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キャロル・キングのアルバム [シンガー・ソングライター]

Sony Music からキャロル・キングのオード・レーベルにおけるアルバムが2回にわたってリリースされる。
きょう発売されたのは、ソロとしてのデビュー・アルバムである『ライター』から第5作『ファンタジー』まで。
来月10月31日に第6作『喜びにつつまれて』から第8作『サラブレッド』までと、『グレイテスト・ヒッツ』、それにソロ・デビュー以前にTHE CITY 名義でリリースした『夢語り』の、併せて全10タイトルがリリースされる。

とりあえず最初の3枚を購入してみた。

    

ウェブのアルバム・レビューなどを眺めてみると、第3作『ミュージック』あたりから、キャロルの歌に堂々とした自信のようなものが感じられるようになった、と書いてあるのを目にするが、ぼくは第1作の『ライター』(1970)に、すでに彼女の決意のようなものを感じる。
ただソロとしてのデビューとはいっても、当時はまだシンガー・ソングライターというスタイルが確立していたわけではないから、『ライター』の音作りはまだ多分にグループ・エクスプレッション的なものがあって、そこに"揺れ"のようなものがあるのは確かだろう。

しかし大傑作としての名声が確立している 2nd 『つづれおり』、その直後にやはり全米第1位になった 3rd 『ミュージック』に比べると、1st アルバムはあまりに評価が低いのが残念だ。
Singer』ではなく『Writer』、つまり「歌手」ではなく「作家」と題されたタイトルにシンプルなジャケットは、彼女の後ろに立つ虹がとても象徴的だし、おなじみダニー・クーチ(g)とチャールズ・ラーキン(b)というシティからのメンバーに、ジェイムズ・テイラーのギターとコーラスが加わると、じつに豊穣な音世界が広がる。

では紙ジャケを見てみよう。
『ライター』はコーティングのない厚紙のA式スリーヴ。
レーベルはODE 70のマークの入ったオリジナルをイメージしたもので、カンパニー・スリーヴを復刻したミニチュア・インナーがついている。

    

また、今回の紙ジャケ・シリーズを紹介したリーフレットの裏側には伊藤秀世が作成したファミリー・トゥリーが載っている。
これには「OH, CAROLE YOU'VE GOT A FRIEND」というタイトルがつけられているが(笑)、じつに手の込んだ力作だ。

    

日本語解説はアルバムが最初にリリースされた当時のもの(『ライター』では八木誠)と今回のシリーズのもの(こちらは北中正和)、それに歌詞・対訳がついている。

音は2007年の最新リマスタリングを使用しているが、もとのマスター・テープのせいなのだろう、残念ながらやや古めかしい音だ。

2nd アルバム『つづれおり』(1971)はコーティングのない厚紙のA式スリーヴで、ゲイト・フォールドだ。

    

個人的な思い出だけれど、このアルバムは妹が初めて買ったアルバムだった。
彼女は高校生だったけれど、レコード・ショップのヴィニール・バッグのなかからこのアルバムを取り出すのを見て、なんだか大人になっちゃったなあ…と感じたものだった。
当時このアルバムはキング・レコードのA&Mレーベルから出ていたので、帯も少しイメージが違うような気がする。
なお、初めて知ったのだが、初回盤の帯は「つずれおり」になっていたようで、今回はそのミスプリントをそのまま復刻している。

    

さて、『つづれおり』は1995年にいちど紙ジャケになっている。

    
    (左が2007年版、右が1995年版)

このブログではなんども紹介している SBM シリーズで、ほかにボブ・ディラン、サイモン&ガーファンクル、ジャニス・ジョプリン、ジェフ・ベックなどが出た。
このときはシングル・スリーヴだった。
ほんとうの形だけの紙ジャケだったわけだ。

    

今回の紙ジャケと比べてみると、バック・スリーヴの色味などもずいぶん違っているけれど、95年盤はジャケットを鮮やかに見せるためだろうか、コントラストが強めになっており、そのために細部の情報が飛んでしまっている。

