SSブログ

ビートルズ関連のアナログ盤2種 [BEATLES]

きょうは、時期が遅れてしまってもう「NEW」アルバムとは呼べない?ポールの『NEW』と、ビートルズの『On Air - Live at the BBC Volume2』というアナログ盤2タイトルをご紹介しましょう。

01.jpg

まずポールの『NEW』から。

前作『Memory Almost Full』から6年ぶりとなる今作の印象を一言でいえば、非常にアグレッシヴで攻めのポール、というところだろうか。
プロデューサーに、ポールからすれば息子の世代である売れっ子の4人、エイミー・ワインハウスの『Back to Black』やアデルの『19』を手がけたマーク・ロンソン(1975年ロンドン生)、アデルの「Rolling in the Deep」を含むグラミー・アルバム『21』や007の主題歌「Skyfall」の共作者でありプロデューサーでもあるポール・エプワース(1974年ロンドン生)、『LOVE』で父親のジョージ・マーティンとともにマッシュ・アップの鮮やかな手腕を見せつけたジャイルズ・マーティン(1969年生)、グリン・ジョンズの息子イーサン・ジョンズ(1969年サリー州生)という、いずれ劣らぬ気鋭のクリエーターを起用し、前作や前々作(『Chaos and Creation in the Backyard』)よりもかえって若々しい気合の入ったアルバムになっている。

02.jpg

音作りもそれを反映してか、ベースとドラムスは強烈なアタック感をともなって身体に響いてくるし、音場は左右のスピーカーの外にまで豊かに広がる。
曲によってはひとつひとつの音が聴き分けられないほど分厚い音群が目の前に立ち現れて、ある意味「現代版ウォール・オヴ・サウンド」ともいえるようなサウンドが展開する。
ポールの声の年齢的な衰えを目立たなくするためなのか、アコースティック・ギターの弾き語り風に始まるA-5「Early Days」以外は、ヴォーカルにフェイザーのようなエフェクトがかけられているが、ファルセットなどは意外なほどに伸びやかに聞こえる。

B面の最後にはシークレット・トラックが刻まれているのもご愛嬌だ(見ればわかるっつーの)。

アナログ盤はニス・コーティングの美しいジャケットに収められた180gの重量盤。
24pのとても豪華なブックレットがついている。

03.jpg

レコーディング・エンジニアはTed Jensen、ランオフにはSterlingの刻印とRJのサインがあるのでカッティング・エンジニアはRay Janosのようだ。

レーベルはそっけないほどシンプルだが、出てくる音は厚みがあって迫力も十分。
ノイズ感も極少で最近のヴァイナルの優秀さをアピールするようなアナログ盤だ。

04.jpg

ミュージック・プレイヤーでも楽しめるようにMP3のダウンロード・カードがついている。

つづいて『On Air - Live at the BBC Volume2』。
『Vol.1』がリリースされたのは約20年前で、あのときは「Windows 95」の発売を待ちかねた人たちが深夜の家電量販店の前に列を作って、そちらのほうが大きなニュースだったような気がする。
前作にはあまり興味を引かれずCDもアナログ盤も中古ショップで購入したが、今回はCDはパス、アナログの新品をネットで注文した。

09.jpg

アナログ盤はこちらも重量盤で測ってはいないけれど180gはありそう。
三つ折りのジャケットは内側までニス・コーティングが施されている。

05.jpg

厚手のインナースリーヴも美しい写真が使われ、豪華な雰囲気を出している。

08.jpg

『Vol.1』の目玉は公式"未発表曲"だったが、今作は「I'm Talking about You」「Beautiful Dreamer」の2曲にとどめられ、オリジナル・アルバムでお馴染みの曲のスタジオ・ライヴに主眼が置かれている。
ビートルズがBBCに出演したのは1962年3月から1965年6月まで、「Love Me Do」で公式デビューする半年前から、アルバム『HELP!』の直前までということになる。
今回のアルバムが「Words of Love」で始まり「Honey Don't」「I'll Follow the Sun」「Kansas City/Hey-Hey-Hey-Hey!」といった『For Sale』収録曲で終わるのも、ある意味時系列的なものがあるのだろう。

06.jpg

最後に『For Sale』と同時期にレコーディングされた「I Feel Fine」のアウトテイクが収められているのもうれしい。
『Vol.2』を聴いてみて、ほとんどモノマネ(笑)の「Lucille」はちょっとやりすぎにしても、ポールの"本物"への強い憧れ、あらためて感じるジョンの歌のうまさ、ジョージの意外に力感に満ちたヴォーカル、そしてなんといっても溌剌とした4人の歌と演奏が印象的だった。
Side1に針を下ろしたら「止められない止まらない」カッパえびせん状態でSide4まで聴きとおしてしまった(ちなみにSide5-6はインタヴュー集)。

