『マイ・フェイヴァリット・シングス』 コルトレーン・アット・ニューポート [モダン・ジャズ・ジャイアンツ]
きょうは、「RECOMMEND」のコーナーでいち早く載せていたジョン・コルトレーンの新しいCD、『my favorite things : COLTRANE at newport』をご紹介しよう。
インパルス・レーベルに遺されたコルトレーンの録音は、ごく晩年のものや死後にリリースされたものを除いてすべて必聴の名演だと思う(もっともだれにでも薦められるというものではない…)が、アルバム単位で聴くと、収録日がばらばらだったりして、混乱の原因になったりしていた。
1992年に当時のMCAビクターからリリースされた『ジョン・コルトレーン・コレクション』という4枚のアルバム(ただし販売は単体)と『バラード・オヴ・ジョン・コルトレーン』というアルバムは、そのあたりを聴きやすくまとめたものだったが、編集の趣旨とは裏腹に収録のしかたに首をひねるようなところもあって残念だった。
今回リリースされたアルバムは、ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルに遺されたトレーンの音源を集めたもので、収録時間ギリギリの79分にわたって収められている。
英文のライナーを読んでみると、トレーンが同フェスティヴァルに出演したのは1958年、61年、63年、65年、66年の5回だ。
初出演になる1958年は、例のマイルズ・デイヴィスがたった一夜で名声を確立したといわれる伝説のライヴである。このときの音源は残念ながら遺されていない。『マイルズ&モンク・アット・ニューポート』というタイトルで以前からLP化されていたが、2001年には未発表2曲を収めた紙ジャケも出ている。
(バート・スターンが監督した『真夏の夜のジャズ』は同年の記録だが、マイルズのクインテットは残念ながらフィルムに収められなかったらしい。)
残りの4回はコルトレーン自身のカルテットによる出演だが、このうちボブ・シールがテープを廻したのは63年と65年の2回だけ。
その全5曲がここに収められている。
63年7月7日の演奏はエルヴィン・ジョーンズが麻薬治療のために出演できなかったのでロイ・ヘインズが代役でドラムスを叩いている。
演奏したのは
1. I Want to Talk About You
2. My Favorite Things
3. Impressions
の3曲。
M-1とM-2はオリジナル・アルバム『セルフレスネス』(Impulse AS-9161)に、65年10月スタジオ録音のタイトル曲といっしょに収められていた。
M-3は1978年リリースの編集盤『TO THE BEAT OF A DIFFERENT DRUM』に収録されていたもの。
M-2「マイ・フェイヴァリット・シングス」は数多いライヴ・テイクのなかでもベストといわれているものだ。
ここでのトレーンはイントロでテナーを吹いている。
前記のCDではM-1「I Want to Talk About You」が『バラード・オヴ~』のほうに収められていたため、つながりがわかりにくくなっていたが、1でテナーを吹いてそのまま次の曲に移り、イントロのピアノの間にソプラノに持ち替えているのだ。
M-3「Impressions」は未発表ヴァージョン。
これまで15分59秒だったものが、今回は22分30秒のノーカット・ヴァージョンになっている。
これまで聴いていた「Impressions」はテーマからトレーンがテナーを吹きまくり、やがてバックのピアノが消え、ベースが消え、ドラムスのロイ・ヘインズとの壮絶なデュオが繰り広げられ、最後に4人に戻ってテーマ、という構成だった。
ところが、ほんとうはトレーンはソプラノでテーマを吹いていたのだ。
つまり前の曲とは逆にソプラノのままM-3に移り、そのあとテナーに持ち替えていたのだ。
これまでカットされていた6分30秒におよぶ部分は、イントロからつづくピアノとベースのソロの部分。
マッコイのピアノ・ソロもギャリソンのベース・ソロもカットするのが惜しいようなすばらしいものなのだが、残念ながらベースの音が割れている。
その後テナーが現れるが、ここからが従来のヴァージョンということになる。
65年7月2日の2曲は、マッコイ~ギャリソン~エルヴィンという黄金のカルテット最後期の録音なので、トレーンの演奏自体は翌年の『ライヴ・イン・ジャパン』のときのような、かなりフリーに近づいた演奏ではないかと思っているが、まだ聴いていない。
ノーマン・オコーナー神父のイントロダクションにつづいて
5. One Down, One Up
6. My Favorite Things
の2曲を演奏している。
M-5はオリジナル・アルバム『NEW THING AT NEWPORT』(Impulse A-94)に、M-6はやはり78年に出た編集盤『FEELIN' GOOD』に収められていた。
音のほうは鮮度が大幅にアップしてリマスタリングの効果がはっきり出ている。
国内盤も出ているが、価格が1,000円以上違うのでEU盤がオススメだ。
special thanx to Mr.bob
こんばんは
「マイルスが一夜で」伝説は55年かと…。
また、58年音源はマイルス名義のライブ盤が…(MILES AND MONK AT NEWPORT)。
勘違いでしたらすみません。
63年のマイ・フェイヴァリット~いいですね!アナログ片面が長く感じません。
by bob (2007-08-04 02:03)
あれ~~~!
bobさん、初めまして、でしょうか…。
もしそうでなかったらお許しください!