    

窓ガラスの部分を見てみると、ガラスの向こうの景色などがすっかりなくなっているのがわかる。

今回の紙ジャケは99年のデジタル・リマスター音源を使用しており、そのときのものだろうか、ポスターが付属している。

    

3rd アルバム『ミュージック』(1971)も厚紙のA式ゲイト・フォールド・スリーヴ。
こちらは柔らかな光のジャケット写真にあわせたテクスチャー仕様だ。
楽譜をイメージした歌詞カードとカンパニー・スリーヴがついている。

    

    

音源は2007年の最新リマスターで、こちらのほうは素晴らしい、とまではいかないけれど合格点だ。

さて、MASAさんとMOREさんご推薦の『ファンタジー』、こっちも買わなきゃいけないだろうなあ。


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コメント 24

MASA

ファーストは当時国内盤の発売がなく、「TAPESTRY」が売れてからそのあとようやく発売になったということもあり、あんまり思い入れがないんだなあ。なので未だ聴いたことがありません(汗)。
遼さんの記事を読んでようやくちょっと興味が湧きました(笑)。

あ、私も「MUSIC」をUPしたので、トラバさせて下さい^^。
by MASA (2007-09-26 23:28) 

parlophone

MASAさん、どうもです。

>「TAPESTRY」が売れてからそのあとようやく発売になったということもあり、
>あんまり思い入れがないんだなあ

ぼくもはっきりとは覚えてませんが、順序からいうと

ジェイムズ・テイラー「君の友だち」→
キャロル・キング「イッツ・トゥ・レイト」→
キャロル・キング「君の友だち」

と聴いていった気がするんですね。

ですからリアル・タイムには『つづれおり』からで、『ライター』は完全に後追いです。
でも、やっぱり作家は処女作にすべてが表れている、といいますかね、まったく素晴らしいアルバムです。
機会があればぜひ聴いてみてくださいね^^
by parlophone (2007-09-27 00:15) 

chitlin

『Music』大好きのchitlinです。

>とりあえず最初の3枚
>MASAさんとMOREさんご推薦の『ファンタジー』
この4枚を注文するだけしておきました!
『Writer』と『Fantasy』を聞いたことがないので楽しみです。

あとはせいぜい『夢語り』くらいは押さえておこうかと。
Carole KingとLaura Nyroの作品が同時期に再発されるなんて!
by chitlin (2007-09-27 00:30) 

parlophone

chitlinさん、どうもです。

>『Music』大好きのchitlinです

『Music』は1曲めの「Brother, Brother」から、もうすごいですよね。
ライナーにも書いてありましたが、明らかにマーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」を下敷きにしながら、完璧にキャロルの世界ですよね~。

>あとはせいぜい『夢語り』くらいは押さえておこうかと

ぼくは『喜びにつつまれて』だけにしておこうと思ってたんですけど、
シティもちょっと気になりますね~。

>Carole KingとLaura Nyroの作品が同時期に再発されるなんて!

ほんと夢のようですね!

あとはジャクスン・ブラウンが早く紙にならないかなあ~!
by parlophone (2007-09-27 01:02) 

MASA

あー、CITY、これもいいんだよなあ。
アナログ時代は幻の名盤となっていたものですが、これがその後のキャロキンのソロを彷彿させる出来でなかなかいいです。
余裕があったら、これも欲しかったところです。
by MASA (2007-09-27 01:20) 

parlophone

>あー、CITY、これもいいんだよなあ

やっぱりそうですか!
ぼくは聴いたことがないんですが、「幻の名盤」とあれば聞き捨てなりませんね~(←なんとなく洒落^^;)

よっし、10月は2枚決定!
(ということでけっきょく6タイトルか~)
by parlophone (2007-09-27 01:37) 

