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トゥリーズ 『オン・ザ・ショア』 [ブリティッシュ・フォーク]

6月発売の紙ジャケでいちばん待ち遠しかったのが、じつはこのTREESの『オン・ザ・ショア』だった。

   

ブリティッシュ・フォークの名盤という評価とストーム・ソージャースン(一般的な表記はトーガソン)、ヒプノシスによる印象的なジャケット。
でも音は聴いたことがなかった。
Sony MusicのサイトHIGH-HOPESで、2枚組の紙ジャケとしてリリースされるという記事を読んでから、ほんとうに楽しみだった。
ところが発売前日の6月19日、地元のタワレコでは店頭品切れ(おそらく1~2枚しか入荷しなかったと思う)。
慌ててAmazonで注文したのだった。
(届いた日にはタワレコにも再入荷していたけど…笑)

  

さて実際に耳にした『オン・ザ・ショア』はどうだったか…。

個人的にはペンタングルの『クルエル・シスター』、フェアポート・コンヴェンションの『アンハーフブリッキング』と並ぶ名盤だと思う(フォーク・ロックの範疇で、という限定付きですが…)。

スティーライ・スパン、フォザリンゲイ、トレイダー・ホーン、スパイロジャイラ…と、女声ヴォーカルをフロントに据えたブリティッシュのフォーク・グループを聴いてきて、どれもすばらしい作品だとは思うのだけれど、『オン・ザ・ショア』の前には色褪せてしまう…。
2本のギターにベースとドラムス(曲によってはピアノ)という、ごくごくシンプルな構成と、トラディショナルを中心にした楽曲なのに、代表曲ともいえる「Sally Free and Easy」、「Fool」、「Geordie」、「Polly on the Shore」といった曲での、幻想的で緊張感を孕みながら変幻してゆく美しさは筆舌に尽くしがたいものだ。

音も2007年の最新リマスターで、不満はない。

紙ジャケはコーティングのないE式のシングル・スリーヴ。
UKコロンビアのオリジナル・レーベルを復刻しているけれど、

   

あちゃ~、やっちゃいました(笑。
デザイン的にしかたないのだろうけれど、目ん玉を全部くり抜いちゃったよ~。

   

アド・インナーがミニチュア・サイズで復刻されている。

   

20ページのカラー・ブックレット(といっても中味はモノクロに彩色したものだが)はUKで再発されたものの翻訳版で、メンバーのフォト・セッションのほかに、印象的なジャケット写真のアウト・テイクなども載せられている。 

   

   

最初に2枚組と書いたが、もう1枚は今回の再発を機にオリジナルのテープを別ミックスしたもので、曲によってチェロやハープシコード、あるいはピアノといった楽器を新たに加えたり、12弦ギターの音を取り除いたりしているらしい。
こちらのほうは未聴だが、1970年のデモと71年のBBCセッションがそれぞれ1曲ずつ入っているのがうれしい。

   
   (DISC 2という形で、わざわざ別スリーヴを用意したところもSONYらしいこだわり)

なお、いち早くlonehawkさんのブログ「芸術的生活、」でも紹介されているので、興味のある方はご覧ください。


タグ:トゥリーズ
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lonehawk

遼さん、こんばんは!
文中リンク、誠に恐縮です。
まだ当ブログではエキブロ以外のTB受付は改善されていないようですが、今回もこちらからはTBすることができました。

