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ぼくが選んだ音のいいCD - クラシック、ジャズ、ソウル編 [MORE MUSIC!]

コメント欄に書いたのでお読みになった方もいるかもしれないが、CDプレイヤーを新しくした。
といっても例によって中古品なんだけれど…。
去年の暮れにAccuphaseのDP-720が出て、これがまたすごい評判で、巷には買い替えで放出されたDP-700がどっと出回ることになった。
オーディオ誌を読むと、DP-720とDP-700にはかなりの音質差があるようなので、「今どき中古のDP-700に手を出すなんて」と笑われるかもしれないが、どう転んでもDP-720には手が出ない。
けれどDP-78にはず~っと手を焼いてきたので、思い切ってDP-700に買い換えることにしたのだ。

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驚いたのはAccuphaseのリセール・ヴァリュー。
具体的な金額は控えるけれど、DP-78は2009年10月に手に入れたときの約8割の金額で引き取られていった。
これはふつうのオーディオ製品では考えられないことだ。
おかげで予想以上に安価にDP-700を手に入れることができた。
しかも傷ひとつない新同品といってもいいようなコンディションで。
ありがたや、ありがたや(笑。

さて、そういうことで5年ぶりに新しくなったCDプレイヤー、前回はそうとう苦労して少しずつ自分の好みの音に近づけていったのだが、今回はびっくり。
オーディオ・ラックにポンとおいて(といっても27kgあるのでとんでもない力仕事でしたが…笑)音を出したら、なんと素晴らしい音!
今までの苦労はなんだったんだろう、と拍子抜けしてしまった。

手元に『Stereo Sound』誌の165号(2008 Winter)があるんだけど、そのベストバイのページを見ると、価格差があるのでカテゴリーはちがうけれど2機種ともベストバイに選ばれている。

DP-700は第1位で
「メカもDACも上級セパレート機用をそっくりそのままが売り。確かに再生音もほとんどそっくりで、同社機らしい明晰さと表現力の豊かさが見事。低音の重量感など上級機以上の印象だ」(柳沢功力)
とベタ褒めだが、DP-78も
見通しがよく、しかも静まり返った音場に、くっきりと音楽が浮かび上がる。繊細でクリーンな響きの伸びも魅力的だ」(傳信幸)
と高評価で第5位に入っている。

「繊細でクリーンな響き」とか「くっきりと浮かび上がる音楽」とか、まあその片鱗はあったかも知れないが、ぼくの知ってるDP-78とはかなり離れた音だ。
おそらくぼくのところにあったDP-78は、本来の半分ぐらいの実力しか出せていなかったんだろう。

いずれにしてもそういうことで、DP-700が手元に来てからまたCDを聴く楽しみがもどってきた。

それで今回と次回で、内容はもちろん音もいいとぼくが思ったCDをご紹介したいと思う。
例によって「いい音」の基準は個人差がありますので、あくまでもご参考程度に…。
(なおリリース時期の古いものもあり、特に国内盤は品番がしょっちゅう変わるので、わかるものについてはリマスタリング・エンジニアやリマスター時期を記載します)

ではpart 1「クラシック、ジャズ、ソウル編」の始まり~~

◎バッハ ヴァイオリン協奏曲集 ヒラリー・ハーン(vn) ジェフリー・カヘイン(cond) ロサンゼルス室内管弦楽団
第2番と「二つのヴァイオリンのための」は2002年、第1番と「オーボエとヴァイオリンのための」は2003年、つまりもう12年も前の録音になる。
このときヒラリー・ハーンは23歳、グラミー賞を獲得したあとのDGG(ドイツ・グラモフォン)への最初の録音となった。
若さあふれる颯爽たる演奏で、とくに「二つのヴァイオリン」は驚くほどテンポが速い。
ふつうこれだけ速いと情緒はどこかへ飛んでいってしまうのだが、そうはならずに聴く者の胸に迫ってくるところがさすが。
録音も明晰だ。

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◎ブラームス交響曲全集 ロジャー・ノリントン(cond) シュトゥットガルド放送交響楽団 (SACD)
もともと映像がDVDとして出ていたもののCD化ということで、キング・インターナショナルからの要請でSACDハイブリッドでリリースされたようだ。
とにかく弦が美しく(あととくにオーボエ)、最近は1番なども名演として定評のある(でも現行CDの音質はあまりよくない)ミュンシュ&パリ管よりもこちらを聴くほうが多い。
オリジナル楽器をもちいたベートーヴェン演奏で有名になったノリントンだが、1番第2楽章のヴァイオリン独奏などはヴィヴラートをかけさせているようだ。
録音は2005年。

◎リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」 ワレリー・ゲルギエフ(cond) キーロフ歌劇場管弦楽団
このCDをぼくに教えてくれたのは市民楽団でヴィオラを弾いている女性だが、そのときのことばが
「遼さん、この演奏、めっちゃエロいですよ…(笑」
さっそく聴いてみるとほんとにすごい。
油絵のような濃厚なゲルギエフの指揮に載せて、独奏ヴァイオリンのセルゲイ・レヴィーチンが連綿と弾きまくる。
「シェエラザード」といえば、アンセルメ&スイス・ロマンド管、といままで思ってきたが、アラビアン・ナイトなのだからこういうのもありなのだと納得した。
録音は満点とはいかないが、冒頭からゴジラが登場しそうな迫力の管と繊細なヴァイオリンの対比が美しい。
こちらも2002年の録音。