MORE

>初回盤の帯は「つずれおり」になっていたようで

それは初耳でした。ふーん。

CITYはアナログ盤(カラージャケのオリジナル)で持っています。
Writerと比べるとイマイチの感はぬぐえませんが、1曲目のSnow Queenは
好きな曲です。(Mamas & Papasもカヴァーしてますね)
それからBS&TでヒットしたHi-De-Hoですかね。
Writerはローラで言えばFirst Songsみたいな感じでして、SSWとしての
キャロルの原点が見えます。
Child Of Mineはキャロルの数ある名作の内の一つかと…
No Easy Way Downはソウルフルなナンバーで、数多いカヴァーがありますね。Natural Womanと並んで大好きなキャロルのソウル・ナンバー(?)です。
キャロルのライヴだと後年陽の目を見たカーネギー・ホールでのライヴは必聴モンです。
曲の間のおしゃべりも初々しくって当時のキャロルの突然のスターダムに対する慌てぶりが垣間見えて…
彼女のライヴは80年ごろに一度だけ見ていますが、知っている曲が次々と歌われる楽しいステージです。
会場全体がカラオケ・ホールになってしまいます!
by MORE (2007-09-27 09:15) 

parlophone

>CITYはアナログ盤(カラージャケのオリジナル)で持っています

おお、ということはモノクロの再発盤があるわけですね?

>キャロルのライヴだと後年陽の目を見たカーネギー・ホールでのライヴは必聴モンです

これはほんとにいいですね~。
最近はあんまり聴いてませんが、一時期はホントによく聴きました^^

>彼女のライヴは80年ごろに一度だけ見ています

すごいなあ!
うらやましいです^^
今年の来日は17年ぶりだそうですね。
とても行けませんが…^^;
by parlophone (2007-09-27 22:43) 

MASA

白黒のジャケなんてあるんですか?知らないなあ。
私は90年頃に出たレプリカ盤で持ってます。ブートみたいなもんですが、音質は悪くないです^^。

カーネギー・ホールは私も持ってますが、あれはほんとにいいですよね。
by MASA (2007-09-27 23:03) 

parlophone

ああ、やっぱり人気があるんですね~。
ブートとかレプリカ盤が出るくらいですからね。

10月が楽しみになってきました(←お金は??^^;)
by parlophone (2007-09-27 23:58) 

ouichi

「つずれおり」とそのまま記載。粋ですね~。
ピアノ系アーティストが好きなので、やっぱりこのアルバム
よく聴きました。
でも他は聴いてないんですよ~。
コメント見てると前後のアルバムも良さそうですね☆
by ouichi (2007-09-28 00:23) 

parlophone

ouichiさん、どうもです。

>「つずれおり」とそのまま記載。粋ですね~

こういう遊び心は趣味の世界では大事ですよね♪

>コメント見てると前後のアルバムも良さそうですね☆

『つづれおり』が大名盤であることはいうまでもありませんが、前後のアルバムもいいですよ~。
ぼくはジェイムズ・テイラー~ダニー・クーチの「フライング・マシーン」組が大好きなので、彼らが参加したキャロルのアルバムは外せません。
『つづれおり』が愛聴盤ならば、1st 、3rdもぜひオススメです^^
by parlophone (2007-09-28 01:41) 

MORE

Tapestryは「一家に一枚」という類のアルバムだと断言します。

>おお、ということはモノクロの再発盤があるわけですね?

70年代に出たブートです。
私は実はそのブートを見て、オリジナルだと思っていました。
オリジナルは69年リリースですが、当然売れませんでした。
後にTapestryが売れたため、このオリジナルの値段が高騰、そこで
ブートまでもが出回った、それが日本にも流れたというわけです。
渋谷のCISCO(懐かしい・・・)などでも売られていたのでブートだとは
思わなかったのでしょうね。(新宿レコードだったら疑ったでしょうけど)
後にオリジナルはカラーだと知り、中古で手に入れた、というわけです。

