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ローラ・ニーロのアルバム part 2 [シンガー・ソングライター]

まず最初にきのうの記事の追記を。
More Than A New Discovery』のオリジナル盤にはやはりヴァーヴのマーク(正確にはヴァーヴのフォーク部門、Verve FOLKWAYS のマーク)がありました。
『ファースト・ソングス』の日本語解説にジャケットのモノクロ写真が掲載されている。

ではきょうは、今回リリースされた4枚の紙ジャケを順に紹介していこう。

  

まずヴァーヴ時代のファースト・アルバム『More Than A New Discovery』(1967)の米Columbia における再発盤『ファースト・ソングス』(1973)から。

   

黒を背景にうつむくローラの表情が印象的なオリジナルのジャケットから、一転して薔薇の花の絵をあしらった華やかなジャケットになった。
US コロンビアのファースト・プレスにはほのかな薔薇の香りがつけられていたという。
コーティングのないA式のシングル・スリーヴで、若草色(とでもいえばいいのだろうか)のインナー・バッグがついている。
レーベルは円周状にロゴが取り巻く70年代のコロンビア・レーベルをイメージしたものになっている。

このアルバムだけ英文ブックレットがついていないので、日本語解説には数枚の写真が載っている。

   

つぎは2nd アルバム(Columbia における1枚め)『イーライと13番目の懺悔』(1968)。

   

やはりコーティングのないA式のシングル・スリーヴで、テクスチャー仕様でざらりとした手ざわりの歌詞カードが挟み込まれたかたちになっている。
歌詞やレア・フォトの掲載された12ページの英文ブックレットと、白いプレーンなインナー・バッグがついている。

   

レーベルは2 Eyes
ブックレットにはコロンビア・スタジオで『インナ・サイレント・ウェイ』をレコーディング中だったマイルズとの珍しいショットも載っている。

   

つづいて3rd アルバム『ニューヨーク・テンダベリー』(1969)だ。

   

こちらもコーティングのないA式のシングル・スリーヴ。
同じく歌詞カードと白いプレーンなインナー・バッグが復刻されている。

   

この歌詞カードは横長のカードを八つ折にしたもので、表紙はリリース直後に回収されたデフ・ジャケと同じ構図(ただしローラはいない)の美しい写真だ。
おそらく初盤のシュリンクに貼られていたと思われる小さなステッカーも復刻されている。
歌詞やフォトの掲載された12ページの英文ブックレットつき。
こちらもレーベルは2 Eyes だ。

4枚めは5th アルバム『ゴナ・テイク・ア・ミラクル』(1971)。

   

これもコーティングのないA式のシングル・スリーヴだが、テクスチャー仕上げになっている。

   
  (バック・スリーヴにはバッキングを務めた女性ヴォーカル・グループ、ラベルが写っている)

レーベルは70年代のものをイメージしたオレンジ・レーベルで同系色のインナーがミニチュアで復刻されている。
こちらは歌詞のない8ページの英文ブックレットが付属している。

   

まだ最初の2枚しか聴いていないが音源について簡単に触れておく。
『ファースト・ソングス』だけが2007年のデジタル・リマスターで、それ以外は2002年のリマスタリング。
きのうのコメント欄でリイシューUS 盤の音がよかったので…と書いたが、残念ながら『ファースト・ソングス』の音はあまりよくない。
素人の推測に過ぎないが、コロンビアから再発されたときのマスター・テープの状態があまりよくなかったのだろう。

『イーライ』のほうはじゅうぶんに満足できる音になっている。

  
  (4枚のバック・スリーヴ)

それにしても…とあらためて思う。
19歳の少女が歌う「ウェディング・ベル・ブルーズ」や「グッド・バイ・ジョー」、「ストーニィ・エンド」、あるいは「アンド・ホエン・アイ・ダイ」といった数々の名曲のなんと魅力的なことだろう。
ソウルフルでエモーショナルで、同時に繊細でそして知的で…。
これほど美しく完成されたファースト・アルバムはだれも、キャロル・キングもジェイムズ・テイラーも、ジャクスン・ブラウンもジョニ・ミッチェルも、さらにいえばボブ・ディランでさえ成し得なかった。

そしてフィフス・ディメンションによってカヴァーされ全米1位に輝いた「ウェディング・ベル・ブルーズ」をはじめ、たくさんのヒット曲を書き、数え切れないほどのシンガーにカヴァーされたのに、ローラ自身のヒット・シングルはキャロル・キングとジェリー・ゴフィンのカヴァー「アップ・オン・ザ・ルーフ」がほとんど唯一のものだった。
しかもやっと全米92位にランクインした程度の小ヒットでしかなかったのだ。

