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60年代シングル盤コレクション―その2 ミドル・オヴ・ザ・ロード [60年代のシングル盤]

わが国では「ミドル・オヴ・ザ・ロード」「MOR」という言い方はあまり定着しなかったが、その名のとおりポピュラー・ミュージックのど真ん中に位置する、名歌手と名曲のシングル盤をきょうはご紹介しよう。

   

最初はアンディ・ウィリアムズ。
家族で毎週(水曜日だったかな?)『アンディ・ウィリアムズ・ショウ』を見ていたので、歌のうまさはわかっていたけれど、どちらかというと退屈な歌手だったアンディが、俄然かっこいいおじさまに見えたのがこの「恋はリズムにのせて」だ。

   

エレキ・ギターとサックスのイントロにブラスとストリングスが重なり、コードが半音ずつ下りていくという、こちらもポップスの王道を行くような曲だが、ちょっとメランコリックなメロディと軽快なリズムが印象的だった。

「♪The boys watch the girls
 While the girls watch the boys
 Who watch the girls go by

という歌詞も語呂がよくて、ふと気づくと口ずさんでる(もちろんインチキな英語で)という曲だった。
作曲はシド・ラミンで、1967年6月の月間第1位に輝いている。

最初に買ったシングル盤の1、3、4、5が日本コロンビアというのもすごい。

いまソフト・バンクのCMですごく耳に残るのがナンシー・シナトラの「シュガー・タウンは恋の町」なのだが、その次の彼女のヒット・シングルが「サマー・ワイン」と「007は二度死ぬ c/w ジャクソン」だ。

    

「シュガー・タウン」の作曲者でありプロデューサーだったリー・ヘイズルウッドとのデュエットで話題になったのが「サマー・ワイン」だが、実際には交互に歌うだけで厳密な意味でのデュエットではない。
ヘイズルウッドは低音の独特な声で、ナンシーの声が可愛く聞こえるのがおかしい^^

いかにも日本人好みなマイナー調のメロディに載せて
「♪Strawberries, cherries and an angle's kiss in spring
 My summer wine is really made from all these things

とナンシーが可愛く?男を誘惑する歌だ。
この曲もヘイズルウッドのペンになるもので、1967年10月にビートルズの「愛こそはすべて」と首位を争っている。

じつは全米では「サマー・ワイン」の前にチャートを駆け上がったのが「ジャクソン」。
こちらは軽快なロックンロールで、ハーモニカをフューチャーしながら全編でナンシーとヘイズルウッドが息の合ったデュオを聞かせる。
この曲も作曲、プロデュースともにヘイズルウッドが手がけている。

ナンシーがジョン・バリーの手になるバラードを歌った「007は二度死ぬ」も当時はたいへん話題になった。
スリリングなスパイ映画のオープニングを思わせるイントロから、壮大なオーケストレイションをバックにナンシーが堂々たる歌唱を聞かせる傑作で、こちらもプロデュースはリー・ヘイズルウッドだ。
当時はマット・モンローの「ロシアより愛をこめて」とかシャーリー・バッシーの「ゴールド・フィンガー」とか、007の主題歌はみんな大ヒットしたなあ。

   

クリフ・リチャードの「マリーは恋人」は、センティメンタルなマイナー調のアコースティック・ギターのイントロから、ブラスも入ったアップ・テンポな展開部へと、おもしろい構成をもった曲で、作曲はシャドウズ時代からのパートナー、ハンク・マーヴィン。
67年12月の月間第4位になっている。

そしてクリフはイメージよりずっとロッカーだったのだとあらためて思わされたのが、そのハンク・マーヴィンが作曲をしてギターでも参加した「うちひしがれて」だ。
ドラムスによるイントロも意表をつくが、全編にわたってハンクのディストーションの効いたギターがフューチャーされていて、ハード・ロックと呼んでもさしつかえないような出来だ。
'70.1.4 購入の書き込みがある。

ボサ・ノヴァをMORに入れてはいけないかもしれないが、1枚しかないのでこちらに…(笑。

   

セルジオ・メンデスのシングルなんて持ってたっけ…と思ったらボサ・リオというグループだった。
もっともプロデュースがセルジオ・メンデスで、女声コーラスやピアノのアレンジもブラジル66にひじょうに近い。
A面が「サン・ホセへの道」、B面が「ビートでジャンプ」という、バカッラク c/w ジム・ウェッブというひじょうに贅沢なカップリングだ。
いずれもディオンヌ・ワーウィックやフィフス・ディメンションによって大ヒットした曲だが、ボサ・ノヴァのリズムとジャジーなアレンジメントで、クールな楽曲になっている。

