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アリシア・メイ 『スキニーディッピング・イン・ザ・フラワーズ』 [フィメイル・ヴォーカル、ガール・ポップ]

まったくそんな兆候はなかったのだが、火曜日から奈乃子がインフルエンザにかかってしまい、妻と交代で仕事を休んだりして大変だった。
未成年なので薬を服用後、最低2時間は保護者がそばにいてやらなくてはならない。
とつぜん部屋から飛び出して事故に遭ったりするのはタミフルだけではないのだそうだ。

うちの娘も予防接種はしていたのだが、今年のA 型はワクチンが効かないらしい。
みなさんもお気をつけくださいね。

さて、年末に倉敷に帰ったときにグリーンハウスというCD ショップに寄ってみた。
この店はぼくが大学生のころにオープンした店で、けっこうマニアックな品揃えで人気があるらしく、30数年経ってもお客さんでにぎわっている。

そこで見つけたのがアリシア・メイという人の紙ジャケだ。

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「Recommend」のコーナーにあったので帯のコピーを読んでみる。

ジョニ・ミッチェルとの出会いから生まれた幻の女性シンガー・ソングライター、アリシア・メイの稀少自主制作盤が遂に初CD化!! カリフォルニアの開放的な空気に包まれ、彼女の幸せの絶頂に制作された奇跡のサンシャイン&アシッド・フォーク・ミュージック!!
リリースは11月19日になっている。
まったく知らないアーティストなのとオリジナル・リリースが76年というのがちょっと微妙だが、ほかのショップでは見かけたことがなかったので、ここで出会ったのも何かの縁と購入してみた。

紙ジャケはコーティングのない厚紙A 式のシングル・スリーヴ。
健康的な笑顔が印象的だ。

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裏ジャケはひなぎくのような花と足のショット。

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レーベルは「Golden Anchor Records」と記されたオリジナル・アナログ盤を復刻したとおぼしき黄色と黒のレーベルだ。
歌詞を印刷したインナーがミニチュアで復刻されている。

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小西勝の解説によると、60年代後半にカリフォルニア州オレンジ・カウンティで活動をしていたころ、ジョニ・ミッチェルと知り合い、彼女のレコーディング・エンジニアだったヘンリー・ルウィーの紹介によってA&M スタジオでレコーディングされた作品らしい。
Golden Anchor Records というのは彼女の自主レーベルで、限られた地域でごく少数流通した、彼女のゆいいつのアルバムということだ。

さっそくCD を聴いてみる。
ひとことでいうと、やはりジョニの強い影響を受けたシンガー・ソングライターという印象だ。
彼女自身がピアノ、アコースティック・ギター、アパラチアン・ダルシマー、コンサルティーナ、オートハープ、カリンバなどの多彩な楽器を弾きこなすので、初期のジョニ・ミッチェルのような内省的な雰囲気ではないが、曲調も印象的なヴィブラートもよく雰囲気が似ている。

ちょっと残念なのはやや深みにかける感じがすること。
歌詞を読んでみても
 
 Kissin' in the mornin'
 Kissin' at night
 Squeezin' and a haggin' in the pale moonlight
 Laughin' like a whippoorwill
 Singin' like a bleeze
 Kissin' your elbows and kissin' your knees

                 (Love Gig #1)

 Hang a prism in your window
 Watch the raindance of light dance on your wall
 See the swirling magic patterns making
  multicolored lanterns as they fall
 
                 (The Prism Song)

というような感じで、とにかく明るく美しい。

ただこんな優れたシンガー・ソングライターがたった1枚のアルバムしか残せないというのは、やはり残念な気がする。

20ページのオリジナル英文ブックレットがついていて、当時の貴重な写真なども見ることができる。

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紙ジャケは日本製でVIVID SOUND が販売元だが、CD そのものは韓国のbeatball というレーベルからの復刻だそうだ。
CD のアウター・ヴィニールにbeatball というロゴが入っているのがおもしろい。

08.jpg

現在彼女自身のサイトが立ち上がっていて、1曲だけだけれどPV も見ることができるので、興味のある方は覗いてみてください。

  www.aliciamaycory.com
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コメント 8

ouichi

遼さん、こんばんは。
僕が幼い頃の懐かしい感じのするジャケット。
アグネスチャンとか、そんなイメージを浮かべました。
屈託のない明るい感じとジャケが
マッチしているのかも。

by ouichi (2009-01-18 00:26) 

PETTY

60年代後半のLAって、ミョージシャンにはチャンスがゴロゴロ転がっていた時代ですよね。それもオレンジカウンティーでしょ?
ジョニ・ミッチェルとの出会いてのが彼女にとって幸運だったのかどうかはわかりませんね。通常の当時のLA人脈(当時のキャニオン周辺)から言えば、もう少し大きな広がりをみせてもいいような気もしますが、本人のアシッド寄りの傾向が、アサイラム前夜のこの時期には向いていなかったのかも知れないですよね。
ジョニ経由でグレアム・ナッシュやデヴィッド・ゲフィンなんかに紹介されていたら・・・なんてことを妄想したりもしますね(笑)

