SSブログ

大瀧詠一のアルバム [日本のロック・フォーク]

タツローのベスト・アルバムがオリコン・チャートやCDショップの店頭を賑わしているころ、大瀧詠一のソロ・アルバムが2枚、紙ジャケでひっそりとリリースされた。
ベルウッド40周年記念特別企画として10月3日にキングレコードから出たプラケ40枚、紙ジャケ11枚という大ヴォリュームのシリーズ中のもので、『大瀧詠一』と『アーリー大瀧詠一』の2枚だ。

01.jpg

ベルウッド・レーベルがわが国のフォーク、ロック、ポップスに与えた影響の大きさは、ぼくなんかに語る資格はないけれど、先行レーベルのURCとエレック・レコードがいわゆるインディーズだったのに対し、ベルウッドはキング・レコードというメジャーをバックに、三浦光紀が設立し、小室等らアーティストが共同出資したレーベルだった。
今回のカタログを見ると、はっぴいえんど、大瀧詠一、細野晴臣、高田渡、武蔵野タンポポ団、加川良、遠藤賢司、西岡恭蔵、ディランⅡ、小室等、六文銭、あがた森魚、はちみつぱい等々、すごいアーティストが揃っている。

02.jpg
(ネットで購入したのだがステッカーとHMV特製のヴィニール袋がついてきた。
 パンフレットはタワレコで入手^^)

ではさっそくアルバムを紹介していこう。
『大瀧詠一』ははっぴいえんど在籍中の72年11月にリリースされた初ソロ作品で、一人多重録音のコーラスをバックにファルセットのア・カペラ「おもい」で始まる。
松本隆が作詞して、11弦ギター!とベースを大瀧が担当し、駒沢裕城のペダルスティールが入る「それはぼくぢゃないよ」(シングル「恋の汽車ポッポ」のカップリングとは別ヴァージョン)、吉田美奈子のフルートが内省的な雰囲気をたたえ、シンガーズ・スリーのコーラスと大瀧のためいきが印象的な「指切り」、鈴木茂のファンキーなギターがイントロから炸裂する「びんぼう」など、まんま"はっぴいえんど"といってもおかしくないナンバーがつづく。
シングル「恋の汽車ポッポ」の続編「恋の汽車ポッポ第二部」や「ウララカ」「あつさのせい」あたりはナイアガラ・レーベル以降のソロ作品にもみられるようなアメリカン・ポップの香り、ベースに原田政長、ドラムスにジミー竹内という御大を揃えた「朝寝坊」はディキシーランド・ジャズ、大瀧のアコースティック・ギターをフューチャーした「水彩画の町」になると、ジャクソン・ブラウンにも通じるウエストコースト・ロック風、といったようにすごくヴァラエティに富んだカラフルな作品群だ。
宇野主水(細野晴臣)のピアノとストリングスが美しい「乱れ髪」も忘れがたい印象を残す。

03.jpg

紙ジャケはA式のシングル・スリーヴでサラリとした手触りのテクスチャー仕上げ。
オリジナルLPのブックレットの復刻版のほかに、三浦光紀の談話と高塚浩一の解説がついた24ページのブックレットもついている。
レーベルはジャケットと同じ絵柄でカラフルだ。

『アーリー大瀧詠一』は1982年12月にベルウッド設立10周年を記念してリリースされたベスト・アルバムで、シングル「空飛ぶくじら」「恋の汽車ポッポ」、ソロ・アルバムから「指切り」「びんぼう」「乱れ髪」「あつさのせい」の4曲、『HAPPY END』から「外はいい天気だよ」「田舎道」、そして大瀧詠一とココナッツバンクの「空飛ぶウララカサイダー」「ココナツホリデイ」の全10曲を収める。

04.jpg

紙ジャケはE式のシングル・スリーヴで、ベルウッドの白い大きなマークはエンボス仕様になっている。
レーベルはレコードをイメージしたもの。
オリジナルLPについていたブックレットの復刻版のほかに、高塚浩一のMEMOなどを載せた16ページのブックレットがついている。

05.jpg

ナイアガラ・レーベルとちがって、今回のリマスタリングに大瀧本人は関わっていないようだが、HR CUTTINGという新方式?の効果もあるのか、かなりいい音に仕上がっている。

なお同時にリリースされたプラケ盤『アーリー大瀧詠一』は、1985年の初CD化の際に追加された全17曲収録の増補版で、ジャケットも図柄が違っているので注意が必要だ。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

not a second time

ベルウッド40周年なのですねえ。洋楽に限らず、40年以上前の音源が再発続けられている現状は凄いと思います。この後の世代の人たちってレンタル世代なのでしょうか?それとも名盤と呼ばれるアイテムが少ないのか?
でも僕はリマスターリマスターについていけなくなっているのも事実です。
ビートルズのLP BOXは買わないと思います・・・。多分ですが(笑)
もうお金も置くところもない、ってのが現状です。

大瀧さん、昔東京に遊びに行った時に、LOFTでDJやってらして、クレージーキャッツについて熱く語っておられました。まだ、ロング バケィションは出てませんでした。僕は はっぴい えんど からよりもナイヤガラ ムーンにはまった世代です。 こんな人後にも先にももう出ないでしょうね。
実はタツローさんと同時に大瀧さんのベストも作ってしまった、私です。
by not a second time (2012-11-04 17:11) 

parlophone

not a second timeさん、こんばんはー。

>40年以上前の音源が再発続けられている現状は凄いと思います

40年前を振り返ってみると、いわゆるJ-POPの源流が、このあたりから起ってる感じがしますね。
もちろんその前にも、三木鶏郎さんとか、服部良一さん、浜口庫之介さん、中村八大さんなんていう偉大な作曲家がいて、日本独自のポップスを作っていたわけですが、かれらは職業作家であって、シンガー・ソングライターではなかったですよね。
それが60年代中期のカレッジ・フォークの時代を経て、60年代末にガーッと出てきた。
ぼくは高校時代は岡山にいて、岡山ってのは隣が兵庫県ですから、深夜になると関西のラジオ番組が非常にクリアーに聴こえるわけです。
そのころの関西フォークのパワーといったらすごかったですね。
それからちょっとしてタツローとか大貫妙子、浜田省吾、八神純子、杉真理、須藤薫、佐野元春とか、フォークとは明らかに違うテイストのアーティストが出てくるわけで、まさにJ-POPの絢爛期を迎えるんですよね。

>大瀧さん、昔東京に遊びに行った時に、LOFTでDJやってらして、クレージーキャッツについて
>熱く語っておられました

ああ、ぼくも好きでした。
とくに植木等。
あのころの子どもってみんな谷啓の「がちょ~~ん!」にやられるんですが、ぼくは植木等が好きでしたね。
とくに「だまって俺についてこい」は大好きでした。
大瀧さんはとくにだれが好きだったんでしょうか。

>実はタツローさんと同時に大瀧さんのベストも作ってしまった、私です

いいですね~。
今度機会があったら、ぜひ曲目を教えてください。

by parlophone (2012-11-04 21:38) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。