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『アンソロジー』 ジャケットの謎 [BEATLES]

今さらこんなこと書いて……と思われるかもしれないのだが(笑)、更新がなかなかできない「Beatles のアナログ盤」のコーナー、次回は『アンソロジー』シリーズにしようかなあと思ってアナログ盤のジャケットを眺めていたら、奇妙なことに気がついた。

音源、映像、そして活字にまでまたがる『アンソロジー』プロジェクトは、Beatles の音源を管理する英EMIの20世紀最後の一大イヴェントだった。
そしてアルバム・ジャケットのデザインとイラストはハンブルグ時代からの友人であり、66年の『リヴォルヴァー』でグラミー賞最優秀アルバム・ジャケット賞を獲得したクラウス・フォアマンに任された。

『アンソロジー』のカヴァー・イラストは、UK盤・US盤のジャケットを初めとしてコンサートのポスター、パンフレットなどを並べたとても楽しい魅力あるもので、クラウスのビートルズにたいする並々ならぬ愛情を窺わせるものだ。

そのイラストを描くに当たって、クラウスは彼らしい遊びごころを取り入れた。
Vol.2』には件の『リヴォルヴァー』のジャケットも登場するのだが、自分の写真とクレジットの部分を忠実に模写している。

  

ところが『Vol.3』では、同じ部分に95年当時の自分のイラストを紛れ込ませている。

  

そんなところをぼんやりと眺めていると、『Vol.2』のクラウスのすぐ上、『サージェント・ペパーズ』のジャケットの部分が目に入ってきた。

「うん?…こんな人ジャケットに写ってたっけ?

  
  (Vol.2 Vol.3を並べたところ)

それはジョンの左隣に写っている白髪の紳士だ。
あわててオリジナル盤のジャケットを見てみると…

いない!

そこに写っているのはもっと若々しい青年だ。

  

『サージェント』のCDのブックレットを見ると、この人物は『ドリアン・グレイの肖像』などで有名な英国の作家オスカー・ワイルドだ。

それにしてもこの紳士は誰なのだろう。
ひょっとして晩年のワイルドなのか?

それにしても、なぜクラウスは青年を老人に置き換えたのだろう?
しかもワイルドだけ……。

これはCDサイズのブックレットでもはっきり確認できるので、興味のある方は手にとってご覧いただきたい。

どなたか、この件についてご存知の方、情報をお寄せください。


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コメント 9

黎

遼さん、こんにちは。
まず、Vol.3のジャケットに95年当時のクラウスのイラストがあるなんてまったくしりませんでした!家で確認してみますね!
あと、ジョンの後ろにいるおじさん^^ いったい誰なんでしょうね。ほんとうにその方の老いた姿なのかな~?タレ目具合は似てますけどね~^^
なぞがまた深まりましたね。私も実際のところが知りたいです!
by (2005-12-19 13:26) 

幻燈遮断機

遼さん、こんにちは。
僕の考えでは遼さんの直感通り、晩年のワイルドだと思います。
ドリアン・グレイは肖像画に歳を取らせて本人は歳を取らなかったわけですから、ワイルドの肖像にもドリアン・グレイ同様の扱いをしてユーモアたっぷりに皮肉を込めたんだと思います。

ワイルド本人はジャケの中の肖像に歳を取らせているのだから、今も若々しい姿を保ったままこの世に存在していると。
そして自分もまた然り、と(笑)。
こんなふうに想像を膨らませることができるジャケット(ABBEY ROADとか)は、観てるだけで嬉しくなりますよね。

おそらくクラウス・ヴーアマンという人は、こういった「遊び心」を昔から最後までずっと持っていたのでしょう。
「遊び心大好き」なFAB4達と気が合ったのも頷けます。

アップル・レーベルのロゴ・デザインもクラウスですよね?
ロゴ・デザインを頼まれるくらいですから、クラウスは余程の信頼と友情をメンバー達から得ていたんでしょうね。

それにしても、「仕掛け」に気付いた遼さんもスゴイ!(この忙しい時期に)
僕は気が付きませんでした(^^)ノシ
by 幻燈遮断機 (2005-12-19 15:38) 

幻燈遮断機

再度コンニチハですいません。
ドリアン・グレイは自身の肖像画に歳を取らせることで、「永遠」を手に入れようとしました。(結果、悲惨な最後を遂げますが)
この行為は、「夢」と「現」の逆(回)転とも取れます。(←テープ逆回転のメタファーって違うって)
永遠に若く、美しいまま変わらぬ自分。
醜く老いた「現」を絵の中に閉じ込めて、自分は「夢」に生きる。
「夢」の中では皆歳を取らないから。

BEATLESは、「あの時代」を共に生きた人達にとっては「夢」そのものです。
色あせる事無い「永遠」です。
「現」の彼らが世の中から居なくなっても
BEATLESは永遠に世代を越えて聴きつがれてゆくでしょう。
レコードの中の彼らは、何時だって創造性に満ち溢れ、若くパワフルです。
ある意味、ドリアンが掴みそこなった「永遠」をBEATLESは手に入れたともいえます。
クラウスは「あの時代」を生きて、「永遠」を掴んだと思ったときもあった。
けれど残念ながら、時代を越えて残るものにはなれなかった。
「私はまさに、ドリアンそのものではないか!」
と、本人思ったかどうか分かりませんけど(多分思ってない)。
そんな自嘲を込めて、クラウスは自身をドリアン・グレイになぞらえてみたのかもしれません。
ジャケット2枚で、これだけ想像が膨らむのだから面白いですね。
やっぱり、BEATLESは面白いです!
by 幻燈遮断機 (2005-12-19 17:54) 

遼(parlophone)

レイコさん、どうもです。

>Vol.3のジャケットに95年当時のクラウスのイラストがあるなんてまったくしりませんでした!

