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ビートルズのリマスターLP 比較試聴その3 『ホワイト・アルバム』編 [BEATLES]

今回はAmazon.co.jpから届いた2枚のタイトルのうち『ホワイト・アルバム』を取り上げましょう。

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サイトの表記は「Import,From US」だったのでちょっと心配はしたけれど、届いたのはEU盤。
11月25日現在4,360円という価格で、国内盤とあまり差がないところまで上がってきているが、ぼくが注文したときは2,791円という、じつにリーズナブルな価格だった。
さらにその後「お客様が予約注文された以下の商品が、注文時の価格からY 17円安くなりましたのでお知らせいたします」というメールが届いて、実際に支払った金額は2,774円。
ところがそのとき、サイトではすでに3,400円近い価格になっていたので、このあたりの仕組はさっぱりわからない。
とりあえず安く買えてよかった、と思うしかない。

話がそれてしまったけれど、このアルバムもUKステレオ盤はアーリー・プレスとレイト・プレスの2セットしか持っていない。
アーリー・プレスのほうはオープン・トップで、レーベルに「Sold in U.K.~」というリマークと、「An EMI Recording」表記があるタイプ。
レイト・プレスのほうはサイド・オープンで、リマークがない。

ではまず外観から見ていこう。

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手前がリマスター盤、次がアーリー・プレスで、奥がレイト・プレスだ。

オープン・トップのタイプは、両側にフリップが来るのでその分横長になる。

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リマスター盤はふつうのサイド・オープン・タイプなので、画像でお分かりのように横幅がちがう。

もうひとつ、ぼくが感じる重要なちがいは色だ。
リマスターCDのときに記事にしたように、『ホワイト・アルバム』のオリジナル・ジャケットは真っ白ではなく、ややアイヴォリーのような色味だ。
今回のリマスター盤が真っ白になっているのはちょっと残念。
ま、店頭では真っ白のほうが新品らしくは見えますね。

もちろんシリアル・ナンバーもなし。

さらに「The BEATLES」のエンボス加工だが、これがほんとにちょっとしか出っ張ってない。

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オリジナルはしっかりと文字が浮き出ていたので、経年変化でコーティングのヴィニールが破れているものも多い。

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今回の文字は微かに凹凸がわかる程度なので、ぼくのもってるコンデジではほとんど画像としてとらえることができない。
国内盤でももっとしっかり出っ張ってたよな~、と思いながら探してみると、ありました、そっくりなジャケットが。
それがこちら。

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1981年の再発モノラル盤だ。
まあグレーのインクで印刷してあるよりはマシなのだが、どうせならしっかりとエンボス加工してほしかった。

スパイン。

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リマスター盤はしっかりとした厚みがある。

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下部のレコード番号の部分はオリジナル同様StereoとMonoの併記になっている。
このあたりのこだわりの中途半端さがよくわからん(笑。

バック・カヴァーの右上にはオリジナルどおり「Stereo」の表記がある。

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さて、見開きの左側のポケットには4人のポートレイト、右側には歌詞の印刷された大型のポスターが納められている。

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ちょっと色味が違ってますね。
さらにポートレイトは少しだけ小さくなっている。

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ポスターのほうはリマスターCDはツルツルの紙質だったが、今回はザラザラ。
どっちにしてもオリジナルとはちょっとちがうのがおもしろいというか、なんというか…。

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楽曲のクレジットは、おなじみ「Northern Songs」の部分が「Sony/ATV Music」になっている。

黒のインナーバッグは紙質がよく似せてある。

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ただオリジナルとはちがって内側にポリエチレンが貼りつけてある。
これは親切というべきでしょうね。

さて、音はどうか。

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リマスター盤を聴いたとき、初めはちょっと低域が不足がちかなと思った。
そういう意味では、高校のころからずっと聴いてきた国内盤(初期の赤盤)に似ていると思った。
けれど、よく聴いてみるとけっして低域が出ていないわけではない。
ポールのベースもゴリゴリした質感はちゃんと感じられる。
ただ「Birthday」や「Me and My Monkey」などの曲では、喧騒のなかに妙に醒めたニュアンスが漂うのだ。

こんな書き方をするとリマスタリング・エンジニアの方々には失礼なのだが、パワー・アンプがじゅうぶんに温まっていないときの、音は出ているのだが質感がじゅうぶんには伴わないといった感じによく似ているのだ。

そこでUKオリジナルを聴いてみると…。

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これはもう比較になりません。
圧倒的なオリジナル盤の勝ち。
オリジナルのほうが音圧が(うちのアンプでいうと)3.5dBほど高めなので、ヴォリュームをぐっと絞って聴き比べるのだが、それでも迫力がまったくちがう。
モノラル盤の、音が塊になってドーンと迫ってくるあの衝撃のままに、左右のセパレーションをもった音がスピーカーから飛び出してくる。
深みのある豊かな音だ。

これはちょっと残念な結果だった。
もう少しリマスター盤にがんばってほしかったなあ。
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コメント 8