確かにプライベートレーベルから1枚だけってのは・・寂しいですね。
私は、こうしたアルバムを発掘することはとても意義あることなのかもしれないって思うのですが、過剰に名盤扱いする売り手の空気・・・これに惑わされた子達が、ライフスタイルを含めたファッションで音楽を漁ることに、微妙な反感を抱いたりもしちゃいます。


by PETTY (2009-01-18 17:51) 

tetsupc2

おおぉAlicia Mayではないですか・・・
これいいでしょ~フィーメイル・アシッド・フォークの超名盤ですね!
私は以前(4,5年位前かな)フォーク好きの友人が持っていてその時で6桁確実プライスだったので今だと恐ろし~金額で取引しているかもです。確かこれって自主制作盤で超超レアだと聴いて以来いつかでないかなぁ・・・なんて思っていました。
なんと紙ジャケで出ていたとは驚きです。
早速私も買おうかなぁ・・・
by tetsupc2 (2009-01-18 23:18) 

parlophone

ouichiさん、こんばんはー。

>僕が幼い頃の懐かしい感じのするジャケット。アグネスチャンとか、そんなイメージ

ああ、たしかにそんな感じのジャケットですねー。
でも中味はぜんぜん違いますよ(笑。

ジョニ・ミッチェルとかお好きだったらオススメです^^
by parlophone (2009-01-18 23:31) 

Backstreets

遼さん、こんばんは。遅ればせながら本年も宜しくお願い申し上げます。
ジョニ・ミッチェルを思わすかのような曲で始まり、やや暗く沈滞したムードが漂っていたものの次第に曲調がジャケット写真に合わせるかのように明るくなって行きました。ダルシマーなどの楽器を使用しているのも他のシンガーとの差別化を図る意図があったのでしょうか。ブリティッシュ・トラッドを連想させる曲もありました。
アリシア・メイは俳優のティモシー・ボトムズ(『ジョニーは戦場に行った』、『ペーパー・チェイス』、『ラスト・ショー』などに主演)の元妻だったんですね。知りませんでした。1曲だけジャクソン・ブラウンの弟、セヴリン・ブラウンがギターで参加していたのも驚きです。
by Backstreets (2009-01-18 23:42) 

parlophone

PETTYさん、こんばんは~。

>60年代後半のLAって、ミョージシャンにはチャンスがゴロゴロ転がっていた時代

え~、そうなんですか。
あまりそのあたりは詳しくないんですが、三浦久さんの『追憶の60年代カリフォルニア』を読むと、けっこう有名なミュージシャンがふつうに町の中で暮らしてたりという話なんかはでてきますね。

>ジョニ・ミッチェルとの出会いてのが彼女にとって幸運だったのかどうか

たしかにそれは感じますね。
まあ、はっきりいうとジョニ・ミッチェル・フォロワーの一人として片付けられてしまいそうな危険性はあったと思います。

>ジョニ経由でグレアム・ナッシュやデヴィッド・ゲフィンなんかに紹介されていたら

うんうん、そっちのほうがぜったい彼女のためにはよかったかも(笑。

>ライフスタイルを含めたファッションで音楽を漁ること

いまでもそういう傾向ありますか?
ぼくのまわりの若い人たちは、確実に自分のセンスや嗅覚で音楽を選んでるみたいで、いまだにそんな若い子たちがいるとは思いませんでした。
まだまだですねーTT
by parlophone (2009-01-19 00:07) 

parlophone

tetsupc2さん、どうもです。

>フィーメイル・アシッド・フォークの超名盤ですね!

う~ん、まだあまり聴き込んではいないのですが、個人的には超名盤といえるかどうか、ちょっと微妙です。
上のPETTYさんのコメントにも書きましたが、やっぱりジョニ・ミッチェルに接近しすぎのような気がするんですよね~。

>確かこれって自主制作盤で超超レア

そうみたいですよ。
小西勝のライナーを読むとオリジナル盤はごく少数が出回っただけなのに、ファンのあいだで話題になって、かなりの高額で取引されているそうです。

>なんと紙ジャケで出ていたとは驚きです

そんなレア盤を復刻する韓国のレーベルもエライし、日本製の紙ジャケをつけて販売するVIVID SOUND もエライですね!!
by parlophone (2009-01-19 00:16) 

parlophone

Backstreetsさん、こんばんは~。
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

>次第に曲調がジャケット写真に合わせるかのように明るくなって

やっぱりカナダとカリフォルニアのちがいがあるのかもしれませんね。

>ブリティッシュ・トラッドを連想させる曲もありました

そうですね。
個人的にはもう少し曲調に陰影があるとぐっと渋みも増してよかったような気がするんですけど…(笑。
76年というと彼女もまだ20代前半?でしょうから、そのあたりはないものねだりかもしれませんね。

>アリシア・メイは俳優のティモシー・ボトムズの元妻だったんですね

ぼくもティモシー・ボトムズは知っていますが、当時の奥さんがシンガー・ソングライターだったとは知りませんでした。
そのころ彼女はアリシア・メイ・コーリー・ボトムズと名乗っていたようですね。

>1曲だけジャクソン・ブラウンの弟、セヴリン・ブラウンがギターで参加していた

えーー、そうだったんですか!
それも知りませんでした。
ってゆーか、セヴリン・ブラウンという人を知りませんでした~。
ありがとうございます!
by parlophone (2009-01-19 00:28) 

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