おお、情報提供になってよかったです^^

>タレ目具合は似てますけどね~^^

ですよね。
目の部分はそっくりなので、やっぱりワイルドなのかな~と思いますが…。
by 遼(parlophone) (2005-12-19 19:37) 

遼(parlophone)

幻燈さん、すごい!!サンクス!!
いっぺんで謎が解けてしまいましたね。

>ワイルド本人はジャケの中の肖像に歳を取らせているのだから、
>今も若々しい姿を保ったままこの世に存在していると。
>そして自分もまた然り、と(笑)。

そうだったのか~。
そんな深い意味があったんですね~。

>それにしても、「仕掛け」に気付いた遼さんもスゴイ!(この忙しい時期に)

わはは。
…ほっといて^^;

ぼくはワイルドは名前だけでまったく読んでないんですよね。
学生時代、ビアズリーの挿画欲しさに岩波文庫の『サロメ』買ったんだけど、
それすら読まなかった^^;
いやいや、しかし図らずも幻ちゃんの文学青年ぶりが現れてしまいましたね。

>おそらくクラウス・ヴーアマンという人は、こういった「遊び心」を昔から
>最後までずっと持っていたのでしょう。

こらこら、まだ死んでないって^^

>クラウスは「あの時代」を生きて、「永遠」を掴んだと思ったときもあった。
>けれど残念ながら、時代を越えて残るものにはなれなかった。
>「私はまさに、ドリアンそのものではないか!」
>と、本人思ったかどうか分かりませんけど(多分思ってない)。

思ってませんね(←断言^^
クラウスはビートルズがビッグになったころ英国に移ってマンフレッド・マンでベーシストとして活躍し、その後はプラスティック・オノ・バンドやアルバム『イマジン』、そして『バングラデシュ』にも参加してますからね。
『アンソロジー』のときはコンペに参加して、ほかのイラストレイター、デザイナーを蹴落としてアルバム・デザインを手がけたし、その後はアストリッドと『リヴァプール・デイズ』(だったかな?)という超豪華本を書いたりしてますからね。
今もアーティストとして現役ですよ。

ただあのジャケットのなかでクラウスとワイルドだけが年老いているのだから、おそらく幻燈さんが指摘したような意味は込められているのでしょうね。
外見は年老いていくけれども、あのとき掴んだ永遠は今も手の中にあると・・・。(う~ん、かっこよすぎ…)
by 遼(parlophone) (2005-12-19 19:56) 

幻燈遮断機

遼さん、今晩はッス。
福岡は雪が凄いことになっているみたいですが
遼さんが雪下ろしとかしたりするのかな?
屋根の上では、滑ってケガなどなさらぬよう充分足もとに気をつけてくださいね。
前にアップされたスティーブン・スティルス(1st雪ジャケ)が遼さんと重なるって、そんな呑気な状況ではないですね。

>こらこら、まだ死んでないって^^
す、すいません(汗、何故か最近他界したと思い込んでおりました。
今度マンフレッド・マンのベース・パートを注意深く聴き込んで、クラウスに謝ります^^)
では~。
by 幻燈遮断機 (2005-12-20 21:31) 

parlophone

幻燈さん、ご心配ありがとうございます。
え~、今のところぼくの住んでる街では雪はまったく降っておりません^^
ちなみに福岡は毎年必ず積雪はありますが、雪下ろしをするほどではないですね。
信州辺りに行くと「えー!?九州でも雪は降るんですか?」とよく尋ねられますが、鹿児島、沖縄以外は降るんじゃないでしょうか。

>今度マンフレッド・マンのベース・パートを注意深く聴き込んで、クラウスに謝ります^^

とりあえずまだまだ元気みたいですよ^^
by parlophone (2005-12-20 21:49) 

Reiko

遼さん、こんばんは。

アンソロジーのアナログは、Vol.2と3を持っているので、
早速確認してみました。
今まで、気が付かなかったし、クラウスのことも知りませんでした。
知ることができてうれしくなります。

アンソロジーは、ビデオを持っていたのですが、DVDを購入したので、
ヤフオクで安く売ってしまいました。
売らなければよかったなんて、今頃思ったりしています。

『アンソロジー』シリーズ楽しみにしてます。
by Reiko (2005-12-23 00:16) 

parlophone

Reikoさん、こんばんは。
みんなからは暇だねえ…といわれますが、未知の情報を提供できてよかったです。
Reikoさんに「うれしくなります」といわれるとぼくもうれしくなります(笑)。

アンソロジーはぼくはレーザー・ディスクで揃えました。
まだ持ってますよ。
もう見ることはありませんが^^;
by parlophone (2005-12-23 00:46) 

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