タツローの『OPUS ALL TIME BEST 1975-2012』 [日本のロック・フォーク]
最初にお断りしておかなければならないけれど、ぼくは最近のタツローの熱心な聴き手ではない。
竹内まりやの『エクスプレッションズ』のときも同じようなことを書いたので、タツロー&まりやの熱心なファンの方には申し訳ないと思う。
あのときはそれでも『サンデー・ソング・ブック』はほぼ毎週聴いていると書いたが、今はもう仕事の関係で『サンソン』もまったく聴かなくなってしまった。
(一緒に映っているのはHMVでもらった販促用のパンフレット)
あわてて言い訳をしておくと、ぼくがタツローに注目したのはけっこう早くてシュガー・ベイブのデビュー・アルバム(といっても彼らは1枚しかアルバムを残さなかったけれど)が店頭に並んだときだ。
当時いつも通っていた"DOWNBEAT"というレコード店の店長の花田さんに「どう、このアルバム?」と訊いた覚えがある。
高校から大学にかけてぼくは、はっぴいえんど~キャラメル・ママ~荒井由実のラインに興味があったので、当然山下達郎の名前も知っていたからだ。
花ちゃんはぼくよりひと回り上の女性だったがぼくの趣味をよく理解してくれていたので、彼女の意見はとても参考になった。
彼女が「いいよ、なかなか」というので、「へえー」とぼくはアルバムを手にとって、そのちょっとハイブラウな趣のジャケットを眺めたのだが、そのころはJAZZに夢中でそのままになってしまい、1980年の冬に『RIDE ON TIME』を今の妻に買ってもらったときにはすでに、タツローはCMに出演して"お茶の間にもおなじみの顔"になっていた。
(広げると今までのジャケットを並べたポスターになる)
『RIDE ON TIME』の印象は鮮烈で、日本的な湿り気をまったく感じさせない(マイナーな曲想であってもそこに湿度ではなく黒人の音楽と同じ匂いを感じたのだ)、まったく新しいタイプのシンガー・ソングライターだと思った。
(ぼくも今まで買ったジャケットを並べてみた…笑)
それから2002年の『トレジャーズ』まで、ほぼ20年間、ぼくはタツローの熱心なファンだった。
ただ、美しい高音の持ち主である彼が、そのハイトーンにこだわりつづける所為なのかもしれないけれど、95年のシングル「世界の果てまで」あたりから、妙にノドを閉じて歌うような発声が気になり始め、最近はとうとう彼の歌を聴けなくなってしまった。
(ケースとデジパックとブックレット)
オールタイム・ベストである『OPUS』の告知を聴いたときあまり興味をそそられなかったのはそういう理由からだが、さらに「なんだかなあ~」と思ったのは収められた楽曲を眺めたときだ。
『OPUS』のDisc.1は全17曲で、97年の『GREATEST HITS!』(15曲入り)から「夏の扉」と「9 MINUITE OF TATSURO YAMASHITA」の2曲を除いて、シュガー・ベイブの2曲と「パレード」、「PAPER DOLL」を入れた構成。
Disc.2も全17曲で、95年の『トレジャーズ』(16曲入り)から「世界の果てまで」(ただしこれはDisc.3に収録)と「パレード」(上記のようにDisc.1に収録)を除いて「悲しみのJODY」と「THE THEME FROM BIG WAVE」、「I LOVE YOU…Part1」を入れた構成。
つまり最初の2枚は、タツローのベストとして定評のある『GREATEST HITS!』『トレジャーズ』とほとんど変わり映えがしないのだ。
う~ん、これって3枚組にする必要ありますか??
(初回限定盤はボーナスディスクがついた4枚組デジパック仕様)
それでも今回迷ったあげくに買ってしまったのは、CDが売り上げを減らし続け、ハイレゾ音源がオーディオ・ファイルの間で話題になっている現在、音にこだわり続けるタツローが、どんなマスタリングをしてくるかに興味があったからだ。
(4枚組デジパック、価格3980円で、まりやの『エクスプレッションズ』と完全なペアになる 笑)
さてパッケージからDisc.1を取り出してトレーに載せ、スピーカーから「DOWN TOWN」が流れてきた瞬間、そのあまりの音のでかさにびっくり!