ちなみに1969年12月の月間チャートではクリフの「うちひしがれて」が5位、ボサ・リオの「サン・ホセへの道」が9位に入っている。


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MORE

「恋はリズムに乗せて」のオリジナルはThe Bob Crew Generationの
インスト物です。確かチャートでNo.1になったかと…
アンディーのカヴァーは歌入りとしては最もポピュラーですね。
アレンジはほとんどそのままですが…

ナンシー・シナトラは何を隠そう(隠す必要はないですが)、私もLPを何枚か所持しております。
Sugar Townの入ったアルバムSugarはジャケ買いしました(爆)
リー・ヘイズルウッドは最近欧米で(爆)再認識されているようです。
元祖「チョイ悪オヤジ」ってとこか?
S.ゲインズブールとL.コーエン、そしてこのL.ヘイズルウッドがチョイ悪オヤジ御三家ではないでしょうか。
 
by MORE (2007-04-29 23:59) 

parlophone

MOREさん、どうもです。

「恋はリズムにのせて」がカヴァーでオリジナルはインストなんて初耳です!
当時はよくラジオを聴いてたので、そんな情報があったら耳にしてるはずなのに…。

>リー・ヘイズルウッドは最近欧米で(爆)再認識されているようです

へえ~、そうだったんですか!

>S.ゲインズブールとL.コーエン、そしてこのL.ヘイズルウッドが
>チョイ悪オヤジ御三家ではないでしょうか

いや~、よくわかります^^
でもヘイズルウッドって顔知らないなあ…。
by parlophone (2007-04-30 00:55) 

MASA

この辺のシングル・ヒットはよくラジオでかかっていたので、覚えてますね。
「恋はリズムに乗せて」は「ビートでジャンプ」と並び、確かもともとはアメリカのテレビで流れていたCMソングだと聞いたことがあります。
ナンシー・シナトラは私もけっこう好きです。「レモンのキッス」がお気に入りです(笑)。「サマー・ワイン」のステレオ・ヴァージョンでは右からリー・ヘイズルウッドのヴォーカルが、左からナンシーのヴォーカルが(逆だったかも^^;)キッチリ分かれて出てくるミックスが時代を感じさせますね^^。
ボサ・リオはほんとにセル・メンと区別がつきません(笑)。この曲は今ではすっかりボサノヴァのスタンダード・ナンバーになっちゃいましたねー。
by MASA (2007-04-30 11:15) 

MORE

Music To Watch Girls ByはDiet PepsiのCMジングルを聴いたBob Crewが「これは売れる!」とばかりにフルバンドヴァージョンをレコーディングそてシングルをリリース、大ヒットしたのでした。

「ビートでジャンプ」はTWAのCMソング、T-BonesのNo Matter What Shape(大ヒットインスト物)は胸焼け止めの薬のCMソングでした。
最近はこういう話、あまり聞きませんね…
by MORE (2007-04-30 11:46) 

parlophone

>「恋はリズムに乗せて」は「ビートでジャンプ」と並び、確かもともとは
>アメリカのテレビで流れていたCMソングだと聞いたことがあります

そうだったんですね~。
すごい時代だなあ。

>ナンシー・シナトラは私もけっこう好きです。「レモンのキッス」がお気に入りです(笑)

「レモンのキッス」って可愛らしい感じの曲でしたかね~。
よく覚えてないんですが、このころナンシーっていくつぐらいだったんだろう。
まさかティーンエイジャーではないと思いますが、意外に若かったりして(笑。
当時の小学生にはなんだかセクシー系のお姉さまという感じでしたが。
by parlophone (2007-04-30 15:31) 

parlophone

>Music To Watch Girls ByはDiet PepsiのCMジングル
>「ビートでジャンプ」はTWAのCMソング
>No Matter What Shape(大ヒットインスト物)は胸焼け止めの薬のCMソング

へえ~~~。
最後の曲は知りませんが、なんと贅沢な時代だったんでしょう。
もっとも大手だったPANAMとかがもう存在しない時代ですから、CMにもあまりお金がかけられないのかも知れませんね。

それにしてもMOREさん、ほんとうによくご存知ですね。
これからもぜひ記事の補足、よろしくお願いいたします^^
by parlophone (2007-04-30 15:34) 

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