パーカーとは違った稀有な瞬間で、それをブログのコメントで体験させていただきました。
bassclefさん、Refugeeさん、ありがとうございました^^

>「ゴミ撲滅運動」みたいなCMで、トラックがゴミを満載して…
>そこで流れたのが純ジャズ、それもバリバリのバップ!・・・「チュニジアの夜」

これもすごいギャップですね~。
72年ごろといえばぼくもジャズを聴き始めたころなので、そんなTVCMが流れてきたらのけぞってたでしょうねえ(笑。
by parlophone (2006-05-12 00:41) 

parlophone

幻燈さん、どもどもです。

>遼さんは曲名が分からなくてもタッチで誰か分かるんですね!

いやあ、ピアニストではビル・エヴァンスはモンクと並んでいちばんわかりやすいでしょう。
和音の選び方がそれまでのほかのピアニストとはまったく違いますよね。
それ以外のピアニストというと…おそらくオスカー・ピーターソンはわかると思います。
「饒舌」(笑。
「おまえはさんまか!」と聴いていてつっこみたくなります^^

>エヴァンスのピアノ・オンリー

いちおう『自己との対話 CONVERSATIONS WITH MYSELF』はソロですよね。
まあ、これは多重録音ですから、純粋なソロとはいえないか…。

でも書き方が悪かったのですが、ソロではなかったんですよ。
トリオでした。
今考えるとリヴァーサイドじゃなかったかもしれませんね。
by parlophone (2006-05-12 00:52) 

Shaolin

> エヴァンスのピアノ・オンリー

Riverside 初期に、アルバムにぽつぽつとソロが入っている他、
1962年4月の有名なソロ4曲 (Easy To Love、Danny Boy 他) の演奏、
あとは Riverside との契約消化のために大量に録音した 1963年のソロなんてのもありますね。

> 「おまえはさんまか!」

モンク志ん生説も、もう随分定着してきましたね (笑)
by Shaolin (2006-05-12 07:43) 

parlophone

Shaolinさん、どうもです。
エヴァンスのソロってそんなにあったんですね。
勉強になります!^^

ところで「モンク志ん生説」ってどんなんですか?
ぜひ教えてください。
ちなみにぼくは圓生も好きでした(笑。
by parlophone (2006-05-12 23:58) 

MASA

こんばんはー。
ロイホは最近行ってないですが、今日何年か振りに古い友人4人と飲みに行った居酒屋のBGMでジミー・スミスの「The Cat」とかリー・モーガンの「Sidewinder」とか、あとジェレミー・スタイグらしきフルートのジャズばかりがかかっていました。
最近こういうお店増えてるんですかねえー。なんかいい感じでした^^。
by MASA (2006-05-13 00:52) 

Shaolin

> モンク志ん生説

ジャズファンでもある志ん朝さんが、なにかの雑誌だったか単行本だったかのインタビューで「モンクを初めて聴いた時に、あぁこれは志ん生だな、と思った」という話をしてはりました。独特の「間」がある、それにモンクにも「フラ」がある、みたいな話だったと記憶しています。愛聴盤は「In Action」と言ってた記憶 (手元にそのインタビューみあたらないので全部記憶です....ごそごそ、まだみつからん)。

まあそういうインタビューを15年ほど前に読んだ記憶があります。

で、それから、少しづつですが、いろんな評論家さんやらファンの間で、ぽつぽつと「志ん生のような」といった表現が目につくように思いますので、上の発言とあいなったわけでした。
by Shaolin (2006-05-13 09:07) 

Shaolin

昨晩夕食をとった秋葉原の和風居酒屋チェーンでは、Big T だの Dorsey Bros. だの、Dixie〜Swing がばんばんかかっていてゴキゲンでした。

ま、ほとんどのお店は有線のチャンネルをそのまま流してるだけなんでしょうけどね。ラーメン屋でも居酒屋でもバーでもファミレスでも。

誰が有線のチャンネルの選択権があるか、ってことでしょうね。知ってる書店では、Beatles がかかりっぱなしの日 (こっちが圧倒的に多い) と、ダンモがかかりっぱなしの日 (たまに) と分かれていて (笑) 後者の時には店員の間で「よくこんな音楽ご存じなんですねー先輩尊敬しますぅ〜」とかいう会話が聞こえたこともあり (爆) 「あーこの人がチャンネルかえたのね」と分かりました。つーことは店長が Beatles フリークで、その日は店長が休みの日だったってことかしら? とか妄想は更に膨らんだり。
by Shaolin (2006-05-13 09:20) 

