SSブログ

ジョン・コルトレーン『STEREO DRIVE』 [モダン・ジャズ・ジャイアンツ]

今日は7月17日、昨年も書いたがコルトレーンビリー・ホリデイの命日である。
「JAZZの愛聴盤」のコーナーでコルトレーンのアルバムを何か1枚ご紹介しようかとも思ったが、どれにしても名盤だらけなので、今日はサイド・メンとして参加した『ステレオ・ドライヴ』をご紹介しよう。

このアルバムは1958年10月にユナイテッド・アーティスツに吹き込まれたセシル・テイラーのリーダー・アルバムだ。
56年にTRANSITIONレーベルに録音した初リーダー・アルバム『ジャズ・アドヴァンス』で大きな注目を集めたテイラーだが、この時点でメジャー・レーベル、ユナイトが彼に吹き込みのチャンスを与えたのは大英断だったと思う。
パーソネルはテイラー以外はケニー・ドーハム(tp)、コルトレーン(ts)、チャック・イスラエルズ(b)、ルイ・ヘイズ(ds)という布陣。

さてこのアルバム、現在は『コルトレーン・タイム』というタイトルでCDが(紙ジャケでも)発売されている。
つまりコルトレーンのリーダー・アルバムという形にしないと売れないわけだ。
もちろんぼくも、コルトレーンとテイラーがどんなコラボレイションを見せるかに注目をしてこのアルバムを聴いた。
曲はこのアルバムのためのオリジナル、ドーハムの「Shifting Down」とイスラエルズの「Double Clutching」の2曲に、スタンダードの「Just Friends」、「Like Someone in Love」という組み合わせだ。

内容はみなさんも予想がつくのではないかと思うが、まずオーソドックスなドーハムとアヴァンギャルドなテイラーがうまく噛み合わない(笑)。
というか、ドーハムもテイラーもわが道を行くで、お互いに歩み寄ろうという気配はない。
それはコルトレーンにしても同じで、59年にアトランティックに移籍する直前だからすでにシーツ・オヴ・サウンドは形を現しつつあるのだが、テイラーと相性がいいとはいえない。

かんじんのテイラーのソロはセロニアス・モンクを前衛にしたような感じで、けっして悪いものではない。
しかしバッキングの彼はドーハムだろうとコルトレーンだろうとお構いなしに、自分の音楽をプレイしているので、ぼくなんかには耳障りにしか聞こえない。
これが60年代の吹込みであればドーハムにしても、もっとアグレッシヴなプレイで対応できたかもしれないが、58年の時点ではまだドーハムは『静かなるケニー』とほとんど変わらないスタイルなのだ。
結果的には実験作ではあるがコルトレーンの名前を前面に出すしかない作品になってしまった。

ちなみにこのアルバム、モノラル盤は『ハード・ドライヴ』というタイトルでジャケットまで違うので、計3種類のヴァリエーションが存在する。
いったいどれくらい売れたんだろう(笑)。





なお、本編のサイトMUSIC & MOVIESの「JAZZの愛聴盤」のコーナーはこちらからどうぞ。


nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 4

bassclef

parlophoneさん、こんにちわ。コルトレーンの命日にちゃんとコルトレーンを出すところが、律儀ですね。この盤・・・united artistsレーベルでしたね。70年台にもキングレコードから何度か出たのですが・・・持ってないです。でも、parlophoneさんの「音楽解説」で、なんとなく中身も判ってくるような気もします(笑)ラジオか何かで聴いた時、確かに・・・ドーハムが浮いてたような記憶もあります。
by bassclef (2005-07-20 20:09) 

Refugee

遼さん、こんばんは。
コルトレーン・タイムって、そういうアルバムだったんですね。知りませんでした。
コルトレーン・タイムのほうのジャケットはなかなか良いので、そのうち買おうかな~と思ってましたが、そもそもリイシューだったんですねぇ。

そうそう、遼さんの影響もあって、私も「レコードにまつわる日常」をBLOG化してみました。
by Refugee (2005-07-20 22:09) 

parlophone

bassclefさん、どうもです!
>コルトレーンの命日にちゃんとコルトレーンを出すところが、律儀ですね。
えへへ、でもクリフォード・ブラウンのときは忘れちゃいました…。
コルトレーンが入ってなかったら買ってませんね。
いや、ドーハム&モブリーだったら買ってるかな?
いや~、やっぱり買ってないでしょうね(笑)。
でも考えたらドーハム&コルトレーンってけっこう珍しい?
例の『DATA BANK』で調べられますか?
by parlophone (2005-07-21 01:46) 

parlophone

Refugeeさん、どうもです。
>コルトレーン・タイムのほうのジャケットはなかなか良いので、そのうち買おうかな~と思ってましたが、そもそもリイシューだったんですねぇ。

ぼくはがJAZZを聴き始めたころにはすでに『コルトレーン・タイム』というタイトルとジャケの国内盤が出ていたので、オリジナルの『HARD DRIVE』や『STEREO DRIVE』のジャケにあこがれましたね。

聴いてみると3人とも悪くないんですよ。
なのに、テイラーのアヴァンギャルドなソロの後に、ドーハムのある意味牧歌的なソロが出てくると、なんとなく笑っちゃうんですね。
ドーハムのせいじゃないのにね…(笑)。

>遼さんの影響もあって、私も「レコードにまつわる日常」をBLOG化してみました。
わお!DEEPなブログになりそうですね(褒めことばですよ!)
さっそく今から行きま~す!
by parlophone (2005-07-21 01:54) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

BECKOLOGYディナーラッシュ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。