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60年代シングル盤コレクション―その4 アート・ロック! ニュー・ロック! [60年代のシングル盤]

クリームの2枚組のアルバム『WHEELS OF FIRE』が全米1位になったころから、わが国でも俄然「アート・ロック」とか「ニュー・ロック」と呼ばれる音楽がオン・エアされるようになった。
きょうはそのなかからクラプトンやジミ以外のシングル盤をご紹介しよう。

   

まずは、ザ・クレイジー・ワールド・オヴ・アーサー・ブラウンの「ファイアー」から。

   

いまでこそコアな人気を誇るアーサー・ブラウンだが、当時は完全なキワモノ、一発屋扱いだった。
ぼくもこのシングルを買うときちょっと迷った覚えがある(笑。
オルガンをメインに、トランペットやフルート、エンディングではノイズまで入って繰り広げられる世界は、けっこうキャッチーでなじみやすい。
KI 6810」の記号がある。

ヴァニラ・ファッジの「キープ・ミー・ハンギング・オン」は先日のスプリームスのDVDの記事でもちょっと触れた。
イントロのマーク・スタインの荘重なオルガンがラジオから流れてきたときの衝撃はいまでも忘れられない。

   

カーマイン・アピスのドラムスとヴィンス・マーテルのギター、そしてティム・ボガートのベースが一分の隙もなく音を敷き詰め、そこにソウルフルなマークのヴォーカルとコーラスが展開される。
いま聴いても、まったくムダのない素晴らしい2分58秒だ。
ブラック&レッドの美しいアトランティック・レーベル。
こちらもスリーヴ裏に「KI 6810」という記号がある。

ドノヴァンの「バラバジャガ」は正式なアーティスト名が「DONOVAN with the Jeff Beck Group」。

   

すでにこのころはジェフ・ベックのギターが大好きだったので、深夜放送で聴いてすぐにレコード店に買いに行った。
ドノヴァンも「メロー・イエロー」などで知ってはいたけれども、ベックのギターが入っていなければ買わなかっただろう。
ニッキー・ホプキンスのピアノに、タイトなロン・ウッドのベース、そしてトニー・ニューマンの切れのあるドラムス、非の打ちどころのない傑作シングルだ。
新しくできたCBS/SONYからのリリース。
'69.11.7.購入の書き込みがある。

同じ日にもう1枚、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルの「グリーン・リヴァー」も買っている。

   

クリーデンスはアルバムも何枚か購入した(『ウィリー・アンド・ザ・プアー・ボーイズ』とか)けれど、シングル盤はこの1枚だけ。
ジョン・フォガティのエモーショナルなヴォーカルはいつ聴いても気持ちいいけれど、楽曲じたいは意外に聴き飽きがするのだった。
東芝EMIのリバティ・レーベルは懐かしい感じがして好きだなあ。

60年代最後に買ったシングル盤は次の2枚だ。
まずはブラッド・スエット&ティアーズの「アンド・ホエン・アイ・ダイ」。

   

スティーヴ・カッツののどかなハーモニカのイントロから、ズンタタ・ズッタ、ズンタタ・ズッタ、のリズムでゆったりと歌が始まるがすぐにアップ・テンポに変わり、その後もリズムは自在に変化する。
ローラ・ニーロのシンプルでソウルフルなオリジナルもいいが、ブラッド・スエット&ティアーズのカヴァーは、この曲のまったく新しい美しさを如何なく表現してみせる。
'69.12.28の購入。

もう1枚はボイス&ハートの「風にくちづけ」だ。

   

この曲をニュー・ロックと呼ぶ人は当時からいなかったが、同じ日の購入ということで大目に見てください(笑。
ドラムスのソロにブラスが重なるイントロから、ギターのカッティングにストリングスが入って、全体的にはやはりモンキーズに通じるアップ・テンポな佳曲だ。
いかにも「60年代!」というシングル盤で60年代のレコード・ライフをしめくくったのだから我ながらおもしろいものだ。

なお、ディープ・パープルのシングル盤について、去年の2月22日の記事で紹介しています。
興味がおありの方はご覧ください。


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MORE

アーサー・ブラウンのFire同じクラスの友人に薦めて買わせました。(爆)
キワモノですが、この曲好きです。
後半のブラス・セクションが入ってくる辺りはなかなかのアレンジだと・・・