ぼくは今でも彼女の歌う「ウェディング・ベル・ブルーズ」を聴くと彼女の幸せを共有しているような気持ちになり、「アンド・ホエン・アイ・ダイ」を聴くと49歳で死んでいった彼女の孤独を想う。


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tex-machine

初めまして、毎日読ませていただいていますが、書き込みは初です。よろしくお願いいたします。

僕は今回、『ファースト・ソングス』のみをとりあえず買ったのですが、色々調べてみると『More Than a New Discovery』がオリジナル仕様で英国のRevolaから来月出ることがわかりました。音質に関してはRevolaの方が良さそうですし、何よりオリジナル仕様というのが良いです。勇んで『ファースト・ソングス』を」買っちゃったのを後悔しています(紙ジャケにはこだわっていないので)…
by tex-machine (2007-12-21 08:32) 

ouichi

遼さん、こんばんは。
また僕のお気に入りブログはこの女性でいっぱいです♪
知らないんですよね~。ジャニスの紙ジャケが出たというのに...。
キャロルキングに近い感じでしょうか。
ジャケの感じからの想像ですが。
ファーストの紙ジャケ特典、ファンとしては
欲しいところでしょうね~。
by ouichi (2007-12-21 22:20) 

parlophone

tex-machineさん、こんばんは~。
はじめまして、管理人の遼(parlophone)と申します。
これからもよろしくお願いいたします。

>『More Than a New Discovery』がオリジナル仕様で
>英国のRevolaから来月出ることがわかりました

おお、そうなんですか!
それはいいニュースですね。
ぼくも『ファースト』の紙ジャケの音質にはちょっとがっかりしたので
興味があります^^
ありがとうございました!
by parlophone (2007-12-21 22:22) 

parlophone

ouichiさん、どうもです。

>また僕のお気に入りブログはこの女性でいっぱいです♪

あらら、ZEPPのつぎはLAURAでいっぱいですか(笑。
ローラを待ち望んでいたファンは多いと思うので、仕方ないでしょうね。
ぼくもちょっといろいろブログを廻ってみようっと♪

>ジャニスの紙ジャケが出たというのに...

ジャニスは一昨年ボックスを買ったので、もう持ってるんですよね^^

>キャロルキングに近い感じでしょうか

う~ん、歌のうまさはキャロルの比ではありませんね。
もうとにかくソウルフルで、また曲がいいんです。
キャロルのいつまでも素人っぽくて素朴な感じはありません。
ぼくは60年代にフィフス・ディメンションやBST(ブラッド・スウェット&ティアーズ)やバーブラ・ストライザンドがヒットさせてた曲をリアル・タイムで聴いてますからね~。

ただ記事にも書いたとおり、自身のヒット曲はまったくありません。
とりあえずUS(プラケ)のベスト盤あたりをお聴きになってみてはどうでしょうか^^
by parlophone (2007-12-21 22:36) 

へどろん

こんばんは〜。所有盤を何度嗅いでもバラの香りはしませんでした。笑
そうなんですよ、ファースト分だけブックレットがないんですよね〜。ちぇっ
イーライ紙ジャケを見て初めて歌詞カードはあんな風に挟んであったのかと知ったので、所有盤の歌詞カード(vg)も同様に挟んじゃいました・・・でも、レーベルが2eyesじゃない・・・ちぇっ。
しかし、歌詞カードの紙質やサードのちっちゃいステッカーや色付きのインナーや仕事細かくてナイスです!そして遼さん、「ゴナ・テイク〜」の裏ジャケのテクスチャーの撮影もナイスです。
嗚呼すばらしいローラ、そして4つともタイプの違うすばらしい作品。
でも、やっぱファーストの裏ジャケ中央部の色あせが気になるのでした。では〜
by へどろん (2007-12-21 22:36) 

MORE

>『More Than a New Discovery』がオリジナル仕様で英国のRevolaから来月出ることがわかりました

これは朗報ですねー。
それで音が本当に良いのならなおさら…
私のはVerveのリイシュー(写真は同じだけどタイトル違い)盤を持っているのですが、CDはマジに良くなかったですからね。
Essentialでリマスターされたんですが、それでもイマイチでした。
遼さんの仰る通り、ローラのファースト・アルバムは成人式も迎えていない女の子が(成人式なんてアメリカにあるか?はさておき)これだけ成熟した歌詞を書いていることに驚くと同時に彼女が幼年時代から肌で吸収してきた音楽のエッセンスを(ジャズ・ゴスペル・ブルーズ・etc.)見事にローラ流に昇華させているところが凄いんですよね。