Fantasyはお買いになりましたか?(微笑)
by MORE (2007-09-28 09:06) 

bob

こんにちは

スレ違いで失礼します。
いささか拙い内容ですが、blog始めました。
事前承諾いただきませんでしたが、リンク張らせていただきました。
不都合等ありましたらご指摘ください。
これからもよろしくお願いします。
by bob (2007-09-28 11:46) 

parlophone

MOREさん、どうもです。

なるほど、モノクロのブートですか^^

69年というとダニー・クーチは無名ですね。
キャロルはすでにゴフィン=キングでヒット・メイカーとしては有名だったので、もう少し売れてもよかったような気がしますけどね。

『Fantasy』はあす天神に行くので買えたら買います^^
by parlophone (2007-09-28 23:05) 

parlophone

bobさん、どうもです。
いよいよブログ始動ですね!
おめでとうございます。

リンクありがとうございます。
あとで遊びに行きますね^^
by parlophone (2007-09-28 23:08) 

ouichi

ファーストと迷って『Music』購入しました。
遼さんとMASAさんの情報からジャケットも気に入り
購入してみようと。
遼さんが言われるようにSONYの紙ジャケ、作りいいですね。
ジャケの紙質のザラザラ感が気持ちいいしジャケ写真と合ってる。
大満足です。
さて音はというとまだ初聴でなんとも言えませんが
仲間内(?)での演奏にニコニコしてしまいます。
カーペンターズがカヴァーしたんでんすね。2曲目。
やっぱり知ってる曲は入りやすいです。
もう少し聴いて僕のブログで紹介してみます。
by ouichi (2007-09-29 20:22) 

parlophone

ouichiさん、どうもです。

>ファーストと迷って『Music』購入しました

内容からいってもジャケットの美しさからいっても正解だと思います。
ぼくは1st 『ライター』がもっと評価されていいと思っていますが、『ミュージック』が過大評価されているとはけっして思っていませんから^^

>やっぱり知ってる曲は入りやすいです

ですよね。
ブログの記事楽しみにしてます^^
by parlophone (2007-09-29 23:42) 

DEBDYLAN

今頃、カキコです・・・(^^ゞ

実はまだ1枚も買ってないんです・・・
今月は出費の予定がいっぱいあって(音楽以外に・・・)

売り切れない事、祈ってます。

だから、遼さん、あんま宣伝しないで下さいね(爆)
by DEBDYLAN (2007-10-07 20:47) 

parlophone

DEBDYLANさん、nice!&comment ありがとうございました。

>今月は出費の予定がいっぱいあって(音楽以外に・・・)

あ~、それは大変ですね!
ぼくもデジカメの突然のClash?も参りましたが、相変わらず息子の吹奏楽や娘のバレエも物入りで困っちゃいます…(涙。

キャロル・キングはけっきょく『Fantasy』も買っちゃいましたよ~^^;
でもこれ以上は宣伝しませんから(爆。
by parlophone (2007-10-08 00:48) 

ouichi

遼さん、こんばんは。
ようやく胸のつかえが取れました...。
「MUSIC」書き上げましたのでトラバさせていただきました。
ぜひぜひご覧ください。
by ouichi (2007-11-13 00:44) 

parlophone

お!ouichiさん、ついにUPなさいましたか。
あとで遊びに伺いますね^^
楽しみ~♪
by parlophone (2007-11-13 22:52) 

Shira

ジャケットのにおいが蘇る気がしました。
今となってはずっしりと重い、黒いレコード…。
by Shira (2013-06-22 00:12) 

parlophone

Shiraさん、はじめまして。
レスが半年後になってしまって、ほんとうに申し訳ありません。

紙ジャケはレコードを聴いて育った世代にはノスタルジーを
かき立てるものですが、同時に収納的にも優れていますよね。
高いのが玉に瑕ですが…。

ただできればオリジナルのLPで持っておきたいというのが
コレクターの悲しい性です(涙。

また機会がありましたらコメントをお待ちしております。
by parlophone (2014-01-01 23:57) 

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