こころのなかで叫んじゃいましたね。
「おいおい、タツロー、果てしない音圧競争には疑問もってたんじゃねーのかよ!」
しかしリマスター効果も歴然としていて、2005年のシュガー・ベイブ『SONGS』30周年記念盤(それさえもう7年前!)と比べても明らかに各楽器の定位やクリアネスが明確になっている。
相変わらず「SOLID SLIDER」はショート・ヴァージョンだし、「RIDE ON TIME」はシングル・ヴァージョンだしと、不満もあるけれど、うれしい誤算だったのは「FANKY FLUSHIN'」がオリジナル・ヴァージョンに戻っていたことだ。
『GREATEST HITS!』に収められたときタツローは
アルバム「MOONGLOW」に収録された作品だが、録音が気に入らずどうしてももう一度挑戦したくてリメイクした。
と書いていたので、その「気に入ら」ないオリジナル・ヴァージョンのリマスターが聴けるとは思っていなかった。
今回の『OPUS』では
録音状態が少々悪いのも、今となってはインディー臭ムンムンでご愛嬌。
と書いている。
なにしろリメイク・ヴァージョンでは34秒しかないイントロが、オリジナルでは43秒もあるのだ。
ちょっとエコーのかかったリズム・ギターにつづいて、バスドラそしてコンガのイントロで始まるオリジナルは、間奏の美奈子サンのコーラスもこころなしかSexyさがUPして、まるでサンタナみたいにラテン風味たっぷりです!(笑
ボーナス・ディスクのついた初回限定盤はあっというまに売り切れてしまったが、きょう(10月28日)現在はオンライン・ストアでも少数再入荷しているので、買い逃した人は今ですぞ。
しかし、こうやって『OPUS』を聴いてると、「DAYDREAM」とか「言えなかった言葉を」とか、「THE WAR SONG」とか「Splender」とか、昔好きで最近は聴いてない曲が無性に聴きたくなってくるのだった(笑。
竹内まりやの『エクスプレッションズ』のときも同じようなことを書いたので、タツロー&まりやの熱心なファンの方には申し訳ないと思う。
あのときはそれでも『サンデー・ソング・ブック』はほぼ毎週聴いていると書いたが、今はもう仕事の関係で『サンソン』もまったく聴かなくなってしまった。
(一緒に映っているのはHMVでもらった販促用のパンフレット)
あわてて言い訳をしておくと、ぼくがタツローに注目したのはけっこう早くてシュガー・ベイブのデビュー・アルバム(といっても彼らは1枚しかアルバムを残さなかったけれど)が店頭に並んだときだ。
当時いつも通っていた"DOWNBEAT"というレコード店の店長の花田さんに「どう、このアルバム?」と訊いた覚えがある。
高校から大学にかけてぼくは、はっぴいえんど~キャラメル・ママ~荒井由実のラインに興味があったので、当然山下達郎の名前も知っていたからだ。
花ちゃんはぼくよりひと回り上の女性だったがぼくの趣味をよく理解してくれていたので、彼女の意見はとても参考になった。
彼女が「いいよ、なかなか」というので、「へえー」とぼくはアルバムを手にとって、そのちょっとハイブラウな趣のジャケットを眺めたのだが、そのころはJAZZに夢中でそのままになってしまい、1980年の冬に『RIDE ON TIME』を今の妻に買ってもらったときにはすでに、タツローはCMに出演して"お茶の間にもおなじみの顔"になっていた。
(広げると今までのジャケットを並べたポスターになる)
『RIDE ON TIME』の印象は鮮烈で、日本的な湿り気をまったく感じさせない(マイナーな曲想であってもそこに湿度ではなく黒人の音楽と同じ匂いを感じたのだ)、まったく新しいタイプのシンガー・ソングライターだと思った。
(ぼくも今まで買ったジャケットを並べてみた…笑)
それから2002年の『トレジャーズ』まで、ほぼ20年間、ぼくはタツローの熱心なファンだった。
ただ、美しい高音の持ち主である彼が、そのハイトーンにこだわりつづける所為なのかもしれないけれど、95年のシングル「世界の果てまで」あたりから、妙にノドを閉じて歌うような発声が気になり始め、最近はとうとう彼の歌を聴けなくなってしまった。
(ケースとデジパックとブックレット)
オールタイム・ベストである『OPUS』の告知を聴いたときあまり興味をそそられなかったのはそういう理由からだが、さらに「なんだかなあ~」と思ったのは収められた楽曲を眺めたときだ。
『OPUS』のDisc.1は全17曲で、97年の『GREATEST HITS!』(15曲入り)から「夏の扉」と「9 MINUITE OF TATSURO YAMASHITA」の2曲を除いて、シュガー・ベイブの2曲と「パレード」、「PAPER DOLL」を入れた構成。
Disc.2も全17曲で、95年の『トレジャーズ』(16曲入り)から「世界の果てまで」(ただしこれはDisc.3に収録)と「パレード」(上記のようにDisc.1に収録)を除いて「悲しみのJODY」と「THE THEME FROM BIG WAVE」、「I LOVE YOU…Part1」を入れた構成。
つまり最初の2枚は、タツローのベストとして定評のある『GREATEST HITS!』『トレジャーズ』とほとんど変わり映えがしないのだ。
う~ん、これって3枚組にする必要ありますか??