さて、トゥリーズ紙ジャケはアート的にも内容的にも本当に素晴らしいデキでしたね。
ソニーさんの仕事には(値段も含めて)毎回感心させられます。
レーベル面の目ん玉だけはビックリしましたけど(笑)。
ワタシは逆にコレ以外の英国フォークをほとんど聴いていないので、改めてフェアポートとペンタングルに関しては徐々に聴いてみないとな・・・、と思っています。
by lonehawk (2007-06-28 22:59) 

parlophone

lonehawkさん、さっそくトラバ&コメント、ありがとうございました。

>ソニーさんの仕事には(値段も含めて)毎回感心させられます

ですよね!
いまや安心して買えるのは第1にSONY、第2がWarnerですが、Warnerはドタキャンがあるので、現物を見るまで安心できない(笑。

>改めてフェアポートとペンタングルに関しては徐々に聴いてみないとな

やっぱりこの2つのグループは世評が高いだけのことはあります。
『クルエル・シスター』なんて、収録曲はすべてトラディショナルですが、まじヤバイです。
ぜひお試しを…^^
by parlophone (2007-06-28 23:20) 

nowatts

遼さんこんばんわ。東京は今日とても蒸し暑いです。暑さで子供が夜中に起きてしまわなければよいのですが。
前にもちょっと書きましたが、25年くらい前の学生時代、雑誌の編集をちょっと手伝っていまして、ちょうどそれを始めるきっかけになった号の表紙がこのオン・ザ・ショアでした。(お察しのとおり当時はプログレ中心に扱う雑誌でした。いまも刊行してますがだいぶ方向は違います・・・)これは当時すでに超レア盤で、編集長しかもっていなかったという記憶があります。(つまり編集にたずさわっていた者のほとんどが聴いたことがなかったということですね)10年ほど前にCD化されはじめて聴きました。名盤ですねー。アナログを手に入れることはまずあり得ないとおもいますので、これは抑えておかなくては、と思っています。
by nowatts (2007-06-29 00:34) 

parlophone

nowattsさん、こんばんは~。
福岡は九州のなかでは比較的寒いところで(意外と緯度が高い)、1年に1度はかならず雪で交通渋滞が起きるほどなんですが、きょうは昼間は32℃くらいまで上がる蒸し暑い1日でした。
うちの娘はすやすやと眠ってますが、nowattsさんとこの赤ちゃんは大丈夫かな。

>始めるきっかけになった号の表紙がこのオン・ザ・ショアでした

へえ、そうだったんですか!
プログレ系というのはなんとなくそうかなあ、と思っていたんですが、『オン・ザ・ショア』とはねえ~。

>10年ほど前にCD化されはじめて聴きました。名盤ですねー

うらやましーーー!
ぼくは今回が初めてですから。
10年前に聴いていたら、いまはもっとブリティッシュ・フォークの深い森のなかをさまよっていたでしょうね(笑。

Disc-2をお聴きになったnowattsさんの感想が聞きたいですね!
by parlophone (2007-06-29 00:56) 

DEBDYLAN

遼さん、こんばんは。

素敵なジャケットです。
ジャケ買いしちゃいそうです。

このアルバム、確か『レココレ』誌のブリティッシュ・フォーク特集で目にした覚えがあります。

ブリティッシュ・フォーク、音楽的には絶対気に入ると信じているんですが、予算等の都合で手がまわりません(涙)。
所有しているのは。フェアポートの『WHAT WE DID ON OUR HOLIDAYS』の1枚のみです。

でも、このアルバムは欲しいです。
僕的に、久々にジャケ買いしたいアルバムです(笑)。

ホント、SONYさんの紙ジャケCDは良いですね。
それを、あの値段でリリースするなんて。
他社も見習ってほしいです。
僕の中では、あの価格がスタンダードになってます。
by DEBDYLAN (2007-06-29 22:47) 

parlophone

DEBDYLANさん、nice! &コメントありがとうございます。

>ブリティッシュ・フォーク、音楽的には絶対気に入ると信じているんですが

ですよね。
ディランもその初期にはブリティッシュ・フォークの影響を受けましたから、英米のフォーク・シーンは交互に影響されあっていたわけでしょう。

>僕的に、久々にジャケ買いしたいアルバムです(笑)