>「マイルスが一夜で」伝説は55年かと…。
>また、58年音源はマイルス名義のライブ盤が…
なにもかもおっしゃるとおりでございます。
また例によっていい加減なこと書いてしまい申し訳ありません。
急いで記事のほう訂正させていただきます。
ありがとうございました!
by parlophone (2007-08-04 02:22)
素敵・・・・・お父さん、買わないかなぁ・・・・・・・・(他力本願^^;)
by (2007-08-04 07:31)
あるじさん、いつもnice!&commentありがとうございます^^
お父さんはいまでもJAZZを聴いてらっしゃるのですか。
いいですね~。
若いころ聴いてても、歳を取ると「やっぱり演歌だ」みたいな人が多いのですが(笑。
by parlophone (2007-08-04 14:14)
こんにちは
投稿したのは今回が初めてです。いつも更新楽しみにしています。
「Impressions」は22分超ですか!
この日のコルトレーンは気合い十分ですね。と言っても当時はこのようなパフォーマンスが日常的だったようですが…
この曲はCDでないと聴けないのですよね?
CD再生環境にないので、以前からチョット注目はしていたのですが残念です。
ところでこの日のセットのオープニングは「Impressions」だったのでしょうかね?
by bob (2007-08-04 14:41)
bobさん、どうもです。
ご覧のとおりのいい加減なブログですが、今後ともよろしくお願いいたします^^
>この曲はCDでないと聴けないのですよね?
EUではアナログも出てるのかもしれませんが、Amazon UKで検索してもCDしかヒットしませんでしたね~。
>この日のセットのオープニングは「Impressions」だったのでしょうかね?
おそらく上の収録順ではないかと思います。
M-1 tenor
M-2 tenor(intro)→soprano
M-3 soprano(intro)→tenor
で、CDでは連続して演奏されたように聞こえます^^
by parlophone (2007-08-04 15:04)
情報ありがとうございました!
ハァ~、バラードをオープニングにもってきますか。
My Favorite~の演奏終了後にメンバー紹介のアナウンスがありますので、てっきり「Impressions」がオープニングかと思っていました。
アンコールだったのでしょうか…
参考になりました!
by bob (2007-08-04 15:14)
念のためもう一度聴きなおしてみました。
M-2のエンディングのベースにかぶってM-3のソプラノのイントロが聞こえるような気がします。
M-3が終わってからメンバー紹介のアナウンスがあります。
巧妙に編集されてる可能性もなきにしもあらず、ですが、『COLTRANE at newport』というCDの編集理念からいうと、セットリストどおりの曲順のような気がします。
ぜひCDプレイヤーを買って、ご確認ください(←ウソウソ 笑。
by parlophone (2007-08-04 21:57)
父は演歌にはあまり興味がないようです。(笑)
あるじの父らしく(?)ゴーイング・マイ・ウェイな人です(人には優しいけど)。
『マイ・ウェイ』といえば、シナトラも聴いていたような・・・
by (2007-08-05 00:05)
ぼくもシナトラは好きですが、演歌にはまったく興味ありません。
ゆいいつ気になるのはテレサ・テンですが、それでもなかなか音源を購入しようという気にはなれません。
by parlophone (2007-08-05 00:57)
ご丁寧に恐縮です!
>M-3が終わってからメンバー紹介のアナウンスがあります。
なるほど、アナログ盤(SELFNESSLESS)の方に編集があるようですね。
My Favorite~の終了後、唐突にメンバー紹介アナウンスが始まるのはそのためでしたか。
大変参考になりました。
CDも聴ける環境…やはり必須でしょうね
by bob (2007-08-05 02:21)
>アナログ盤(SELFNESSLESS)の方に編集があるようですね
だと思いますね。
『セルフレスネス』のアナログは20年前に売ってしまったのでよく覚えてませんが、たぶんそうでしょう。
>CDも聴ける環境…やはり必須でしょうね
だと思いますよ~~ v (^o^;
by parlophone (2007-08-05 21:53)
>演歌にはまったく興味ありません。
ゆいいつ気になるのはテレサ・テンですが、それでもなかなか音源を購入しようという気にはなれません。
遼さん、私も全く同感です。
でね、相当前の社員旅行のバス中で、偶々流れたテレサ・テンの「真夏の果実」 これが良かったんですよ。テレサは演歌歌手じゃないです。後日、収録CD探して手に入れました。もっとも、コアなファンは、日本の曲のカバーなんか見向きもしないかも知れませんが。
主題と全然関係無いこと書いちゃいましたね。
>63年のマイ・フェイヴァリット~いいですね!アナログ片面が長く感じません。
bobさん 全く同感です。いいですよね。 ~~ ロイヘインズ!!
相槌打ってるだけだなあ。(笑)
by Zamora (2007-08-05 22:10)
Zamoraさん、お久しぶりです!
>社員旅行のバス中で、偶々流れたテレサ・テンの「真夏の果実」
いいですね~。
ぼくもこういうシチュエーションでテレサの唄が流れたら、矢も盾も堪らずCD買いに走りそうです。
ところで「真夏の果実」 ってサザン(桑田?)の曲ですか?
彼女、そういうカヴァーもやってたんだ。
>テレサは演歌歌手じゃないです
と思うんですよね。
でも日本では「空港」でしたっけ?
なんか情緒連綿のマイナー・キイの曲歌ってましたよね。
香港の歌姫としての代表曲と、日本での演歌(オリジナル)、そしてカヴァーとかを収めた3枚組ぐらいのコンピが欲しいなあ~。
あったりして(爆。
by parlophone (2007-08-05 23:01)