ファッジもドノヴァンもこのシングルが入っているアルバムの方を買いました。(Donovanのアルバム、バラバジャガルは結構良いのですよ)
あ、それからBS&Tも、です。(日本盤ですが音は良かったです)
個人的にはこの頃(アート・ロックとかニュー・ロックの全盛期)はシングルからアルバム志向になっていった過渡期でした。
シングル・チャートもあまり気にならなくなってきた時期です。

うーむ、確かにこの6枚の中でボイス&ハートは浮いてますねー。(爆)
by MORE (2007-05-03 23:16) 

parlophone

MOREさん、どうもです。
たしかに69年~70年はシングル盤からアルバムに移行していく時期でしたね。
これももとはといえば『サージェント・ペパーズ』からの流れなんでしょうけれど、アーティストのほうもシングル盤よりアルバムのほうに力を入れだしてた時期だったんじゃないでしょうか。

ぼくもシングル盤は70年までで、それ以降はアルバムしか買わなくなりました。
ところが最近また、ポールやストーンズのシングルをアナログで買ったりするようになりまして、おもしろいものですね^^
by parlophone (2007-05-03 23:37) 

MASA

毎回楽しみです、このシリーズ。しばらくこれで引っぱって下さい(笑)
今回はちょっとマニアックですね。この中ではヴァニラ・ファッジだけは昔友人にもらったシングルを持ってます。
あとはCCRしか聴いたことないです(笑)。ドノヴァンは「サンシャイン・スーパーマン」が好きでしたが、この曲は知らないですねえ。ローラ・ニーロ・ファンの私もBS&Tのこのカヴァーは聴いたことないんだよなあ。聴いてみたいです。
ボイス&ハートのBELLレーベルはどこから出てたんですか?まだソニーじゃないみたいですね。
なんか珍しいものがいろいろ見られてとっても楽しいです^^。
by MASA (2007-05-03 23:42) 

parlophone

MASAさん、いつもありがとうございます^^

>しばらくこれで引っぱって下さい(笑)

もうそろそろネタ切れです^^;
じつは今回の記事で終わりにする予定だったのですが、MASAさんにそう言われてもう2~3回引っ張ることにしてみます(笑。

>ローラ・ニーロ・ファンの私もBS&Tのこのカヴァーは聴いたことないんだよなあ

これはぜったいオススメです!
デイヴィッド・クレイトン・トーマスのヴォーカルはまたローラとは違ったソウルっぽさを持ってますし、なにより変幻自在のリズム・アレンジが抜群です。
おそらくローラも気に入ってたんじゃないかと…(←100%憶測ですが^^;)

ボイス&ハートのBELLレーベルは書き忘れましたがCBS/SONYです。
by parlophone (2007-05-04 00:42) 

tsukikumo

アーサー・ブラウンのファイアー・・・・・当時から眼を付けていたとは皆さんさすがにお眼が高い。おそらくリアルタイムで自分も聴いていたんでしょうが、当時の自分にはこの曲を受け入れるまでの器量が無かったためか全く記憶になし。数年前にネットラジオから流れるのを聴いてここで初めて一耳惚れしました(笑)
キワモノっていっても、この曲アメリカではベスト10入りしてたんでしょう?
by tsukikumo (2007-05-04 01:28) 

parlophone

>キワモノっていっても、この曲アメリカではベスト10入りしてたんでしょう?

調べてみたら、全英1位、全米でもビルボードで2位に輝いてますね。
びっくり!(笑
けれど完全なワン・ヒット・ワンダーですし、ジャケ写にもあるように炎の燃えさかるマスクを被って歌うんですからキワモノ扱いもやむを得ませんよね^^;

冷静に耳を傾ければオルガンをメインにしたジャズっぽさもあるロックで、なかなかいいと思います。
by parlophone (2007-05-04 01:56) 

tsukikumo

Arthur Brownなんか有るわけないよなぁ~と思いながらYouTubeを調べてみたら沢山有ってびっくり!
いや~参りました(爆!)
英米だけでなくドイツやベルギーなどでも人気があったみたいです。そのうえ今でも現役みたいで(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=xk09k02fOHQ&mode=related&search=

しばらくはマイブームになりそうです。いいネタを提供していただき有難うございました(笑)
by tsukikumo (2007-05-04 05:40) 

parlophone

おお!動くアーサー・ブラウン、初めて見ました。
それにしてもいまも現役とはすごいですね。
当時の口パクのTVショウもなかなかでした。
こちらこそありがとうございました^^
by parlophone (2007-05-04 18:39) 

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