そうですね。
ヒプノシスのジャケットだけが話題になったりしますが、中味もほんとうに傑作です。
今回のTREESはデラックス・エディションを紙ジャケ化したものなので、2枚組2,835円ですが、某EMI系のレコード会社であれば1枚で2,700円ぐらいですから、やっぱりかなり良心的ですよね~^^
by parlophone (2007-06-29 23:32) 

nowatts

おそくなりました。
DUにありました、最後の一枚。輸入盤は余っているようですがやっぱり紙ジャケ人気ですねー。よく出来てるもんなー。
遼さんのコメントで思い出しましたが、確かにこれの旧規格盤を聴いたころ、ブリティッシュ・トラッドの迷宮にはまり始めていました。ペンタングルを毎日穴のあくほど聴いていた記憶がありますね。
さて今回の2007年リマスターは、例によって(?)旧盤が発見できませんでしたので音の比較はできませんが、旧規格は相手にならない感じです。いいですねー。何となくアナログの音がイメージできる音と言いましょうか、いい仕事だと思います。
問題のDISC2ですが、これもありだなあと思いました。なによりも当人たちがこの作品に大きな誇りと愛情を持っていることが伝わってくるのがいいですね。
こうした形で過去の作品が(もちろん製作者当人たちによって)現代に生き還るというのはとても意味のあることだと思います。
ひとつだけ(小さい声で)文句をつけさせていただくとすればブックレットの原文も併記してほしかったです。どっちか、といわれれば日本語のほうがいいですけど。
by nowatts (2007-07-02 09:57) 

parlophone

>DUにありました、最後の一枚

おお、よかったですね~。
無事入手おめでとうございます。

>旧規格は相手にならない感じです。いいですねー。
>何となくアナログの音がイメージできる音と言いましょうか

そうですか!
じゃあ買いなおしても名目が立ちますね^^

>問題のDISC2ですが、これもありだなあと思いました

まだ聴いてないんですよ。
オリジナルをしっかり聴きこんでからの楽しみにしようと思ってます^^

>ブックレットの原文も併記してほしかった

これはぼくも思いますね~。
きっと価格的にギリギリなんでしょうけど、Sonyのは最近翻訳したものしかついていませんね。
ちょっぴり残念です(…といって英文読んでもわかんないけど。笑)
by parlophone (2007-07-02 14:35) 

ねこだむ

ご無沙汰です。
自分も最近、サンタナを離れて、UKロックをけっこうきいておりま~す。
(どうしてもキャラヴァンサライ前後のアルバムは聴いてるけど)
というよりサンタナのⅠとⅢのレガシーが出てるのだから、Abraxasも出て欲しいなと思う、この頃です。
UKは主にプログレ全般を聴いてますね。ツェッペリンを筆頭に
バンド名でいいますとPink Floyd,Yes,Crimson,Genesis,EL&P.
もうちょい突っ込みますとCamel,BJH,Caravan,Renaissance,Moody
Blues,Asia,Procol Harum,Enid,Soft Machine,VDGG,Gong,etc
こんな感じです。
かみじゃけになってるバンドとかって、殆どプログレの枠に入るのでしょうね。
ほとんど70年代に活躍したバンドばかり聴いてるねこだむでした。
by ねこだむ (2007-07-05 19:05) 

parlophone

ねこだむさん、お久しぶりです。

ぼくはやっぱりブリティッシュ・ロックが好きですね。
アメリカとはまた違った黒人音楽の受容があって、独特のロックを形成してますよね。

>Camel,BJH,Caravan,Renaissance…Enid,Soft Machine,VDGG,Gong,etc

すごいですね~。
ぼくもBJH、Renaissance、Soft Machineあたりは持ってますけど、それ以外は聞いたことありません。

>ほとんど70年代に活躍したバンドばかり聴いてるねこだむでした

最近のバンドにもなかなかいいバンドはありますよ(笑。
まあ、ねこだむさんはまだ若いから、これからゆっくりと裾野を広げていけばいいですよね。
ぼくなんかもうあんまり残された時間もないから(笑)、ついついあちこち手を出してしまいます^^
by parlophone (2007-07-05 23:32) 

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