07.jpg

音は50年前の放送用音源ということで録音によってかなりバラツキがある。
DL-102で再生しても低域不足はどうしようもないが、さすがに中域は充実していてインタビューの声はリアルだし、曲によってはハイハットのアタックやベースの躍動感が伝わってくるものもあってじゅうぶん楽しめる。
やはり古い録音はかまぼこ型の周波数特性でちょっとぼんやりした感じのものが多いかな。
nice!(0)  コメント(15)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 15

氷春友

お久しぶりです。
BBCは僕はアナログ、CD両方購入しましたが、アナログ盤の方が音がしっくり来る感じがして良いですね。このアルバム、個人的には音が予想以上に良くてびっくりしました。ジャケットの写真も、お気に入り!…でも分厚くて既存のビニール袋には入らないし、何しろ取り出しづらいです(T_T)
by 氷春友 (2014-03-17 12:23) 

syozo

今晩は。ポールのPVを見たらすんなり入ってきたのでアナログを買って聴いてみます。初めてのマッカートニー デビューとなります(笑)
by syozo (2014-03-17 21:34) 

parlophone

氷春友さん、こんばんはー。
こちらこそご無沙汰してます。

>アナログ盤の方が音がしっくり来る感じがして良いですね

ですよね!
『Volume 1』のときもアナログのほうがエアーチェックしたときのような感じでよかったので、今回は迷わずアナログにしました。

>このアルバム、個人的には音が予想以上に良くてびっくりしました

ぼくもそうです。
50年前の放送音源って、意外にしっかり音を捉えててバカにできないなあと思いました。

収納ですが、ぼくはジャケットは飾っていて、ディスクだけヴィニール・カヴァーに入れてます^^
by parlophone (2014-03-17 22:39) 

parlophone

syozoさん、こんばんは。

>初めてのマッカートニー デビューとなります(笑)

このアルバムでポールが気に入っていただけたらもちろんですが、気に入らなくても(笑)『RAM』とか『Red Rose Speedway』とか『Band on the Run』とか、名盤がいやになるほどありますので、ぜひそちらのほうも聴いてみてくださいね。

>アナログを買って聴いてみます

ちなみにぼくがAmazonで買ったのは1月で、2116円でしたが、今ならなんと1397円です!
これだけ豪華な装丁と品質管理の行き届いたヴァイナルが1300円台で買えるなんて信じられません!
by parlophone (2014-03-17 22:48) 

MASA

ワタシはポールもBBCもアナログ盤とCDの両方買いました。
わりとポールの新作には消極的だった遼さんがポールを買っていたとはちょっと意外です(笑)。

でも「NEW」はかなりいい出来ですよね。自分のブログでは取り上げる時期を逸しましたが、ここ数年の中ではダントツにいいと思っていたFIREMAN名義の「ELECTRIC ARGUMENTS」を超える出来映えで驚きました。
まあ前作のカヴァー・アルバムがポール史上どうしようもなく最低でしたのでその反動もありますけど(笑)。

BBCの方はアナログで聴く方がやっぱりしっくり来ますね。
by MASA (2014-03-19 00:14) 

parlophone

MASAさん、どうもです。

>わりとポールの新作には消極的だった遼さんがポールを買っていたとはちょっと意外です(笑

ですよねー。7年前もMASAさんに強く薦められて買ったんですからねー。
でも今回はプロデュースのメンバーが気になったのと、ネットの評判がよかったので、つい買ってしまいました^^

>「NEW」はかなりいい出来ですよね

ぼくもそう思います。
声の衰えはいかんともしがたいので、ちょっと淋しくもありますが、いい作品になっていると思いますね。

>BBCの方はアナログで聴く方がやっぱりしっくり来ますね

やはりそうでしょうね。
『volume2』も前作のリマスターも、CDでは聴いてませんがどうしてもちょっと低域が薄くなるだろうと想像はつきます。
by parlophone (2014-03-20 00:56) 

やまちゃん

「NEW」は昨年CD買って、70過ぎたポールの作品?と思うほどまだまだ才能の森と化したポールの実力にはもう神がかりとしかいいようがありません
NEWはペニーレインを思い起こすファンが多かったと聞きますし、オープニングのSAVE USやI CAN BETのような特異性が一番印象に残りました
LPも出たみたいで、う~ん、さすがにそこまでは買えない
BBCも1は94年当時のCDを聞きましたが、こういうのはアナログの方がしっくり来ます。これもいいんですがハリウッドボールのCD化の方がいつになるか待たれますね

US BOXが出たばかりだというのに、今度は64年当時の日本編集盤5枚を「JAPAN BOX」として出すようです
なんかこれもなあ
by やまちゃん (2014-04-18 06:22) 

parlophone

やまちゃんさん、こんばんは~。

>まだまだ才能の森と化したポールの実力にはもう神がかりとしかいいようがありません

最大級の賛辞ですねー。
ぼくは正直いってそこまでは感じとれませんでしたが、最近のアルバムの中では屈指の出来だと思います^^

>64年当時の日本編集盤5枚を「JAPAN BOX」として出すようです

そうみたいですね。
ぼくもEMI~ユニヴァーサルの商魂の逞しさにはあらためて呆れてしまいました。
ぼくは買わないだろうなあ。

やまちゃんさんはどうなさいますか?
by parlophone (2014-04-21 23:28) 