Mary Beetle

こんにちは。

 今回のホワイトアルバム、オリジナルとの比較を楽しく読ませていただきました。なんか、ずっしり重そうですね。

 PPMとSGT以外は購入予定もなく、リマスターLPの実物を見るにも近辺にレコード屋さんはなく、とても重宝させてもらっています。さすがに保護紙は入っていなかったんですかね?(僕は作りましたが。)

 サイドオープンだったり、レーベルにAn EMIが入っていたり、ジャケットに厚みがあったりと、購入してみないとわからないことがわかって、なるほど、なるほど、なるほど…と思いながら、読ませていただきました。さすがに色はアイボリーではなく白いなとは思ってましたが。

 やっぱり、僕は今回のリマスター盤でいえば、BOXに入っている写真集に一番惹かれます。(でも買わない。)
 
 ということで、ホワイトアルバムが無性に聴きたくなりました。こんな雨の日こそ、モノラル盤をちょっといつもより音量を上げて聴いちゃおう、かなと思っています。


by Mary Beetle (2012-11-26 14:58) 

parlophone

Mary Beetleさん、こんばんはー。
記事を読んでいただきありがとうございます。

>なんか、ずっしり重そうですね

そうですね。
オリジナルのUK盤もけっこう重さがありますが、リマスター盤はやはりずっしりと重みがあります。

>さすがに保護紙は入っていなかったんですかね?(僕は作りましたが。)
>サイドオープンだったり、レーベルにAn EMIが入っていたり

そうなんですよ。
オリジナルのアートワークを再現ってことなので、どこまでをアートワークと考えるかでしょうが、日本人のこだわりとはやはり違いますね。
レーベルのリンゴの色も微妙に違ったり、曲目表示もぜんぜん違うけれど、スパインのStereo Monoの両表記は残したり…。
保護紙はさすがに入ってなかったですね。
え? 保護紙を作られたんですか…。それはスゴイですね^^

>こんな雨の日こそ、モノラル盤をちょっといつもより音量を上げて聴いちゃおう、かな

いいですねー。
福岡も午前中はかなり強い雨が降りましたが、モノの迫力ある音こそこんな日にはふさわしいかもしれませんね。
by parlophone (2012-11-27 00:22) 

MASA

遼さんはじめ、いろんな方々のリマスター・アナログ盤の記事を読ませていただいておりますが、どうもアルバムごとで音質にバラつきがあるみたいですねー。

というワケでまだ買っていないワタシとしては、やっぱりBOXはやめて、何枚かバラ買いしようと思います。
何買おうかな〜っと。
by MASA (2012-11-27 16:12) 

parlophone

MASAさん、どうもです。

>どうもアルバムごとで音質にバラつきがあるみたいですねー

そうみたいですねー。
ぼくの買った4枚でいうと、『リヴォルヴァー』以外はなかなかよくできてると思うのですが、UKオリと比べてしまうとやはり分が悪いという感じですね。

>やっぱりBOXはやめて、何枚かバラ買いしようと思います

ぜひ『PPM』を買ってみてください(^^;
よかったらぼくも欲しいので(笑。
by parlophone (2012-11-28 21:59) 

たっちゃん

PPMと聞いて、ファーストアルバムが浮かばずビーターポールアンドマリー?と思ってしまった僕はやはり昔の人?路傍の石さんのブログからこちらに来ました。よろしくお願いします。
by たっちゃん (2012-11-30 20:24) 

路傍の石

ホワイトアルバムのUKオリ盤はモノだけでステレオは持ってないのですが、低域の迫力と音のよさは定評がありますね。ホワイトのUSB BOXのハイレゾはベースだけでなくギターの低音もまるでアンプにじかに耳をくっつけて聴いているかのようなリアリティがあります。「While My Guter」のクラプトンのギターや「Exept Me And My Monkey」の右チャンのギターなんか悶絶もんです。残念ながらそれがリマスターLPではその質感がもうひとつうまく伝わらないんですね。ベースのゴリゴリ感も申し分ありません。

やっぱりハイレゾはファイル再生に限るのか。ヴィニール盤のリマスターの難しさを痛感した次第です。
by 路傍の石 (2012-12-01 13:07) 

parlophone

たっちゃんさん、はじめまして。
ようこそいらっしゃいました。
管理人の遼(parlophone)と申します。

>PPMと聞いて、ファーストアルバムが浮かばずビーターポールアンドマリー?と思ってしまった僕

いえいえ、PPMといえばやはりビーター・ポール・アンド・マリーです(笑。
「パフ」「悲惨な戦争」「朝の雨」「悲しみのジェット・プレーン」は、いまでもぼくの愛聴曲です^^

では今後ともよろしくお願いします。
by parlophone (2012-12-01 21:54) 

parlophone

路傍さん、こんばんはー。

>ホワイトのUSB BOXのハイレゾはベースだけでなくギターの低音もまるでアンプに
>じかに耳をくっつけて聴いているかのようなリアリティがあります

そうですかー。
ぼくも来年はぜひハイレゾ音源の再生にチャレンジしたいと思ってます。

アナログにはアナログのよさがあるのに、今回のLPはそこまでは行き着けなかったのが残念ですね。
by parlophone (2012-12-01 21:59) 

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