And When I Dieですが、あの当時BS&Tでヒットした時は、彼等のカッコいいアレンジに幻惑されていましたが、今になって歌詞もしっかり把握できるようになると、BS&Tの解釈よりもローラ自身の解釈の方が何倍も説得力があるということが判りました。
ローラの歌唱はクセがあるので、そこにハマるかハマらないかによって随分違ってきますけどね。
by MORE (2007-12-21 22:44) 

MASA

いやあ、なかなかいい出来みたいですね。

「MORE THAN A NEW DISCOVERY」のCDってコレですね。
ジャケ写がありませんけど。
    ↓
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2666213

出るのは私も知ってましたが、音質はどうなんですかねえ。
現行盤はモコモコした音なので、期待したいですね。
by MASA (2007-12-21 23:08) 

parlophone

>所有盤を何度嗅いでもバラの香りはしませんでした。笑

あー、初回盤ってごくわずかしかプレスされなかったんでしょうね~。
マドンナの『VOGUE』だったか香水がついていたのは、ローラの真似だったのかもしれませんね。

>歌詞カードの紙質やサードのちっちゃいステッカーや
>色付きのインナーや仕事細かくてナイスです!

いつもながらSonyの仕事には頭が下がりますね。

>「ゴナ・テイク〜」の裏ジャケのテクスチャーの撮影もナイスです
ありがとうございます^^
うれしい~~♪

>やっぱファーストの裏ジャケ中央部の色あせが気になるのでした

たしかにあの色褪せはちょっと気になりますね。
真相はどうなんでしょう?
by parlophone (2007-12-22 00:01) 

parlophone

MOREさん、どうもです。

>私のはVerveのリイシュー(写真は同じだけどタイトル違い)盤を持っているのですが、
>CDはマジに良くなかったですからね

タイトルが『THE FIRST SONGS』になってるやつですね?
それはCDですか?アナログ?
いずれにしても今までのCDの音はイマイチだったんですね。
今回の2007年デジタル・リマスターもちょっと期待はずれでしたね~。

>これだけ成熟した歌詞を書いていることに驚くと同時に彼女が幼年時代から
>肌で吸収してきた音楽のエッセンスを…見事にローラ流に昇華させている

なるほどおっしゃるとおりですね~。

>BS&Tでヒットした時は、彼等のカッコいいアレンジに幻惑されていました

ぼくは未だにBSTヴァージョンも大好きです^^

>ローラの歌唱はクセがあるので、そこにハマるかハマらないか

う~ん、それにしてもローラのシングルがアメリカで受けなかった理由がぼくにはさっぱりわかりません…(涙。
by parlophone (2007-12-22 00:18) 

parlophone

>「MORE THAN A NEW DISCOVERY」のCDってコレですね

おお、MASAさん、リンクありがとうございます!
そうかUK盤なんですね。
曲順もちゃんとオリジナルに戻ってますね~。

3枚買うと1,804円ですか。
でもやっぱり音質が気になりますね。
改善されてるといいけど…。
by parlophone (2007-12-22 00:22) 

MORE

>タイトルが『THE FIRST SONGS』になってるやつですね?
>それはCDですか?アナログ?

もちろんアナログです。
買った時はオリジナル盤だと思っていて、後で本当のタイトルを知って
がっかりしたのでした…
CDはCBSからの最初のを買ったんですが、スカスカで歪んだ音に
とてもガッカリしました。
イーライもテンダベリーもアナログで持っていますが、この二枚のジャケットはやはり本物で残しておきたいです。
(もちろんイーライのスリーヴもちゃんとありますよ!)

http://www.amazon.co.jp/More-Than-Discovery-Laura-Nyro/dp/B0010X70WW/ref=pd_bbs_sr_1?ie=UTF8&s=music&qid=1198303036&sr=8-1

↑アマゾンには写真入りで載っていますね。
でも、音の良いマスターテープなんてコピーでさえも残っていないんでしょうね。
by MORE (2007-12-22 15:04) 

lonehawk

遼さん、こんにちは!
この1年は待望だった紙ジャケ化が非常に多かったですが、彼女の作品もまさにそんな中でも嬉しいリイシューでした。
来年は未だ紙ジャケ化が実現していない『魂の叫び』をはじめ、70年代後半の作品にも期待したいところです。

