高校生的レコード論――その1 [にぎやかな夜、その他の夜]
息子(いちおう名前を悠ということにしておく)は高校の吹奏楽部に入っていて、昨年11月4日のマーチング・バンド九州大会が大変だったことは11月7日の記事にも書いた。
今年はその九州大会が1週間早まって昨日だったのだが、会場はまたしても長崎県島原市。
今年も高速をぶっ飛ばして往復8時間、行ってきました^^;
結果は金賞ながら全国大会へは推薦されず(これをカラ金などという)。
今年も当然のごとく埼玉スーパーアリーナを目標に練習をしていた吹奏楽部の3年生にとっては、唐突で悪夢のような幕切れ。
昨日の悠の落ち込み具合は大変なものでした。
(ぼくの目からしても去年よりは今年のほうが出来がいいと思えたのだけれど)
さて、最後の部活に出かけたきょう、悠は同じ吹奏楽部の元気くんという友だちを連れて帰ってきた。
2人がバッハの無伴奏チェロ組曲を聴きたいというので、レコードをかけて聴かせていると、レコードラックに飾ってある『アビイ・ロード』のジャケットを眺めて、悠が
「あれがビートルズの最後のレコード?」
と訊く。
「そう、実質的にはね。リリースは『レット・イット・ビー』のほうが後だけど」
というと、元気くんが
「あ~、これけっこう有名なジャケットですよね」
「うん、ビートルズのジャケットではいちばん有名かな」
そこでぼくはUK盤のファースト・プレスと国内盤のジャケットをならべて、
「国内盤には有名なミス・プリントがあるんだ。ほら「サムシング」が3曲めになってる」
というと、2人とも
「お~! ほんとだ。ありえねーミス!」
と単純に喜んでくれる。
「じつは同じUK盤でも1st プレスは2nd 以降と違うんだよ」
といってレフト・アップルの部分を見せると、
「えーーっ、どうしてなの!?」
元気くんは
「なんか表も違いません?」
「さすがやねー。じつはレフト・アップルというのは画像のトリミングと関係があるんで、表の写真も拡大されてるんだよ~」
などと、つい熱く語ってしまった(笑。
悠が「1st プレスってリンゴの位置が違うだけなの?」
と素朴な疑問(もしくは鋭いツッコミ)を提出するので
「いやいや、やっぱり1st プレスは音がいいんだよ」
といいつつレコードとCD を続けてかける。
「うわ~、ギターの音がぜんぜん違う!」
「レコードのほうは目の前で演奏してるみたいやん!」
と、音のほうでも盛り上がってくれた。
元気くんは
「CD のほうはコンピューターみたいな音ですね」
と、なかなかイタイ指摘をしてくれる。
(これでもCD プレイヤーのなかではアナログ・ライクなほうなんだけどな…笑)
2人はヤーノシュ・シュタルケルの40年も前のレコードも、チェロの音がリアルですごい、ブレスの音がまるで管楽器奏者みたい、…などと感動してくれた。
いま悠は『LOVE』がとてもお気に入りなので、こんど感想を聞いてみましょう。
こんばんは
「アビイ・ロード」国内盤は高校卒業並びに予備校入学祝いに自分で買いました。
今高校生の子たちにとってやはりレコードの音は新鮮なんでしょうね。でも、CDとの違いが即効で分かるのはさすがというか頼もしいというか、アナログ復活を皆で盛り上げて欲しいです。
by bob (2007-10-29 00:50)
素敵な親子&友達との会話ですね。
音楽を通じて世代を超えられるって最高ですよね。
僕もブログを通じていろんな世代の方から知らなかった情報や
捉えかたを知って音楽って面白いな~って
思っているところです。
これぞブログの醍醐味とひとりで唸ってます。
こういう話大好きです。
また聴かせてほしいです。
by ouichi (2007-10-29 01:40)
bobさん、どうもです。
>「アビイ・ロード」国内盤は高校卒業並びに予備校入学祝いに自分で買いました
ぼくは国内盤はもう少し早かったと思いますが、就職したときにそのお祝いに『アビイ・ロード』と『Sgt.』のUK盤を自分で買いました(笑。
>今高校生の子たちにとってやはりレコードの音は新鮮なんでしょうね
元気くんはレコードを見るのは初めてだといってました。
でも気に入ったみたいでしたね。
>CDとの違いが即効で分かるのはさすが
吹奏楽部ですから、音楽に対する耳はしっかりしていると思いますね^^
>アナログ復活を皆で盛り上げて欲しいです
うちの子は、ビートルズを聴くならアナログだ!と思ってるみたいですよ(笑。
by parlophone (2007-10-29 20:10)
ouichiさん、どうもです。
>音楽を通じて世代を超えられるって最高ですよね
ですよね~。
吹奏楽とかマーチングというのはぼくにとっては未体験の音楽だったので、びっくりすることやおもしろいことがたくさんあります。
同じサックスでもジャズとは音の出し方なども違うので、ジャズのアルバムを聴かせても夢中になるということはないのですが、なぜかビートルズにはすごく反応するようです。
やっぱりDNAかしら(笑。
>これぞブログの醍醐味とひとりで唸ってます
そうですね。
場所も年齢も体験も遠くはなれた人々と「音楽の話」で瞬時に結びつくんですからすごいですよね。
>こういう話大好きです。また聴かせてほしいです
ありがとうございます。
