SSブログ

カクタスのアルバム [紙ジャケ]

ヴァニラ・ファッジを解散させたティム・ボガートとカーマイン・アピスが70年代初期にアトコ・レーベルに遺したカクタスの4枚のアルバムが紙ジャケ化された。

ぼくはあんまりアメリカン・ロックには詳しくないのだが(といってブリティッシュ・ロックにも明るくはないけど…笑)、結成当時カクタスはわが国でもちょっとした話題になった。
深夜放送でシングルを2、3回聴いたぐらいで、なかなかヘヴィなバンドだなとは思ったがそれっきりだった。

今回の紙ジャケ化を機に、ファーストとセカンドを買ってみた
(あ、でも買ったのは先月です…って誰に言い訳してんだ、オレ?)。

   

70年代ロックがお好きな方はご存知のとおりだが、ヴァニラ・ファッジを解散したティムとカーマインは、ジェフ・ベックに誘われて新しいバンドを結成するはずだった。
ヴォーカルはロッド・ステュワート。
ところがロッドはフェイセズに参加、ジェフはバイク事故で重傷を負ってしまい、そこで二人が作ったグループがカクタスだった。

1st アルバムの伊藤正則のライナーによると、ヴォーカルのラスティ・デイは元ジ・アンボイ・デュークス、ギターのジム・マッカーティは元ミッチ・ライダー&ザ・デトロイト・ホイールズのメンバーということらしいが、ヴァニラ・ファッジが解散した2か月後にはジミ・ヘンドリクスのオープニング・アクトを務めたというから、カクタスの構想はずいぶん早くからあったのかもしれない。

ファースト・アルバム(70年)はモーズ・アリスンの「Parchman Farm」で幕を開ける。
この1曲めがすごい。
ラスティのヴォーカルとハーモニカ、ジムのギター、ティムのベースとカーマインのドラムスが、お互いにしのぎを削りながら怒涛のようなソロとアンサンブルを聴かせる。
ハード・ロックというよりヘヴィなブギという感じだが、まるで4人が味方になったり敵になったりしながらコートの中を駆け巡るバスケット・ボールの試合を見てるようだ(←我ながら変な比喩…笑)。

2曲めはアコースティックなバラード、3曲めはいかにもアメリカン・バンドらしいロックンロールだな…と思って聴いていると、4曲め、ウィリー・ディクスンの「You Can't Judge A Book by the Cover」になると俄然ゼッペリンあたりのブリティッシュ・ブルーズ・ロック風になるのがおもしろい。

   

セカンド『ONE WAY...OR ANOTHER』(71年)になると、ファーストの荒削りな部分が薄れて、とても完成度の高い作品になっている。
増渕英紀も解説に書いているのだが、CCRの初期の傑作「Susie Q」を髣髴とさせる「Feel So Bad」、ポールの「Why Don't We Do It in the Road?」へのオマージュのような「Hometown Bust」、ジェフ・ベック・グループやゼッペリンからの影響もうかがえるような「One Way...or Another」などヴァラエティに富んだ楽曲が並び、それに加えてストレートなロック、ヘヴィなブルーズ・ロックなどじつに聴き応えがある。

ラスティのヴォーカルだけじゃなくて、カーマイン・アピスもお得意のソウルフルなヴォーカルやコーラスを披露している。
カーマインのドラムってドタバタした感じで、じつはあまり好きじゃないんだけれど、2nd は完成度が高くて思わず聞き惚れてしまった。

   

紙ジャケはコーティングのない厚紙のA式スリーヴで、1st はシングル、2nd はゲイトフォールドになっている。
レーベルはAtcoだから音源はWarner Musicの所有だが、リリースはビクター・エンターテインメントからで、そのせいなのかCDのレーベルはオリジナルではないようだ。

インナーバッグなども復刻はされていないが、2nd にはポスターが付属している。

   