(初回限定盤はボーナスディスクがついた4枚組デジパック仕様)
それでも今回迷ったあげくに買ってしまったのは、CDが売り上げを減らし続け、ハイレゾ音源がオーディオ・ファイルの間で話題になっている現在、音にこだわり続けるタツローが、どんなマスタリングをしてくるかに興味があったからだ。
(4枚組デジパック、価格3980円で、まりやの『エクスプレッションズ』と完全なペアになる 笑)
さてパッケージからDisc.1を取り出してトレーに載せ、スピーカーから「DOWN TOWN」が流れてきた瞬間、そのあまりの音のでかさにびっくり!
こころのなかで叫んじゃいましたね。
「おいおい、タツロー、果てしない音圧競争には疑問もってたんじゃねーのかよ!」
しかしリマスター効果も歴然としていて、2005年のシュガー・ベイブ『SONGS』30周年記念盤(それさえもう7年前!)と比べても明らかに各楽器の定位やクリアネスが明確になっている。
相変わらず「SOLID SLIDER」はショート・ヴァージョンだし、「RIDE ON TIME」はシングル・ヴァージョンだしと、不満もあるけれど、うれしい誤算だったのは「FANKY FLUSHIN'」がオリジナル・ヴァージョンに戻っていたことだ。
『GREATEST HITS!』に収められたときタツローは
アルバム「MOONGLOW」に収録された作品だが、録音が気に入らずどうしてももう一度挑戦したくてリメイクした。
と書いていたので、その「気に入ら」ないオリジナル・ヴァージョンのリマスターが聴けるとは思っていなかった。
今回の『OPUS』では
録音状態が少々悪いのも、今となってはインディー臭ムンムンでご愛嬌。
と書いている。
なにしろリメイク・ヴァージョンでは34秒しかないイントロが、オリジナルでは43秒もあるのだ。
ちょっとエコーのかかったリズム・ギターにつづいて、バスドラそしてコンガのイントロで始まるオリジナルは、間奏の美奈子サンのコーラスもこころなしかSexyさがUPして、まるでサンタナみたいにラテン風味たっぷりです!(笑
ボーナス・ディスクのついた初回限定盤はあっというまに売り切れてしまったが、きょう(10月28日)現在はオンライン・ストアでも少数再入荷しているので、買い逃した人は今ですぞ。
しかし、こうやって『OPUS』を聴いてると、「DAYDREAM」とか「言えなかった言葉を」とか、「THE WAR SONG」とか「Splender」とか、昔好きで最近は聴いてない曲が無性に聴きたくなってくるのだった(笑。
遼さん、こんばんは~
買うんだろうなって思ってました、なんとなく^^。
僕はそれほどコアなファンじゃないんですが^^;
どちらかというとラジオ番組のファンとして、コレ気楽に楽しんでます。
音圧の件は達郎は批判的だった記憶、僕にもあります。
今回はラジオでオンエアされるときに、
自分の曲が他の曲に埋もれてしまわない程度に音圧を上げた旨の言葉をどこかで読んだか聞いた記憶があります。
声に関しては指摘されると仰る通りかなと。
最近は無理してるような気がしますね。
気がついたら1枚目、2枚目ばかり聴いてる僕です^^;
コメントし損ねてる過去記事にまたお邪魔したいと思ってます。
(最近読み逃げばかりしてましてm(__)m)
by DEBDYLAN (2012-10-30 01:46)
遼さん、こんにちは。
うちも買いました。っというか、両親に買ってもらって、デュッセルドルフに送ってもらいました。うちも、初期の方のアルバムしか持ってないんですよ。っというのも、Melodies以降は、CDで出て依頼、リマスターされてないから、そのうちでるんじゃないかと思いつつ買わずに今に至ってるわけで。。。早く、全てのアルバムリマスターしてもらい所ですよね。。。
それからついでに、ピアからでた、達郎特集のやつも送ってもらったけど、読みました?のどかな感じで、達郎のインタビュー、それから、竹内まりやのインタビューなどあって、面白かったですよ。
こっちは、最近は10度以下、お店にはクリスマスグッズもたくさん並んでるし、クリスマス・イブの歌なんか聞ける良い雰囲気になってきました。
ゼッペリンの映画も見ましたよ。デュッセルドルフはあまりファンがいないのか、それとも、平日だったせいなのか、半分くらいしか入ってなかった。でも、良かったですね。
by きよ (2012-10-30 18:52)
こんにちは。僕は昨年12月に達郎さんを佐賀の文化会館に見にいけました。嬉しかったので、自分で勝手にベストを作ってました(笑)。この前朝日新聞に山下達郎さんのインタビュー記事が載っていました。達郎さんが、こんな風にメディアに出るのは珍しい事で。OPUSベスト盤のプロモーションのためですが、CDが売れなくなってきている現状への最後の「まとめ」との事です。今作っとかないと、もうすぐ作れなくなるだろうと。僕は音楽配信なんて嫌です。「もの」が必要な世代なのです。でも時代の流れは速いので、どうなることやら。シュガーベイブは大好きです。FOR YOU とBIG WAVE (昔サイン貰いました) JOY 、ピット インのライブなんかが好きです(笑) さて、マジカルのブルーレイがオリコン ブルーレイ ランキング初週4位だそうです。4800枚くらいでです。売れてるの?