悠はこれから受験が控えてますので、なかなかデリケートな時期なんですが、せいぜい音楽を聴かせてやりたいと思ってます^^
by parlophone (2007-10-29 20:29)
こんばんは。
遼さん、きっとニコニコしながら喋ってたんでしょうね。
息子様も、素敵なお父さんで友達に鼻が高かったのでは・・・
僕も父ではないけど、人生の先輩から素敵な音楽をたくさん教えてもらいました、もちろん今も。
こういう繋がり大切にしたいですね。
そだ。
今度は息子様を紙ジャケCDに目覚めさせないと(笑)
親子で蒐集、効率よくなりますよ(^^♪
by DEBDYLAN (2007-10-30 00:29)
いい話ですね。もし私も結婚していて息子や娘がいたら、全知識を叩き込んでビートルズ・マニアにさせてます。
ビートルズ以外にもたくさんいい音楽を聴かせてミュージシャンにさせ、ガッポリ稼がせて私は左うちわです。
っていう夢があったんだがなあ・・・。なんで独身なんだろか(笑)。
by MASA (2007-10-30 00:50)
DEBDYLANさん、nice!&commentありがとうございます。
>遼さん、きっとニコニコしながら喋ってたんでしょうね
どうなんでしょうかね~。
悠に「ぼくって絶対オタクに見られたよね?」って聞いたら、
「う~ん、でも音楽を愛する人って、みんなそうなるんじゃない?」
とやさしくかばってくれました(笑。
>こういう繋がり大切にしたいですね
ですね。
音楽を話し合える友人って、ほんとうに"心の友"っていう感じですもんね。
>今度は息子様を紙ジャケCDに目覚めさせないと(笑)
そうなってくれるといいですね~。
まだまだ先の話のような気がしますが…^^
by parlophone (2007-10-30 22:07)
MASAさん、ありがとうございます。
>ミュージシャンにさせ、ガッポリ稼がせて私は左うちわです
わはは。いいですね~。
ぼくも今のところは娘をバレリーナにして、左うちわの予定です^^
そのためにはまずローザンヌ・バレエ・コンクールでスカラシップに受からなければなりません。
今はまだ「ローザンヌってどこ?」って感じなんですが…^^;
>っていう夢があったんだがなあ・・・。なんで独身なんだろか(笑)
MASAさん教養もあるし、優しそうだし、もてそうだからやっぱりハードルを高くしすぎたんですよ~^^
by parlophone (2007-10-30 22:14)
parloさん大変ご無沙汰しています。
最近、ちょっと「音楽の縦の連鎖」について少し考えた事があったので、この
記事は興味深く読みました。
縦の連鎖って言うと難しいけど、要は音楽って「従兄が聴いていた」とか「親友の兄貴が好きだった」とか、そういうところから、我知らず自分の中に入り込んできて「気付いたら自分もすっかりハマっていた」という入り方が一番ホンモノというか王道だと思うんですよね。
昨今は個人主義が浸透して家族の中でも1人1人イヤホン耳に突っ込んで勝手に聴いて楽しんでいるような感じがあり、「何だか耳に入ってきた」的な縦の音楽連鎖が得られにくい。これは真に良い音楽を新しい世代に伝えていく上で非常に由々しき問題ではないかと。
そういう意味では、parlo家のそんなシーンの話は他人ながら何とも嬉しく感じます。音楽の伝達ってそういうものであってほしい。音楽に限ったことでもないですけどね。
きっと元気くんは30,40才になってから、そういう「友達の親父」とのやりとりの思い出を、音楽的に最もインスパイアされた瞬間として深く心にとどめているかもしれません。大事なことですね。
by milk_tea (2007-11-03 03:11)
milkちゃん、こちらこそご無沙汰してます。
もう会社のほうは落ち着きましたか?
なんか米軍キャンプ廻りかなんかしてるとか聞きましたが活躍の場が国際的で大変そうだけどやりがいもありそうですね。
韓国、沖縄、横田…ところでランドリー・ゲイトは行きましたか(笑。
>音楽って「従兄が聴いていた」とか「親友の兄貴が好きだった」とか、
>そういうところから、我知らず自分の中に入り込んできて
それはたしかにそうですね~。
ぼくがクラシックを聴きだしたのは父親の影響でしたし、そもそも音楽に興味を持ったのは毎週日曜日にラジオから流れてくる音楽だったし。
小学生のときに初めてレコード(シングル盤)を買ったのは近所のお兄さんの影響でしたね~。
ただ横の連鎖?みたいなものもあって、ぼくがジャズに夢中になっていた大学生のころはジャズを聴いてる友だちがぼくの周りにもたくさんいました。
最近そういう人がいないので、ジャズはちょっと聴く機会が減ってますね。
>parlo家のそんなシーンの話は他人ながら何とも嬉しく感じます
>きっと元気くんは30,40才になってから、そういう「友達の親父」とのやりとりの思い出を、
>音楽的に最もインスパイアされた瞬間として深く心にとどめているかもしれません
う~ん、そんな大それたものではないと思いますが、自分で楽器をやっている若い人たちがビートルズのレコードや音楽に目を輝かせている情景というのはやっぱりうれしいですね。
「なんか悠の親父さんってこだわりがあったよね~」みたいに覚えててくれるといいのですが(笑。
by parlophone (2007-11-03 21:00)