傑作の呼び声高いライヴも買いたいなあ…。
あ、冗談です、ジョーダン^^;


nice!(0)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 10

MORE

Vanilla Fudgeの大ファンだった私はあの当時カクタスの結成にはワクワクしたのですが…実はちょっと拍子抜けしてガッカリしたのでした。
ファッジみたいな「アート・ロック」系なのかなあと期待したのが間違いだったわけですがね。(爆)
私はあっけらかんとしたアメリカン・ハードロックってダメなんですよ。GFRとかマウンテンとか…
カクタスも砂漠の真ん中で真昼間にガンガン演奏してる、みたいな印象だったわけです。
まあ、ファッジも最後の方は随分カラっとしたハードロックになってましたけどねー。
それにしてもファッジのファーストってちゃんとしたリマスター盤、出ないんでしょうかね?
ライノ・ハンドメイドから出ているカクタスのライヴは良い、と友人が言ってました。
by MORE (2006-11-15 15:45) 

幻燈遮断機

遼さん、MOREさん、こんばんは。
最近ジェフ・ベックの1stをやっと聴きました。
(ずいぶん前に)遼さんが紹介するだけはありますね。
こりゃ、凄い!

>MOREさん

ファッジの1stはHDCD仕様で紙ジャケが発売されてから随分経つので、待っていればそのうちリマスターされるかもしれません。
それより2ndがリマスターどころか廃盤状態なのが個人的に困ってます。
by 幻燈遮断機 (2006-11-15 20:48) 

路傍の石

カクタスって、昔はゼップと比較されて評価されるようなところがありましたね。う~む、でも今聴くとどうでしょうか。初期のヴァニラ・ファッジと比較しても、ファッジから知性を抜いてアルコールをボトル100本ぶち込んで暴れさせた感じかなぁ。まるで路上でストリート・ファイトを繰り広げているような。でもクリームのような感情のもつれ合いを有する陰湿さはないんですよね。すぐに仲直りする。その辺の陽気さがいかにもアメリカという感じがしますね。
ちなみに、2ndでやや落ち着いたものの3rd『RESTRICTION』でまたも大噴火します。しかし、ここでは一転して極悪非道な暴れっぷり、驚天動地のモノスゴさです。片面がライヴの4th『'OT 'N' SWEATY』はそれまでの集大成的な完成度を持っていて、まとまりと楽曲のよさでは一番でしょうか。でも、もう敢えて薦めません。カクタスの全作を所有して聴き狂うというのはかなり異常な感じがしますので(笑)。
by 路傍の石 (2006-11-15 21:13) 

MORE

>初期のヴァニラ・ファッジと比較しても、ファッジから知性を抜いて
>アルコールをボトル100本ぶち込んで暴れさせた感じかなぁ。

正にその通りですね。(苦笑)
アルコールもテキーラかバーボンってとこ?
ファッジには影の部分が見え隠れしていたのですが、カクタスはどピーカン!
ヘビメタの元祖とも言われるブルー・チアーも120%アメリカンなサウンドでした。ちょっと似てるとこあるかもです。
ボガートとアピースのリズムセクションは「歌える」ってとこがそんじょそこらの連中とは違うところでした。
BBAは武道館で見ましたが、ベックが歌えない分を彼等がカバーしてましたよね。
でも、そのBBAですら「荒野のロック野朗」って感じがして期待したほどの感動は無かった私でした。
あー、ファッジのファーストとRenaissanceをまともなリマスターで聴きたい…
by MORE (2006-11-16 00:06) 

parlophone

>私はあっけらかんとしたアメリカン・ハードロックってダメなんですよ
>GFRとかマウンテンとか…

ぼくもGFRにはまったく興味がありませんが、マウンテンは大好きなんですよ(笑。
初めはクリームからの流れでフェリックス・パッパラルディに関心があったのですが、そのうちレスリー・ウエストのギターにやられてしまいました(70年ごろの話ですが)。
とにかくシングル・ピックアップ1個という潔さと、その表現力の幅の広さに魅かれますね~。
早く紙ジャケにならないかと心待ちにしています。