bassclef

遼さん、shaolinさん、みなさん、こんにちわ。
shaolinさんの挙げた「モンク志ん生説」~僕も、その話し・・・巧い弧と言うなあ・・・と思った記憶あります。もっとも「志ん生」をレコードやCDでも聞いたことないのですが(笑) 
その話しの出自は、たぶん「名演~ピアノ」など講談社だったかが出したジャズのシリーズ本の中のどれか、だったと思います。
ちなみに「フラ」というのは・・・落語ファンには常識コトバなんでしょうか?うまいこと表現した素晴らしいコトバですね!
by bassclef (2006-05-13 09:45) 

幻燈遮断機

遼さん、皆さん、ゴールデンサークルじゃね、タイムにこんばんわ。
(すいません、ワザとやりました↑) orz (しかもベタ)
そういえば「自己との対話」がありましたね。^^
shaolinさん、エヴァンスのソロってこんなにあったんですね。
僕も参考&勉強になりました。
ありがとうございます。

僕が学生の頃バイトしていた喫茶店「ABBEY ROAD」では
何故か店内はストーンズやジミヘン、ツェッペリンの音でいっぱいでした。
いろんなお店があるもんですね。

>ジャズ・ブログはあんま伸びない。
今回は伸びましたね。^^)ノシ
by 幻燈遮断機 (2006-05-13 19:37) 

parlophone

MASAさん、どうもです。
札幌にもロイホはあるんですか?
なんか感激だなあ~(笑。

>ジェレミー・スタイグらしきフルート

しぶいですね~。
ジャズの聞ける居酒屋なんかが増えると楽しみですね!
by parlophone (2006-05-13 23:21) 

parlophone

Shaolinさん、どうもです。

なるほど「モンク志ん生説」って、息子の志ん朝さんが言い出したことだったんですね!
さすが説得力あるわ~^^

>愛聴盤は「In Action」

う~ん、個人的にはジョニー・グリフィンの饒舌なテナーはイマイチなんですが(笑。

>ほとんどのお店は有線のチャンネルをそのまま流してるだけ

な~るほど!
そういう手があったんですね~。
ぼくが学生時代にアルバイトをしていた喫茶店はオーナーが元プロのジャズ・ギタリストだったので、自分でジャズのアルバムを編集したカセットを店内で流してたんですよね(今から考えるとりっぱな著作権侵害^^)。
そういう先入観があったのか、有線ってまったく思いつきませんでした。

ラーメン屋も有線流してるだけか~
(ちょっぴりがっかり^^;)
by parlophone (2006-05-13 23:28) 

parlophone

bassclefさん、どうもです。

>「名演~ピアノ」など講談社だったかが出したジャズのシリーズ

へえ、そんなシリーズがあるんですね。
見たことないけど、今度探してみようっと。
おもしろそうなシリーズですね^^

>ちなみに「フラ」というのは・・・落語ファンには常識コトバなんでしょうか?

初めて聞きました。
どういう意味の言葉なんでしょうか?
by parlophone (2006-05-13 23:32) 

parlophone

幻燈さん、どもどもです。

>僕が学生の頃バイトしていた喫茶店「ABBEY ROAD」では
>店内はストーンズやジミヘン、ツェッペリンの音でいっぱいでした。

こういうお店も大好きです。
で、ときどきお客さんがいきなりライヴ始めたりするんでしたよね?

>ジャズ・ブログはあんま伸びない。
>今回は伸びましたね。^^)ノシ

ありがとうございます。
前回の「愛聴盤」、『Jo + Jazz』はアクセスが現在163ですが、こちらはすでに239になってます^^
by parlophone (2006-05-13 23:36) 

Shaolin

フラ=芸人が生まれつき持っている何とも言えないおかしさ、資質

ということの様です。同じネタを喋っても、ある人が話すと面白く感じる、
そういうときに「フラがある」というようです。

で、亡き志ん朝師匠は、モンクの演奏に「フラ」を感じた、というのです。
素晴らしい洞察力というか、表現力ですね。
by Shaolin (2006-05-13 23:46) 

parlophone

>フラ=芸人が生まれつき持っている何とも言えないおかしさ、資質

なるほどね~。
Shaolinさん、どうもです。
ぼくもピアニストの中でモンクは五指に入る好みのプレイヤーですから、
よくわかります^^
by parlophone (2006-05-14 13:10) 

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