あと、他の皆さんもコメントされている『MORE THAN A NEW DISCOVERY』のCDも妙に気になりますね。
コッチの音質の方が異常に良かったらどうしよう・・・とか余計な心配もしちゃいますけど(笑)。
by lonehawk (2007-12-22 15:19) 

parlophone

>買った時はオリジナル盤だと思っていて、後で本当のタイトルを知って
>がっかりしたのでした…

むかしは情報が限られていたので、こういう経験はだれにでもありましたよね~。

>CDはCBSからの最初のを買ったんですが、スカスカで歪んだ音

今回の紙ジャケも歪みっぽい音でしたね~。
Revolaからの再発盤に期待したいところですが…。
by parlophone (2007-12-22 23:12) 

parlophone

lonehawkさん、どうもです。

>この1年は待望だった紙ジャケ化が非常に多かった

1月のジョンの前衛3部作から始まって、年末のローラまで休む暇がありませんでしたね~。

来年もすでにジョン・メイオール、ラヴィン・スプーンフル、ティム・ハーディン、マウンテンと買わなきゃいけない紙ジャケが続出ですが、今年中止になってしまったバッファローはぜひ実現させてほしいですね!!
by parlophone (2007-12-22 23:17) 

chitlin

遼さん、皆さんこんばんは。
“イーライ箱”をまだ引き取りに行っていないchitlinです。
コメントしそびれてしまいましたが、遼さんの記事を拝読して実は初めてDU特典箱に目が眩みました。

>『More Than a New Discovery』がオリジナル仕様で英国のRevolaから来月出る
こちらで初めて知りました。
私も気になる音質についてですが、Rev-Oraならやってくれるはずですよ。
いったん閉鎖されたこともありましたが、その頃からThe Millenniumの前身グループですとか質の高いリイシューを手がけています。(装丁は普通ですけど)
私は迷わず購入します。
by chitlin (2007-12-22 23:21) 

parlophone

chitlinさん、どうもです。

>遼さんの記事を拝読して実は初めてDU特典箱に目が眩みました

ぼくも特典ボックスにはまったく興味がないのですが、初めて見たとき
「ひょ~、けっこう綺麗だな~」
と見とれてしまいました^^

>Rev-Oraならやってくれるはずですよ。
>The Millenniumの前身グループですとか質の高いリイシューを手がけています

Rev-Oraの名前は初めて知りましたが、そういう質の高いリイシューをしてるメイカーなら期待できそうですね!
いい情報ありがとうございました。
by parlophone (2007-12-23 00:00) 

DEBDYLAN

こんにちは。
毎度毎度の遅刻です^^;

実は、まだ実物見てないんです・・・
昨日、タワレコ行く気満々だったのに、道中で友人に会い辿り着けず(笑)
今日こそ行くぞ!!

どれ、買おうかなぁ・・・
実物を手にしながら買うのって、やっぱり楽しいですね。
余計なモノまで買っちゃうことあるけど^^;
by DEBDYLAN (2007-12-30 09:38) 

parlophone

DEBDYLANさん、こちらにもどうもです。

>実物を手にしながら買うのって、やっぱり楽しいですね
>余計なモノまで買っちゃうことあるけど^^;

そうですね~^^
セールとかやってると予定になくても買っちゃうってこと、ありますよね。

ただ今回は『More Than~』の紙ジャケという強力なオマケがありましたので、DUで買っちゃいました^^

音は『First Songs』だけはちょっと…でしたけどね~。
by parlophone (2007-12-30 17:10) 

chitlin

遼さん、こんばんは。

Rev-Oraからの『More Than A New Discovery』が「発売日延期未定」との連絡が入ってしまいました。(汗)
Rev-Oraサイトにはちゃんと掲載されたままなので、無事に復刻されること祈るばかりですね。
by chitlin (2008-01-25 01:18) 

parlophone

chitlinさん、どうもです。

>Rev-Oraからの『More Than A New Discovery』が「発売日延期未定」

えーーっ、そうなんですか!
Amazon では今までどおり1月28日発売予定で1,822円で予約を受け付けていますね。

う~ん、ロジャニコのRev-Oraですから、ぜひリリースしてほしいですね!
by parlophone (2008-01-26 00:17) 

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