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ズート・スムズ 『ダウン・ホーム』 [JAZZの愛聴盤]

くたくたに疲れて家に帰りついたとき、熱いシャワーを浴びたいときとぬるめのお湯にゆっくりと浸かりたいときとあるだろう。
テナー・サックスでいうと前者の代表がジョン・コルトレーン、後者の代表がズート・シムズだ(断定してごめんなさい…笑)。 

1947年、ウディ・ハーマンのセカンド・ハードで、スタン・ゲッツらと有名な「フォー・ブラザーズ」を吹き込んで以来、ずっとジャズの第一線で活躍してきたズートは、ついにジャズの歴史を塗り替えるような場面には登場しなかった。
しかしそのスインギーでリラックスしたプレイはつねにジャズ・ファンから熱い支持を受けてきた。

ズートのアルバムで内容、人気ともにナンバー・ワンというと、1956年にフランスのデュクレテ・トムソン・レーベルに録音した『ズート・シムズ・アヴェク・アンリ・ルノー』(通称『オン・デュクレテ・トムソン』)だと思うが、1960年にベツレヘムに吹き込んだ『ダウン・ホーム』もそれにけっして引けを取らない名演、名盤である。

     

まずドラムスがダニー・リッチモンドというところがいい。
ミンガスのバンドで有名なこのドラマーは、いろいろな場面で「ハッ! ハッ!」というような掛け声をかけてソロイストを煽る。
ベースはジョージ・タッカー。
けっして派手なベーシストではないが、堅実なリズムとスインギーなフレーズで、ダニーとともにしっかりとバンドの基盤(ベース)を支えている。
そしてピアノはデイヴ・マッケンナ。
スイングからモダンまで弾きこなすマッケンナのピアノは、縦の起伏に富んだ音列よりも、水平に連綿とつづいていくようなフレーズを特徴としているが、これが意外に気持ちいい(笑)。

曲は30年代のベイシー楽団の「Jive at Five」に始まり、同じくベイシーの「Doggin' Around」、アル・ジョスルスンの有名な「Avalon」、ディキシー時代のトラディショナル「Bill Bailey」、レイ・ノーブルの「Goodnight Sweetheart」など、スタンダードがずらりと並ぶ。
いずれも5分前後の曲ばかりだが、難しいことをやっていてもそれをちっとも感じさせないリラックスした名演ぞろいだ。


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コメント 4

M54

遼さんこんにちは。
ズートは好きなほうですが、いま棚を見てみると7枚しか持ってませんでした。 しかし、これは持ってました。  このレコ、僕的にはジョージ・タッカーとダニー・リッチモンドの参加盤と言うところが好きな理由かな~黒々こってりが好きなものですから(笑)  同じベツレヘムのアービンとズートの競演盤『THE BOOK COOKS』 のリズムもタッカーとリッチモンドですね。  タッカーの乾いた感じの太くて黒っぽい音は大好物でついつい食べすぎちゃいます!(笑)  コテコテのとんこつ好きなんですね~!
ズートもこれから揃えたい人の一人です。  アービンやグリフィンがコテコテトンコツ系ならズートはしょう油トンコツってとこでしょうか?(笑)
by M54 (2007-04-15 15:49) 

parlophone

M54さん、どうもです。

>いま棚を見てみると7枚しか持ってませんでした

いやいや7枚しかってスゴイですよ^^
ぼくもアナログ時代はアーゴ・カデット盤の『ZOOT』とか、MCAデッカ盤『AL AND ZOOT』とか、パブロ・レーベルの『ソプラノ・サックス』とか持ってましたが、今は3枚だけですね~。

>同じベツレヘムのアービンとズートの競演盤『THE BOOK COOKS』

ぼく、これは聴いたことがないんですよ!
ブッカー・アーヴィンも好きなので、ぜひ聴いてみたいですね。

>タッカーの乾いた感じの太くて黒っぽい音

ほんとですね。
リッチモンドもタッカーも黒っぽくてかっこいいですね!

>アービンやグリフィンがコテコテトンコツ系なら
>ズートはしょう油トンコツってとこでしょうか?(笑)

おもしろいですね~。
こういう比喩はまったく思いつきもしませんでした^^
by parlophone (2007-04-15 21:09) 

bassclef

遼さん、ちょっとゴブサタしてました。M54さん、こんにちわ。
いやあ・・・タッカーのベースの雰囲気など、僕の言いたいようなことを
全部、M54さんが表してくれました(笑)
タッカーの音、なんであんなに乾いたハード・ボイルドなんでしょうね(笑)
by bassclef (2007-04-15 23:31) 

parlophone

bassclefさん、こちらこそご無沙汰してます。

じつはM54さんの文章を読みながら、ああbassclefさんと感性がとてもよく似てらっしゃるなあ、ベーシストのbassclefさんもきっとこんな感想をお持ちなんじゃないかなあ…、と思っていたところでした!

なかなかbassclefさんみたいに、その素晴らしさを文章で伝えることはできませんが、これからもよろしくお願いします^^
by parlophone (2007-04-16 00:39) 

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