>カクタスも砂漠の真ん中で真昼間にガンガン演奏してる、みたいな印象

たしかに(笑。
1st のジャケットと演奏内容はそんな感じですよね^^;

>ライノ・ハンドメイドから出ているカクタスのライヴは良い

そういえば去年話題になったような気がします。
どうもライヴが気になりますね…。
by parlophone (2006-11-16 21:15) 

parlophone

幻燈さん、どうもです。

>ジェフ・ベックの1st

よかったでしょう?
気に入ってもらえると思ってました^^

>2ndがリマスターどころか廃盤状態なのが個人的に困ってます

ヴァニラ・ファッジって意外と人気あるんだ~^^
どんなところがいいのか、今度教えてください!
by parlophone (2006-11-16 21:22) 

parlophone

路傍さん、お仕事お疲れのところコメント感謝です!

>初期のヴァニラ・ファッジと比較しても、ファッジから知性を抜いて
>アルコールをボトル100本ぶち込んで暴れさせた感じかなぁ

ファッジというのは知性派だったんですね。
シングル「キープ・ミー・ハンギング・オン」しか知らないので勉強になります。
それにしてもカクタスってなんかすごいですね。
要するにコケインとかLSDでぶっ飛んだ感じ??(笑

>片面がライヴの4th『'OT 'N' SWEATY』は…まとまりと楽曲のよさでは一番

う~ん、やっぱりこれは聴いてみたい!^^
by parlophone (2006-11-16 21:32) 

parlophone

>そのBBAですら「荒野のロック野朗」って感じがして
>期待したほどの感動は無かった私でした

MOREさん、生でBBAを見てらっしゃるのですね!
すごいなあ~。

ぼくは名盤の誉れ高い『BBA ライヴ・イン・ジャパン』にそれほどこころ動かされません。
たぶんカーマインのドラムにあまり嗜好が向いてないせいだと思うんですが…。

それにしてもBはBAのどこが気に入らなかったんでしょうかね?
by parlophone (2006-11-16 21:39) 

MORE

>ヴァニラ・ファッジって意外と人気あるんだ~^^
>どんなところがいいのか、今度教えてください!

はいはい(爆)
衝撃のファースト・アルバムは有名曲をメッタメタに三枚に下ろして前衛生花仕立てにしました、ってところが魅力的でした。
でもって問題作The Beat Goes Onでは音楽の歴史をLP両面で全部紹介するという突拍子も無いことをやってくれました。
ベートーベンとグレン・ミラーとビートルズを一枚のアルバムの中でカヴァーしたアーティストなんてファッジだけでしょう。
そしてRenaissanceのプログレ風ハードロックという強力三部作は必聴モンであります。(謎爆)
それ以降はちょっと走りっぷりがちょっと直線的すぎて、やがてカクタスになってしまったのもしょうがないか(苦笑)という感じがします。
まあ、何といってもボガート&アピースの強力わかもとリズム・セクションにサイケなギターが絡んで、粘っこいハモンドB3が炸裂しますんで、もうそりゃああーた!(自爆)
ゼップをからりと揚げて初期のパープルをぱらぱら、そこにKCの緊迫感を隠し味に効かせてクィーン風にしてみました、ってな感じ?(意味不明)
ま、「アートロック」の極致でしょう、この際。
by MORE (2006-11-16 21:58) 

parlophone

MOREさん、さっそくのレスありがとうございます。
とても興味深く読ませていただきました。

当時のぼくは、とにかくギターがラウドに鳴っているバンドにしか興味関心がなかったので、キーボードの比率の高いヴァニラ・ファッジやドアーズは対象から外れていきました。
しかし今MOREさんのコメントを拝見して、すごく興味が出てきました。

>前衛生花仕立て
>音楽の歴史をLP両面で全部紹介
>プログレ風ハードロック

うんうん、なにやらすごいバンドですねえ^^
これはぜひ紙ジャケ化を期待したいところです!
by parlophone (2006-11-16 23:08) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。