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ウォルター・デイヴィス Jr. 『デヴィス・カップ』 [JAZZの愛聴盤]

ブルーノートにはぼくが密かにBM 3部作と呼んでいるアルバムがある。
ジャッキー・マクリーンの『ニュー・ソイル』(BLP 4013)、ドナルド・バードの『フュエゴ』(BLP 4026)、そして今日ご紹介するウォルター・デイヴィス Jr.の『デイヴィス・カップ』(BLP 4018)だ。

      

もうお分かりかも知れないが、BM というのはByrd-McLean、つまりドナルド・バード(tp)とジャッキー・マクリーン(as)のこと。
このふたりはよっぽど相性がよかったとみえて、名作をたくさん残している。
プレスティッジから再発されるまでは幻の名盤の誉れも高かった『カフェ・ボヘミアのジョージ・ウォーリントン』(1955年・プログレッシヴ LP 1001)もそうだし、以前このコーナーでもご紹介した通称「ネコのマクリーン」、『ジャッキー・マクリーン・クインテット』(同年・アドリブ 6601)もそうだ。

そして上記ブルーノートの3枚のアルバムでも、ブリリアントな音色と流麗なフレーズ、メロディアスでありながら知的で洗練されたアドリブで甲乙つけがたいソリストぶりを見せつける。

これらのアルバムが録音された1959年というと、2人は27~8歳、押しも押されもせぬモダン・ジャズ界のスターだったはずで、ドナルド・バードはペッパー・アダムスと組んだ双頭コンボで人気を博し、マクリーンは新主流派への萌芽が感じられる先進的なソロを取っていた。

そしてこの3枚に共通しているのは収められているオリジナル曲のすばらしさだ。
ちなみに『ニュー・ソイル』もピアノはウォルター・デイヴィスで、そこには「Davis Cup」という曲も収録されている。

83年ごろだったと思うが、ぼくはジャズ・メッセンジャーズの一員として来日したウォルター・デイヴィスを見ている。
ヒゲ面の巨漢という外見に似合わず、そのソロはいずれも端正で簡潔な美しさをたたえていて、ウォルターってこんなに素晴らしいピアニストだったのかと認識を新たにしたものだ。

『デイヴィス・カップ』(もちろんテニスのデビスカップにかけたタイトル)は1959年8月に吹き込まれたウォルター初のリーダー・アルバムで、収められた6曲はすべてかれのオリジナル。
サム・ジョーンズ(b)、アート・テイラー(ds)という安定したリズム陣をバックに、作曲にアレンジにソロにバッキングにと、とても初リーダー作とは思えない活躍ぶりを見せている。

WALTER DAVIS JR. "DAVIS CUP"  BLUE NOTE BLP 4018


付記:これ以外にもブルーノートにはバード/マクリーンでコンビを組んだ作品がいくつかある。
そのうちの1枚、『バード・イン・フライト』(BLP 4048)のマクリーンが参加したB面は名曲「マイ・ガール・シャール」を含む傑作だが、人気の高い『ジャッキーズ・バッグ』(BLP 4051)は、いいのはブルー・ミッチェル(tp)やティナ・ブルックス(ts)が参加したB面のほうで、バードとソニー・クラーク(p)が参加したA面は残念ながらバードの出来があまりよくない。


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コメント 2

bob

遼さん、こんにちは
3部作中、この「デイヴィス・カップ」と「ニュー・ソイル」はバード、マクリーン、デイヴィスの3人が一緒なんですよね。
共に楽曲が良い3部作なんですが、僕としては「ニュー・ソイル」が一番のジャストミートです。
A面のハードボイルドなカッコ良さ、B面のファンキーな味わいと、だらだらしたバラード曲が無いのでテンポ良く聴けます。

それにしても良い曲書くなぁ~、デイヴィス♪
by bob (2007-11-14 12:13) 

parlophone

bobさん、どうもです。

>僕としては「ニュー・ソイル」が一番のジャストミートです

ぼくも『ニュー・ソイル』は大好きです。
とくにジャッキーは自分のリーダー・アルバムだけに、いちばんノッていると思いますね。
ただ「JAZZの愛聴盤」のコーナーではすでに「ネコのマクリーン」を取り上げているので、今回は『デイヴィス・カップ』にしました^^

>それにしても良い曲書くなぁ~、デイヴィス♪

ですね。
それにソロも美しいですよね~!
by parlophone (2007-11-14 22:28) 

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