◎スタン・ゲッツ 『ゲッツ/ジルベルト』 (2004年オノ・セイゲンによるDSDリマスタリング)
ベースがちょっと膨らむという傾向はあるものの、ゲッツのテナー・サックスはきわめてナチュラルでアナログ盤との差はほとんど感じられない。
ただし1曲め「イパネマの娘」のアストラッドのヴォーカルは右チャンネル。
今年8月に出たデラックス・エディションはマスターどおりアストラッドが左チャンネルらしいから、そちらのほうがいいかもしれない。

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◎ジョン・コルトレーン 『バラード』デラックス・エディション (2002年ルディ・ヴァン・ゲルダーによる24bitデジタル・リマスタリング)
ぼくはORIGINAL RECORDING GROUPの45回転2枚組のアナログ盤『コルトレーン&ジョニー・ハートマン』をもっていて、そこで聴けるコルトレーンのサックスとハートマンのヴォーカルは半端じゃない。
とくにサックスはほんとうに目の前で吹くリードの震えが見えるような音なのだ。
こちらのCDはそこまでのリアリティはないけれど、ORGに迫る高音質を聴かせてくれる。

◎ハービー・ハンコック 『処女航海』 (アナログ・プロダクション、ケヴィン・グレイとスティーヴ・ホフマンによる2010年リマスタリング SACD)
CDとSACDとの決定的なちがいは空気感なのだ、ということがDP-700とこのハイブリッドSACDでよくわかった。
つまり1月13日の記事でぼくがよくわからないと書いたフィル・ラモーンのことばがわかるようになったのだ。
まったく同じ音源の45回転2枚組アナログ盤をもっているが、その差はわずか。

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◎アンドリュー・ヒル 『グラス・ルーツ +5』 (BLUE NOTE創立75周年記念限定盤 24bit 192kHzリマスタリング SHM-CD)
ロン・カーターのベースがエレクトリックに聞こえるところは?だが、ブルー・ノートには珍しいブッカ―・アーヴィンのテナーもリー・モーガンのトランペットもほんとうにリアルで、最初に聴いたときはあらためてCDもいい音なんだと思った。
でも1968年の録音なのにピアノだけはやっぱりいまいちパッとしないなあ(笑。

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◎アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『モーニン +2』 (BLUE NOTE創立75周年記念限定盤 24bit 192kHzリマスタリング SHM-CD)
ぶらりと入ったブックオフで20%オフの800円だったので買ってみたら、ほんとーーーにびっくり。
ミュージック・マターズの33回転シリーズには負けるが、もうRVGリマスタリングの紙ジャケは聴く気がしない。
限定盤なのですでに店頭にはないかもしれないけれど、見つけたら即買いです!

◎ステープル・シンガーズ 『リスペクト・ユアセルフ』 (2009年紙ジャケ SHM-CD)
録音はマッスル・ショールズ、ミックスはメンフィスのアーデント・スタジオで行われており、ほかのスタックス・レーベルより音はいいようだ。
センターにどっかりと腰を据えたベースが印象的で、メイヴィスのヴォーカルがもう少しオンなら…という気もしないではないが、ホーンもドラムスもじゅうぶんファンキーでいい感じだ。

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◎アーチ―・ベル&ザ・ドレルス 『タイトン・アップ』 (2013年リマスター)
録音が1967年と古いため、曲が始まる瞬間にサーッというヒス・ノイズが聴こえるが、タイトル曲「タイトン・アップ」は左チャンネルにベースとドラムス、センターにヴォーカルとハンド・クラッピング、右チャンネルにギターとブラス&ホーンが立体的に浮かぶ素晴らしい録音。

◎スティーヴィ・ワンダー 『キー・オヴ・ライフ』 (2009年紙ジャケ SHM-CD)
曲によっては高域がわずかに歪むものもあるが、粘り気があって弾むベースや、深みのあるシンセ、キーボード、リアルなヴォーカルなど、当時の録音技術の優秀さがわかる(レコーディング・エンジニアはジョン・フィッシュバックとゲイリー・オラザバル、レコーディング・スタジオはLAのクリスタル・サウンド・スタジオ、レコード・プラント、NYのザ・ヒット・ファクトリーなど)。

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◎『ジ・エッセンシャル・テディ・ペンターグラス』 (2007年デジタル・リマスター)
フィリー・ソウルを代表するグループだったハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツのヴォーカリスト、テディ・ペンターグラスが亡くなる2年前に編まれた、彼のキャリアを俯瞰する2枚組ベスト。
1972年のギャンブル&ハフ畢生の名作「二人の絆 If You don't Know Me by Now」、戦争や貧困から立ち上がろうと歌った75年の「ウェイク・アップ・エヴリバディ Wake up Everybody」などブルー・ノーツ時代の代表作から、自動車事故による四肢麻痺を克服して1988年のR&Bチャートで第1位に輝いた「ジョイ Joy」まで、28曲を収める。
MFSBの流麗なストリングスとグルーヴあふれるリズム・セクションをバックにテディがソウルフルにセクシーに歌う。
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コメント 2

syozo

こんばんは。うーんDP700ですかあ、凄いですね。どんな音がするのだろう。ちょっと想像がつきません。
自分も新調したくなりますが、まずはアナログのほうが先ですね。
by syozo (2014-11-19 20:35) 

parlophone

syozoさん、こんにちは!

>どんな音がするのだろう。ちょっと想像がつきません

基本的にはsyozoさんがお持ちのプレイヤーとおなじ雰囲気がと思いますが、『Stereo Sound』誌の評にあったように、腰の据わった低音の上に繊細な高域が乗っかって、録音の新旧にかかわらず音のいいCDはひじょうにアナログ・ライクな音がすると思います。

>まずはアナログのほうが先ですね

syozoさんのはMICRO+SAECでしたよねー。
いい音がすると思いますけどね^^
by parlophone (2014-11-22 14:34) 

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