by not a second time (2012-10-30 19:08)
DEBDYLANさん、こんばんは!
いつもnice!&comment、ありがとうございます。
>どちらかというとラジオ番組のファンとして、コレ気楽に楽しんでます
サンソンはいい番組ですよねー。
ぼくはほとんど授業を受けるような感じでラジオを聴いていました。
聴けなくなったのが残念です。
>自分の曲が他の曲に埋もれてしまわない程度に音圧を上げた旨
なるほど~。いろいろ大変ですね。
予算使って作品を仕上げるからには、それなりの売り上げはマストでしょうからね。
>気がついたら1枚目、2枚目ばかり聴いてる僕です^^;
1枚め、2枚めは文句なしですね。
95年以降の楽曲でも気にならないものは気にならないんですけどねー^^;
by parlophone (2012-10-31 22:43)
きよさん、こんばんはー。
>Melodies以降は、…そのうちでるんじゃないかと思いつつ
ここ↓
http://www.hmv.co.jp/news/article/1208200027/
にロング・インタヴューが載ってるんですが、今後はMOONのカタログをリマスターしていこうと思う
って言ってますね。
>ピアからでた、達郎特集のやつ
は読んでないですね…。
HMVの店頭で表紙だけは眺めましたが…。
「ぴあ」って買ったことないんですよね^^;
今度読んでみます。
>ゼッペリンの映画も見ましたよ
いいですねー。
ぼくは今回改めて思ったんですが、ぼくの仕事って、1年のうちで9月中旬から12月下旬までがいちばん忙しいんですね。
毎日仕事終わるのが7時半ぐらいで、家に帰って夕飯食べると気がついたら眠ってます
(って、おかしいですね。気がついたら眠ってたことに気がつきます…笑)
アメリカ映画なんか見てると、9時ぐらいから夫婦でディナーを食べてそのあとお酒飲みに行ったりしますが、どんな生活してるんだろうって不思議になりますねえ。
話が変な風になりましたが、ゼップはBDで見るのが楽しみです^^
by parlophone (2012-10-31 23:00)
not a second timeさん、こんばんはー。
>僕は昨年12月に達郎さんを佐賀の文化会館に見にいけました
おお、スゴイですね!
よくチケット取れましたね~。
>嬉しかったので、自分で勝手にベストを作ってました(笑)
やっぱりライヴに行くとテンション上がって、しばらくはその余韻が身体や記憶に残ってますよね~。
>CDが売れなくなってきている現状への最後の「まとめ」
なるほどね。
ぼくはタツローと完全に同世代なので、よくわかります。
記事にも書いたように、ダウンロードされた圧縮音源とハイレゾ音源に挟まれた形で存在するCDをどうマスタリングしてファンに届けるか、ぼくもそのあたりに興味があったんですよね。
>僕は音楽配信なんて嫌です。「もの」が必要な世代なのです
>でも時代の流れは速いので、どうなることやら
まったく同感です。
ただ、9月の販売実績を見ると、CDも音楽ビデオも売り上げは伸びてますね。
とくにアナログディスクの販売数量は前年同月比1,333%の伸びです。
1.3%じゃなくて千三百パーセント(笑。
枚数は39,000枚ですが、1か月に4万枚売れるようになったのはすごいですよね。
>マジカルのブルーレイがオリコン ブルーレイ ランキング初週4位だそうです
こちらもすごいですね…。
来月のビートルズのヴィニール盤も楽しみですね。
もう予約されました?
by parlophone (2012-10-31 23:34)