やまちゃん

返信ありがとうございました

>やまちゃんさんはどうなさいますか?
もちろん私も買いません
ユニバーサルのサイトにも2009年のリマスターで発売と書いてありますし、今さら。
しかもa hard day's nightやhelpなんて二度買いになるし
まあ相当のマニアやジャケ狙いで買う人もいるでしょうね
by やまちゃん (2014-04-22 06:07) 

parlophone

やまちゃんさん、こんばんは~。

>もちろん私も買いません

やっぱそうですよね。

>まあ相当のマニアやジャケ狙いで買う人もいるでしょうね

じつはぼくもそういう人種の一人なんですが(笑)、まだ紙ジャケが珍しかったころは、そのミニチュアとしてのある種の芸術性?に惚れて、ロシア製の紙ジャケなんてのも買ってみたりしました。
でも最近は、やはり音も気になるんですよね。
中身はおんなじで、外側だけ変えても、食指は動かなくなってしまいました…。
by parlophone (2014-04-23 02:54) 

mow_henry

かなり久しぶりの書き込みです。
Japan Boxってヘルプは英盤と同じ内容でジャケットの文字の位置やレーベルロゴが違うだけですがダブルジャケット仕様という事で採用なんだろうけど、同じく英盤と同じ内容のフォー・セールはタイトル表示がかなり違うのに収録しないという基準が全くわかりませんw
6枚組ならあの値段もありかなあとは思いますが、1枚あたり税抜き2,800円はボリ過ぎかなあ。
Us Boxも1枚あたり税抜き2,300円だったそれよりも高いという・・。
ユニバーサルに吸収されても相変わらずの東芝価格設定ですね。
by mow_henry (2014-04-23 15:02) 

やまちゃん

mow_henryはじめまして

>同じく英盤と同じ内容のフォー・セールはタイトル表示がかなり違うのに収録しないという基準が全くわかりませんw

実はLPで「ステレオ!これがビートルズ」のvol.1とvol.2所有して、初めてplease please meとwith the beatlesを知ったので、むしろそっちは無視なのかなと。for saleはビートルズ65でしたよね。アメリカ盤で同じタイトルがあるので遠慮したのかな?
ともあれbox売り先行で行くならもう買うことはないかも

parlophoneさん
>まだ紙ジャケが珍しかったころは、そのミニチュアとしてのある種の芸術性?に惚れて、ロシア製の紙ジャケなんてのも買ってみたりしました。

capitol albums vol.2(ビートルズ65BOX)はロングサイズの輸入盤がありますが、私が買ったのは四角ボックスの正規日本盤でHELPが見開きジャケでした
それがあるのでUS ALBUMSからのバラのHELPは買いませんでしたが、見開きなのか気になりますが、まあそこまでは
by やまちゃん (2014-04-25 19:37) 

parlophone

mow_henryさん、こんばんはー。
レスが遅くなってしまって申し訳ありません。

>同じく英盤と同じ内容のフォー・セールはタイトル表示がかなり違うのに
>収録しないという基準が全くわかりませんw

まったく同感です。
『HELP!』をリリースするのなら当然『FOR SALL』もリリースすべきですよね。
デフジャケという点では同じですから。

ちなみにLPからCDになって初期のアルバムのステレオ・ヴァージョンが聴けなくなったとき、最初に中古で購入したアルバムが国内盤『FOR SALE』でした。
そういう意味では思い入れのあるジャケットなんですけどね(笑。
by parlophone (2014-04-27 00:01) 

parlophone

やまちゃんさん、こんばんは~。

>四角ボックスの正規日本盤でHELPが見開きジャケ

あのボックス・セットはよくできてましたね。
ただ、あとで気づいたのですが、『HELP』はペースト・オーヴァーではありませんでしたね。
それが残念。

>US ALBUMSからのバラのHELPは買いませんでしたが、見開きなのか気になります

ちゃんと見開きみたいですよー。
詳しくはコチラ ↓
http://www.superdeluxeedition.com/news/first-pictures-the-beatles-the-us-albums-box-set-help/

by parlophone (2014-04-27 00:15) 

水あめボーイ

いつも拝見させていただいております。
ふと、思ったことなのですが、遼さん(呼ばせてくださいっ)はいつも輸入盤を買われますか?国内盤でしょうか?
ポールの「NEW」は、今さらですが、買おうか迷っているところです。
輸入盤と国内盤、どちらがおすすめですか?

初心者ですが、これからもよろしくお願い致します。
by 水あめボーイ (2015-03-22 12:18) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。